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2章 オダ郡を一つにまとめる
63話 3日目の祭りの朝
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祭り会場となっている広場には、多くの人が集まっていた。
「今日は、どうやって俺たちをワクワクさせてくれんだろうな新しい領主様はよ」
「1日目の時のように男たちが身体をぶつけ合う姿が見たいですわ」
「全く、ロルフ様の頃は考えられなかったよな。こんなお祭りが開かれることもなかったし、それなのにロルフ祭だなんて、名前を付ける当たり、領主様も父を失って、辛いんだろうな。きっと」
「私たちにとって、最悪の領主だったとしても新らしい領主様にとっては、大事な父親だものね」
その言葉を聞いて、横綱のポンチョがサブロー・ハインリッヒの気持ちを慮る。
「おいどんは、サブロー様自身が受けた悲しい気持ちを皆に背負わさないために頑張っているのだと思うでごわす」
その背を追って、セル・マーケットが姿を現す。
「待ってくださいよ師匠~。ハァハァハァ。あれだけ食べて動けるとかどんな身体してるんですか」
祭りで活躍したスター選手2人の登場に領民が沸く。
「横綱さんに、我らが希望の星、セルじゃねぇか!今日も活躍を期待してるぜ!」
「キャー。セルく~ん、昨日はありがとね~。今日もお店に会いにキ・テ・ネ」
黄色い声援を受けて、セル・マーケットは、顔を真っ赤にして取り乱す。
「あわわ。師匠が変なお店に連れて行くから」
「おいどんは、オルテガに誘われただけでごわす。それにしても女子の身体、気持ち良かったでごわす」
オルテガと呼ばれた筋肉隆々の男は、ドヤ顔で一言言う。
「セルも良いものだったろ?」
「オルテガさん、打ち上げに連れてってやるって、まさかその女性とあぁいうことするお店だと思わないじゃないですか!恥ずかしさでずっと固まってましたよ僕!」
「オルテガがセル君を連れてくるっていうから急遽、あの娘も呼んだのよ。本来は予約しても埋まってて無理なんですからね。で、どうでしたか?当店のNo. 1は?」
「あっリリアーナさん。あの。その。気持ち良くて、夢現のまま、勢いに押されて、デートの約束を」
「まぁ!?そうなのね。でもそうなると身請け金はいくらになるかしら?」
「身請け金!?」
「こういう言い方するのは、あれだけど。セル君は、あの娘が大多数の人の物で良いの?」
「それは。あの。その。嫌かもしれないです」
「ならオルテガが私の身請け金を支払ったようにするしかないわよ」
「ゴホッ。ゴホッ。こんなところで何を言ってるんだリリアーナちゃん!?」
「オルテガさん、支払ったんですか?」
「あぁ。まぁ。その。なんだ。リリアーナちゃんも昨日、的当てで頑張ってたろ。領主様の護衛の眼鏡のねぇちゃんにスカウトされると思ってな。後腐れ無くしたんだよ。ってのは建前だな。好きな女が他人にもう抱かれんのが嫌なんだよ。一筋なんだ俺は」
「私が出勤していない時には、何もしなくて帰ったらしいものね」
そう言いながら嬉しそうにクスクスと笑うリリアーナ。
「おっ。おい。リリアーナちゃん、そういうこと言うんじゃねぇよ。恥ずかしくなるだろうがよ」
照れて頭を掻くオルテガ。
「オルテガさんって、あんな店に強引に連れて行くのに」
「やめろやめろ。昨日が俺の風俗納めだったわけよ。んで、まぁ新しい客をその。な」
「オルテガさん、僕と師匠を巻き込んだんですか!?酷すぎますよ!」
「気持ちいい経験できたんだから良いだろうが!」
「おいどんはオルテガに感謝してるでごわすよ。ごっつぁんでごわす。女子のきめやかな柔肌、包み込まれる安心感。母性を感じ、赤ちゃんになったみたいに楽しんだでごわす」
「貴方たちみたいに、女性に気遣う人は少ないからいつでも歓迎じゃないかしら。まぁ新しい領主様になってからあの強面の人たちが乱暴を働くような奴は追い出してくれるようになったけどね」
「あの人たち、何なんですか?傷だらけで、めちゃくちゃ怖かったですよ」
「傷を負って、もう兵士として働けなくなった元戦争奴隷。いえ、この国の功労者のおじさんたちよ。新しい領主様が仕事の斡旋をして、オーナーが快く迎え入れたの。あぁやって睨みを効かせるだけでも効力があるだろうってね。その効果は絶大だから女の子たちも助かってるのよ」
「わかります。終わりに笑顔でまたきてくださいって言われた時は、悪い人じゃないんだろうなって、でもめちゃくちゃ怖かったですよ。少し、ちびりましたし」
「アハハ。祭りの英雄も強面のおじさんたちに敵わなかったか。初めてのお客様には、特に目を光らせてるからね。怖い思いをさせて、ごめんなさいね」
「いえ。あっ壇上にサブロー様が」
「ほんとね。始まるのね3日目が。2日目と同様に女性でも参加できるものだと良いのだけれど。1日目は、参加できそうになかったから」
「上半身裸で女性が取っ組み合いしてたら、変な感じで、男どもが熱狂しそうですね」
「あら。意外とエッチね。セル君」
「あっ。そういう意味では。でも、そうですね。昨日の的当てを見て、思いました。女性でもこの国を守りたいって、思う人がいて、戦える力があるのに女性だからと敬遠されては、ダメだって」
「えぇ。新しい領主様は、本当に色んなところに目を向けられる素晴らしい当主様だと思うわ」
「まぁ、俺は男が外に出て、女は家でってのも悪くねぇと思うけどな。戦場で、妻が死んだって聞かされることほど嫌なことねぇだろ」
オルテガの言葉にリリアーナが最もな言葉で返す。
「それはお互い様だと思うわ」
「そっか。そうだよな。そこに違いなんかねぇよな」
「えぇ。だから死なないでねオルテガ」
「お前もな。リリアーナ」
「始まるでごわすよ」
サブロー・ハインリッヒが壇上に上がり、3日目の祭りの挨拶を始めるのだった。
「今日は、どうやって俺たちをワクワクさせてくれんだろうな新しい領主様はよ」
「1日目の時のように男たちが身体をぶつけ合う姿が見たいですわ」
「全く、ロルフ様の頃は考えられなかったよな。こんなお祭りが開かれることもなかったし、それなのにロルフ祭だなんて、名前を付ける当たり、領主様も父を失って、辛いんだろうな。きっと」
「私たちにとって、最悪の領主だったとしても新らしい領主様にとっては、大事な父親だものね」
その言葉を聞いて、横綱のポンチョがサブロー・ハインリッヒの気持ちを慮る。
「おいどんは、サブロー様自身が受けた悲しい気持ちを皆に背負わさないために頑張っているのだと思うでごわす」
その背を追って、セル・マーケットが姿を現す。
「待ってくださいよ師匠~。ハァハァハァ。あれだけ食べて動けるとかどんな身体してるんですか」
祭りで活躍したスター選手2人の登場に領民が沸く。
「横綱さんに、我らが希望の星、セルじゃねぇか!今日も活躍を期待してるぜ!」
「キャー。セルく~ん、昨日はありがとね~。今日もお店に会いにキ・テ・ネ」
黄色い声援を受けて、セル・マーケットは、顔を真っ赤にして取り乱す。
「あわわ。師匠が変なお店に連れて行くから」
「おいどんは、オルテガに誘われただけでごわす。それにしても女子の身体、気持ち良かったでごわす」
オルテガと呼ばれた筋肉隆々の男は、ドヤ顔で一言言う。
「セルも良いものだったろ?」
「オルテガさん、打ち上げに連れてってやるって、まさかその女性とあぁいうことするお店だと思わないじゃないですか!恥ずかしさでずっと固まってましたよ僕!」
「オルテガがセル君を連れてくるっていうから急遽、あの娘も呼んだのよ。本来は予約しても埋まってて無理なんですからね。で、どうでしたか?当店のNo. 1は?」
「あっリリアーナさん。あの。その。気持ち良くて、夢現のまま、勢いに押されて、デートの約束を」
「まぁ!?そうなのね。でもそうなると身請け金はいくらになるかしら?」
「身請け金!?」
「こういう言い方するのは、あれだけど。セル君は、あの娘が大多数の人の物で良いの?」
「それは。あの。その。嫌かもしれないです」
「ならオルテガが私の身請け金を支払ったようにするしかないわよ」
「ゴホッ。ゴホッ。こんなところで何を言ってるんだリリアーナちゃん!?」
「オルテガさん、支払ったんですか?」
「あぁ。まぁ。その。なんだ。リリアーナちゃんも昨日、的当てで頑張ってたろ。領主様の護衛の眼鏡のねぇちゃんにスカウトされると思ってな。後腐れ無くしたんだよ。ってのは建前だな。好きな女が他人にもう抱かれんのが嫌なんだよ。一筋なんだ俺は」
「私が出勤していない時には、何もしなくて帰ったらしいものね」
そう言いながら嬉しそうにクスクスと笑うリリアーナ。
「おっ。おい。リリアーナちゃん、そういうこと言うんじゃねぇよ。恥ずかしくなるだろうがよ」
照れて頭を掻くオルテガ。
「オルテガさんって、あんな店に強引に連れて行くのに」
「やめろやめろ。昨日が俺の風俗納めだったわけよ。んで、まぁ新しい客をその。な」
「オルテガさん、僕と師匠を巻き込んだんですか!?酷すぎますよ!」
「気持ちいい経験できたんだから良いだろうが!」
「おいどんはオルテガに感謝してるでごわすよ。ごっつぁんでごわす。女子のきめやかな柔肌、包み込まれる安心感。母性を感じ、赤ちゃんになったみたいに楽しんだでごわす」
「貴方たちみたいに、女性に気遣う人は少ないからいつでも歓迎じゃないかしら。まぁ新しい領主様になってからあの強面の人たちが乱暴を働くような奴は追い出してくれるようになったけどね」
「あの人たち、何なんですか?傷だらけで、めちゃくちゃ怖かったですよ」
「傷を負って、もう兵士として働けなくなった元戦争奴隷。いえ、この国の功労者のおじさんたちよ。新しい領主様が仕事の斡旋をして、オーナーが快く迎え入れたの。あぁやって睨みを効かせるだけでも効力があるだろうってね。その効果は絶大だから女の子たちも助かってるのよ」
「わかります。終わりに笑顔でまたきてくださいって言われた時は、悪い人じゃないんだろうなって、でもめちゃくちゃ怖かったですよ。少し、ちびりましたし」
「アハハ。祭りの英雄も強面のおじさんたちに敵わなかったか。初めてのお客様には、特に目を光らせてるからね。怖い思いをさせて、ごめんなさいね」
「いえ。あっ壇上にサブロー様が」
「ほんとね。始まるのね3日目が。2日目と同様に女性でも参加できるものだと良いのだけれど。1日目は、参加できそうになかったから」
「上半身裸で女性が取っ組み合いしてたら、変な感じで、男どもが熱狂しそうですね」
「あら。意外とエッチね。セル君」
「あっ。そういう意味では。でも、そうですね。昨日の的当てを見て、思いました。女性でもこの国を守りたいって、思う人がいて、戦える力があるのに女性だからと敬遠されては、ダメだって」
「えぇ。新しい領主様は、本当に色んなところに目を向けられる素晴らしい当主様だと思うわ」
「まぁ、俺は男が外に出て、女は家でってのも悪くねぇと思うけどな。戦場で、妻が死んだって聞かされることほど嫌なことねぇだろ」
オルテガの言葉にリリアーナが最もな言葉で返す。
「それはお互い様だと思うわ」
「そっか。そうだよな。そこに違いなんかねぇよな」
「えぇ。だから死なないでねオルテガ」
「お前もな。リリアーナ」
「始まるでごわすよ」
サブロー・ハインリッヒが壇上に上がり、3日目の祭りの挨拶を始めるのだった。
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