えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。

揚惇命

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4章 三国鼎立

奇襲の成功

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 孫策は夜の闇に乗じて動かした兵たちに真意を伝えていなかった。あくまでこの軍の目的は、交州を追われ、取り返すために劉備を頼り交州攻めの総大将となった父孫堅への援軍という名目で集められた。そのため軍の規模もかなり大きく。ほぼ、揚州における全軍とも言える兵力であった。それが後に引き返せなくなったこのタイミングで孫策は告げるのである。
 孫策「ここから進軍を変える」
 呂蒙「交州はまだ先のはず」
 鄧当「呂蒙、殿には何やら考えがあるようだ」
 孫策「俺は今日決断を下すことに決めた。この軍はこれより荊州を制圧する。やはり俺は覇道を諦めきれぬ。劉備を倒し、劉璋を倒し、南を我がものとし曹操と対する。そのためには残念だが父と袂を分たなければならない。父に付いていきたいものは、今この場でこの軍から離脱するのだ。これは俺の我儘、脱走するものを罪には問わぬ」
 孫静「孫策様に従います」
 孫策「叔父上!?」
 孫静の言葉でざわざわしていたみんなが我れ先にと手を挙げ孫策支持を表明する。その中には父と苦楽を共にしてきたものたちも多く居た。もう1人の叔父である徐真もその1人である。
 徐真「俺も孫策様に従う」
 孫策「徐真叔父上まで!?」
 朱治「孫策様に従いましょう」
 孫策「朱治、父と苦楽を共にしてきたお前まで、俺を選んでくれると言うのか」
 こうして多くの支持を得た孫策の狙いは荊州各地の同時攻略であった。交州を制圧するため劉備軍が大動員したことは知っている。現在荊州の防備は手薄なのである。交州へ向かった劉備軍が交州反乱軍と和睦し帰ってきたら迎え撃たなければならない。早急に荊州を制圧する必要があった。そのためには、一気に荊州全土を取らなければならない。孫策は陸路から荊州の南四郡から攻略に当たることとする。そして荊州北部は、玄関口である江夏に孫権を総大将とする呉軍水軍を送り込み攻略を開始した。ここに荊州の戦いの幕開けである。しかし、いきなり出鼻を挫かれることになるとは思わなかった。
 徐栄「見えたぞ。なんて兵数だ。だが臆するな。我が精鋭たちよ。あの時を思い出せ。曹操が董卓様を深追いした時、我らは少数にて待ち構え返り討ちとした。武の名門である孫堅をも我らは奇襲にて撃滅した。我らほど奇襲で敵を葬ったものたちは居ないだろう。ここが踏ん張りどころぞ。ここで踏ん張らねば、守りの薄い荊州は孫策の手に落ちよう。何としてもここで、時を稼ぐのだ。全軍、突撃ー」
 孫策「この歓声は一体どこからだ。ここはまだ、敵地の前のはず。もう気づかれたのか?」
 元孫堅兵士「きっきっきっ奇襲じゃーーーーーー徐栄が出たじょーーーーー」
 孫策「じょ徐栄だと!?かつて父を奇襲にて大敗にしてみせた董卓軍の猛将徐栄か!」
 周瑜「馬鹿な!?どうして、我が軍の動きが。皆、狼狽えてはならん。隊列を整え、奇襲してきたものたちを討つのだ。絶対に相手に知らせに行かせてはならん」
 呂範「相手の規模を把握するのだ。守りに徹せよ」
 元孫堅兵士「無理じゃ。あの時のことを思い出して動けんのじゃ」
 孫静「ぐっ。まだ入れ替えが完了できていない。後ろの方は兄上に付き従っていた頃からの付き合い。徐栄の恐怖を思い出してしまったか。クソッ」
 徐栄「我が名は徐栄。孫策軍よ。背を狙う行為。許すまじ。この徐栄が完膚なきまでに叩き潰してくれん。恐れぬものは我が前に出よ!」
 元孫堅兵士「ヒィーーーーー。道を開けますからどうかどうか命だけは」
 ???「なんだ生意気な奴め。怯えてる奴らはどいてろ。孫策様の新時代を彩る大男、手斧使いのマダラとは、俺のことよ。これでもくらいやがれ」
 斑がたくさんの斧を投げる。
 斑「わーはっはっはっはっ。貴様は俺に近づくこともできずに死ぬのだ」
 徐栄「手斧使い。恐るべしと言って欲しかったのか?あんな適当に投げて近づかないだろうだと。舐めるな。この徐栄、あの程度の斧を交わすことなど造作もないわ」
 斑「馬鹿な!?ゲギャギャ」
 元孫堅兵士「言わんこっちゃない。徐栄は恐ろしいのじゃ。この通りじゃ。どうかどうか命だけは助けてくだされ」
 徐栄「さっさと失せろ!」
 元孫堅兵士「はいぃぃぃぃぃぃ」
 被害状況の確認をしている呂範。
 呂範「被害状況は?」
 呂範兵士「後ろの様子を見に行った斑百人将が戻っておりません」
 呂範「斑が。何を考えているのですか?すぐに連れ戻してくるのです。縦縞タテシマ横縞ヨコシマ
 縦縞「やれやれ、困ったものですな斑にも。孫策様の親衛隊としての心持ちを説かねばなりませんな」
 横縞「おぅよ」
 2人が斑の元に向かうとそこには変わり果てた姿の斑が居た。
 縦縞「馬鹿な!?手斧使いで猛将の斑が討たれたと」
 横縞「それどころか後方にいた老兵たちの姿がねぇ。全員逃げたんじゃ?」
 徐栄「さて、次のところへ行こうかと思っていたんだが。まだ居たか。この徐栄を倒せるのならかかってこい」
 縦縞「なんという圧だ。この大楯の縦縞、久々に武者震いしておるわい」
 横縞「兄貴、援護はこの新武器連弩の横縞にまかせよ。プギャー」
 徐栄「こちとら奇襲に来てんだ。話をオチオチ聞いていると思ったら大間違いだぞ」
 縦縞「馬鹿な!?手斧をあんなに器用に使いこなすとは!?」
 徐栄「おい、余所見してんじゃねぇぞ」
 縦縞「うぐぐ。なんという力だ。盾が押されている。うぐぐ」
 徐栄「流石に硬いな。だが、横がガラ空きだな」
 縦縞「馬鹿な剣で押し込みながら長槍で横から突き刺すなど。ゴフッ。このような化け物がいようとは」
 徐襲「話には聞いていた。父は、奇襲をする時、1番生き生きとしていると。奇襲は味方の被害を最小限にして敵に大打撃を与えるとても重要な事だ。それをこんなに鮮やかに為せる人を父に持つとは、もっと精進しなければ」
 徐栄の奇襲は鮮やかだった。最初こそ大きく声を張り上げたのは、孫策軍の動きをそこに止めるため。その後は、徹底的なヒットアンドアウェイで、指揮官らしい人間を狙って行った。この日、孫策軍の指揮官の使者は、20人にも及んでいた。指揮系統を乱す。奇襲の醍醐味を見事成し遂げた徐栄は、そのまま荊州南陽郡の宛へと向かう。この1日が明暗を分けるのである。
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