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2章 オダ郡を一つにまとめる
136話 ルルーニ・カイロ
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バッカス卿だけでなくレイヴァンド卿も配するとはやりますね。
これならアヅチキャッスルに籠る反乱貴族たちもサブロー様がいる後方のキャッスルに攻め寄せるでしょう。
残るは、マーガレット様のいるスエモリキャッスルのみとなり、そちらに逃げようとするでしょうが既に我が策で、スエモリキャッスルにはサブロー様の旗を掲げています。
絶望した反乱貴族たちは、自死を選ぶことでしょう。
内乱もあと少しですよ。
さて、私も私の務めを果たすとしましょう。
「ハインリッヒ卿は、マーガレット様によって敗走させられ後方のキャッスルに立て篭もった。ここが勝機!サブロー・ハインリッヒの首を取り、内乱を終わらせるのは、我らカイロ家である。全軍、進め」
ルルーニ・カイロが眼前にワシヅ砦を捉えた時、伝令が駆け付ける。
「報告します!後方にて、妙な仮面とマスクで顔した謎の男により、物資に被害が」
ここにサブロー様は居ないはず。
しかし、的確に物資を潰しに来るとは、やりますね。
相当やり手の軍師が居るようですね。
成程、連合軍を追い返したのもその軍師の策でしょうか?
本当に、オダにはまだこれ程の人材が眠っていたとは、サブロー様の人材発掘力には脱帽ですよ。
やれやれ、その軍師にこちらの意図が伝わっていると良いのですが。
「如何なさいますか?一度、退却なさいますか?」
「退却はしません。物資に関しては、奪われたのなら後方の城を落とすことで奪い返せば良いだけのことです。速攻で落とします」
「その。カイロ卿の能力を疑うわけではありませんが、物資に被害が出たのなら後方に下がり、アヅチキャッスルと連携を図るのが良いかと」
「いえ、その必要はありません。ここまで籠るだけで動かなかったステイシー卿に手柄を挙げさせて、良い顔されるのも癪です」
「承知しました」
さらに後方から伝令が走ってくる。
「報告します。後方の指揮を取っていたイヌ卿、討ち死に。下手人は、謎の仮面とマスクで覆われた手練の槍使いです」
「槍使い?それは本当ですか?」
まさかロマーニがイヌ卿の暗殺を?
サブロー様は刀。
レイヴァンド卿は、ハルバード。
槍の相当な使い手は、ロマーニをおいて、サブロー様の元に居ないはず。
しかし、ロマーニまで使いこなすとは。
サブロー様に祭りに招待された日のことを思い出しますよ。
祭りの参加者として、実の弟が参加していたのですから。
確かに好いている行方不明の女性を探すには、サブロー様の元が良いとは思いましたが。
一瞬、私の驚いた姿を見て、サブロー様が訝しんでいたので、弟だと気付かれていないと良いのですが。
「カイロ卿、どうなさいますか?手練れなら打ち取るべきかと思いますが」
「いえ。このまま進みます」
「何故ですか!?」
「イヌ卿を打ち取ることで戻るのが敵の狙いでしょうから。それを逆手に取り、キャッスルを強襲します」
「そういうことでしたら従いますが」
こうして、ルルーニ・カイロはワシヅ砦へと辿り着いた。
「ワシの名はテキーラ・バッカス!ゾロゾロとワシの守るワシヅフォートに何用か!」
成程、ここはキャッスルではなくワシヅフォートというのですか。
それにしても守将にバッカス卿を置くとは、やりますね。
普段は、奴隷と貴族と一線を引く御方ですが戦場においては、分け隔てなく酒を振る舞う豪快な御方と聞いています。
夜通し酒を喰らうことから付いた渾名が大酒飲みのバッカス卿。
部隊の士気を高めるのにこれ程の人は居ないでしょう。
連合軍が攻めあぐねたのもわかりますね。
相手の名乗りを受けたのです。
こちらも返さないとね。
「知れたことです。ガロリング卿の仇を取りに来ました。大人しくサブロー・ハインリッヒを渡すのなら他の者には手を出さないと約束しましょう」
「殿を渡せとは大きく出たものだな。殿は疲れて眠っておられる!その御身を守るのがワシの役目。かかってくるが良い反乱軍ども!」
ここまでは順調ですね。
あとは、私がやられたフリをして、この場に倒れるだけ。
また、この手で申し訳ありませんが足にナイフを突き刺して、毒矢を受けたと思わせましょう。
「うぐっ。ハァハァハァ。突然眩暈が。もう立っていられ、な、い」
倒れた私を見て兵士が寄ってくる。
その兵士は、兵士のフリをした私の側近で、名をテクノ・ポッパーという騎士爵の青年である。
そのテクノが卑怯者だと徹底的に相手を罵る。
だが勿論、相手は何もしていない。
ここで乗ってくれば、私の作戦は一応は成功だ。
その後はやってくるステイシー卿に最後の言葉を付けて、反乱貴族が全滅するように焚き付けるだけ。
私はテクノと作戦の成功を密かに祝うと、テクノに強引に引き摺られながら、後方へと下がる。
「ルルーニ様を強引に引き摺り回すなど大変申し訳ないことを致しました」
「テクノ、構いませんよ。お陰で、傷がたくさん増えました。これなら戦って、やられたとステイシー卿も思うでしょう」
「いよいよルルーニ様の悲願が成就するのですね」
「えぇ。さぁ、後はのんびりと待つとしましょう」
「はい」
今頃、サブロー様はアヅチキャッスルを落としているでしょう。
その勢いのまま誰もいなくなった重要拠点のマーガレット様が奪ったキャッスルも落ち、逃げ場を無くしたステイシー卿も最期の時を迎えるでしょう。
これならアヅチキャッスルに籠る反乱貴族たちもサブロー様がいる後方のキャッスルに攻め寄せるでしょう。
残るは、マーガレット様のいるスエモリキャッスルのみとなり、そちらに逃げようとするでしょうが既に我が策で、スエモリキャッスルにはサブロー様の旗を掲げています。
絶望した反乱貴族たちは、自死を選ぶことでしょう。
内乱もあと少しですよ。
さて、私も私の務めを果たすとしましょう。
「ハインリッヒ卿は、マーガレット様によって敗走させられ後方のキャッスルに立て篭もった。ここが勝機!サブロー・ハインリッヒの首を取り、内乱を終わらせるのは、我らカイロ家である。全軍、進め」
ルルーニ・カイロが眼前にワシヅ砦を捉えた時、伝令が駆け付ける。
「報告します!後方にて、妙な仮面とマスクで顔した謎の男により、物資に被害が」
ここにサブロー様は居ないはず。
しかし、的確に物資を潰しに来るとは、やりますね。
相当やり手の軍師が居るようですね。
成程、連合軍を追い返したのもその軍師の策でしょうか?
本当に、オダにはまだこれ程の人材が眠っていたとは、サブロー様の人材発掘力には脱帽ですよ。
やれやれ、その軍師にこちらの意図が伝わっていると良いのですが。
「如何なさいますか?一度、退却なさいますか?」
「退却はしません。物資に関しては、奪われたのなら後方の城を落とすことで奪い返せば良いだけのことです。速攻で落とします」
「その。カイロ卿の能力を疑うわけではありませんが、物資に被害が出たのなら後方に下がり、アヅチキャッスルと連携を図るのが良いかと」
「いえ、その必要はありません。ここまで籠るだけで動かなかったステイシー卿に手柄を挙げさせて、良い顔されるのも癪です」
「承知しました」
さらに後方から伝令が走ってくる。
「報告します。後方の指揮を取っていたイヌ卿、討ち死に。下手人は、謎の仮面とマスクで覆われた手練の槍使いです」
「槍使い?それは本当ですか?」
まさかロマーニがイヌ卿の暗殺を?
サブロー様は刀。
レイヴァンド卿は、ハルバード。
槍の相当な使い手は、ロマーニをおいて、サブロー様の元に居ないはず。
しかし、ロマーニまで使いこなすとは。
サブロー様に祭りに招待された日のことを思い出しますよ。
祭りの参加者として、実の弟が参加していたのですから。
確かに好いている行方不明の女性を探すには、サブロー様の元が良いとは思いましたが。
一瞬、私の驚いた姿を見て、サブロー様が訝しんでいたので、弟だと気付かれていないと良いのですが。
「カイロ卿、どうなさいますか?手練れなら打ち取るべきかと思いますが」
「いえ。このまま進みます」
「何故ですか!?」
「イヌ卿を打ち取ることで戻るのが敵の狙いでしょうから。それを逆手に取り、キャッスルを強襲します」
「そういうことでしたら従いますが」
こうして、ルルーニ・カイロはワシヅ砦へと辿り着いた。
「ワシの名はテキーラ・バッカス!ゾロゾロとワシの守るワシヅフォートに何用か!」
成程、ここはキャッスルではなくワシヅフォートというのですか。
それにしても守将にバッカス卿を置くとは、やりますね。
普段は、奴隷と貴族と一線を引く御方ですが戦場においては、分け隔てなく酒を振る舞う豪快な御方と聞いています。
夜通し酒を喰らうことから付いた渾名が大酒飲みのバッカス卿。
部隊の士気を高めるのにこれ程の人は居ないでしょう。
連合軍が攻めあぐねたのもわかりますね。
相手の名乗りを受けたのです。
こちらも返さないとね。
「知れたことです。ガロリング卿の仇を取りに来ました。大人しくサブロー・ハインリッヒを渡すのなら他の者には手を出さないと約束しましょう」
「殿を渡せとは大きく出たものだな。殿は疲れて眠っておられる!その御身を守るのがワシの役目。かかってくるが良い反乱軍ども!」
ここまでは順調ですね。
あとは、私がやられたフリをして、この場に倒れるだけ。
また、この手で申し訳ありませんが足にナイフを突き刺して、毒矢を受けたと思わせましょう。
「うぐっ。ハァハァハァ。突然眩暈が。もう立っていられ、な、い」
倒れた私を見て兵士が寄ってくる。
その兵士は、兵士のフリをした私の側近で、名をテクノ・ポッパーという騎士爵の青年である。
そのテクノが卑怯者だと徹底的に相手を罵る。
だが勿論、相手は何もしていない。
ここで乗ってくれば、私の作戦は一応は成功だ。
その後はやってくるステイシー卿に最後の言葉を付けて、反乱貴族が全滅するように焚き付けるだけ。
私はテクノと作戦の成功を密かに祝うと、テクノに強引に引き摺られながら、後方へと下がる。
「ルルーニ様を強引に引き摺り回すなど大変申し訳ないことを致しました」
「テクノ、構いませんよ。お陰で、傷がたくさん増えました。これなら戦って、やられたとステイシー卿も思うでしょう」
「いよいよルルーニ様の悲願が成就するのですね」
「えぇ。さぁ、後はのんびりと待つとしましょう」
「はい」
今頃、サブロー様はアヅチキャッスルを落としているでしょう。
その勢いのまま誰もいなくなった重要拠点のマーガレット様が奪ったキャッスルも落ち、逃げ場を無くしたステイシー卿も最期の時を迎えるでしょう。
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