『アンダーワールド・続編』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

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続編 国の誤算

変わりゆく捨て地

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黄色の捨て地に来た向井達は、

牧野がお気に入りのすき焼き屋に来た。

この時間だと店内は混雑してるが、

お弁当のテイクアウトは可能だ。

牧野はおなじみになっている店員に声をかけた。

「いらっしゃい。いつもありがとうね」

三十代の奥さんがでてきて声をかけてくれた。

「今日はね~すき焼き御膳とすき焼き重を買いに来た~」

牧野は楽しそうに話しながら個数を言った。

「数が多くてすいません」

向井が言いながらお会計を払うと、

「お弁当は残るとどうにもならないから、

お宅が来てくれるとうちは助かっちゃうのよ」

彼女は笑うと袋に詰めて渡してくれた。

「この辺りはお客さん増えてますか? 」

「そうね。会社もあるしお店も増えたから、

売り上げはよくなってるかな。

黒谷君達のフリーペーパーのお陰で、

みんな喜んでるわよ」

向井の話に奥さんは笑顔で言った。

「それはよかった」

向井も笑顔になると頭を下げて店を後にした。

アーケードは昼時という事もあり、

人の出入りも激しい。

「捨て地に越して、転職した人も増えたから、

捨て地の方が個人店は繁盛してるかもね」

アートンが歩きながら店を確認した。

「同じ黄色でも隣の区はもう少し奥に入るので、

地域差が捨て地でも出てるんですよね」

向井が言うと、

「それね。来月は女子ばあのロケで取材するから、

動画を見た別の捨て地の人が来るかもね」

「そうなんですね」

向井がディッセを見た。

「ロケなんだ。凄いね~」

新田も驚くと笑った。

「雑貨店が休みの日に和明さんが車を出してくれるんで、

いろんな捨て地で取材ができるんだよ」

「あの動画人気なんでしょ。

そのうちケーブル局から取材が来るんじゃないの」

トリアが前を歩く牧野達を見ながら言った。

「取材で思い出した。牧野君と安達君には、

ケーキ屋さんの試食のお手伝いがあるんだ」

ディッセが話した。

「そういえばこの前黒谷君が話してました」

「そうそう」

向井と新田が顔を見合わせ頷いた。

「来年にオープンするお店なんだけど、

二人のランキング見て面白いから、

試食して感想が欲しいんだってさ」

「有名人じゃん」

アートンも笑うとディッセを見た。

「こうやって地道でも地均ししてれば、

捨て地で暮らす地域も一極集中しないでしょ」

「理想ですね」

笑顔になるディッセに向井も歩く人の姿を見つめた。


冥界に戻ると休憩室では、

お弁当を待つものの姿があった。

「なんでみんなここにいるんだよ」

牧野が文句を言うと、

「だって食堂混んでるんだもん」

ティンが言った。

「お肉って言ってたから、

僕もここで待ってたんだよ」

セイも笑うと向井達が手にする袋を受け取った。

「じゃあ、お茶を淹れましょうね」

真紀子も笑うと坂下と一緒に立ちあがった。

向井達がキッチンで湯呑を用意する。

「多めに買ってきたんで足りると思うんですけど」

「やっぱ、中央は人数多いから食堂も食事時は混雑してるよ。

時間ずらさないとテーブルが足りない」

向井の話にディッセが言った。

「料理人も少ないし、これ以上は難しいですよね」

「俺も時間がある時はヘルプで入るんですけど、

あの大食いがいるんで」

坂下が笑いながら楽しそうな牧野を見た。

「確かにね」

向井達も笑うとお茶の香りが鼻腔をくすぐった。

「このお茶は香りがいいのよね。

ここはお水も美味しいから、

特に飲み物が引き立つのね」

真紀子が適温になったお湯で湯呑に注いだ。

「これは天上界でミヒカ様から頂いているお茶なんです。

宝さんは神姫茶って呼んでます。

香りとまろやかな甘さが美味しいので、

普段お茶って言わない牧野君も飲んでますよ」

向井は笑うと湯呑を並べて乗せた。

それぞれがお盆を手にテーブルに向かう。

「そうだ。食事終わったら一緒に、

中島さんの所に来てくれる?

さっき覗いたら場所を移動したのか、

姿が見えなくて」

ディッセが向井を見た。

「あぁ、今は少し先の湧き水の近くにいますよ。

あそこは場所も広くてホタルも飛んでいるので、

気持ちがいいそうです」

「そうか。魂が落ち着いてくると穏やかに進めるからね」

「そういうことです」

二人は笑うとお盆を持ってテーブルに歩き出した。
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