えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。

揚惇命

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5章 天下統一

汝南攻略作戦(起)

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 汝南と弋陽を結ぶ魏の補給路では、羅憲が目を光らせていた。
 変装と変声が得意な仲間を潜り込ませ、問題なく兵糧の輸送を行い、少しづつ気付かれない程度に輸送する分を減らしていく。
 さらに虎熊よりもたらされた野犬の群れが多いという情報により、そのことが満寵らにバレることは無かった。

 輸送隊A「はぁ。かったりぃ。これが本日分だぜ」

 満寵「ありがとうございます」

 輸送隊B「だからお前という奴はだな。良い加減、言葉遣いというのをだな」

 輸送隊C「また、始まったっすよ先輩のネチネチ説教、もう聞き飽きたっす」

 蔣済「野犬の被害が相次いでいるとか」

 輸送隊B「はい。やはり森を通るルートは野犬の巣窟になっている状況でして。迂回ルートで公道を通れば、敵に見つかる可能性が高く。部下たちに偵察をさせ、野犬の少ない時を見計らい、届けているのが現状です」

 満寵「だから、不定期になってしまっているんですね。わかりました。こちらでもやりくりをしますので、引き続き輸送の方は宜しくお願いします」

 輸送隊B「かしこまりました。ほら、お前たちも頭を下げろ」

 輸送隊A「だっりぃ」

 輸送隊C「先輩だけで良いっしょ」

 輸送隊B「お前らなぁ。もう良い。それでは、失礼致します」

 輸送隊がその場を後にする。

 蔣済「満寵殿、流石に野犬の出没が多くなってきているかと」

 満寵「治安が悪くなると賊も現れるようになる。厄介な問題だ」

 満炳「火が。火が。うわぁぁぁぁぁぁ」

 蔣済「はぁ。満炳殿がモタモタしていたせいで、資源を奪われるとは、これでは向こうが何処で攻城兵器を作るかわかりませんな」

 満寵「こののんびり屋がここまで使えないとは思わなかった。我が満家の恥だ」

 蔣済「ですが、ある意味火を使っていたらこちらに燃え広がっていた可能性もある。向こうに資材を渡したのは痛手だが。これはこれで作戦に支障は無いのでは?」

 満寵「うむ。しかし、あの短時間で、資材を運び出すとは、敵の指揮官は余程状況判断が上手いようだ」

 蔣済「厄介ですな」

 その頃、羅憲は。

 羅憲「良し。後は、いつも取引している魏の商人の声帯模写はどうだ?」

 羅憲隊A「ようやく、覚えたと報告が」

 羅憲「良し。なら、もうここに長居する必要はない。汝南の攻略作戦を始めよう」

 輸送隊A「ようやく、このヤンチャ丸出しの声とおさらばできますよ」

 輸送隊B「俺も威厳のある声はもう懲り懲りです」

 輸送隊C「俺の方が年上なのに先輩呼びは辛かった」

 羅憲「お前たちの働き無くして、満寵を騙すことは不可能だった。さぁ、仕上げといこう!」

 羅憲の言葉で、魏の輸送隊に扮した面々が最後の取引へと向かう。

 魏の商人「ヒーッヒッヒッ。これが曹操様より渡すように頼まれた本日分ですよぉ。ヒッヒッヒ」

 輸送隊A「おい。なんか少なくねぇか?」

 魏の商人「ヒーッヒッヒッ。不作でしてなぁ。これが精一杯なんですよぉ~」

 魏の商人はこんな話し方だがチョロまかしたりする不真面目なやつではなく、本当に不作で、渡す分が少なくなってしまっているだけである。

 輸送隊B「それは良いことを聞いた。ここらが潮時だと思っていたのでな」

 魏の商人「ヒーッヒッヒッ。はいぃ!?な、何をしてるんでぇ?」

 輸送隊C「話し方は悪い奴なんすよよね。でも、良い奴なんで、殺すのはやめといてやるっす。暫く寝ててもらうっすけど」

 魏の商人「は、反乱はいけませんよぉ~。曹操様のため、尽くすと誓い合った仲じゃありませんかぁ~」

 そこで3人が変装を解いた。

 魏の商人「ヒッ。これは、いったいなんなんですぅ!?」

 輸送隊A「まぁ、こういうことだ。蜀漢のため汝南は奪わせてもらうぞ!」

 魏の商人「ヒィ!お、お助けぉ~。ゲフン」

 輸送隊B「倒れ方まで、悪役のようだな」

 輸送隊C「この喋り方で、曹操に重用されてるとかどうなんすかね」

 輸送隊A「人が良いんだろ。で、準備はできたか?」

 商人「ヒーッヒッヒッ。勿論、いつでもいけますよぉ~」

 輸送隊C「完璧っすね」

 商人は弋陽の代官に暫く兵糧は要らない旨を伝える。

 商人「ヒーッヒッヒッ。そうなんですよぉ~。どうやらだいぶ兵糧を節約していたみたいでしてねぇ~。曹操様の負担にならないように、暫く兵糧は要らないそうなんですよぉ~」

 弋陽の代官「そ、そうなのか。わかった(いつ聞いても気味の悪い話し方だ。曹操様も何故、こんなのを重用しておられるのか。だが正直、兵糧については、不作もあり送るのがきつくなってきたところだ。流石は満寵殿、こんなことまで見通して、節約されていたとは)」

 商人「それでは、伝えましたからねぇ~。これで失礼しますよぉ~。ヒーッヒッヒッ」

 弋陽の代官「あ、あぁ。わざわざ御苦労だった」

 この報告を聞いた羅憲は、この日のうちに野営を引き払い袁燿の元に戻る。

 袁燿「羅憲、よくやってくれたね」

 羅憲「はっ。これで、近いうちに汝南の兵糧は底をつくかと」

 公孫続「まぁ、あんな強い奴らが居たのは計算外だがよ。でも腹空かせりゃ。隙もできるだろ」

 呂姫「ようやくね。これで汝南の攻略準備は整ったんじゃない袁燿」

 袁燿「あぁ。全軍、これより進軍を開始する。目標は、汝南!何としても制するんだ!」

 袁燿兵たち「うおおおおおおおおおお!!!!」

 袁燿の兵糧攻めが決まった瞬間である。
 そう、満寵は最後の最後まで見抜けなかったのだ。
 これは満寵が無能ということではなく羅憲の部下の変装が完璧すぎたからである。
 兵糧が届かないことを不審に思った時には、すでに弋陽は、民たちに兵糧を分配した後であり、残り少ない兵糧で籠城という最悪な状態が出来上がっていたのである。
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