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5章 天下統一
劉義賢の憂い
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鮑信の攻勢を凌ぎ切り、冬の期間に対する蜀漢と魏による停戦が結ばれて、兵たちに穏やかが訪れた冬が明けた頃、青州を囲んでいた魏の兵たちが次々と撤退を開始した。
関索「ヘッ。だから言ったじゃん叔父上。あれも全部計画の内だったんだって。郝昭がなんか準備してたのは知ってたし、だからまぁ于禁ってやつを脅かしてやっただけなんだって」
義賢「またその話か。言い訳ばかり、くどいと言ってるだろう」
関索「戦に勝ったんだからオールオッケーっしょ。もう水に流してくださいよ叔父上」
義賢「オールオッケーなわけがあるか!お前があんなことしなければ、敵の兵の損失は4万で済んでいたのかもしれないんだぞ!」
関索「叔父上、何言ってるんです?その言い方だとまるで攻めてきた相手に死んでほしくなかったように聞こえるっすよ?」
義賢「実際、そうだが何か問題でもあるか?戦になったとはいえ、彼らにも帰りを待つ家族が居たはずだ。悪戯に損失を出したことを喜ぶと?お前は俺の何を見てきたのだ!この愚か者が!」
関索「戦は勝ちこそが全て。負けたら全て失うのは当然っす。兄上たちよりも俺の方が男として優秀だから妻も4人いるんです」
義賢「・・・。ハァ。我が甥ながら馬鹿の相手は疲れる。なら聞くがお前は例えば戦に負けたとして、目の前で妻が陵辱されようが仕方ないと諦め切れるのだな?」
関索「いやいや、アイツらが敵に捕まることなんて」
義賢「最悪の事態を考えられないものは、最善を見出すことはできないと俺は考えるが。お前は、楽観的すぎて、全く話にならん」
関索「捕まらないことが最善です。捕まったら舌を噛んで死んでもらいますよ。情報が敵に渡るぐらいなら」
義賢「・・・。ハァ。ある意味似てるよ」
この時代、女子供は足手まといと見れば捨てられる時代。
現に兄上も何度も女を捨て、その度に曹操に保護されたと聞く。
保護された女のその後についてはわからないことが多いが曹操の妾になったものもいるだろう。
曹操も数多くの妾が居たと有名だからな。
そんな時代だ。
こういうところは、義兄弟の子供とはいえ兄上に似たのかもな。
まぁ、この世界ではそうなることすら俺が防いできたのだが。
いや、これも驕りか。
歳を取るのは嫌になる。
驕り高ぶり、我儘になり頑固にもなる。
だからこそまだ若いコイツにはもっと柔軟さを身につけてもらいたいのだがどうにも理解してもらえないようだ。
関索「敵が逃げ出したんで追撃して良いっすよね?良いっすよね?」
功を焦るガキかコイツは。
義賢「調子に乗るな!敵が大人しく退くと言うのなら見逃してやれ」
関索「な、何言ってるんですか叔父上!アイツらを逃がしたら別の戦場に行くだけっすよ。尻尾巻いて逃げるってなら追撃あるのみってことで」
義賢「待て、あの馬鹿は。何考えてんだ」
末っ子は自由奔放に育つってのは、万国共通なのか?
やれやれ。
一回痛い目に遭わすべきか?
いや、それで万が一にでも殺されるようなことがあれば雲長に申し訳が立たんか。
関索「郝昭!何で、城壁の罠が作動してるんだよ!これじゃ外に出られないじゃないか!」
郝昭「その声は関索かい?ごめんよ。どうやら敵襲だと勘違いした部下が咄嗟に作動させちまったみたいで。追撃は無理かな」
関索「せ、千載一遇のチャンスをみ、見逃せと言うのか。郝昭、すぐにこの罠を止めるんだ!」
郝昭「いや僕だって、止めたいのは山々なんだけど。関索は、僕にあれに近づいて止めろって言うのかい?」
関索「ぐぬぬ」
ん?
関索の奴、勢いよく飛び出して行ったのにまだ城門の前か?
立ち止まってどうした?
罠が作動している!?
何だかよくわからんが。
今回ばかりはナイスアシストだ。
義賢「お天道様も見逃せと言っているということだ」
関索「叔父上は何もわかってない!あの兵をミスミス逃したことを後悔する事になるんだからな!」
いや駄々っ子か。
プリプリ怒って、捨て台詞を吐いて、帰って行きよった。
郝昭「なんかすいません僕のせいで」
義賢「いや、よくやってくれた郝昭」
郝昭「でも、これ止まるのに6時間は。追撃を」
義賢「追撃はしない。逃げる敵の背を討つことを俺は好かないからな」
郝昭「気を遣って頂きありがとうございます。部下にはよーく言って聞かせておきます」
いや、別に気を遣っているわけではないが本心なんだが。
悪戯に人の命を奪うことを良しとする人間ではないのだが。
理解されないというのは辛いものだ。
義賢「俺も少し部屋で休む。何かあれば報告してくれ」
郝昭「はっ。畏まりました!」
そんなに身構えなくて良いのだが。
関索みたいに気さくに接してくれて構わないのだが。
にしても関索はこのままだといつか痛い目に遭いそうだ。
何か変わるきっかけでもあれば良いのだが。
王桃とかいう女は戦闘狂で、関索に寄り添うだろうし、花鬘は昔から関索のことしか目に入ってないから論外だ。
王悦とかいう女は冷静そうに見えるが姉の意見にはあまり逆らわないし。
鮑三娘もなんやかんや王桃と似たり寄ったりな考えだしな。
ハァ。
顔だけイケメンの何処が良いのか全くわからん。
王桃「関索から聞いたのだが太守よ追撃を制止したというのは本当か!」
ハァ。
来たよ。
関索親衛隊。
アイツの妻の1人だけど。
義賢「そうだが何か問題があるか?」
王桃「問題大有りだ!あれをミスミス逃すなど何を考えているのだ!」
義賢「無駄に命を奪う必要などない。彼らもこの国の民。兄上が守るべき民なのだからな。蜀漢の理念がわかっていない馬鹿に説教してやったら泣きついて、今度はお前が出てきたわけか」
王桃「な!?関索の言い分がもっともだったので苦情を言いに来ただけだ!フン」
言うだけ言って帰っていくなら文句を言いにくるなよ!
アァ。
何で、こんなに先行きを憂いなければいけないんだよぉぉぉぉぉ。
関索「ヘッ。だから言ったじゃん叔父上。あれも全部計画の内だったんだって。郝昭がなんか準備してたのは知ってたし、だからまぁ于禁ってやつを脅かしてやっただけなんだって」
義賢「またその話か。言い訳ばかり、くどいと言ってるだろう」
関索「戦に勝ったんだからオールオッケーっしょ。もう水に流してくださいよ叔父上」
義賢「オールオッケーなわけがあるか!お前があんなことしなければ、敵の兵の損失は4万で済んでいたのかもしれないんだぞ!」
関索「叔父上、何言ってるんです?その言い方だとまるで攻めてきた相手に死んでほしくなかったように聞こえるっすよ?」
義賢「実際、そうだが何か問題でもあるか?戦になったとはいえ、彼らにも帰りを待つ家族が居たはずだ。悪戯に損失を出したことを喜ぶと?お前は俺の何を見てきたのだ!この愚か者が!」
関索「戦は勝ちこそが全て。負けたら全て失うのは当然っす。兄上たちよりも俺の方が男として優秀だから妻も4人いるんです」
義賢「・・・。ハァ。我が甥ながら馬鹿の相手は疲れる。なら聞くがお前は例えば戦に負けたとして、目の前で妻が陵辱されようが仕方ないと諦め切れるのだな?」
関索「いやいや、アイツらが敵に捕まることなんて」
義賢「最悪の事態を考えられないものは、最善を見出すことはできないと俺は考えるが。お前は、楽観的すぎて、全く話にならん」
関索「捕まらないことが最善です。捕まったら舌を噛んで死んでもらいますよ。情報が敵に渡るぐらいなら」
義賢「・・・。ハァ。ある意味似てるよ」
この時代、女子供は足手まといと見れば捨てられる時代。
現に兄上も何度も女を捨て、その度に曹操に保護されたと聞く。
保護された女のその後についてはわからないことが多いが曹操の妾になったものもいるだろう。
曹操も数多くの妾が居たと有名だからな。
そんな時代だ。
こういうところは、義兄弟の子供とはいえ兄上に似たのかもな。
まぁ、この世界ではそうなることすら俺が防いできたのだが。
いや、これも驕りか。
歳を取るのは嫌になる。
驕り高ぶり、我儘になり頑固にもなる。
だからこそまだ若いコイツにはもっと柔軟さを身につけてもらいたいのだがどうにも理解してもらえないようだ。
関索「敵が逃げ出したんで追撃して良いっすよね?良いっすよね?」
功を焦るガキかコイツは。
義賢「調子に乗るな!敵が大人しく退くと言うのなら見逃してやれ」
関索「な、何言ってるんですか叔父上!アイツらを逃がしたら別の戦場に行くだけっすよ。尻尾巻いて逃げるってなら追撃あるのみってことで」
義賢「待て、あの馬鹿は。何考えてんだ」
末っ子は自由奔放に育つってのは、万国共通なのか?
やれやれ。
一回痛い目に遭わすべきか?
いや、それで万が一にでも殺されるようなことがあれば雲長に申し訳が立たんか。
関索「郝昭!何で、城壁の罠が作動してるんだよ!これじゃ外に出られないじゃないか!」
郝昭「その声は関索かい?ごめんよ。どうやら敵襲だと勘違いした部下が咄嗟に作動させちまったみたいで。追撃は無理かな」
関索「せ、千載一遇のチャンスをみ、見逃せと言うのか。郝昭、すぐにこの罠を止めるんだ!」
郝昭「いや僕だって、止めたいのは山々なんだけど。関索は、僕にあれに近づいて止めろって言うのかい?」
関索「ぐぬぬ」
ん?
関索の奴、勢いよく飛び出して行ったのにまだ城門の前か?
立ち止まってどうした?
罠が作動している!?
何だかよくわからんが。
今回ばかりはナイスアシストだ。
義賢「お天道様も見逃せと言っているということだ」
関索「叔父上は何もわかってない!あの兵をミスミス逃したことを後悔する事になるんだからな!」
いや駄々っ子か。
プリプリ怒って、捨て台詞を吐いて、帰って行きよった。
郝昭「なんかすいません僕のせいで」
義賢「いや、よくやってくれた郝昭」
郝昭「でも、これ止まるのに6時間は。追撃を」
義賢「追撃はしない。逃げる敵の背を討つことを俺は好かないからな」
郝昭「気を遣って頂きありがとうございます。部下にはよーく言って聞かせておきます」
いや、別に気を遣っているわけではないが本心なんだが。
悪戯に人の命を奪うことを良しとする人間ではないのだが。
理解されないというのは辛いものだ。
義賢「俺も少し部屋で休む。何かあれば報告してくれ」
郝昭「はっ。畏まりました!」
そんなに身構えなくて良いのだが。
関索みたいに気さくに接してくれて構わないのだが。
にしても関索はこのままだといつか痛い目に遭いそうだ。
何か変わるきっかけでもあれば良いのだが。
王桃とかいう女は戦闘狂で、関索に寄り添うだろうし、花鬘は昔から関索のことしか目に入ってないから論外だ。
王悦とかいう女は冷静そうに見えるが姉の意見にはあまり逆らわないし。
鮑三娘もなんやかんや王桃と似たり寄ったりな考えだしな。
ハァ。
顔だけイケメンの何処が良いのか全くわからん。
王桃「関索から聞いたのだが太守よ追撃を制止したというのは本当か!」
ハァ。
来たよ。
関索親衛隊。
アイツの妻の1人だけど。
義賢「そうだが何か問題があるか?」
王桃「問題大有りだ!あれをミスミス逃すなど何を考えているのだ!」
義賢「無駄に命を奪う必要などない。彼らもこの国の民。兄上が守るべき民なのだからな。蜀漢の理念がわかっていない馬鹿に説教してやったら泣きついて、今度はお前が出てきたわけか」
王桃「な!?関索の言い分がもっともだったので苦情を言いに来ただけだ!フン」
言うだけ言って帰っていくなら文句を言いにくるなよ!
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