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4章 三国鼎立
劉馬会談(前編)
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中間地点にて、椅子を4つ置き、劉備と龐統、馬超と姜維が座り、その後ろにそれぞれの護衛として、張飛と関羽、龐徳と閻行が立って、劉備と馬超による会談が始まった。
劉備「このような場にわざわざ御足労頂き感謝する。劉玄徳だ」
馬超「交渉とのことだからな。やむおえずだ。馬孟起である」
お互い一応見知った仲ではあるが名を名乗る。
姜維「姜伯約と申します。どのような交渉でしょうか?」
龐統「それはアッシから話そうかね。龐士元さ」
姜維の質問に龐統が答える形で劉馬会談が始まる。
姜維「では、龐統殿、見ていたのならお分かりかと思いますが、そちらは趙雲殿・張郃殿と敗れて、不利なのは劉備軍とお見受けいたします。それで、交渉ということはこちらにとって、得となる話でなければなりません。それはお分かりいただけますか?」
龐統「その歳で、ずいぶんとしっかりした意見を言うもんだね。その通りさ。アッシらは、馬超殿たちの得となる話を持ってきたというわけさ」
姜維「成程、お聞きしましょう」
龐統「アッシらの敵はあんさんたちじゃないさ。劉璋殿さ」
姜維「龐統殿。これは否事をおっしゃいますね。我々は今その劉璋殿の庇護下にいます」
龐統「へぇ~。そいつは知らなかったね。涼州を追い出されて、この混乱に乗じて郡を奪ったものだとばかり思っていたもんさ」
馬超「それは聞き捨てならん!劉備軍は、我々のことを簒奪者だと言いたいのか!」
龐統「その通りさ。何が違うんだい?それより、馬超殿は知ってるのかい?劉璋殿の裏の顔って奴をさ」
馬超「ここまでコケにされるとはな。わざわざ出向いて話をすることなどなかったな。失礼する!」
姜維「殿、お待ちください。確かに言い方は悪いですが、話を全て聞いてからでも良いかと思います」
立ち上がって踵を返す馬超を姜維が制止して、再び椅子に座る。
劉備「龐統よ。物をはっきり言い過ぎだ。無駄なことが嫌いなお前らしいがな」
龐統「コイツは失礼したね」
姜維「劉璋殿の裏の顔というのは?」
龐統「まぁ、アッシらが確認したわけじゃないから噂程度ではあるんだけどね。劉璋殿は、親兄弟をその手にかけて強引に当主についたって話さ。民たちも劉焉殿の三男劉瑁殿を推してたそうさ。しかし、病気療養から帰ってきたのは、劉焉殿だけさ。そして、悲劇が起こった。劉焉殿が御乱心なさって、劉璋殿が事態を収拾させたことで、当主になったそうさ」
姜維「ちょっとお待ちください!その頃、劉璋殿の長兄と次兄は、生死が不明。劉瑁殿も行方知れずでした。そこに来て劉焉殿の気がおかしくなった。それらを収拾させた劉璋殿が跡を継ぐことに何の問題があるでしょうか?」
龐統「姜維って言ったね。青いね。おかしいと思わないかい?頃合いがバッチリだとは思わないかい?そもそも」
劉備「それは私が話そう」
龐統「まぁ玄徳殿も当事者ではあるさ。わかった、引き継ぐよ」
劉備「この話をするのは、貴殿らのことを信用しているからという前置きはさせてもらう。我々は黄巾の乱の首謀者の3人を匿っている!」
馬超「!!!劉備殿、見損なったぞ!国を乱した国賊を匿うなど!」
劉備「そのことについては、反論のしようもないがこれだけはわかって欲しい。張角たちは何も悪いことをしていない。巻き込まれただけだ。于吉という張角の兄弟子にな」
馬超「ふざけるな!あれだけの民を巻き込み朝廷に仇を為し、悪いことをしていないだと!ようわかった。この場でお前たちは滅ぼさねばならんとな!」
姜維「殿、お待ちください。話は全て聞いてからでも良いではありませんか?」
馬超「聞く必要などない!」
劉備「正義感に溢れる貴殿のことだ。到底受け入れられないのはわかっている。だが、聞いて欲しい。張角もまた朝廷を大事にしていた。だからこそ、反乱分子の一掃に手を貸したのだ。予想外だったのは、それに多くの有名な賊徒たちまで加担したことだ。それにより張角では収拾を付けることが不可能となった。張角とて責任を取ろうとしていた!だが、民のことを思い無償でその怪我を治し続けた。霊帝様も知っていた。張角にだけ泥を被せる形となったことを謝っておられた。生きていることを知って、どれだけお喜びいただけたかわかるか!」
馬超「なんと、そのようなことが。劉備殿、すまなかった」
劉備「良いのだ」
姜維「それが一体、先ほどの話とどう繋がると?」
関羽「兄者は、いや某たちは劉焉殿に大恩があるのだ」
張飛「まぁ、直接的じゃねぇけどな」
馬超「お聞かせいただこう」
劉備「我らが義勇兵からであるということは」
馬超「存じている」
劉備「その募集をしていたのが当時幽州刺史をしていた劉焉様なのだ。だからこそ、我々は劉焉様を受け入れた」
姜維「話が見えません」
劉備「あぁ、すまない。匿った張角は、傷付いている民のため、無償で診察をする診療所を立ち上げた。名前が張角診療所と言ってな。隠す気が全くなくて、笑ったものだ」
姜維「まさか、そこに劉焉殿が居たと?」
劉備「あぁ、そのまさかだ。私も知ったのはつい最近のこと。丁、いや弟から聞かされたのだ」
馬超「そういえば、劉丁殿の姿がないな」
劉備「今のアヤツは、一般兵なのだ」
劉備の言葉に唖然となる馬超であった。
劉備「このような場にわざわざ御足労頂き感謝する。劉玄徳だ」
馬超「交渉とのことだからな。やむおえずだ。馬孟起である」
お互い一応見知った仲ではあるが名を名乗る。
姜維「姜伯約と申します。どのような交渉でしょうか?」
龐統「それはアッシから話そうかね。龐士元さ」
姜維の質問に龐統が答える形で劉馬会談が始まる。
姜維「では、龐統殿、見ていたのならお分かりかと思いますが、そちらは趙雲殿・張郃殿と敗れて、不利なのは劉備軍とお見受けいたします。それで、交渉ということはこちらにとって、得となる話でなければなりません。それはお分かりいただけますか?」
龐統「その歳で、ずいぶんとしっかりした意見を言うもんだね。その通りさ。アッシらは、馬超殿たちの得となる話を持ってきたというわけさ」
姜維「成程、お聞きしましょう」
龐統「アッシらの敵はあんさんたちじゃないさ。劉璋殿さ」
姜維「龐統殿。これは否事をおっしゃいますね。我々は今その劉璋殿の庇護下にいます」
龐統「へぇ~。そいつは知らなかったね。涼州を追い出されて、この混乱に乗じて郡を奪ったものだとばかり思っていたもんさ」
馬超「それは聞き捨てならん!劉備軍は、我々のことを簒奪者だと言いたいのか!」
龐統「その通りさ。何が違うんだい?それより、馬超殿は知ってるのかい?劉璋殿の裏の顔って奴をさ」
馬超「ここまでコケにされるとはな。わざわざ出向いて話をすることなどなかったな。失礼する!」
姜維「殿、お待ちください。確かに言い方は悪いですが、話を全て聞いてからでも良いかと思います」
立ち上がって踵を返す馬超を姜維が制止して、再び椅子に座る。
劉備「龐統よ。物をはっきり言い過ぎだ。無駄なことが嫌いなお前らしいがな」
龐統「コイツは失礼したね」
姜維「劉璋殿の裏の顔というのは?」
龐統「まぁ、アッシらが確認したわけじゃないから噂程度ではあるんだけどね。劉璋殿は、親兄弟をその手にかけて強引に当主についたって話さ。民たちも劉焉殿の三男劉瑁殿を推してたそうさ。しかし、病気療養から帰ってきたのは、劉焉殿だけさ。そして、悲劇が起こった。劉焉殿が御乱心なさって、劉璋殿が事態を収拾させたことで、当主になったそうさ」
姜維「ちょっとお待ちください!その頃、劉璋殿の長兄と次兄は、生死が不明。劉瑁殿も行方知れずでした。そこに来て劉焉殿の気がおかしくなった。それらを収拾させた劉璋殿が跡を継ぐことに何の問題があるでしょうか?」
龐統「姜維って言ったね。青いね。おかしいと思わないかい?頃合いがバッチリだとは思わないかい?そもそも」
劉備「それは私が話そう」
龐統「まぁ玄徳殿も当事者ではあるさ。わかった、引き継ぐよ」
劉備「この話をするのは、貴殿らのことを信用しているからという前置きはさせてもらう。我々は黄巾の乱の首謀者の3人を匿っている!」
馬超「!!!劉備殿、見損なったぞ!国を乱した国賊を匿うなど!」
劉備「そのことについては、反論のしようもないがこれだけはわかって欲しい。張角たちは何も悪いことをしていない。巻き込まれただけだ。于吉という張角の兄弟子にな」
馬超「ふざけるな!あれだけの民を巻き込み朝廷に仇を為し、悪いことをしていないだと!ようわかった。この場でお前たちは滅ぼさねばならんとな!」
姜維「殿、お待ちください。話は全て聞いてからでも良いではありませんか?」
馬超「聞く必要などない!」
劉備「正義感に溢れる貴殿のことだ。到底受け入れられないのはわかっている。だが、聞いて欲しい。張角もまた朝廷を大事にしていた。だからこそ、反乱分子の一掃に手を貸したのだ。予想外だったのは、それに多くの有名な賊徒たちまで加担したことだ。それにより張角では収拾を付けることが不可能となった。張角とて責任を取ろうとしていた!だが、民のことを思い無償でその怪我を治し続けた。霊帝様も知っていた。張角にだけ泥を被せる形となったことを謝っておられた。生きていることを知って、どれだけお喜びいただけたかわかるか!」
馬超「なんと、そのようなことが。劉備殿、すまなかった」
劉備「良いのだ」
姜維「それが一体、先ほどの話とどう繋がると?」
関羽「兄者は、いや某たちは劉焉殿に大恩があるのだ」
張飛「まぁ、直接的じゃねぇけどな」
馬超「お聞かせいただこう」
劉備「我らが義勇兵からであるということは」
馬超「存じている」
劉備「その募集をしていたのが当時幽州刺史をしていた劉焉様なのだ。だからこそ、我々は劉焉様を受け入れた」
姜維「話が見えません」
劉備「あぁ、すまない。匿った張角は、傷付いている民のため、無償で診察をする診療所を立ち上げた。名前が張角診療所と言ってな。隠す気が全くなくて、笑ったものだ」
姜維「まさか、そこに劉焉殿が居たと?」
劉備「あぁ、そのまさかだ。私も知ったのはつい最近のこと。丁、いや弟から聞かされたのだ」
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劉備の言葉に唖然となる馬超であった。
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