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5章 天下統一
董祀の最期
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董祀は、厳つい男こと劉安に商売の邪魔だと叩き出されて、トボトボと家路についた。
この家に蔡文姫は居ない。
董祀は、子供に暴力を振るおうとしたことを許してもらえず新婚早々別居していた。
董祀「今日もダメであったか。だが私のやっている事は、文姫に褒められるだろう。そろそろ許してもらえるはず。だがあの家には小僧がいる。はぁ。初夜はまだまだお預けか。全く厄介な小僧が訪ねてきたものだ」
配送屋「董祀様?」
董祀「おっ。お前は、いつも荷物を届けてくれる配送屋ではないか。しかし、此度は何も頼んでいないが。如何した?」
配送屋「こちら、蔡文姫様と申す人からこちらの家にお届けするようにと預かった品です」
董祀「何!?文姫が。口ではあんな態度を取りながら、可愛い奴ではないか。ゴホン。その荷物を預かろう」
配送屋「大丈夫ですよ。お客様の私生活には干渉しないのが商売人の信条ですから。では、こちらをお受け取りください」
董祀「うむ。わざわざ感謝する。ではな」
配送屋「ありがとうございました」
配送屋は、立ち去る時、ふと疑問に思ったことを考えてみた。
配送屋「でも男からの荷物がそんなに嬉しいのだろうか?まぁ、男が好きって人も世の中には居るよな。深く、考えないことにしておこう。でも、蔡文姫って名前は、どう見ても女性の名前だよなぁ。まぁ、渡してきた人が知り合いだったかもしれないし、男ではないのか?ま、まぁきちんと荷物は届けたからいいか。さて、今日は後一つで仕事終わりだからさっさと済ませて帰って、さっき買った鹿の燻製肉と酒で、晩酌するぞ」
この配送屋は、自分が董祀に毒薬を届けさせられたとは、考えもしなかった。
その頃、部屋の中へと入った董祀は、天にも昇る気持ちで、蔡文姫からの贈り物を開封する。
董祀「全く、ああいう敵対的な態度の後にこうして、過度に好意的な態度を示してくれるなどグッと来るではないか。今から家に。いや、それは野暮というものだな。さて、この瓶は何だ?手紙が付いてるな。何々」
手紙の内容は以下の通りである。
『親愛なる董祀様へ
毎日、私のために司馬懿のことを悪く言ってくれているの大変嬉しく思います。
貴方が身体を壊さないように疲労を和らげる薬を侍医に作ってもらいましたので、贈らせてもらいました。
飲んでしっかりと身体を休めてください。
貴方の妻、蔡文姫より』
董祀「うっ。うぅ。私のやっていた事は、何も間違えていなかったのだな。きちんと見ていてくれたのか。うっうぅ。ありがとう。ありがとう。この薬を飲ませてもらおう」
瓶を開けるとツーンと刺激臭のようなものがしたが董祀は気にせず一気に瓶の中身を飲み干した。
董祀「これは、何とも鼻に来る匂いだ。だが、良薬とはそういうものだろう。ゴクッ。ゴクッ。苦い。苦すぎる。だが、良薬、とは。うぐっ。胸が苦しい。ゴフッ。ゴホッ。ガハッ。そんな、文姫。君は、そんなにも俺がに、く、い、の、か」
その言葉を最後に董祀は、床に突っ伏したまま2度と起き上がる事はなかった。
司馬懿が蔡文姫の字を真似て、書いた手紙にまんまと騙されて、董祀は司馬懿から贈られた毒薬を蔡文姫からのプレゼントと気遣いと信じて、その中身を飲み干した。
その結果、その命の灯火は消えることとなったのである。
そして、その頃蔡文姫の元にも荷物が届けられていた。
配送屋「蔡文姫様のお宅でしょうか。配送屋です」
蔡文姫「あら、荷物なんて頼んでいないけどどうしたの?」
配送屋「う、美しい。それに可憐だ。じゃなかった。こちら、劉豹様という方からお届け物です」
蔡文姫「あら、そうなの。どうも、ありがとう」
羊祜「お腹がぺこぺこです」
蔡文姫「ごめんね。直ぐにご飯の用意するからね。それでは、失礼するわね」
配送屋「は。はい」
配送屋は蔡文姫の美しさに暫くその場所を動けなかった。
配送屋「董祀様が嬉しそうに顔を真っ赤にしたのも頷ける。あんなに美しい人だなんて。でも、劉豹様って誰だ?それに子供まで居たよな。深く詮索しない。深く詮索しない。お客様の私生活には干渉しない。か、帰ろう」
部屋に入った蔡文姫は荷物を開封し、手紙に目を通す。
蔡文姫「へぇ。よく似せて書いたものね」
羊祜「叔母様は、字の違いがわかるのですか?」
蔡文姫「何年、彼と一緒に居たと思ってるのよ。癖から何から全てわかってるわ。司馬懿が私のことを邪魔に思ったのでしょうね。相変わらず姑息な手だこと」
蔡文姫は、ビリビリビリと手紙を破ると瓶の中身を植物にかけた。
羊祜「そんなことをしたら植物が!?えっ?枯れてませんね」
蔡文姫「植物に毒をかけても吸収しないから問題ないのよ。こんなの置いておく方が危険でしょ。だから植物さんに飲んでもらったのよ。これを司馬懿に送りつけるためにね」
羊祜「アハハ。叔母様は、自分が死んだと装うわけですか」
蔡文姫「えぇ、送り主は、羊祜。貴方よ」
羊祜「そうなりますよね。叔母様は死んだことになるんですから送れませんもんね」
蔡文姫「えぇ、やってくれるわね」
羊祜「はい、お任せください」
そして、現在。
司馬朗が司馬懿に荷台の中で、ここに来る前に家に来た羊祜という子供から預かった空の小瓶を渡す。
司馬懿「これを蔡貞姫の息子を名乗る奴が持ってきた?」
司馬朗「うむ。両親だけでなく叔母様まで、殺したこと絶対に許さないと。お前がどこに居ようと必ず見つけ出して、その罪を贖わせてみせるとな」
司馬師「父よ。厄介な手合いに目を付けられましたな」
司馬懿「ククク。ハッハッハッハ。俺が隠れることまで見越しているとはな。やれるものならやってみろ小さき戦士よ」
司馬朗「あぁいうのを侮ると後が怖いと思うが」
司馬孚「兄上方、間も無く着きます」
司馬懿「うむ。我らの隠れ家にようやく到着じゃな」
こうして、司馬懿はその身を隠すのである。
この家に蔡文姫は居ない。
董祀は、子供に暴力を振るおうとしたことを許してもらえず新婚早々別居していた。
董祀「今日もダメであったか。だが私のやっている事は、文姫に褒められるだろう。そろそろ許してもらえるはず。だがあの家には小僧がいる。はぁ。初夜はまだまだお預けか。全く厄介な小僧が訪ねてきたものだ」
配送屋「董祀様?」
董祀「おっ。お前は、いつも荷物を届けてくれる配送屋ではないか。しかし、此度は何も頼んでいないが。如何した?」
配送屋「こちら、蔡文姫様と申す人からこちらの家にお届けするようにと預かった品です」
董祀「何!?文姫が。口ではあんな態度を取りながら、可愛い奴ではないか。ゴホン。その荷物を預かろう」
配送屋「大丈夫ですよ。お客様の私生活には干渉しないのが商売人の信条ですから。では、こちらをお受け取りください」
董祀「うむ。わざわざ感謝する。ではな」
配送屋「ありがとうございました」
配送屋は、立ち去る時、ふと疑問に思ったことを考えてみた。
配送屋「でも男からの荷物がそんなに嬉しいのだろうか?まぁ、男が好きって人も世の中には居るよな。深く、考えないことにしておこう。でも、蔡文姫って名前は、どう見ても女性の名前だよなぁ。まぁ、渡してきた人が知り合いだったかもしれないし、男ではないのか?ま、まぁきちんと荷物は届けたからいいか。さて、今日は後一つで仕事終わりだからさっさと済ませて帰って、さっき買った鹿の燻製肉と酒で、晩酌するぞ」
この配送屋は、自分が董祀に毒薬を届けさせられたとは、考えもしなかった。
その頃、部屋の中へと入った董祀は、天にも昇る気持ちで、蔡文姫からの贈り物を開封する。
董祀「全く、ああいう敵対的な態度の後にこうして、過度に好意的な態度を示してくれるなどグッと来るではないか。今から家に。いや、それは野暮というものだな。さて、この瓶は何だ?手紙が付いてるな。何々」
手紙の内容は以下の通りである。
『親愛なる董祀様へ
毎日、私のために司馬懿のことを悪く言ってくれているの大変嬉しく思います。
貴方が身体を壊さないように疲労を和らげる薬を侍医に作ってもらいましたので、贈らせてもらいました。
飲んでしっかりと身体を休めてください。
貴方の妻、蔡文姫より』
董祀「うっ。うぅ。私のやっていた事は、何も間違えていなかったのだな。きちんと見ていてくれたのか。うっうぅ。ありがとう。ありがとう。この薬を飲ませてもらおう」
瓶を開けるとツーンと刺激臭のようなものがしたが董祀は気にせず一気に瓶の中身を飲み干した。
董祀「これは、何とも鼻に来る匂いだ。だが、良薬とはそういうものだろう。ゴクッ。ゴクッ。苦い。苦すぎる。だが、良薬、とは。うぐっ。胸が苦しい。ゴフッ。ゴホッ。ガハッ。そんな、文姫。君は、そんなにも俺がに、く、い、の、か」
その言葉を最後に董祀は、床に突っ伏したまま2度と起き上がる事はなかった。
司馬懿が蔡文姫の字を真似て、書いた手紙にまんまと騙されて、董祀は司馬懿から贈られた毒薬を蔡文姫からのプレゼントと気遣いと信じて、その中身を飲み干した。
その結果、その命の灯火は消えることとなったのである。
そして、その頃蔡文姫の元にも荷物が届けられていた。
配送屋「蔡文姫様のお宅でしょうか。配送屋です」
蔡文姫「あら、荷物なんて頼んでいないけどどうしたの?」
配送屋「う、美しい。それに可憐だ。じゃなかった。こちら、劉豹様という方からお届け物です」
蔡文姫「あら、そうなの。どうも、ありがとう」
羊祜「お腹がぺこぺこです」
蔡文姫「ごめんね。直ぐにご飯の用意するからね。それでは、失礼するわね」
配送屋「は。はい」
配送屋は蔡文姫の美しさに暫くその場所を動けなかった。
配送屋「董祀様が嬉しそうに顔を真っ赤にしたのも頷ける。あんなに美しい人だなんて。でも、劉豹様って誰だ?それに子供まで居たよな。深く詮索しない。深く詮索しない。お客様の私生活には干渉しない。か、帰ろう」
部屋に入った蔡文姫は荷物を開封し、手紙に目を通す。
蔡文姫「へぇ。よく似せて書いたものね」
羊祜「叔母様は、字の違いがわかるのですか?」
蔡文姫「何年、彼と一緒に居たと思ってるのよ。癖から何から全てわかってるわ。司馬懿が私のことを邪魔に思ったのでしょうね。相変わらず姑息な手だこと」
蔡文姫は、ビリビリビリと手紙を破ると瓶の中身を植物にかけた。
羊祜「そんなことをしたら植物が!?えっ?枯れてませんね」
蔡文姫「植物に毒をかけても吸収しないから問題ないのよ。こんなの置いておく方が危険でしょ。だから植物さんに飲んでもらったのよ。これを司馬懿に送りつけるためにね」
羊祜「アハハ。叔母様は、自分が死んだと装うわけですか」
蔡文姫「えぇ、送り主は、羊祜。貴方よ」
羊祜「そうなりますよね。叔母様は死んだことになるんですから送れませんもんね」
蔡文姫「えぇ、やってくれるわね」
羊祜「はい、お任せください」
そして、現在。
司馬朗が司馬懿に荷台の中で、ここに来る前に家に来た羊祜という子供から預かった空の小瓶を渡す。
司馬懿「これを蔡貞姫の息子を名乗る奴が持ってきた?」
司馬朗「うむ。両親だけでなく叔母様まで、殺したこと絶対に許さないと。お前がどこに居ようと必ず見つけ出して、その罪を贖わせてみせるとな」
司馬師「父よ。厄介な手合いに目を付けられましたな」
司馬懿「ククク。ハッハッハッハ。俺が隠れることまで見越しているとはな。やれるものならやってみろ小さき戦士よ」
司馬朗「あぁいうのを侮ると後が怖いと思うが」
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