えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。

揚惇命

文字の大きさ
490 / 821
5章 天下統一

荀彧に報告する劉禅

しおりを挟む
 荀彧は慌ただしく動いていた。
 義賢に頼まれた呂布の補佐をするため徐州へと赴く前に最近増えた間者の対策を練っていたのだ。

 翔「言われた通り、毒飲んで、死んだ下手人について、洗ってみたけどよ。どうも劉禅様の暗殺を図ったのは、内部の人間っぽいんだよなぁ。外の方は梟の旦那が寄せ付けないようにしてるし、間者を見逃すことはないっぽいんだよなぁ」

 荀彧「そうですか。1番考えたくないことでしたが、やはり何処かに亀裂が生じているのかも知れませんね。あれだけ民のことを第一に考えている殿を裏切り司馬懿に付く利点が分かりませんが」

 蓮「まぁ、それで割食ってる奴がいるってことなんじゃねぇか。許貢様が手紙一つで孫策に殺されたみてぇによ。怪しいのは、戦ばかりだから文官だろうな。黄皓って奴も劉封様付きの成り上がりの宦官だったんだろう?」

 荀彧「らしいですね」

 翔「らしいですねって、まさか知らなかったんですか?」

 荀彧「えぇ。宦官などという勢力ができていたことに驚いていたものですから。霊帝様は、宦官がどれだけ脅威か身に染みていらっしゃいますので、その辺りについては、注意なさっていたはずです」

 蓮「なら、不味いよなぁ。水面下で着々と腐敗させる奴らが生まれてるってことだろ。流石に人手が足りねぇぜ」

 荀彧「確かに、後手に回ってる気がしています。これも劉丁殿の命の灯火が少ないからでしょうか」

 翔「???」

 荀彧「あぁ。何でもありません。できる限り、食い止めることを優先に、場合によっては実力行使で潰し回って良いと梟に」

 蓮「わーったよ。こっちも世話になってる身だ。昔の伝手を使って、許貢様に世話になってた奴らを呼び戻してみらぁ。でも、ホント人手カツカツだからな。霊帝様と劉備様の守りも固めとかねぇと。暗殺の可能性があんだろ?」

 荀彧「確かな情報は掴んでいませんが。情報の出所が劉丁殿ですから、ほぼ間違いないかと」

 翔「はぁ。何で、罠だってわかってんのに益州に旅立ちますかねあん人は」

 荀彧「急いては事を仕損じるでしたか?」

 蓮「おぅ。梟の旦那が教訓だってよく言ってるよ」

 荀彧「大丈夫ですよ劉丁殿なら。急いでいるように見えて、慎重に動いていますから」

 蓮「なら良いけどよ。こっちはできるだけ難民の奴らを洗ってみる。荀彧様の方も人手頼むぜ。マジで」

 荀彧「善処します。苦労をかけて申し訳ないと梟に」

 翔「あー。もう良いって、世話になってんのはこっちなんすから。梟の旦那が護衛に付いてるからあっちは大丈夫っすよ。あの人、伊達に頭領務めてないっすから」

 荀彧「それでも、感謝の気持ちは、お伝えしなければ」

 蓮「もう良いってんだよ。じゃ、俺らはこれでもう行くからな」

 荀彧「えぇ。お任せ致します」

 翔と蓮が消えると劉禅が入ってくる。

 劉禅「荀彧軍師、お伝えしたいことが」

 荀彧「これは劉禅様、どうなさいましたか?」

 劉禅「父の暗殺計画があることは、御存じでしょうか?」

 荀彧「!?」

 劉禅「その反応で十分です。難民を徹底的に洗うべきかと」

 荀彧「血は争えませんね。覚醒遺伝かも知れませんが劉禅様は劉丁殿に良く似ておられる」

 劉禅「そう言われると。荀彧軍師の前で、爪を隠す必要はないかな。叔父上でも流石にこの情報は知らないかと思ったんだけどな」

 荀彧「劉丁殿を侮ってはいけませんよ。でも、それだけじゃないのでしょう?」

 劉禅「難民で紛れ込んできた官女については、僕が躾をしておいたからもう情報が漏れることはないよ。宦官の方も黄皓が死んだことで警戒を強めて、一旦大人しくするだろうからさ」

 荀彧「本当によく似ておいでだ。宦官については、劉丁殿も全く同じ意見でしたよ。ですが躾ですか。何をしたかは聞きませんが。それなら劉禅様にも手を貸して貰いましょう。元難民間者の女なら、同じ難民に紛れている間者を見抜けるかもしれません。協力をお願いできますか?」

 劉禅「勿論だよ。難民を保護するという父上の優しさに付け込んだ卑劣な真似を許すわけには行かないからね。こっちのことは任せておいてよ」

 荀彧「普段からそれぐらいやる気があれば、誰も文句を言わないと思うのですが」

 劉禅「いやいや。僕が付け入りやすい隙を作っておくほうが色々便利だと思うよ」

 荀彧「そういうことにしておきましょう。街に出てるのも視察と」

 劉禅「いや。それは女漁りに決まってるでしょ。まぁ、女性の方が噂好きだからってのもあるんだけどね」

 荀彧「ただの好色ではないと。あまり爪を隠しすぎると人が付いてこなくなりますよ」

 劉禅「僕は、叔父上のように器用じゃないからね。ずっと隠しておくつもりだよ」

 荀彧「そうですか。報告ありがとうございました」

 劉禅「じゃ、僕もそろそろ行くよ」

 荀彧「えぇ。殿だけでなく劉禅様も狙われているでしょうからお気をつけください」

 劉禅「まぁ、兄上を使ってまで狙ってきたわけだからね。十分に用心しておくよ」

 荀彧「それがよろしいかと」

 劉禅が躾をした女性だけの間者集団が内部を荀彧に協力している闇夜団の面々が外から来る間者に対処することで、これ以上の被害を食い止めることには成功するのだった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜

遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった! 木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。 「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」 そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。 1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。 わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。 だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。 これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。 希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。 ※アルファポリス限定投稿

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

​『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』

月神世一
SF
​【あらすじ】 ​「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」 ​ 坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。  かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。  背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。 ​ 目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。  鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。 ​ しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。  部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。 ​ (……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?) ​ 現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。  すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。  精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。 ​ これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。

処理中です...