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5章 天下統一
鍾繇・鍾会父子と華北の動き
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先に帰って曹操を迎え撃つ準備を進めるように言われた鍾繇は鍾会を連れ、陳留へと戻ってきていた。
鍾繇「鍾会、さて。ここの防衛を司馬懿様から任されたわけだが如何する?」
鍾会「そうっすね。曹丕様の兵、合わせて130万で迎え打てるわけっすから。野戦するのが良いっすね。場所は南の雍丘が良いんじゃないっすか」
鍾繇「ふむ。では、曹操軍と同数の10万の兵を雍丘に派遣するとしよう。率いる将は」
鍾会「俺が行くっすよ。言い出しっぺっすから。父上は、ここの守りを固めておいてくださいっす。もう司馬懿様は帰ってこないっすから」
鍾繇「ん?何を言っている?我らはここの防衛を任されたのだぞ。司馬懿様が帰ってこないはずがなかろう」
鍾会「今にわかるっすよ」
伝令「報告!司馬昭によって、司馬懿様の悪事の数々が華北の民衆に露見。民衆反乱が起こりました。曹丕は捕えられ、一緒にいた司馬懿様も行方知れずとのこと!」
鍾繇「馬鹿な!?一体どうなっておる」
鍾会「だから言ったっすよ。鄧艾のことを侮るべきじゃないって。これは曹丕の落ち度っすね」
鍾繇「司馬懿様無くして、どのように陳留で防衛せよと?」
鍾会「それは知らないっす。まぁ、父上のため時間稼ぐっすよ。逃げるも好きにすれば良いと思うっす。司馬懿様に仕えると決めた時点で、曹操の許しは乞えないっすから」
鍾繇「なら鍾会。お前も共に」
鍾会「無理っす。なんか匂うんすよね。きっとアイツが来てるっす」
鍾繇「馬鹿な!?お前が腕を斬り落として、まだ2ヶ月そこらだぞ。そんな簡単に腕を動かせるわけが」
鍾会「愛の力っすかね。まぁ、その愛は脆くも崩れ去ってるっすけど。蔡文姫の今の旦那は豚っすから」
鍾繇「お前、何を考えておる?」
鍾会「腕が治ったんなら因縁の相手とまた戦いたいものっすよ。そんな相手の行動は読みやすいっすから。突出させて、殺して敵の戦力を削ぐっす」
鍾繇「成程。曹操の兵の半数は匈奴兵だったな。それを野戦にて排除してしまうわけか。考えたな。良し、そちらは任せよう。こちらは、民衆反乱に備えて、兗州北部の防衛を固めるとしよう」
鍾会「それが良いっすね。司馬懿様に忠義を貫きたいならっすけど」
鍾繇「馬鹿者!お前も言っていたではないか。曹操に許しを乞えないと。なら出来る限り、この兗州で抗うのみよ」
鍾会「父上のそういうところが好きっすよ。曹操にだけ利することのないようにせいぜい暴れてやるっすよ」
その頃、華北では鄧艾・夏侯玄・賈詡がそれぞれ10万の兵を指揮して、兗州の攻略作戦を練っていた。
司馬昭「まぁ、父上のことだ。直ぐに隠れるだろうとは思ってたが。案外お早いことで」
鄧艾「感心している場合ではない。司馬懿が生存していれば、いつまた背後を脅かされるかわからん。本当に行き先に心当たりはないのか?」
賈詡「まさか。こうなることを見越して、密告したのでは?」
司馬昭「いやいや。待ってくれ。そんなことは考えてない。本当に行き先には心当たりはない。この速さで隠れられた事から前もって準備していたってことしかわからない」
夏侯玄「前もって準備していたのなら司馬懿に何か怪しい動きは無かったのか?なんでも良い。ここで逃せば、司馬懿はまた暗躍を試みるのは明白だ。どんな些細なことでも教えて頂けないか?」
司馬昭「うーん。つってもな。俺は父上に深く関わりたく無かったからやる気のないフリを通してたからなぁ。こういう時に父上がどこに隠れるかは見当も付かないってのが本音だ。だが父上のことだからなぁ。一度隠れたなら、次出てくるとしたら確実に天下を取れると考えた時だということは容易に推測できる」
賈詡「暫くは静観を決め込むってことか。司馬懿らしい嫌らしい手だな。いつ、何処で、こちらの隙をうかがっているかを警戒するしかないということか」
鄧艾「なら、取り敢えず今は立ち上がった華北の兵のために、この内乱を鎮めるのが先だな」
夏侯玄「そうですな。鄧艾殿は、どのように考えておられるのか?」
鄧艾「夏侯玄殿と賈詡殿にそれぞれ10万を率いてもらい、俺自身も10万を率いて、華北から兗州北部の制圧を目指すのが良いかと考える。華北のように動揺すると思われた兗州に、そのようなそぶりは見えない。それどころか守りを固めて、我らの攻撃を予測している。なら、こちらも素早く動くべきでだろう」
賈詡「理にかなっているな。兗州の北部を制して、陳横の包囲を進める。鍾繇と鍾会であれば、司馬懿の居場所を知っているかも知れん。この男が全く使えない以上、敵のことは敵に聞くのが良い」
司馬昭「まぁ、俺は約束通り、この先に関しては、関わらない。父上の子供である以上、密告した今、ここには居づらいしな」
鄧艾「息災でな司馬昭殿」
司馬昭「鄧艾もな」
司馬昭は、鄧艾との約束を果たし、魏国を後にすることを決める。
鄧艾は、迅速に兵を動かしたのだが覚悟を決めた鍾繇の行動は早く、兗州北部の要所に兵を集め、時間稼がせることで華北の兵が陳留に到達するのを出来るだけ遅らせ、活路を見出そうと待ち受けていた。
一方鍾会は、10万の兵を連れて、曹操軍5万に匈奴兵5万を合わせた連合軍と雍丘の地にて激突。
ここに曹操にとって、裏切りの多い地である兗州における最期の攻防戦が幕を開けるのであった。
鍾繇「鍾会、さて。ここの防衛を司馬懿様から任されたわけだが如何する?」
鍾会「そうっすね。曹丕様の兵、合わせて130万で迎え打てるわけっすから。野戦するのが良いっすね。場所は南の雍丘が良いんじゃないっすか」
鍾繇「ふむ。では、曹操軍と同数の10万の兵を雍丘に派遣するとしよう。率いる将は」
鍾会「俺が行くっすよ。言い出しっぺっすから。父上は、ここの守りを固めておいてくださいっす。もう司馬懿様は帰ってこないっすから」
鍾繇「ん?何を言っている?我らはここの防衛を任されたのだぞ。司馬懿様が帰ってこないはずがなかろう」
鍾会「今にわかるっすよ」
伝令「報告!司馬昭によって、司馬懿様の悪事の数々が華北の民衆に露見。民衆反乱が起こりました。曹丕は捕えられ、一緒にいた司馬懿様も行方知れずとのこと!」
鍾繇「馬鹿な!?一体どうなっておる」
鍾会「だから言ったっすよ。鄧艾のことを侮るべきじゃないって。これは曹丕の落ち度っすね」
鍾繇「司馬懿様無くして、どのように陳留で防衛せよと?」
鍾会「それは知らないっす。まぁ、父上のため時間稼ぐっすよ。逃げるも好きにすれば良いと思うっす。司馬懿様に仕えると決めた時点で、曹操の許しは乞えないっすから」
鍾繇「なら鍾会。お前も共に」
鍾会「無理っす。なんか匂うんすよね。きっとアイツが来てるっす」
鍾繇「馬鹿な!?お前が腕を斬り落として、まだ2ヶ月そこらだぞ。そんな簡単に腕を動かせるわけが」
鍾会「愛の力っすかね。まぁ、その愛は脆くも崩れ去ってるっすけど。蔡文姫の今の旦那は豚っすから」
鍾繇「お前、何を考えておる?」
鍾会「腕が治ったんなら因縁の相手とまた戦いたいものっすよ。そんな相手の行動は読みやすいっすから。突出させて、殺して敵の戦力を削ぐっす」
鍾繇「成程。曹操の兵の半数は匈奴兵だったな。それを野戦にて排除してしまうわけか。考えたな。良し、そちらは任せよう。こちらは、民衆反乱に備えて、兗州北部の防衛を固めるとしよう」
鍾会「それが良いっすね。司馬懿様に忠義を貫きたいならっすけど」
鍾繇「馬鹿者!お前も言っていたではないか。曹操に許しを乞えないと。なら出来る限り、この兗州で抗うのみよ」
鍾会「父上のそういうところが好きっすよ。曹操にだけ利することのないようにせいぜい暴れてやるっすよ」
その頃、華北では鄧艾・夏侯玄・賈詡がそれぞれ10万の兵を指揮して、兗州の攻略作戦を練っていた。
司馬昭「まぁ、父上のことだ。直ぐに隠れるだろうとは思ってたが。案外お早いことで」
鄧艾「感心している場合ではない。司馬懿が生存していれば、いつまた背後を脅かされるかわからん。本当に行き先に心当たりはないのか?」
賈詡「まさか。こうなることを見越して、密告したのでは?」
司馬昭「いやいや。待ってくれ。そんなことは考えてない。本当に行き先には心当たりはない。この速さで隠れられた事から前もって準備していたってことしかわからない」
夏侯玄「前もって準備していたのなら司馬懿に何か怪しい動きは無かったのか?なんでも良い。ここで逃せば、司馬懿はまた暗躍を試みるのは明白だ。どんな些細なことでも教えて頂けないか?」
司馬昭「うーん。つってもな。俺は父上に深く関わりたく無かったからやる気のないフリを通してたからなぁ。こういう時に父上がどこに隠れるかは見当も付かないってのが本音だ。だが父上のことだからなぁ。一度隠れたなら、次出てくるとしたら確実に天下を取れると考えた時だということは容易に推測できる」
賈詡「暫くは静観を決め込むってことか。司馬懿らしい嫌らしい手だな。いつ、何処で、こちらの隙をうかがっているかを警戒するしかないということか」
鄧艾「なら、取り敢えず今は立ち上がった華北の兵のために、この内乱を鎮めるのが先だな」
夏侯玄「そうですな。鄧艾殿は、どのように考えておられるのか?」
鄧艾「夏侯玄殿と賈詡殿にそれぞれ10万を率いてもらい、俺自身も10万を率いて、華北から兗州北部の制圧を目指すのが良いかと考える。華北のように動揺すると思われた兗州に、そのようなそぶりは見えない。それどころか守りを固めて、我らの攻撃を予測している。なら、こちらも素早く動くべきでだろう」
賈詡「理にかなっているな。兗州の北部を制して、陳横の包囲を進める。鍾繇と鍾会であれば、司馬懿の居場所を知っているかも知れん。この男が全く使えない以上、敵のことは敵に聞くのが良い」
司馬昭「まぁ、俺は約束通り、この先に関しては、関わらない。父上の子供である以上、密告した今、ここには居づらいしな」
鄧艾「息災でな司馬昭殿」
司馬昭「鄧艾もな」
司馬昭は、鄧艾との約束を果たし、魏国を後にすることを決める。
鄧艾は、迅速に兵を動かしたのだが覚悟を決めた鍾繇の行動は早く、兗州北部の要所に兵を集め、時間稼がせることで華北の兵が陳留に到達するのを出来るだけ遅らせ、活路を見出そうと待ち受けていた。
一方鍾会は、10万の兵を連れて、曹操軍5万に匈奴兵5万を合わせた連合軍と雍丘の地にて激突。
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