429 / 821
4章 三国鼎立
劉馬会談(後編)
しおりを挟む
劉備から劉丁の近況を聞き言葉を失った馬超。
姜維「劉丁殿は、殿も認めるほどの才覚を持った軍師だとお聞きしました。それがどうして、一般兵に?」
劉備「荊州南部が賊たちに奪われて、残ったのが長沙だけだった。その長沙の救援に向かって、賊どもとの戦いの際にな。丁は、賊どもに無惨に殺された者を家族に持つたちの怒りを鎮められなかった。それに味方の将が1人囚われていてな。助けるために彼らの復讐の後押しをして、返り討ちに遭ったのだ。その責任を取り、民に。いや違うな心を壊してしまった。自分のせいで多くの民を殺してしまったと自分を守るために愛馬を犠牲にしてしまったと。そんな丁に、孔明が厳しく言ったのだ。民に落とすとな。それは、今まで頑張ってきたアイツに休んで欲しいという我らの願いだった」
馬超「噂には聞いていたが想像を超える戦いだったのだな。劉丁殿の気持ちを慮るとやりきれん気持ちになるな」
劉備「だが、アイツのことを立ち直らせてくれた奴らがいてな。そいつらは、士卒であったのに、アイツのために兵卒となり、その側を支えている」
馬超「しかし、元気になったのならまた軍師とすれば良かったのではないか?」
劉備「私も孔明もそのつもりだった。だが、それを固辞したのは、他ならぬ丁だ。丁は、それでは下のものに示しがつかないと。軍師の器ではなかった。これからは将軍を目指しますとな」
馬超「大きくでましたな」
劉備「あぁ。だからこそ兵卒からやり直しておるのよ」
馬超「なるほど」
姜維「話が脱線していませんか?」
劉備「すまなかった。丁の話となるとな。いや、まぁ、そのなんだ療養施設なるものを作るように張角に助言したのが丁なのだ。その療養施設に一時、劉焉様と劉瑁殿と劉瑁殿の奥方殿がいたらしい。そして、我らが劉璋殿ではなく法正殿に手を貸すことを決めた決定打となったのが丁から聞いた話でな。劉焉様は劉瑁殿とその奥方を連れて、3人で国許に帰られたと言うのだ。なら、どうして、劉瑁殿が行方不明となる。おかしいであろう?まぁ、私も反乱軍と聞いた時には劉璋殿に手を貸すべきだと言ったので、恥ずかしい限りだがな」
姜維「確かにおかしいですね。それが本当なら劉瑁殿が行方不明とされている理由がわかりません。殿、劉璋殿は本当に兄弟を手にかけたかも知れません。血の繋がりを簡単に切るような男です。やはり、私の考えた通り、我らのこともただの捨て駒として、受け入れたと考えるのが良いかと」
馬超「その線が濃厚だな。しかし、困った。こちらも防衛を任されている身、降伏などすれば、柳と霧毯の身に危険が及ぶのだ」
龐統「人質かい?」
馬超「そんなことは思わなかったのだが劉璋殿に付き従い、反乱軍の拠点を攻めているのだ。氐族の若者たちが周りを固めているので大丈夫だとは思うが」
龐統「成程ね。ならこういうのはどうだい?アッシらは、散々に負けて撤退した事にするさ。そうなれば」
姜維「劉璋殿の事です。我らを援軍に呼ぶでしょう」
龐統「全員が居なくなったところで、アッシらが反転攻勢をかけたら城がもぬけの殻だった」
姜維「確かにそれなら我らも馬柳様の救援に迎えるかと」
馬超「だが散々に負けるって何をする気だ?」
龐統「なーに、簡単さ。兵士たちにその場で死んだフリをしてもらうさ。そうさね。関羽殿と張飛殿にも頼めるかい?」
関羽「某らが死んだことで、兄者が撤退したと装いたいのだな?」
張飛「気はすすまねぇが偶には死んだフリするのも良いか。本当に死ぬのは嫌だけどよ」
龐徳「ならば、某が関羽殿と」
閻行「俺が張飛殿と戦うってのが説得力でそうだな。こんなことでなければ、本気でやりたいが命の取り合いはまずいからな」
龐統「良いね~ある程度は本気でやってもらわないといけないよ~。なんせ、アッシら以外の周りの人間全てを騙すんだからね」
姜維「兵の中に劉璋の間者が紛れ込んでいるでしょう。情報は最小限に」
龐統「そうさね。後、関羽殿と張飛殿にはこれを」
関羽「この赤いのは血か?」
張飛「まぁ、騙すんだから必須だよなぁ」
劉備「雲長・翼徳、お前たちにかかっているのだ」
関羽「兄者の頼みとあれば断れませんな」
張飛「おぅよ。いっちょ盛大に死んだフリしてやろうじゃねぇか」
龐統「頼んだよ。後はお互いの信頼できる兵にもあるだけ渡すさ。大激戦で、お互いに被害があったって装わないと信じてくれるそうにないだろうさ」
姜維「えぇ、お預かりしましょう」
馬超「まさか、兵を貸してくれが人質だったとはな」
姜維「だから迂闊に貸すべきではないと進言したのです」
馬超「すまなかった。だがこうして、有意義な会談ができたのだから何もいうことはない」
そこに義賢が1人の兵士を連れて入ってきた。
義賢「兄上、コイツが外でこちらの様子を伺っていました」
間者「ひぃっ。俺は何も何も聞いてない。劉璋様を欺くなんて何も。だから見逃してくれ。なっ。なっ。ガハッ。なんで」
義賢「ペラペラと自分から間者だと明かすからだ。碌なのが居ないのか!馬超殿、申し訳ない。殴って気絶させてしまった」
馬超「構わない。それにしても劉丁殿、久しいな。本当に一般兵なんだな」
義賢「この通り。怪しげなやつがいないか周りをうちの奴らと見回っていた」
馬超「助かった。間者が1人だかということは無いと思うが」
姜維「コイツはここで打ち捨てましょう。本当の死体も入れておくのが良いかと」
馬超「成程、では手筈通りに」
劉備「うむ」
馬超と劉備による茶番劇の幕が開ける。
姜維「劉丁殿は、殿も認めるほどの才覚を持った軍師だとお聞きしました。それがどうして、一般兵に?」
劉備「荊州南部が賊たちに奪われて、残ったのが長沙だけだった。その長沙の救援に向かって、賊どもとの戦いの際にな。丁は、賊どもに無惨に殺された者を家族に持つたちの怒りを鎮められなかった。それに味方の将が1人囚われていてな。助けるために彼らの復讐の後押しをして、返り討ちに遭ったのだ。その責任を取り、民に。いや違うな心を壊してしまった。自分のせいで多くの民を殺してしまったと自分を守るために愛馬を犠牲にしてしまったと。そんな丁に、孔明が厳しく言ったのだ。民に落とすとな。それは、今まで頑張ってきたアイツに休んで欲しいという我らの願いだった」
馬超「噂には聞いていたが想像を超える戦いだったのだな。劉丁殿の気持ちを慮るとやりきれん気持ちになるな」
劉備「だが、アイツのことを立ち直らせてくれた奴らがいてな。そいつらは、士卒であったのに、アイツのために兵卒となり、その側を支えている」
馬超「しかし、元気になったのならまた軍師とすれば良かったのではないか?」
劉備「私も孔明もそのつもりだった。だが、それを固辞したのは、他ならぬ丁だ。丁は、それでは下のものに示しがつかないと。軍師の器ではなかった。これからは将軍を目指しますとな」
馬超「大きくでましたな」
劉備「あぁ。だからこそ兵卒からやり直しておるのよ」
馬超「なるほど」
姜維「話が脱線していませんか?」
劉備「すまなかった。丁の話となるとな。いや、まぁ、そのなんだ療養施設なるものを作るように張角に助言したのが丁なのだ。その療養施設に一時、劉焉様と劉瑁殿と劉瑁殿の奥方殿がいたらしい。そして、我らが劉璋殿ではなく法正殿に手を貸すことを決めた決定打となったのが丁から聞いた話でな。劉焉様は劉瑁殿とその奥方を連れて、3人で国許に帰られたと言うのだ。なら、どうして、劉瑁殿が行方不明となる。おかしいであろう?まぁ、私も反乱軍と聞いた時には劉璋殿に手を貸すべきだと言ったので、恥ずかしい限りだがな」
姜維「確かにおかしいですね。それが本当なら劉瑁殿が行方不明とされている理由がわかりません。殿、劉璋殿は本当に兄弟を手にかけたかも知れません。血の繋がりを簡単に切るような男です。やはり、私の考えた通り、我らのこともただの捨て駒として、受け入れたと考えるのが良いかと」
馬超「その線が濃厚だな。しかし、困った。こちらも防衛を任されている身、降伏などすれば、柳と霧毯の身に危険が及ぶのだ」
龐統「人質かい?」
馬超「そんなことは思わなかったのだが劉璋殿に付き従い、反乱軍の拠点を攻めているのだ。氐族の若者たちが周りを固めているので大丈夫だとは思うが」
龐統「成程ね。ならこういうのはどうだい?アッシらは、散々に負けて撤退した事にするさ。そうなれば」
姜維「劉璋殿の事です。我らを援軍に呼ぶでしょう」
龐統「全員が居なくなったところで、アッシらが反転攻勢をかけたら城がもぬけの殻だった」
姜維「確かにそれなら我らも馬柳様の救援に迎えるかと」
馬超「だが散々に負けるって何をする気だ?」
龐統「なーに、簡単さ。兵士たちにその場で死んだフリをしてもらうさ。そうさね。関羽殿と張飛殿にも頼めるかい?」
関羽「某らが死んだことで、兄者が撤退したと装いたいのだな?」
張飛「気はすすまねぇが偶には死んだフリするのも良いか。本当に死ぬのは嫌だけどよ」
龐徳「ならば、某が関羽殿と」
閻行「俺が張飛殿と戦うってのが説得力でそうだな。こんなことでなければ、本気でやりたいが命の取り合いはまずいからな」
龐統「良いね~ある程度は本気でやってもらわないといけないよ~。なんせ、アッシら以外の周りの人間全てを騙すんだからね」
姜維「兵の中に劉璋の間者が紛れ込んでいるでしょう。情報は最小限に」
龐統「そうさね。後、関羽殿と張飛殿にはこれを」
関羽「この赤いのは血か?」
張飛「まぁ、騙すんだから必須だよなぁ」
劉備「雲長・翼徳、お前たちにかかっているのだ」
関羽「兄者の頼みとあれば断れませんな」
張飛「おぅよ。いっちょ盛大に死んだフリしてやろうじゃねぇか」
龐統「頼んだよ。後はお互いの信頼できる兵にもあるだけ渡すさ。大激戦で、お互いに被害があったって装わないと信じてくれるそうにないだろうさ」
姜維「えぇ、お預かりしましょう」
馬超「まさか、兵を貸してくれが人質だったとはな」
姜維「だから迂闊に貸すべきではないと進言したのです」
馬超「すまなかった。だがこうして、有意義な会談ができたのだから何もいうことはない」
そこに義賢が1人の兵士を連れて入ってきた。
義賢「兄上、コイツが外でこちらの様子を伺っていました」
間者「ひぃっ。俺は何も何も聞いてない。劉璋様を欺くなんて何も。だから見逃してくれ。なっ。なっ。ガハッ。なんで」
義賢「ペラペラと自分から間者だと明かすからだ。碌なのが居ないのか!馬超殿、申し訳ない。殴って気絶させてしまった」
馬超「構わない。それにしても劉丁殿、久しいな。本当に一般兵なんだな」
義賢「この通り。怪しげなやつがいないか周りをうちの奴らと見回っていた」
馬超「助かった。間者が1人だかということは無いと思うが」
姜維「コイツはここで打ち捨てましょう。本当の死体も入れておくのが良いかと」
馬超「成程、では手筈通りに」
劉備「うむ」
馬超と劉備による茶番劇の幕が開ける。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる