えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。

揚惇命

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5章 天下統一

どうする曹仁?

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 程なくして、下邳に曹仁の書簡を持った使者がやってきた。

 牛金「曹仁様の1の家来、牛金だ。この度は時間を作ってくれてありがとよ。これが曹仁様からの書簡だ。返事貰って来いって言われてるからよ。このまま待たせてもらうぜ」

 劉虎龍「ハハッ。てっきりお堅いのが来るかと身構えてたのにそういうノリで来てくれて安心しちゃったよ。僕が下邳を預かっている劉玄徳と芙蓉姫が次子、劉虎龍だよ~。うんうん。待っててね牛金さん。すぐに返事を書くからね~」

 牛金「あぁ(何だこの気の抜けたような奴は、こんな奴に曹洪様が負けたってのか?何かの冗談だろ?寧ろ、コイツ拉致した方が早いんじゃ)」

 劉虎龍「何だ、この書簡は、舐めてんのか!ゴラァ!身代金で3人を解放しろだ?随分と上から目線だなぁ。おい。テメェ、牛金つったか?曹洪の首、届けてやるから覚悟してろって帰って伝えろや!」

 牛金「(い、いきなり纏う雰囲気が変わった?これは武人のそれだ。見た目は文官なのにどこからこんな気迫が。って、何怯んでんだ俺。俺は、曹洪様と同じく曹操四天王として名が轟いている曹仁様の一の家来だぞ)人質に対しての正当な支払い方法だと思うが何が気に入らないんだ?」

 劉虎龍「人質だ?変な言い方してくれてんな。おい、一人連れて来い」

 臧覇「はっ」

 連れてこられたのは縛られてもいない曹休だった。

 劉虎龍「これ見て、人質って言えんのか?おい、どうなんだよ!」

 牛金「は、はぁ(何で、縛られてもいないのに曹休様は逃げないんだ?何がどうなって)」

 曹休「た、頼む。曹仁叔父上に、俺たちの身柄と引き換えに陳留を明け渡すように伝えてくれ。じゃないとコイツは本気だ。ここで、わかりましたって言わないと俺たち3人の首が曹仁叔父上の元に届けられることになる。まだ死にたくないんだ!頼む。頼むよ牛金!」

 牛金「見損ないましたよ曹休様!命乞いなんて、こんなの飲めるわけ無いでしょうが!」

 劉虎龍「飲む?何か勘違いしてないかお前?これは命令だ。陳留を明け渡すなら俺の奴隷を解放してやるってな」

 牛金「ど、奴隷だと!?貴様ーーーーー」

 牛金は刀を抜いて劉虎龍に斬りかかってしまった。
 そう見た目は文官だから行けると思ったのだ。
 ガキーンと受け止められた。

 劉虎龍「使者が刀を抜いたんだ覚悟できてんだろうな?」

 牛金「曹休様、何してるんです今の間に2人でコイツを」

 曹休「無理だ牛金。お前は、知らないんだコイツの恐ろしさを」

 牛金「アンタ、何処まで腑抜けになってんだよ」

 劉虎龍「おい、俺を無視するなんて随分余裕だな牛金」

 牛金「い、いつの間に!?」

 受け身の姿勢の牛金が吹っ飛ばされる。

 牛金「はっ?(嘘だろ。なんて馬鹿力だ。俺が数歩後ろに弾き飛ばされるなんて。コイツ、文官じゃ無いのか?)」

 劉虎龍「反射神経が良さそうだな。なら、これはどうだ?」

 牛金「待て待て待て(何だよアレ。何で偃月刀と矛を片手で振り回せるんだよ。どっちも両手で使うもんだろうが!張飛や関羽ですらきちんと両手で使ってるんだぞ。嘘だろ。コイツ、なんなんだよ)」

 劉虎龍「お前が先に剣を抜いたのに待てだと?ふざけるのも大概にしたらどうだ?曹仁は、こんな奴しか使者に送れないのか?文字通り死者にしてやろうか?」

 牛金は刀を弾き飛ばされ、器用に服を切り刻まれ、辱められた状態で土下座させられていた。

 牛金「使者の身分で、剣を抜いて逆らって申し訳ありませんでした。それなのに寛大にも許してくださり、ありがとうございます」

 劉虎龍「うんうん。分かれば良いんだよ牛金さん。で、陳留のこと明け渡してくれるのかな?」

 牛金「その一武将の身分で、判断することはできませんので、その曹仁様の元にこの話を持ち帰り後日」

 劉虎龍「はぁ。どうやら、まだ分かってないと見えるな?交渉をするのはこちらであってそちらでは無いと言ってるのだ。理解できぬか馬鹿は?」

 牛金「は、はぃぃぃぃ(怖い。怖すぎるだろコイツ)」

 劉虎龍「陳留を明け渡してくれるんだな。ありがと。じゃあ、曹仁さんに伝えてくれるかな?」

 牛金「はぃぃぃぃぃ」

 こうして、裸の牛金が曹仁の元に帰ってきた。

 曹仁「その姿はどうしたのだ牛金。こちらの要望は伝えたのであろうな?」

 牛金「申し訳ありません曹仁様。陳留を明け渡さないと明日には曹洪様たちの首が届けられます。交渉の権利はこちらにあってそちらには無いとこちらの提案は却下され、強引に結ばされてしまいました」

 陳宮「この馬鹿が!陳留を失って、どうやって兗州を守るというのだ!だから馬鹿を使者に立てるなど反対だったのだ!どうせ、その姿からして相手を怒らせたのだろう?」

 牛金「おっしゃる通りで」

 流石に今回ばかりは陳宮に悪態をつかれても何も言い返せない牛金。

 王双「だから1人ではなく2人でと(これが本当に牛金か?陳宮に言われても何も言い返せない。まるで毒気を抜かれてしまってるぞ?)」

 曹仁「分かった。もう良い下がれ。陳留を呂布に明け渡す。だが、向こうが本当に人質を返してくれるかわからん。その辺りはどうなんだ?」

 牛金「はい。曹仁様が白旗を掲げるのを合図に、人質と城の交換をしようとの事です」

 曹仁「分かった。満寵、お前たちはひと足先にここの兵を連れて、濮陽に向かうのだ。陳留を明け渡す以上、防衛できるのは濮陽を置いて、他にない」

 満寵「こうなった以上は仕方ないね。向こうが本当にそうしないとは限らない以上、曹洪殿たちを失うわけにはいかないからね」

 曹仁「あぁ。陳宮もそれで良いな?」

 陳宮「仕方ありませんなぁ。ですが次またこんなことがあったら身内贔屓ではなく、是非、俺に任せてもらいたいものです」

 曹仁「あぁ、分かった。この責任は全て俺にある。牛金も使者としての任、御苦労だった、ゆっくり休め」

 後日、曹仁と劉虎龍との間で、陳留と人質の交換がなされた。
 陳留には呂布が入り、濮陽と睨み合うこととなる。
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