えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。

揚惇命

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4章 三国鼎立

高定の決断

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 朱褒・高定・雍闓の3人は、阿会喃・董荼那・金環三結の3人を鄂煥が引き受けてくれたことから南蛮兵の相手をするだけで良くなったが事態は好転するどころか押されるばかりであった。

 朱褒「コイツら化け物か」

 高定「獣のような勘で、矢を交わし、弓兵から迅速に片付けてくる。ここまで練り上げるのにどれだけのことをしたのか」

 雍闓「チッ鬱陶しい。アイツら誰が指揮官か分かってるみてぇに、手足をもぎ取ってきやがる!」

 手足とは比喩表現で、この場合は率いる兵たちのことを言う。

 高定「このままではまずいな」

 朱褒「雍闓殿・高定殿、もはや出し惜しみはできないだろう」

 雍闓「でもよ、睨み合いで良いから兵を送るようにと劉璋様に言われたんじゃねぇのか?破って大丈夫か?」

 高定「南蛮がここまで精強なのだ。自分たちの身を守らなければならないだろうな」

 朱褒「死んでは元も子もなかろう」

 雍闓「でもよ。あーもう、クソッわかったよ。要は、全軍をここに集まるってことで良いんだな?」

 朱褒「うむ。そうするほかない」

 高定「それでも勝てるかどうかではあるがせめて拮抗させねば」

 考えをまとめた3人は、益州郡と越巂郡の各地の県に、人を送り、全ての兵をここに集結させることとした。その数10万。対する南蛮の兵は僅か1万程である。空気の流れを肌で感じた阿会喃は笑みを溢す。

 阿会喃「ヒャッハー。もっと絶望の悲鳴を聞かせろ!」

 董荼那「退屈凌ぎだ」

 金環三結「よしよし、釣り出せるだけ釣り出せたか」

 鄂煥「あの動きは、高定様がそう判断したということか。やむおえん」

 朶思大王が阿会喃たちをほっておけと言ったことが良い方向に動いていた。この時、朱褒たちは睨み合いを命じられたため攻めるつもりは全くなかった。そこに、阿会喃たちの急襲により、鄂煥が凌いだとはいえ。その後体勢を整えた兵でも押し返すことはできず。備えや援軍として残していた兵までもを動員せざる終えなくなったのだ。

 朶思大王「これで良い。法正殿にとっても追い風となろう」

 孟獲「朶思、俺は勝手をしたアイツらを褒めてやれば良いのか?それとも怒れば良いのか?」

 朶思大王「さぁな。大王の好きにすれば良い」

 木鹿大王と朶思大王について、大王と付いてるがこれは孟獲が南蛮をまとめる前まではそれぞれが大王として一軍を率いていた名残である。今は、大王と言えば孟獲のことを指す。

 孟優「褒めてやるしかねぇんじゃねぇかな?」

 孟節「zzz」

 孟獲「それにしても兄貴はよく寝るな。俺もその図太い神経が欲しいぜ」

 孟獲の眼下では、暴れ回る阿会喃・董荼那・金環三結、隣ではその騒ぎも何のそのと眠り続ける孟節。朶思大王は含み笑いをし、孟優も呆れるしかない。

 阿会喃「絶望の悲鳴は多い程良い!」

 董荼那「暫くは退屈せずに済みそうだなぁ」

 金環三結「もっと呼べ。もっとな」

 鄂煥「お前たちに乱され、その挑発に乗った高定様に物申したいところではあるがこればかりは仕方あるまい。南蛮の兵の強さを侮った我らの落ち度ゆえな。しかし、だからと言ってはいそうですかと引き上げるわけにはいかん。まだまだ打ち合おうぞ」

 阿会喃「良いねぇ。ここまで好き勝手されて絶望に沈まない。強い心、ますます鳴かせたい」

 董荼那「退屈しない相手は大王以来だ。まだまだ楽しませてくれ」

 金環三結「まぁ大王なら我ら3人で挑もうと一捻りではあるがな」

 鄂煥「その大王とやらが来てないことを幸運と思うべきか」

 阿会喃「いや、大王ならここを見下ろせる丘で陣引いてるな。基本、1人でも大丈夫だし、俺が突撃したことで絶望してるかと思うと、それはそそるねぇ」

 鄂煥「成程」

 阿会喃の言葉を受けて鄂煥は考えた。敵もこちらと同じく様子見だったのではないかと。それを崩した理由に行き着いた時には既に遅かった。銅鑼が鳴り響き阿会喃たちが引き上げたのである。それに伴い鄂煥も引く。

 阿会喃「おっ撤退の合図か。流石、朶思のあんちゃんだ。適当に動いた俺のことを見越してるねぇ。いつか絶望でその顔を歪ませてぇなぁ」

 董荼那「やめておけ。味方を絶望させてどうするんだ。いや、退屈凌ぎにはなるか」

 金環三結「いやいや、ダメだろ。そんなことより今日の感覚を忘れずに大王と手応えのある戦いを」

 鄂煥「某の考えが正しければ、しかし確信はない。判断を仰ぐべきか」

 その頃、朱褒たちも銅鑼が鳴り響き撤退していく南蛮兵たちに呆気に取られていた。

 朱褒「押されてるのはこちらなのに引き上げだと!?」

 高定「だが、こちらとしても兵を呼び寄せたのだ。これは、有り難いと言えよう」

 雍闓「チックソ虫が、ワラワラワラと出てきたかと思えば、勝ち逃げしやがって」

 朱褒たちも陣幕へと戻り、備えることにする。そこに鄂煥が戻ってきた。

 朱褒「鄂煥殿、南蛮の将の足止め感謝する」

 高定「鄂煥、お前の武勇のおかげだ」

 雍闓「チッ。1人も討ち取れてねぇのに褒めるとかどうかしてんじゃねぇのか!」

 鄂煥「雍闓殿の言う通りだ。大見得きっておいて、この体たらく、しかし情報は得た。どうやら、奴らの言う大王とやらは、当初戦を仕掛ける気がなかったと思われる」

 朱褒「なんだと!?」

 高定「こちらと同じ静観のつもりだったということか?」

 鄂煥「わかりませぬ。何やら策の匂いがするとしか」

 朱褒「こちらとしては大損害を被った。それが策なのでは?」

 高定「いえ、静観を攻撃に転じた理由としては薄いかと」

 雍闓「そんなもんどうせ暴れたかったからとかだろ野蛮な蛮族なんだからよ」

 鄂煥「そういう偏見はやめるべきかと確かに上半身裸で動き回るような奴らではあるがこちらよりも優れた練度の集団戦を得意とし、1人1人の力も上なのは明らか」

 雍闓「テメェ。まさか絆されたんじゃねぇだろうな!」

 高定「鄂煥への無礼はやめてもらおう」

 朱褒「雍闓殿、謝られよ」

 雍闓「知るか!」

 雍闓が怒って出て行く。

 朱褒「全く雍闓殿にも困ったものだ。劉璋様への忠誠心は同じだというのに、高定殿?」

 高定「あっそうですな」

 高定は考えていた。劉璋という男に未来はあるのかと。しかし裏切りという汚名を着るべきではない。それに、南蛮が静観から攻撃へと切り替えたのは恐らく。そこまで考えて、はっとなる。そう、これは明らかに謀なのだ。我らをここに釘付けにするための。沼に引き摺り込まれてしまったと確信した。しかし、そのことを言いはしない。

 朱褒「しかしわかりませんな。敵が静観から攻撃に転じた理由が」

 鄂煥「それは」

 高定「そうですな。しかし、やることは変わりませんよ。我々の目的は南蛮の足止めですから」

 何か言おうとした鄂煥を制止して言葉を発した高定に何か考えがあるのだろうと鄂煥は何も言わなかった。
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