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1章 第六天魔王、異世界に降り立つ
6話 ショアランド平原の戦い(前編)
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ガルディアン王国がマジカル王国の国境にあるショアランド平原へと大軍を差し向けた。
その数、30万、これに対して迎え撃つマジカル王国の兵数は15万、約2倍の戦力差があった。
しかし、これでも安心しないガルディアン王国の総統閣下を務めるバルルフォン・ガルディアンは、同盟国であるアイランド公国の王、ルードヴィッヒ14世にも出陣を要請した。
これに従い、アイランド公国の兵数10万がガルディアン王国側として参戦。
将軍の1人として、サブローの父、ロルフ・ハインリッヒも戦場へと向かうこととなる。
「ロルフ、また戦争なの?」
「マーガレット、すまない。だが、此度の戦いでガルディアン王国と共にマジカル王国に痛手を与えられれば、少しは安泰となろう」
「ロルフが行かなければならないの?なんだか嫌な予感がするのよ」
「マーガレット、大丈夫だ。死にそうになったら奴隷や士族を盾にして逃げてくるさ」
「絶対よ絶対に無事に帰ってきて」
「心配せずとも帰ってくるさ。マリー、サブローとマーガレットのことを任せたぞ」
「かしこまりました旦那様」
「レイヴァンド卿、貴様はまた留守番だ。サブローの面倒をしっかりと見るのだな」
「わかっています」
「フン。貴様の爵位など剥奪したいのだが貴族どもを敵に回したくないから見逃されているということを忘れるなよ」
「心に刻んでおきましょう」
「サブロー、父は戦場に行く。母のことをしっかり頼むぞ」
「父上、そう気にするでない。こちらのことは気にせずしっかりと務めを果たされるがよかろう」
「全く、大人びていて、我が子ながら末恐ろしいな。お前がいれば安心だ。では、行って参る」
こうしてロルフは、オダ郡から5000人の兵を率いて、アイランド公国の首都、ダルーカへと向けて出陣した。
その軍には、奴隷であるヤスも含まれていた。
サブローにとって、父が死のうが対して、心を痛めることはないがヤスを失うことは、どうにかしたかった。
戦力差は40万対15万、一見するとガルディアン側が有利に見える。
しかし、この世界の歴史書を片っ端から読んだサブローには、容易に想像できた。
此度も負けるのはガルディアン王国側だと。
かつてあった大戦のどれもが戦力差がある中、買ったのはマジカル王国なのである。
そこにサブローは、見たこともない魔法が関係しているのではないかと考えていた。
だからこそ、是非ともこの大戦を見たかったのである。
戦場がショアランド平原と聞いたサブローは、近くにある高い山に目をつけた。
この山の名をタタラサンという。
ここからなら戦場を見渡せるのではないか。いや、あの模擬戦の時の様に空から見ることができれば、マジカル王国の強さがわかるかもしれないと。
そう考えたサブローの行動は早かった。
護衛にロー、世話役にマリーを連れて、このタタラサンへとやってきたのである。
「ほぉ。これは良い。戦場が良く見えるではないか」
「若、参加したいと言われるかと思い冷や冷やしましたぞ」
「流石にワシも弁えておる」
「それは、失礼致した。しかし、戦場に興味を持たれることは良いこと。それにここなら戦果に巻き込まれることもなかろう」
「そうなったらロー爺、頼むぞ」
「承知した」
「あの~若様、私はマーガレット様のお世話も頼まれているんですよ。どうして、こんなところに」
「マリーよ。金平糖1週間分でどうじゃ?」
「10日分で手を打ちましょう」
「物分かりが良くて助かる」
「はっ!?また買収されてしまいました。うぅ。金平糖のせいです。あんなに甘い食べ物があるなんて。憎い金平糖が憎い。うぅ」
「マリー、諦めよ。若は言い出したら止められん」
「うぅ。金平糖なんて、この世から消えちゃえ。いや消えないで~」
「ロー爺、こうなっては、マリーの耳には何も入らん」
「ですな」
マジカル王国側の兵の陣容は、歩兵5万・魔法兵10万といったところか。
対するガルディアン王国側の陣容は、歩兵5万・騎兵22万・弓兵2万とあれはなんじゃ?
「ロー爺よ。ガルディアン王国のあの機械みたいなのはなんじゃ?」
「あれは、バリスタとカタパルトですな」
「バリスタとカタパルトとはなんじゃ?」
「バリスタとは、普通の弓と違い大きな矢を射出するための兵器で、カタパルトとは、投擲兵器ですな。多くは石を投げますが、ガルディアン王国では、大型の爆弾を投擲したりもしますな。魔法兵にはあまり意味をなしませんがな」
「ふむ。大型の矢と投擲兵器とな」
実に興味深いものじゃ。
運用次第ではどちらも意味をなさないということはあるまい。
だがロー爺がこう言うからには、意味をなさない理由があるのじゃろう。
その辺りは、マジカル王国の魔法兵と実際に戦っているところを見なければわからんな。
「若、ちなみにガルディアン王国の騎兵はカタフラクトといい。複数の武器と重装甲で固めた騎兵で精鋭部隊ですぞ。魔法兵に対しても一定の戦果はあげております。まぁ10人倒れるまでに1人の魔法兵を倒せるかどうかといったところですがな」
「ロー爺、教えてくれて助かるぞ」
ここにアイランド公国の弓兵7万と歩兵3万が加わるわけじゃな。
普通に考えれば、どう考えても40万の兵数を率いるガルディアン側有利じゃ。
ワシなら、そうじゃな。かつて、圧倒的兵力で、尾張に侵攻してきた今川義元を討った時のように総大将一点狙いの奇襲を画策するが。
確かに資料を見る限り、マジカル王国は大軍を相手取る時ほど負け知らずではあるな。
普通、歴史から学ぶものじゃと思うが此度もガルディアン王国は、兵数を集めての力攻めの様相じゃ。
ここまで頑ななのは、如何なものかと思うが。
変えられぬのだろうな。
兵数は何よりも力じゃからな。
そろそろ始まるようじゃな。
ヤスは、やはり最前線か。
死んでくれるなよ。
お主程の忠義者で武勇のある者は得難いのじゃからな。
その数、30万、これに対して迎え撃つマジカル王国の兵数は15万、約2倍の戦力差があった。
しかし、これでも安心しないガルディアン王国の総統閣下を務めるバルルフォン・ガルディアンは、同盟国であるアイランド公国の王、ルードヴィッヒ14世にも出陣を要請した。
これに従い、アイランド公国の兵数10万がガルディアン王国側として参戦。
将軍の1人として、サブローの父、ロルフ・ハインリッヒも戦場へと向かうこととなる。
「ロルフ、また戦争なの?」
「マーガレット、すまない。だが、此度の戦いでガルディアン王国と共にマジカル王国に痛手を与えられれば、少しは安泰となろう」
「ロルフが行かなければならないの?なんだか嫌な予感がするのよ」
「マーガレット、大丈夫だ。死にそうになったら奴隷や士族を盾にして逃げてくるさ」
「絶対よ絶対に無事に帰ってきて」
「心配せずとも帰ってくるさ。マリー、サブローとマーガレットのことを任せたぞ」
「かしこまりました旦那様」
「レイヴァンド卿、貴様はまた留守番だ。サブローの面倒をしっかりと見るのだな」
「わかっています」
「フン。貴様の爵位など剥奪したいのだが貴族どもを敵に回したくないから見逃されているということを忘れるなよ」
「心に刻んでおきましょう」
「サブロー、父は戦場に行く。母のことをしっかり頼むぞ」
「父上、そう気にするでない。こちらのことは気にせずしっかりと務めを果たされるがよかろう」
「全く、大人びていて、我が子ながら末恐ろしいな。お前がいれば安心だ。では、行って参る」
こうしてロルフは、オダ郡から5000人の兵を率いて、アイランド公国の首都、ダルーカへと向けて出陣した。
その軍には、奴隷であるヤスも含まれていた。
サブローにとって、父が死のうが対して、心を痛めることはないがヤスを失うことは、どうにかしたかった。
戦力差は40万対15万、一見するとガルディアン側が有利に見える。
しかし、この世界の歴史書を片っ端から読んだサブローには、容易に想像できた。
此度も負けるのはガルディアン王国側だと。
かつてあった大戦のどれもが戦力差がある中、買ったのはマジカル王国なのである。
そこにサブローは、見たこともない魔法が関係しているのではないかと考えていた。
だからこそ、是非ともこの大戦を見たかったのである。
戦場がショアランド平原と聞いたサブローは、近くにある高い山に目をつけた。
この山の名をタタラサンという。
ここからなら戦場を見渡せるのではないか。いや、あの模擬戦の時の様に空から見ることができれば、マジカル王国の強さがわかるかもしれないと。
そう考えたサブローの行動は早かった。
護衛にロー、世話役にマリーを連れて、このタタラサンへとやってきたのである。
「ほぉ。これは良い。戦場が良く見えるではないか」
「若、参加したいと言われるかと思い冷や冷やしましたぞ」
「流石にワシも弁えておる」
「それは、失礼致した。しかし、戦場に興味を持たれることは良いこと。それにここなら戦果に巻き込まれることもなかろう」
「そうなったらロー爺、頼むぞ」
「承知した」
「あの~若様、私はマーガレット様のお世話も頼まれているんですよ。どうして、こんなところに」
「マリーよ。金平糖1週間分でどうじゃ?」
「10日分で手を打ちましょう」
「物分かりが良くて助かる」
「はっ!?また買収されてしまいました。うぅ。金平糖のせいです。あんなに甘い食べ物があるなんて。憎い金平糖が憎い。うぅ」
「マリー、諦めよ。若は言い出したら止められん」
「うぅ。金平糖なんて、この世から消えちゃえ。いや消えないで~」
「ロー爺、こうなっては、マリーの耳には何も入らん」
「ですな」
マジカル王国側の兵の陣容は、歩兵5万・魔法兵10万といったところか。
対するガルディアン王国側の陣容は、歩兵5万・騎兵22万・弓兵2万とあれはなんじゃ?
「ロー爺よ。ガルディアン王国のあの機械みたいなのはなんじゃ?」
「あれは、バリスタとカタパルトですな」
「バリスタとカタパルトとはなんじゃ?」
「バリスタとは、普通の弓と違い大きな矢を射出するための兵器で、カタパルトとは、投擲兵器ですな。多くは石を投げますが、ガルディアン王国では、大型の爆弾を投擲したりもしますな。魔法兵にはあまり意味をなしませんがな」
「ふむ。大型の矢と投擲兵器とな」
実に興味深いものじゃ。
運用次第ではどちらも意味をなさないということはあるまい。
だがロー爺がこう言うからには、意味をなさない理由があるのじゃろう。
その辺りは、マジカル王国の魔法兵と実際に戦っているところを見なければわからんな。
「若、ちなみにガルディアン王国の騎兵はカタフラクトといい。複数の武器と重装甲で固めた騎兵で精鋭部隊ですぞ。魔法兵に対しても一定の戦果はあげております。まぁ10人倒れるまでに1人の魔法兵を倒せるかどうかといったところですがな」
「ロー爺、教えてくれて助かるぞ」
ここにアイランド公国の弓兵7万と歩兵3万が加わるわけじゃな。
普通に考えれば、どう考えても40万の兵数を率いるガルディアン側有利じゃ。
ワシなら、そうじゃな。かつて、圧倒的兵力で、尾張に侵攻してきた今川義元を討った時のように総大将一点狙いの奇襲を画策するが。
確かに資料を見る限り、マジカル王国は大軍を相手取る時ほど負け知らずではあるな。
普通、歴史から学ぶものじゃと思うが此度もガルディアン王国は、兵数を集めての力攻めの様相じゃ。
ここまで頑ななのは、如何なものかと思うが。
変えられぬのだろうな。
兵数は何よりも力じゃからな。
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ヤスは、やはり最前線か。
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