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番外編 新たな動き
虎獅狼のお買い物
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暫くして冥界に戻ると、
「お帰り~」
セイがカウンターからフェムトンと一緒に、
顔を出した。
「ただいま戻りました」
向井が言うと、
「あれ? 二人だけ? 牧野君達は? 」
とセイが新田の顔を見ながら聞いた。
「お昼食べたらまた寝ちゃったんで、
黒谷君にお願いしといた」
「全く………チビじゃあるまいし」
新田の説明にフェムトンがため息をついた。
「俺も仮眠取ってきたから頭はすっきり~
仕事しないとね」
新田が伸びをしながら言うと、
「明日の分までエナトが仕分けしたから、
新田君はお休みよ」
「えっ? ほんとう? 」
フェムトンの言葉に新田が嬉しそうに笑った。
「チビ達は? 向井さんが帰ってきたのに、
迎えに来ないね」
新田が廊下を見回した。
「今、プールに入ってるよ。
朝起きたらパパがいないって、
向井さんの部屋まで覗きに行って、
大騒ぎだったんだけどね。
源じいがプールに入ろうって、
冥王とドセと一緒に遊んでる」
セイがそんな話をしてると、
早紀がこんを連れてやってきた。
「ほら、帰って来たじゃない」
こんが走ってくると向井に抱きついた。
「遅くなってごめんね」
向井が抱き上げると、
こんは何も言わずに首に抱きついた。
「プールに入ってるんじゃないの? 」
向井が聞くと、こんは首を振っただけで何も言わなかった。
「じゃあ、みんなに内緒でおやつ食べちゃおうか」
向井が笑いかけると、
こんが顔をあげて笑顔になった。
「何買ってきたの? 」
セイが向井の持つ袋を覗きながら、
一緒に休憩室に向かった。
早紀がそんな後姿を見ながら、
新田達に説明する。
「こんは親とはぐれたって言ったでしょう。
あれね、母親が目の前から突然消えたらしいのよ」
「えっ? 」
新田とフェムトンが驚いた。
「こんが保護された時って、地震が増えてきて、
冥界でも………今の黒地に結界張って、
悪霊除去してた時があったでしょう。
その時に運が悪く消去された妖怪もいるらしいの。
向井君が冥王から言われて、
私もこんの様子を見るようにしてたんだけどね。
三鬼も未だにうなされてるし」
早紀の話にフェムトンも考え込むように話し出した。
「そうよね。こんが来た時は三鬼がいたから、
二人でいつも寄り添って寝てたものね。
呉葉が来て明るくなったし、
自分というものも出てきて、
よくなったかなとは思ってたんだけど、
やっぱり難しいわね」
「こんにとって向井さんは安心できる存在ってわけか。
安達君もそうだし、向井さんは大変だ」
新田も腕を組むとため息をついた。
「まぁね~考えてても仕方がないし、
私達もおやつにしようか。
うるさいチビがいない間に~」
フェムトンはおどけて笑うと、三人も休憩室に歩いて行った。
休憩室ではトリアと虎獅狼、クロが何やら話していた。
こんは向井の膝に座って、
お土産のマフィンを食べて落ち着いていた。
「何見てるの? 」
新田がトリア達が見ているタブレットに視線を落とした。
「ん? これからちょっと画材を買いに行くことになって。
向井君もシーリングスタンプが欲しいから、
一緒に行こうって話してたの」
「新田君も珈琲でいい? 」
早紀が聞くと、
「いいよ~悪いね」
と言って、向井の横に座った。
「こんもいくよ~」
「えっ? そうなの? パパとお出かけしたのがばれたら、
皆に文句言われちゃうよ」
トリアがお菓子を食べながら話す嬉しそうなこんを見た。
「お帰り~」
セイがカウンターからフェムトンと一緒に、
顔を出した。
「ただいま戻りました」
向井が言うと、
「あれ? 二人だけ? 牧野君達は? 」
とセイが新田の顔を見ながら聞いた。
「お昼食べたらまた寝ちゃったんで、
黒谷君にお願いしといた」
「全く………チビじゃあるまいし」
新田の説明にフェムトンがため息をついた。
「俺も仮眠取ってきたから頭はすっきり~
仕事しないとね」
新田が伸びをしながら言うと、
「明日の分までエナトが仕分けしたから、
新田君はお休みよ」
「えっ? ほんとう? 」
フェムトンの言葉に新田が嬉しそうに笑った。
「チビ達は? 向井さんが帰ってきたのに、
迎えに来ないね」
新田が廊下を見回した。
「今、プールに入ってるよ。
朝起きたらパパがいないって、
向井さんの部屋まで覗きに行って、
大騒ぎだったんだけどね。
源じいがプールに入ろうって、
冥王とドセと一緒に遊んでる」
セイがそんな話をしてると、
早紀がこんを連れてやってきた。
「ほら、帰って来たじゃない」
こんが走ってくると向井に抱きついた。
「遅くなってごめんね」
向井が抱き上げると、
こんは何も言わずに首に抱きついた。
「プールに入ってるんじゃないの? 」
向井が聞くと、こんは首を振っただけで何も言わなかった。
「じゃあ、みんなに内緒でおやつ食べちゃおうか」
向井が笑いかけると、
こんが顔をあげて笑顔になった。
「何買ってきたの? 」
セイが向井の持つ袋を覗きながら、
一緒に休憩室に向かった。
早紀がそんな後姿を見ながら、
新田達に説明する。
「こんは親とはぐれたって言ったでしょう。
あれね、母親が目の前から突然消えたらしいのよ」
「えっ? 」
新田とフェムトンが驚いた。
「こんが保護された時って、地震が増えてきて、
冥界でも………今の黒地に結界張って、
悪霊除去してた時があったでしょう。
その時に運が悪く消去された妖怪もいるらしいの。
向井君が冥王から言われて、
私もこんの様子を見るようにしてたんだけどね。
三鬼も未だにうなされてるし」
早紀の話にフェムトンも考え込むように話し出した。
「そうよね。こんが来た時は三鬼がいたから、
二人でいつも寄り添って寝てたものね。
呉葉が来て明るくなったし、
自分というものも出てきて、
よくなったかなとは思ってたんだけど、
やっぱり難しいわね」
「こんにとって向井さんは安心できる存在ってわけか。
安達君もそうだし、向井さんは大変だ」
新田も腕を組むとため息をついた。
「まぁね~考えてても仕方がないし、
私達もおやつにしようか。
うるさいチビがいない間に~」
フェムトンはおどけて笑うと、三人も休憩室に歩いて行った。
休憩室ではトリアと虎獅狼、クロが何やら話していた。
こんは向井の膝に座って、
お土産のマフィンを食べて落ち着いていた。
「何見てるの? 」
新田がトリア達が見ているタブレットに視線を落とした。
「ん? これからちょっと画材を買いに行くことになって。
向井君もシーリングスタンプが欲しいから、
一緒に行こうって話してたの」
「新田君も珈琲でいい? 」
早紀が聞くと、
「いいよ~悪いね」
と言って、向井の横に座った。
「こんもいくよ~」
「えっ? そうなの? パパとお出かけしたのがばれたら、
皆に文句言われちゃうよ」
トリアがお菓子を食べながら話す嬉しそうなこんを見た。
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