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4章 三国鼎立
各勢力との外交
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時は200年、劉備軍は兵力と兵糧を蓄え、好機を窺っていた。その好機が間も無く訪れる。曹操から使者がやってきたのだ。
楊脩「お久しぶりでございます劉備殿。我が殿より、書状をお預かりしております」
劉備「久しいな楊脩殿。拝見させてもらいましょう」
曹操からの書状の内容には次のように書かれていた。
『無期限の停戦ではなく。5年の同盟を結びたい。良い返事を期待している』
曹操は袁紹との戦いで無期限の停戦を破って背後を劉備に突かれる事を嫌った。それだけでなく袁紹が劉備と同盟を結ぶのではないかと考え、先に手を打つことにしたのだ。
荀彧「殿、良いかと」
劉備「うむ。楊脩殿、曹操殿にこの劉備玄徳。委細承知したとお伝えください」
楊脩「おお。感謝致します」
楊脩が使者の役目を果たし帰っていく。
劉備「これで本当に良いのか?」
荀彧「えぇ」
義賢「それにしても曹操殿は5年で片をつけるつもりのようですね」
荀彧「実際はそれよりも短いでしょう。袁紹の器では曹操に勝つことはできません。2年と見ておいた方が良いかと」
劉備「丁、2年で荊州を取れるのか?」
義賢「無理かと。ですがやれるだけやるしかありません。2年で決着が付いたとしても、そこからすぐに動けるわけではありません。それよりも孫策の横槍にも警戒するべきだと思います」
荀彧「えぇ、あの御仁のことです。切り取りの提案をしてくるかと」
劉備「親族となった以上、無碍にもできん。どうしたものか」
関羽「兄者、その心配なら必要ありますまい」
劉備「雲長、どういうことだ?」
関羽「先の仲国攻略作戦の折、樊玉鳳殿を通じて、荊州南の4郡を治める太守は既に兄者に降伏すると申しておるのだ」
荀彧「!?それは本当ですか関羽殿」
関羽「間違いござらん」
荀彧「殿、荊州を得るために我々が攻めるべき要地は、南陽郡・江夏郡・南郡の3郡です。希望が見えてきたかもしれません」
義賢「後は、袁紹からも曹操と同様の使者が訪れるのをどうするか」
荀彧「そうですね」
悩んでいる面々のところに張飛が入ってくる。
張飛「悪いんだけどよ。袁紹の使者ってやつが来ちまったぜ」
荀彧「やれやれどうしたものでしょうか?」
義賢「切り抜けるしかありません」
劉備「翼徳、お通しせよ」
張飛「わかったぜ」
張飛に連れられて袁紹の使者である逢紀が入ってくる。
逢紀「これはこれは劉備殿、先の戦いでは大変失礼致しました」
劉備「こちらも、華北で名を轟かせる猛将2人を討ち取ってしまい心苦しく思っていた。申し訳ない」
逢紀「仕方ありません。戦場に出て死なぬものなどおりません。此度は、我が殿袁紹様より書状を預かってまいりました。お読みいただきたく」
劉備「了解した」
袁紹からの書状には次のように書かれていた。
『徐州牧劉備殿。逆賊、曹操を共に打ち果たそうでは無いか。我が軍が華北で抑えている間に、我が盟友である荊州牧劉表と共に曹操の背後を突くのだ。共に献帝様をお救いしようでは無いか。良い返事を期待しているぞ』
逢紀「如何でしょうか?」
荀彧「お断りするべきかと」
逢紀「!?荀彧、この裏切り者が。貴様は黙っておれ」
劉備「逢紀殿、私の大事な軍師に対してその言い方は看過できませんな」
逢紀「ゴホン。これは失礼致しました。つい口が出てしまいまして」
劉備「荀彧よ。どうして断るべきだと?」
荀彧「袁紹の器では曹操に勝つことなどできないでしょう。それに高圧的な書面。まるで殿を自分の配下だとでも思っているかのようです」
逢紀「荀彧、貴様ーーー。袁紹様からあれだけの恩を受けておいて、愚弄するか。許せん。劉備殿、この男の諫言に乗ってはなりません。どうか袁紹様と同盟を結び曹操の背後を」
義賢「フフフ」
逢紀「何がおかしいのだ貴様」
義賢「これは失礼致した。我が兄劉備が実弟劉丁義賢と申す。いや、逢紀殿は数奇な巡り合わせだと思いましてね」
逢紀「この私の運が悪いだと。ふざけるな。やってたかってバカにしよって。結ぶ気は無いとそういうことで良いのだな」
義賢「そもそも、良いのですか?名族の威光などと振り翳す袁紹殿が名族らしからぬ背後攻めなどをして、笑い種になりますよ」
逢紀「貴様、まだ言うのか。こちらは文醜殿と顔良殿を殺した関羽の首と裏切り者の荀彧の首を差し出せと言っても良いのだぞ」
義賢「フフフ。それこそお門違いというものです。雲長は兄上の大事な義弟。荀彧殿は、かけがえのない軍師。袁紹に差し出す道理などありましょうか。どうぞ帰って袁紹殿に兄上はこのままだと曹操に付きます。劉表に命じて劉備を討伐するべきですと進言なさったらどうです?」
逢紀「その言葉、後悔することになりますぞ」
義賢「構いませんよ。袁紹殿が曹操に勝てた時、後悔しましょうか。ハッハッハ」
逢紀「使者としてこのような侮辱を受けたのは初めてだ。気分を害した失礼する」
逢紀が怒りながら出ていく。そして、今度は孫尚香が入ってきた。
孫尚香「玄徳様、兄上がこちらにいらっしゃっております」
劉備「わかった、通してくれ」
孫尚香に連れられて孫策と周瑜が入ってくる。
孫策「おぅ義弟よ。いや義父上だな。今回は提案を持ってきたんだ。聞いてくれるよな」
劉備「これは孫策義兄上。いや婿殿ようこそお越しくださいました。どのような提案でしょうか」
孫策「公瑾、頼んだ」
周瑜「それでは、ゴホン。共に荊州を切り取りするというのは如何か?」
荀彧「それは良い提案です。お受けするのが良いかと」
劉備「うむ。どういう内訳にするつもりですか?」
周瑜「そのままの意味です。取った領土を自分の領地に組み込む。これで如何か?」
義賢「わかりました。では我々は蘆江から江夏郡に向かいます」
周瑜「そうですね。最初何処から攻めるかはお互い決めておくのが良さそうだ。我々は豫章から長沙郡に向かわせてもらう」
孫策「話もまとまったみてぇだな。じゃあ、尚香、帰るわ」
孫尚香「兄上、負けないんだからね」
孫策「言うようになったじゃねぇか。勝負だな尚香。公瑾、帰って戦支度するぞ」
周瑜「伯符、待て。おい、仕方ない。それでは、これにて」
孫策と周瑜がその場を後にした。
孫尚香「兄上が失礼致しました。私もこれで」
孫尚香も帰り、劉備・関羽・張飛・荀彧・義賢が残される。
荀彧「劉丁殿、なんという鮮やかな誘導。感服しました」
関羽「まるで狙ったかのようでしたな」
張飛「義賢、やるじゃねぇか」
劉備「丁、流石だな」
義賢「これで準備は整いました。趙雲殿と樊玉鳳殿を呼んでください」
伝令「はっ」
趙雲と樊玉鳳が伝令に呼ばれて入ってくる。
趙雲「お呼びでしょうか?」
樊玉鳳「私もですか?」
義賢「趙雲殿・樊玉鳳殿、よく来てくれました。時はきました。孫策軍の侵攻に合わせて、荊州南の4郡に兄上に呼応するようにと伝えるのです」
趙雲「!?はっ」
樊玉鳳「趙範も首を長くして待っていたはずです。わかりました」
義賢「その際、この旗をお渡しください。城の上に掲げるのです」
樊玉鳳「了解しました。それでは失礼致します」
趙雲「失礼致す」
趙雲と樊玉鳳が策の実行のため動き出すのであった。
楊脩「お久しぶりでございます劉備殿。我が殿より、書状をお預かりしております」
劉備「久しいな楊脩殿。拝見させてもらいましょう」
曹操からの書状の内容には次のように書かれていた。
『無期限の停戦ではなく。5年の同盟を結びたい。良い返事を期待している』
曹操は袁紹との戦いで無期限の停戦を破って背後を劉備に突かれる事を嫌った。それだけでなく袁紹が劉備と同盟を結ぶのではないかと考え、先に手を打つことにしたのだ。
荀彧「殿、良いかと」
劉備「うむ。楊脩殿、曹操殿にこの劉備玄徳。委細承知したとお伝えください」
楊脩「おお。感謝致します」
楊脩が使者の役目を果たし帰っていく。
劉備「これで本当に良いのか?」
荀彧「えぇ」
義賢「それにしても曹操殿は5年で片をつけるつもりのようですね」
荀彧「実際はそれよりも短いでしょう。袁紹の器では曹操に勝つことはできません。2年と見ておいた方が良いかと」
劉備「丁、2年で荊州を取れるのか?」
義賢「無理かと。ですがやれるだけやるしかありません。2年で決着が付いたとしても、そこからすぐに動けるわけではありません。それよりも孫策の横槍にも警戒するべきだと思います」
荀彧「えぇ、あの御仁のことです。切り取りの提案をしてくるかと」
劉備「親族となった以上、無碍にもできん。どうしたものか」
関羽「兄者、その心配なら必要ありますまい」
劉備「雲長、どういうことだ?」
関羽「先の仲国攻略作戦の折、樊玉鳳殿を通じて、荊州南の4郡を治める太守は既に兄者に降伏すると申しておるのだ」
荀彧「!?それは本当ですか関羽殿」
関羽「間違いござらん」
荀彧「殿、荊州を得るために我々が攻めるべき要地は、南陽郡・江夏郡・南郡の3郡です。希望が見えてきたかもしれません」
義賢「後は、袁紹からも曹操と同様の使者が訪れるのをどうするか」
荀彧「そうですね」
悩んでいる面々のところに張飛が入ってくる。
張飛「悪いんだけどよ。袁紹の使者ってやつが来ちまったぜ」
荀彧「やれやれどうしたものでしょうか?」
義賢「切り抜けるしかありません」
劉備「翼徳、お通しせよ」
張飛「わかったぜ」
張飛に連れられて袁紹の使者である逢紀が入ってくる。
逢紀「これはこれは劉備殿、先の戦いでは大変失礼致しました」
劉備「こちらも、華北で名を轟かせる猛将2人を討ち取ってしまい心苦しく思っていた。申し訳ない」
逢紀「仕方ありません。戦場に出て死なぬものなどおりません。此度は、我が殿袁紹様より書状を預かってまいりました。お読みいただきたく」
劉備「了解した」
袁紹からの書状には次のように書かれていた。
『徐州牧劉備殿。逆賊、曹操を共に打ち果たそうでは無いか。我が軍が華北で抑えている間に、我が盟友である荊州牧劉表と共に曹操の背後を突くのだ。共に献帝様をお救いしようでは無いか。良い返事を期待しているぞ』
逢紀「如何でしょうか?」
荀彧「お断りするべきかと」
逢紀「!?荀彧、この裏切り者が。貴様は黙っておれ」
劉備「逢紀殿、私の大事な軍師に対してその言い方は看過できませんな」
逢紀「ゴホン。これは失礼致しました。つい口が出てしまいまして」
劉備「荀彧よ。どうして断るべきだと?」
荀彧「袁紹の器では曹操に勝つことなどできないでしょう。それに高圧的な書面。まるで殿を自分の配下だとでも思っているかのようです」
逢紀「荀彧、貴様ーーー。袁紹様からあれだけの恩を受けておいて、愚弄するか。許せん。劉備殿、この男の諫言に乗ってはなりません。どうか袁紹様と同盟を結び曹操の背後を」
義賢「フフフ」
逢紀「何がおかしいのだ貴様」
義賢「これは失礼致した。我が兄劉備が実弟劉丁義賢と申す。いや、逢紀殿は数奇な巡り合わせだと思いましてね」
逢紀「この私の運が悪いだと。ふざけるな。やってたかってバカにしよって。結ぶ気は無いとそういうことで良いのだな」
義賢「そもそも、良いのですか?名族の威光などと振り翳す袁紹殿が名族らしからぬ背後攻めなどをして、笑い種になりますよ」
逢紀「貴様、まだ言うのか。こちらは文醜殿と顔良殿を殺した関羽の首と裏切り者の荀彧の首を差し出せと言っても良いのだぞ」
義賢「フフフ。それこそお門違いというものです。雲長は兄上の大事な義弟。荀彧殿は、かけがえのない軍師。袁紹に差し出す道理などありましょうか。どうぞ帰って袁紹殿に兄上はこのままだと曹操に付きます。劉表に命じて劉備を討伐するべきですと進言なさったらどうです?」
逢紀「その言葉、後悔することになりますぞ」
義賢「構いませんよ。袁紹殿が曹操に勝てた時、後悔しましょうか。ハッハッハ」
逢紀「使者としてこのような侮辱を受けたのは初めてだ。気分を害した失礼する」
逢紀が怒りながら出ていく。そして、今度は孫尚香が入ってきた。
孫尚香「玄徳様、兄上がこちらにいらっしゃっております」
劉備「わかった、通してくれ」
孫尚香に連れられて孫策と周瑜が入ってくる。
孫策「おぅ義弟よ。いや義父上だな。今回は提案を持ってきたんだ。聞いてくれるよな」
劉備「これは孫策義兄上。いや婿殿ようこそお越しくださいました。どのような提案でしょうか」
孫策「公瑾、頼んだ」
周瑜「それでは、ゴホン。共に荊州を切り取りするというのは如何か?」
荀彧「それは良い提案です。お受けするのが良いかと」
劉備「うむ。どういう内訳にするつもりですか?」
周瑜「そのままの意味です。取った領土を自分の領地に組み込む。これで如何か?」
義賢「わかりました。では我々は蘆江から江夏郡に向かいます」
周瑜「そうですね。最初何処から攻めるかはお互い決めておくのが良さそうだ。我々は豫章から長沙郡に向かわせてもらう」
孫策「話もまとまったみてぇだな。じゃあ、尚香、帰るわ」
孫尚香「兄上、負けないんだからね」
孫策「言うようになったじゃねぇか。勝負だな尚香。公瑾、帰って戦支度するぞ」
周瑜「伯符、待て。おい、仕方ない。それでは、これにて」
孫策と周瑜がその場を後にした。
孫尚香「兄上が失礼致しました。私もこれで」
孫尚香も帰り、劉備・関羽・張飛・荀彧・義賢が残される。
荀彧「劉丁殿、なんという鮮やかな誘導。感服しました」
関羽「まるで狙ったかのようでしたな」
張飛「義賢、やるじゃねぇか」
劉備「丁、流石だな」
義賢「これで準備は整いました。趙雲殿と樊玉鳳殿を呼んでください」
伝令「はっ」
趙雲と樊玉鳳が伝令に呼ばれて入ってくる。
趙雲「お呼びでしょうか?」
樊玉鳳「私もですか?」
義賢「趙雲殿・樊玉鳳殿、よく来てくれました。時はきました。孫策軍の侵攻に合わせて、荊州南の4郡に兄上に呼応するようにと伝えるのです」
趙雲「!?はっ」
樊玉鳳「趙範も首を長くして待っていたはずです。わかりました」
義賢「その際、この旗をお渡しください。城の上に掲げるのです」
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