えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。

揚惇命

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5章 天下統一

少年神の誕生

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 己を取り戻した孫翊は、家族を傷つけたことに絶望を覚えた。
 そして、徐薊の方を見ると下半身が血塗れなことに青ざめていく。

 孫翊「そんな、そんな薊。俺はお前まで、お前まで傷つけてしまったのか。死なないでくれ」

 徐薊「ホント、あんなクソ野郎に簡単に操られるなんて、馬鹿、ね」

 孫翊「もう話すな。早く、薊のことも見てくれ華佗先生」

 華佗「案ずるな。その血は、徐薊殿の血では無い。少し、繊細事ゆえ、2人きりの時に話を聞くが良い」

 繊細事と聞いても理解の追いつかない孫翊は華佗に突っかかっていた。

 孫翊「俺の妻が血を流してるんだぞ!妻の血じゃ無ければ、誰の血だと言うのだ!妻が死ぬかもしれないだろう!治療行為を頼む」

 徐薊「華佗先生に突っかかるのはやめなさい。叔弼との子供の血よ」

 華佗「徐薊殿!?」

 徐薊「良いの。配慮してくださったこと感謝します。この人は本来この通り、察することのできない。良い言い方をすれば、裏表のわからない人ですから。そのまま伝えないと理解できないのですよ」

 孫翊「俺の俺の子が腹に居るのだな。こんなに嬉しいことはない。だが、それなら俺の子は何処に?」

 徐薊「叔弼、私が弱いばかりにごめんなさい。お腹の子は、守ってあげられなかったの。ついさっき、死んでしまったの」

 孫翊「そんな。これも俺への罰なのだな。大事な大事なお前との子を亡くしてしまうなど」

 ???「泣かないで、ボクは確かに2人の子供として産まれることはできなかったけど。肉塊からこうして少年神となれたから」

 孫翊と徐薊は、一点だけを見つめて、目を見開いて、動けなくなった。
 そこには自分たちの子供として産まれられなかったと言いながらも綺麗な蓮模様の服を身にまとい手には、混と槍を持ち、火と風を纏った二輪車に乗るいかにも少年の出で立ちで、徐薊が恐らく子供を流してしまった血溜まりの上に立っていたのである。

 ???「安心して、ボクの姿が見えるのは、2人だけ。ううん。パパとママだけだから。それに声を出しても周りには聞こえないよ」

 徐薊「こんな事があるのね。その姿は?」

 ???「黄竜様からね。あっ、黄竜様っていうのはね。大きな大きな金色の竜神で、この世界を見守る偉い偉い人なんだってさ。その人が言うにはね。退魔を任せていた左慈方士が頼りにならないらしくて、ボクに退魔の力を授けて、神として転生させたとかなんとか言ってた。ボクもよくわかんないや」

 孫翊「すまない。すまない。俺があんな奴に操られてしまったがために」

 ???「だから悲しまないでよパパ。でも、ごめんね。これは、僕の我儘で、黄竜様の気まぐれなんだ。だから、パパとママと話せるのもこれが最初で最後、これが終わるとボクの姿は、完全に認識できなくなるんだ」

 徐薊「そうよね。貴方は死人なんだもの。いつまでも見えてちゃおかしいわよね。貴方なんて失礼ね。名前で呼ばなくっちゃ」

 ???「ボクに名前は不要だよ。その名前は、弟のために取っておいてあげてよ。きっと次は大丈夫だから」

 徐薊「でも」

 ???「それでも今だけ名前で呼びたいなら。そうだ。黄竜様から頂いた哪吒ナタって呼んでよ」

 孫翊「哪吒、良い名前だな。お前は、これから俺を操ったような奴らを駆逐するために働くのだな?」

 哪吒「そうなるかなぁ。まぁ左慈方士次第かな。なんか黄竜様にガツンと怒られて、シュンとしてた」

 徐薊「そりゃそうよ。あんなのを野放しにしてたんだから、もっと怒られるべきだわ」

 哪吒「流石ママ。ボクもそう思ってた」

 徐薊「私の可愛い坊やですもの。考え方が似てるのよきっと」

 哪吒「ママ。ううんダメだ。抱きしめてもらいたかったけど今のボクは炎と風に覆われているからきっとママが大火傷して死んじゃう。あっ黄竜様が呼んでる。そろそろ時間みたい」

 孫翊「哪吒。不甲斐ない父を許せ。お前が薊の中にいたこと俺は忘れん」

 徐薊「あまり引き止めるのも野暮よね。落ち込んでた私の心を救ってくれてありがとう哪吒。産んであげられなくてごめんね」

 哪吒「パパ。ママ。あんなことがあって、すぐには無理かも知れないけど。仲良く幸せにね。うっ。うぅ。ボクだって、離れたく無いよ。でもこうしてボクの最期の願いを黄竜様は叶えてくれたから。これからは、黄竜様のため、パパみたいに操られる人の出ないように、頑張って公務に励むんだ」

 徐薊「抱きしめてあげたい。この手で。でもそれは叶わないからせめて、これを」

 哪吒「かんざし?」

 徐薊「叔弼から結婚してくれって渡された大事な大事な物よ」

 哪吒「ボクがママの大切なもの貰っても良いの?」

 徐薊「えぇ、勿論よ」

 孫翊「あんなのまだ持ってたのか。葉っぱの柄のかんざしなんて」

 徐薊「まだ子供だった叔弼が私に婚約を迫った大事な思い出の品だもの」

 孫翊「うっ。照れるからやめろ。あー、もうわかった。哪吒、それはお前が貰ってやれ。薊には、俺がもっと良いのを買ってやるから」

 哪吒「ありがとう。パパ。ママ」

 哪吒がかんざしを服に当てると蓮の花だけだったところに蓮の葉が合わさる。

 哪吒「パパとママにずっと抱きしめられてるようだよ。これで、もう寂しく無いや。ボクは、もう行くよ」

 孫翊「神様に頑張れってのは、どうかと思うがそれしか言えん。許せ」

 徐薊「神様に健やかでってのもおかしいと思うけど。それしか言えないわ。許して」

 哪吒「パパとママの気持ちは十分に伝わったよ。ありがとう。バイバイ」

 そう言って、哪吒の姿が見えなくなったが2人は、このことを忘れないように毎日2人きりになったら哪吒の話を楽しそうにするのだった。
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