24 / 26
第21話
しおりを挟む
「そろそろか.......」
時計は午前7時前を示している。
今日は5階層まで行く予定だ。
「龍一さん。おはようございます!」
約束の時間通りに涼子が起床してきた。
朝食を手早く済ませ、協会で昨日と同じ手続きをし、準備が出来たらゲートへと向かう。
涼子と地上から3階層へと転移した。
「よし、今日は5階層を目指すぞ!」
「はい!」
一応、複数のゴブリンと戦闘になりそうな時は俺が始末するが、涼子の様子を見ていると多対一でも問題なさそうだった。
前日にスキルレベルが上がったことに起因しているのだろう。
涼子にもその事を伝えてこれ以降はよっぽど危ない時以外は静観することにした。
そろそろお昼ご飯という時間になった時、4階層への階段へとたどり着いた。
涼子のレベルも5に上昇し、順調そのものだ。
「4階層に降りるけど、ここからは殆どの場合ゴブリンの群れと戦闘になる。少なくとも三体以上は常にいる事を忘れないでくれ」
「わかりました」
「よし、昼飯も食べたし行くぞ」
昼飯に作り置きのサンドイッチを平らげて、4階層を進む。
ここではさっきも言った通りゴブリンが常に複数体で襲ってくる。
まぁ涼子にとっては良い狩場だろうが。
そしてまさにその通りと言うべきか、涼子はゴブリンを次々と殲滅していった。
俺も雷魔法で殲滅しながら進んだものだがあの時よりも圧倒的に効率が良い。
涼子のレベルも6、そして7とぐんぐん上昇していく。
「ふぅ.......」
「お疲れ様。ほれ」
「ありがとうございます。んぐ」
俺は涼子にポーションを飲ませる。
これは〝魔力回復ポーション〟で、文字通り魔力が回復するものだ。
味は激マズとしか言いようがないレベルだが。
「相変わらず不味いですよね。これ」
「我慢するしかないな」
涼子は身体能力強化魔法を常に発動させているため魔力の消費が激しい。
これはスキルレベルアップのために俺が指示したものだ。
ちなみに、俺も似たようなことはやっていた。
そんなこんなで順調に進み続け、夕方には目的の5階層への入口にたどり着いた。
「やった!目標達成ですよ」
「普通は2日でここまで来るのは無理だろうけどな」
「龍一さんのおかげですね!」
「まぁそうだな」
「謙遜しない龍一さんも素敵です」モジモジ
「お、おう」
とりあえずこれで今回の目的は達成したことになる。
あとはゲートに触れて帰るだけだ。
「さて、帰るとするか」
「はい!」
俺達はゲートに触れて地上へと帰るのだった。
~~~~~
「ただいまー」
「わんわん!」
「お、しば太。良い子にしてたか?」
「わふぅ」
「あら、龍一おかえりなさい」
「お袋、ただいま」
「どうだった?」
「特に問題なかったよ。涼子もよくやってる」
「それなら良かったわ。涼子ちゃんとも上手くやってるみたいだし」
「上手くやってるって何だよ.......」
しば太を存分にモフりながら、お袋の冷やかしに答える。
そういえばしば太も1度ダンジョンに連れて行ってみたいんだよ。
ホーンラビット程度なら余裕で倒せそうだし、ゴブリンもぶっちゃけなんとかなりそう。
既に人間以外でもステータスを得られることが確認されている。
ただ、日本だと規定でペット連れは無理だからな.......。
「あ、畑は私たちがしっかり面倒見といたわ」
「お、サンキュー」
俺が家を空けている間は親父とお袋に世話を頼んでおいた。
魔野菜は害虫や病気の類にかなり強く、世話と言っても雑草を抜いたり水やりする程度だが。
「そういえば、正さんから何か連絡があった?」
「そういえば、あのSAKAIと契約を結んだって言ってたわ」
「おお~。正さんやるじゃん」
SAKAIは俺でも知ってる都内の有名なレストランだ。
そこと契約できたのはかなりデカい。
今後の展開次第では星を持ってるレストランなんかが続々とやってくるかもな。
それに俺の作った物が認められたという事実も感無量だ。
「店頭ではまだまだみたいよ」
「まぁそれはしょうがない」
普通は1個数十円、数百円のものを10倍以上の値段で売ってるからな。
確かあの苺に至っては1パック1万円とかそういうレベルだ。
この件も1度また正さんと唯さんに直接会って話さないと。
~~~~~
「ただいまー!」
「涼子、おかえり」
「おかえりなさい」
龍一が自宅に戻る数時間前、神谷 涼子も自宅へと戻って来ていた。
「ダンジョンはどうだった?」
「んー、特に何か話すことはないのかな?」
「龍一さんとは何か進展したかしら?」
「え」
「若い男女が洞窟に一緒に入ればそういうこともあるんじゃないのかな?」
「ええ?!」
涼子としては龍一と何かあっても構わないし、むしろ何かあった方が嬉しいくらいに思っている。
しかし、母親である唯はともかく、父親の正の態度は一人娘としてなんとなく腑に落ちない。
「(普通の父親って娘が嫁に出るのに反対じゃないの?!)まだなんもないよ!」
「あらあら」
「頑張ってね」
涼子も涼子でまだ龍一の恋人ですらないのだが、この場にツッコミ役は不在だった。
正は今の状況がまだどうにかなっている訳でもないのに龍一に恩義を感じており、涼子が嫁に行くのは反対どころか喜ぶべきことだと思っていた。
この早合点している感じはまさに似たもの親子である。
「そ、そういえばお父さん達はどうだったの?」
「僕は1件だけど契約をとってきたよ。あのSAKAIから」
「え!お父さんすごーい!」
「はは。まぁ店頭では常連の方が何点か買っていってくれただけだね」
「それでもここから口コミで広がっていくかもしれないよ?実際あれを食べたら他のなんて食べられないよ」
「そうかもしれないけど値段が値段だからね。まだまだわからないさ」
「私はなんとなくいけそうな気がするけどなー」
この涼子の予感は実は間違っていなかった。
店頭で馬鹿みたいに高い商品を買っていった人の中に、近くの小学校でPTA会長をしている女性がいた。
彼女は夕食に家族と魔野菜を食べたのだが、あまりの美味しさに衝撃を受ける。
彼女の家庭はそれなりに裕福だったので無理しない程度に魔野菜を食べ続けた結果、明らかに肌ツヤが良くなり体調がすこぶる良好になった。
この情報はママ友というネットワークで拡散されることとなる。
これが神谷青果店の快進撃のきっかけになるとは、まだ誰も知らない。
~~~~~
次回更新は明後日です。
時計は午前7時前を示している。
今日は5階層まで行く予定だ。
「龍一さん。おはようございます!」
約束の時間通りに涼子が起床してきた。
朝食を手早く済ませ、協会で昨日と同じ手続きをし、準備が出来たらゲートへと向かう。
涼子と地上から3階層へと転移した。
「よし、今日は5階層を目指すぞ!」
「はい!」
一応、複数のゴブリンと戦闘になりそうな時は俺が始末するが、涼子の様子を見ていると多対一でも問題なさそうだった。
前日にスキルレベルが上がったことに起因しているのだろう。
涼子にもその事を伝えてこれ以降はよっぽど危ない時以外は静観することにした。
そろそろお昼ご飯という時間になった時、4階層への階段へとたどり着いた。
涼子のレベルも5に上昇し、順調そのものだ。
「4階層に降りるけど、ここからは殆どの場合ゴブリンの群れと戦闘になる。少なくとも三体以上は常にいる事を忘れないでくれ」
「わかりました」
「よし、昼飯も食べたし行くぞ」
昼飯に作り置きのサンドイッチを平らげて、4階層を進む。
ここではさっきも言った通りゴブリンが常に複数体で襲ってくる。
まぁ涼子にとっては良い狩場だろうが。
そしてまさにその通りと言うべきか、涼子はゴブリンを次々と殲滅していった。
俺も雷魔法で殲滅しながら進んだものだがあの時よりも圧倒的に効率が良い。
涼子のレベルも6、そして7とぐんぐん上昇していく。
「ふぅ.......」
「お疲れ様。ほれ」
「ありがとうございます。んぐ」
俺は涼子にポーションを飲ませる。
これは〝魔力回復ポーション〟で、文字通り魔力が回復するものだ。
味は激マズとしか言いようがないレベルだが。
「相変わらず不味いですよね。これ」
「我慢するしかないな」
涼子は身体能力強化魔法を常に発動させているため魔力の消費が激しい。
これはスキルレベルアップのために俺が指示したものだ。
ちなみに、俺も似たようなことはやっていた。
そんなこんなで順調に進み続け、夕方には目的の5階層への入口にたどり着いた。
「やった!目標達成ですよ」
「普通は2日でここまで来るのは無理だろうけどな」
「龍一さんのおかげですね!」
「まぁそうだな」
「謙遜しない龍一さんも素敵です」モジモジ
「お、おう」
とりあえずこれで今回の目的は達成したことになる。
あとはゲートに触れて帰るだけだ。
「さて、帰るとするか」
「はい!」
俺達はゲートに触れて地上へと帰るのだった。
~~~~~
「ただいまー」
「わんわん!」
「お、しば太。良い子にしてたか?」
「わふぅ」
「あら、龍一おかえりなさい」
「お袋、ただいま」
「どうだった?」
「特に問題なかったよ。涼子もよくやってる」
「それなら良かったわ。涼子ちゃんとも上手くやってるみたいだし」
「上手くやってるって何だよ.......」
しば太を存分にモフりながら、お袋の冷やかしに答える。
そういえばしば太も1度ダンジョンに連れて行ってみたいんだよ。
ホーンラビット程度なら余裕で倒せそうだし、ゴブリンもぶっちゃけなんとかなりそう。
既に人間以外でもステータスを得られることが確認されている。
ただ、日本だと規定でペット連れは無理だからな.......。
「あ、畑は私たちがしっかり面倒見といたわ」
「お、サンキュー」
俺が家を空けている間は親父とお袋に世話を頼んでおいた。
魔野菜は害虫や病気の類にかなり強く、世話と言っても雑草を抜いたり水やりする程度だが。
「そういえば、正さんから何か連絡があった?」
「そういえば、あのSAKAIと契約を結んだって言ってたわ」
「おお~。正さんやるじゃん」
SAKAIは俺でも知ってる都内の有名なレストランだ。
そこと契約できたのはかなりデカい。
今後の展開次第では星を持ってるレストランなんかが続々とやってくるかもな。
それに俺の作った物が認められたという事実も感無量だ。
「店頭ではまだまだみたいよ」
「まぁそれはしょうがない」
普通は1個数十円、数百円のものを10倍以上の値段で売ってるからな。
確かあの苺に至っては1パック1万円とかそういうレベルだ。
この件も1度また正さんと唯さんに直接会って話さないと。
~~~~~
「ただいまー!」
「涼子、おかえり」
「おかえりなさい」
龍一が自宅に戻る数時間前、神谷 涼子も自宅へと戻って来ていた。
「ダンジョンはどうだった?」
「んー、特に何か話すことはないのかな?」
「龍一さんとは何か進展したかしら?」
「え」
「若い男女が洞窟に一緒に入ればそういうこともあるんじゃないのかな?」
「ええ?!」
涼子としては龍一と何かあっても構わないし、むしろ何かあった方が嬉しいくらいに思っている。
しかし、母親である唯はともかく、父親の正の態度は一人娘としてなんとなく腑に落ちない。
「(普通の父親って娘が嫁に出るのに反対じゃないの?!)まだなんもないよ!」
「あらあら」
「頑張ってね」
涼子も涼子でまだ龍一の恋人ですらないのだが、この場にツッコミ役は不在だった。
正は今の状況がまだどうにかなっている訳でもないのに龍一に恩義を感じており、涼子が嫁に行くのは反対どころか喜ぶべきことだと思っていた。
この早合点している感じはまさに似たもの親子である。
「そ、そういえばお父さん達はどうだったの?」
「僕は1件だけど契約をとってきたよ。あのSAKAIから」
「え!お父さんすごーい!」
「はは。まぁ店頭では常連の方が何点か買っていってくれただけだね」
「それでもここから口コミで広がっていくかもしれないよ?実際あれを食べたら他のなんて食べられないよ」
「そうかもしれないけど値段が値段だからね。まだまだわからないさ」
「私はなんとなくいけそうな気がするけどなー」
この涼子の予感は実は間違っていなかった。
店頭で馬鹿みたいに高い商品を買っていった人の中に、近くの小学校でPTA会長をしている女性がいた。
彼女は夕食に家族と魔野菜を食べたのだが、あまりの美味しさに衝撃を受ける。
彼女の家庭はそれなりに裕福だったので無理しない程度に魔野菜を食べ続けた結果、明らかに肌ツヤが良くなり体調がすこぶる良好になった。
この情報はママ友というネットワークで拡散されることとなる。
これが神谷青果店の快進撃のきっかけになるとは、まだ誰も知らない。
~~~~~
次回更新は明後日です。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
親友と婚約者に裏切られ仕事も家も失い自暴自棄になって放置されたダンジョンで暮らしてみたら可愛らしいモンスターと快適な暮らしが待ってました
空地大乃
ファンタジー
ダンジョンが日常に溶け込んだ世界――。
平凡な会社員の風間は、身に覚えのない情報流出の責任を押しつけられ、会社をクビにされてしまう。さらに、親友だと思っていた男に婚約者を奪われ、婚約も破棄。すべてが嫌になった風間は自暴自棄のまま山へ向かい、そこで人々に見捨てられた“放置ダンジョン”を見つける。
どこか自分と重なるものを感じた風間は、そのダンジョンに住み着くことを決意。ところが奥には、愛らしいモンスターたちがひっそり暮らしていた――。思いがけず彼らに懐かれた風間は、さまざまなモンスターと共にダンジョンでのスローライフを満喫していくことになる。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ポンコツと蔑まれた冒険者は最強クランをつくる
ぽとりひょん
ファンタジー
エアハルトは、幼なじみのエルメンヒルトを追ってダンジョンの町「ゴルドベルク」で冒険者になろうとする。しかし、彼のアビリティを見た人たちは冒険者を諦め村へ帰るように説得する。彼には魔力がなかった。魔力がなければ深層で魔物と戦うことが出来ないのだ。エアハルトは諦めきれずエルメンヒルトと肩を並べて冒険するため、冒険者となってポンコツと蔑まれながら、ソロでダンジョンに挑み始める。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる