549 / 821
5章 天下統一
鄧艾の計画
しおりを挟む
曹丕が司馬懿と和解の相談をする少し前のこと鄧艾は曹丕によって呼び出されていた。
鄧艾「失礼します曹丕様。お呼びと聞き、参上しました鄧艾です」
曹丕「入れ」
鄧艾「はっ」
曹丕に促されるまま玉座の間に入る鄧艾は、曹丕の前まで行くと跪いて、頭を下げる。
曹丕「よく来てくれた。父が挙兵してことは知っているな?」
鄧艾「はい。これで反」
そこまで言いかけた後で頭の良い鄧艾は考える。
鄧艾は、普通に曹丕と曹操で挟み撃ちにして司馬懿を叩くものだと考えていた。
しかし、本当にそうだろうか?
曹丕と司馬懿が結んで、曹操を相手に戦をするということは考えられないだろうか?
一抹の不安を覚えた鄧艾は、相手の出方を探るべく、言葉を変える。
鄧艾「はい。これで反乱が治れば良いですが」
曹丕「反乱か」
鄧艾「違うのですか?曹操挙兵の知らせは反乱だと思ったのですが」
曹丕「その通りだ!ようやく話のわかる奴に会えて俺は嬉しい。賈詡の奴も夏侯玄の奴も、俺に父と手を結び司馬懿を討つべきだと進言した。全く、それではようやく手にした俺の覇権が父に奪われるではないか。お前もそう思うであろう鄧艾よ」
鄧艾「はい。その通りかと。曹操が再び返り咲けば、曹丕様の天下は大きく乱されるかと」
曹丕「うむうむ。その通りだ。司馬懿と通じていたらしい逢紀・郭図・審配も信用ならん。そこでだ全員を牢に閉じ込めておくことにした。俺が司馬懿と和解交渉をしている間、アイツらの見張りをお前に頼みたい。やってくれるな?」
鄧艾「はい。その大役、お受けしましょう」
曹丕「今にして思えば、司馬昭の奴を司馬懿の間者と決めつけて、殺さなくて良かったと言える。丁重に扱うようにな」
鄧艾「承知」
曹丕が司馬懿と和解交渉に向かうのを見届けると鄧艾は、ホッと胸を撫で下ろす。
鄧艾「これでようやく反撃の機会が訪れましたなと言わなかった自分を褒めてやりたい。恐らくこう言っていたら俺も今頃、牢屋にいた事だろう。それにしても曹丕様はこの後に及んでも司馬懿と結んで、曹操様と戦う道を選ばれるのか。これでは、せっかく悪い噂の払拭に動かれていた夏侯玄殿の行為を無にする事となる。やはり、この国を治められるのは、曹操様をおいて他にはいない事が証明された。なら俺がすべきことは」
その頃、牢屋で見張りをしている男は眠たそうな顔で、苛立ちをぶつけていた。
見張りの兵「ふわぁ~。全く、1人しかいなかった牢屋がいつの間にか大所帯になったなぁ。ふわぁ~。お陰で、こっちも寝不足になっちまった」
司馬昭「ハハハ。本当に申し訳ない。でも僕は彼らよりは優等生だったと思いますが」
見張りの兵「確かにな。今にして思えば、アンタと2人きりの時の方が楽だったぜ」
司馬昭「うたた寝もできてましたしね」
見張りの兵「おぅおぅ。絶対に曹丕様には言わないでくれよ」
司馬昭「勿論だよ」
司馬昭と賈詡たちは別々の牢屋に閉じ込められている。
勿論、この2人の会話は、隣の牢屋で向かい同士で罵り合う声に掻き消されて、聞かれることはない。
賈詡「逢紀、司馬懿と通じて、そこまでして保身に走りたいのか!」
逢紀「曹丕様を守るためだというのが何故わからん!司馬懿とまともにやり合って曹丕様が勝てると本気で考えてるのか?」
賈詡「そうやって、口を開けば曹丕様のためと。言ってる事とやってる事が矛盾している事が何故わからん!」
逢紀「矛盾などしておらんわ!」
賈詡「口では曹丕様のためと言いながら行動は司馬懿に利していると言ってるのだ!」
逢紀「んなわけがないだろう!司馬懿と通じて持久戦に持ち込む事で、最小限の力で司馬懿を倒せると考えたまでのこと。お前のように戦を仕掛けていれば、負けていたのはこちらであったわ!」
賈詡「違う、戦を仕掛けない事が司馬懿の勝ちに近付いていたのだ。お前は司馬懿よりも恐ろしい男の存在に気付いていないだけのことだ!」
逢紀「ほぉ。司馬懿よりも恐ろしい男が向こうにいると。ぜひ聞きたいものですな」
賈詡「蜀漢の益州侵攻軍の総大将を務めていた劉義賢の存在だ!」
逢紀「はぁ。それも司馬懿が結んでいる限り、安泰でしょう。全く」
賈詡「我らとも素知らぬ顔で、停戦条約を結んだ男が何も考えていないと?あの男と対面して、俺は全てを理解した。司馬懿などと比べ物にならないぐらい恐ろしい男だとな。だからこそ早々に、魏をもう一度曹丕様の旗の元、一枚岩にする必要があったのだ。その機会を貴様は奪ったのだぞ!」
逢紀「だったらあの時、そう言えば良かったではないか!反対意見だけしか述べなかったお前にも言葉足らずな部分があったということではないか!」
賈詡「この頭でっかちが!それに例え司馬懿と曹丕様が手を結ぼうとも曹操様には勝てん。それは袁紹との戦で、お前が1番良くわかっていることだろう!」
逢紀「何を言っている!アレは許褚という化け物の存在があったからこそ成し得たことであろう。そうでなければ、袁紹様が負けるはずが無かったのだ!」
賈詡「もう良いわ!貴様と話していると疲れるだけだ!」
逢紀「それはこちらとて同じこと!」
そこに鄧艾が現れる。
鄧艾「まぁまぁ、お2人さん。魏を想う気持ちは同じではないか?そこで提案なんだが、ここにいる面子で、曹操様を新たな魏王にお抱えするという俺の計画に乗って見ないかい?なーに、協力してくれるなら簡単なことだ。逢紀殿には、曹丕様に鄧艾が裏切ったと伝えてもらう役目を任せる。成功したら、曹操様に逢紀殿たちの今後の補償を約束してもらう。どうだい?」
賈詡「俺としては、願ってもない話だ。早々に魏を纏め上げないと蜀漢に奪われかねん」
郭図「我らは、曹丕様を裏切ることなどできんよ。だが、確かに曹丕様では限界なのかも知れん。協力はしてやるが補償など必要ない」
郭図の言葉に逢紀も審配も何も言えなかった。
そんなことわかっていたのだ。
わかっていても認められなかったのだ。
こうして、鄧艾による計画が実行されるのだった。
鄧艾「失礼します曹丕様。お呼びと聞き、参上しました鄧艾です」
曹丕「入れ」
鄧艾「はっ」
曹丕に促されるまま玉座の間に入る鄧艾は、曹丕の前まで行くと跪いて、頭を下げる。
曹丕「よく来てくれた。父が挙兵してことは知っているな?」
鄧艾「はい。これで反」
そこまで言いかけた後で頭の良い鄧艾は考える。
鄧艾は、普通に曹丕と曹操で挟み撃ちにして司馬懿を叩くものだと考えていた。
しかし、本当にそうだろうか?
曹丕と司馬懿が結んで、曹操を相手に戦をするということは考えられないだろうか?
一抹の不安を覚えた鄧艾は、相手の出方を探るべく、言葉を変える。
鄧艾「はい。これで反乱が治れば良いですが」
曹丕「反乱か」
鄧艾「違うのですか?曹操挙兵の知らせは反乱だと思ったのですが」
曹丕「その通りだ!ようやく話のわかる奴に会えて俺は嬉しい。賈詡の奴も夏侯玄の奴も、俺に父と手を結び司馬懿を討つべきだと進言した。全く、それではようやく手にした俺の覇権が父に奪われるではないか。お前もそう思うであろう鄧艾よ」
鄧艾「はい。その通りかと。曹操が再び返り咲けば、曹丕様の天下は大きく乱されるかと」
曹丕「うむうむ。その通りだ。司馬懿と通じていたらしい逢紀・郭図・審配も信用ならん。そこでだ全員を牢に閉じ込めておくことにした。俺が司馬懿と和解交渉をしている間、アイツらの見張りをお前に頼みたい。やってくれるな?」
鄧艾「はい。その大役、お受けしましょう」
曹丕「今にして思えば、司馬昭の奴を司馬懿の間者と決めつけて、殺さなくて良かったと言える。丁重に扱うようにな」
鄧艾「承知」
曹丕が司馬懿と和解交渉に向かうのを見届けると鄧艾は、ホッと胸を撫で下ろす。
鄧艾「これでようやく反撃の機会が訪れましたなと言わなかった自分を褒めてやりたい。恐らくこう言っていたら俺も今頃、牢屋にいた事だろう。それにしても曹丕様はこの後に及んでも司馬懿と結んで、曹操様と戦う道を選ばれるのか。これでは、せっかく悪い噂の払拭に動かれていた夏侯玄殿の行為を無にする事となる。やはり、この国を治められるのは、曹操様をおいて他にはいない事が証明された。なら俺がすべきことは」
その頃、牢屋で見張りをしている男は眠たそうな顔で、苛立ちをぶつけていた。
見張りの兵「ふわぁ~。全く、1人しかいなかった牢屋がいつの間にか大所帯になったなぁ。ふわぁ~。お陰で、こっちも寝不足になっちまった」
司馬昭「ハハハ。本当に申し訳ない。でも僕は彼らよりは優等生だったと思いますが」
見張りの兵「確かにな。今にして思えば、アンタと2人きりの時の方が楽だったぜ」
司馬昭「うたた寝もできてましたしね」
見張りの兵「おぅおぅ。絶対に曹丕様には言わないでくれよ」
司馬昭「勿論だよ」
司馬昭と賈詡たちは別々の牢屋に閉じ込められている。
勿論、この2人の会話は、隣の牢屋で向かい同士で罵り合う声に掻き消されて、聞かれることはない。
賈詡「逢紀、司馬懿と通じて、そこまでして保身に走りたいのか!」
逢紀「曹丕様を守るためだというのが何故わからん!司馬懿とまともにやり合って曹丕様が勝てると本気で考えてるのか?」
賈詡「そうやって、口を開けば曹丕様のためと。言ってる事とやってる事が矛盾している事が何故わからん!」
逢紀「矛盾などしておらんわ!」
賈詡「口では曹丕様のためと言いながら行動は司馬懿に利していると言ってるのだ!」
逢紀「んなわけがないだろう!司馬懿と通じて持久戦に持ち込む事で、最小限の力で司馬懿を倒せると考えたまでのこと。お前のように戦を仕掛けていれば、負けていたのはこちらであったわ!」
賈詡「違う、戦を仕掛けない事が司馬懿の勝ちに近付いていたのだ。お前は司馬懿よりも恐ろしい男の存在に気付いていないだけのことだ!」
逢紀「ほぉ。司馬懿よりも恐ろしい男が向こうにいると。ぜひ聞きたいものですな」
賈詡「蜀漢の益州侵攻軍の総大将を務めていた劉義賢の存在だ!」
逢紀「はぁ。それも司馬懿が結んでいる限り、安泰でしょう。全く」
賈詡「我らとも素知らぬ顔で、停戦条約を結んだ男が何も考えていないと?あの男と対面して、俺は全てを理解した。司馬懿などと比べ物にならないぐらい恐ろしい男だとな。だからこそ早々に、魏をもう一度曹丕様の旗の元、一枚岩にする必要があったのだ。その機会を貴様は奪ったのだぞ!」
逢紀「だったらあの時、そう言えば良かったではないか!反対意見だけしか述べなかったお前にも言葉足らずな部分があったということではないか!」
賈詡「この頭でっかちが!それに例え司馬懿と曹丕様が手を結ぼうとも曹操様には勝てん。それは袁紹との戦で、お前が1番良くわかっていることだろう!」
逢紀「何を言っている!アレは許褚という化け物の存在があったからこそ成し得たことであろう。そうでなければ、袁紹様が負けるはずが無かったのだ!」
賈詡「もう良いわ!貴様と話していると疲れるだけだ!」
逢紀「それはこちらとて同じこと!」
そこに鄧艾が現れる。
鄧艾「まぁまぁ、お2人さん。魏を想う気持ちは同じではないか?そこで提案なんだが、ここにいる面子で、曹操様を新たな魏王にお抱えするという俺の計画に乗って見ないかい?なーに、協力してくれるなら簡単なことだ。逢紀殿には、曹丕様に鄧艾が裏切ったと伝えてもらう役目を任せる。成功したら、曹操様に逢紀殿たちの今後の補償を約束してもらう。どうだい?」
賈詡「俺としては、願ってもない話だ。早々に魏を纏め上げないと蜀漢に奪われかねん」
郭図「我らは、曹丕様を裏切ることなどできんよ。だが、確かに曹丕様では限界なのかも知れん。協力はしてやるが補償など必要ない」
郭図の言葉に逢紀も審配も何も言えなかった。
そんなことわかっていたのだ。
わかっていても認められなかったのだ。
こうして、鄧艾による計画が実行されるのだった。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜
遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった!
木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。
「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」
そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』
月神世一
SF
【あらすじ】
「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」
坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。
かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。
背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。
目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。
鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。
しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。
部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。
(……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?)
現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。
すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。
精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。
これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる