えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。

揚惇命

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5章 天下統一

5年の月日が経過する(揚州北部編)

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 ここは、揚州北部、かつて袁術が治めていた土地で、その後を引き継いで、袁術の臣下だった紀霊。
 袁術の息子で劉備の養子となった袁燿へと引き継がれた。
 ここに、劉備の養子と重臣たちの子供の多くが配属されている。
 ここは豫州とも面しており、魏の領内と接していた。
 そう、許昌こそ手にすることはできたが未だ豫州の殆どが曹操の直轄領であり、これらに対して、劉備と曹操が交わした5年間の停戦によって、手出し無用の土地であった。
 その豫州と面している揚州北部は、支援ではなく兵力の増強が求められていたのである。
 そして、袁燿はそれらの多くを共にヨシカタ塾で過ごした一門や門弟たちと共に行いたいと考え、集めたのだ。

 公孫続「義兄弟から呼ばれるとは。俺もさぞかし有名に」

 公孫続、公孫瓚と侯姚の嫡男であり、侯姚が劉備の側室となったことで養子として迎え入れられた。

 袁燿「来てくれて嬉しいよ続兄」

 袁燿、袁術と馮方女の嫡男であり、馮方女が劉備の側室に迎え入れられる形で、劉備の養子となる。
 現、揚州北部太守。

 公孫続「お前に呼ばれて来ないわけにいかないだろ。何でも俺の移動を願い出たとか?」

 袁燿「そうなんだ。ここは、曹操の直轄領である豫州に面してる。青州を包囲するためにも曹操は間違いなくこの揚州北部も狙ってくるはずなんだ」

 公孫続「成程な。そのためには頼りになる義兄弟ってか」

 袁燿「話が早くて助かるよ。続兄は、白馬儀従を自在に運用できるようになったからって聞いたからね。それにかつて公孫瓚殿が敗れた麹義殿に弱点を教えてもらって、改良もしたって聞いたからね」

 公孫続「そうなんだよ。隙を無くするのには、ほんと苦労したぜ。でも麹義殿の指摘のお陰で、俺が率いる白馬儀従は最強だって自負してる。歩兵なら陳到殿の白毦兵。騎兵なら俺の白馬儀従ってな」

 袁燿「僕もそう聞いたから破壊力を求めて、続兄に来てもらったんだ」

 公孫続「成程な。要は義兄弟は、守りに入るつもりはないってことだな?」

 袁燿「うん。守りに入って、守れる程僕は強くない。それなら攻めに回って、少しでも先生の負担を減らしてあげたくてね」

 公孫続「先生か。その呼び方はなんだか昔を思い出して懐かしいな。俺たちがヨシカタ塾で学んでいたのは、もう20年も前になるんだな」

 袁燿「うん。毎年、どんどんと人が増えて、皆がそれぞれの分野で活躍してる。先生は、叔父としてだけじゃなくて、生き方を教えてくれた大事な人だ。病を患ってても尚、気丈に振る舞い、この国のために最前線に赴いてくれている。そんな叔父上の負担を少しでも」

 公孫続「もう良い義兄弟。俺も気持ちは同じだ。先生には感謝しても仕切れない。最期までこの国のために命を燃やすというのならその手伝いをする。それは、先生の塾に通ってた皆、同じ気持ちだろう。いや、アイツらは違うか」

 袁燿「アイツらって、あぁ。先生のことを辱めようとしてた張苞と関興と関索のこと?」

 公孫続「アイツらはマジで弟の風上にも置けねえクズだ」

 袁燿「ハハハ。益州に左遷されて、心境の変化でもあったのかな。先生の護衛を申し出て、共に青州に赴いたそうだよ」

 公孫続「アイツらが?そんなに簡単に性根は変わらねえと思うけどな」

 袁燿「いや、根はそこまで腐ってなかったんじゃないかな。要は、先生に嫉妬してたんじゃないかな。父を取られて悔しかったんだよきっと」

 公孫続「確かに関羽叔父上も張飛叔父上も熱心に協力は惜しまなかったもんな」

 そこに1人の男が入ってくる。

 ???「遅れてすまない。いきなり移動を命じられたもので。袁燿兄さん、公孫続兄さん」

 袁燿「羅憲、来てくれたんだね」

 羅憲「先生のためと言われて来ないわけにはいかない。父を亡くし塞ぎ込んで、やさぐれていた俺に優しく指導して、真人間にしてくれた大事な人だ」

 公孫続「お前の場合は、ませてただけだろ」

 羅憲「し、失敬な」

 袁燿「董白叔母。危ない危ない。董白姉さんの尻や胸を目で追って、よく先生に叱られてたよね」

 羅憲「アレは、その。母が恋しくて」

 公孫続「樊玉鳳殿に抱きついて、趙雲将軍に殴られたとか」

 羅憲「うっ」

 袁燿「ごめんごめん、いじめ過ぎたね」

 公孫続「悪かったって。女、紹介してやるから」

 羅憲「もうあの時とは違う」

 癒し系アイドルのような声が聞こえる。

 ???「兄さん、話は終わった?早く帰って、白馬儀従の訓練をしたいのだけれど」

 羅憲「ボン。キュッ。ボン。な、なんては、破廉恥な身体、、、じゃなくて、う、美しいんだ。好きです。一目惚れしました付き合ってください!」

 公孫続「いやいや、俺の妹はやめとけって、声は可愛いけどよ。根は暴れ馬だから」

 ???「兄さん。何か言った?あの、間違ってたらごめんなさい羅憲だよね?私たち初めてじゃないけど覚えてない?」

 羅憲「公孫続兄さんの妹!?凛風なのかい!?暫く見ない間に、とんでもないナイスバディーに」

 公孫凛風「ありがと。でもいきなり会った女性にそんなこと言ったらダメよ。引くから。羅憲もすっごく男前になったね。私も歳を取るわけね」

 羅憲「歳を取っただなんて、言わないでくれ。君はこんなに美しい。僕と付き合ってくれ!」

 公孫続「いやいやいや、認めねぇよ!」

 公孫凛風「兄さんは黙っててくれる?羅憲、付き合うのは無理よ」

 羅憲「そ、そんなぁ」

 公孫凛風「結婚なら良いけど」

 羅憲「へっ?ええええええ!?」

 公孫続「・・・・させねぇよ!」

 公孫凛風「兄さんの意見なんて求めてないんだけど?」

 羅憲「先生にも言われたじゃないか。女を口説くなら男らしく。男らしく。凛風、俺の嫁になってくれ!」

 公孫凛風「喜んで」

 公孫続「だから認めねぇよ!」

 袁燿「ハハハ。ここに呼んだ僕が恋のキューピットになるのかな?」

 呂姫「そうね。そうなるんじゃない。中々、話が終わらないから来てみれば」

 袁燿「呂姫!?ご、ごめん」

 呂姫「これからみんなで兵力を増強したり軍備を整えたりと忙しいんだから人手はいくらあっても足りないのよ。わかってる?」

 袁燿「はい」

 こうして、揚州北部は袁燿の元、兵力を増強し、軍備を整え、来るべく時のために着々と準備を進めたのであった。
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