344 / 664
続編 黒地のあがき
休憩所でのイベント
しおりを挟む
向井達が休憩所の建物に入ると、
広い店内の中央で手作りイベントが行われていた。
「わぁ~こういう場所でも、
ハンドメイドマルシェってあるのね」
弥生の表情が興味を持ったように笑顔になった。
よく見ると真紀子が作家と楽しそうに話す姿があった。
黒谷はそこから少し先の店で買い物をしていた。
向井とディッセは黒谷の所へ、
弥生は真紀子と源じいのいる店へと近づいて行った。
「見て~これ素敵でしょう。
一つ買っちゃった」
真紀子がブローチを見せた。
「これ和紙? 綺麗~」
弥生も作品を見ると、
「私もこのピアスを一つ買おう。
これは椿ですか? 」
と作家を見た。
「はい。幾重にもコーティングして作っていますので、
多少水にぬれても問題ないです。
金具はステンレスです」
「じゃあこれと………ミモザも可愛いから、
ゴールドをお願いします」
「有難うございます」
弥生を見て作家が笑顔で礼を言った。
包んでいる間、
源じいが感心するように織り鶴や紙風船、
兜などの折り紙アクセサリーを見ていた。
「こんなに細かいものがアクセサリーになるんですね~」
「折り紙は外国の方にも喜ばれるので、
人気なんですよ」
と説明しながら源じいの胸元を見た。
「そのループタイ。素敵ですね」
「えっ? あぁ、これですか。
息子に買ってもらったんですよ」
「いいですね~」
「孫たちと北の3DZOOに行って、
その時にね」
源じいが嬉しそうに話すのを弥生達も笑顔で聞いていた。
その話に作家が話し始めた。
「3DZOOに行かれたんですか?
私も息子にせがまれて、
距離があるので来年のお休みに主人と連れて行こうかって、
話してるんですよ。
動物がリアルに動くそうですね」
「そうなんですよ。私も驚きました。
動物に見られているようで、
目の前で動くので大人も楽しめますよ」
「わぁ………
聞いたら私も気になってきました」
作家は笑顔になった。
向井達は黒谷のいる店に近づくと声をかけた。
「あっ、それが金目鯛のお弁当?
だったらあと二個追加して」
「えっ? 」
黒谷は驚くと店主に二個増やしてもらった。
「今さ。アートンとシェデムも来たんだよ」
「そうなの? 」
黒谷は驚いたまま料金を払うとお弁当を受け取った。
店主に礼を言ってその場を去ると、前から源じい達が歩いてきた。
「それがお弁当? 」
弥生が袋を見て聞いた。
「そう。金目鯛の照り焼きなんだってさ」
黒谷が楽しそうに話す。
向井とディッセは黒谷の後を歩きながら、
室内の雰囲気を眺めた。
「休憩所でもマルシェが盛んなんですね」
観光客も含め、人の出入りも多い。
マルシェブースに人が流れる様子を見て、
「そうだね」
ディッセは考え込むと、
近くにあったフライヤーを一枚手に取った。
「ここは区の観光課主催なんだ。
一度広報に連絡を取ってみるか」
「イベントに休憩所も入れるんですか? 」
向井も紙をのぞきながら言った。
「ん~うちは今、
月二でマルシェに参加してるだろ。
更にポップアップストア、喫茶店。
この先移動しながら仕事となると、
こういう場所で様子を見てもいいのかなと思ってさ」
「………」
向井も少し考え込むと、
「そうですね。
だったらスタンプカードを作ってもいいかも」
「スタンプカード? 」
ディッセが聞き返した。
「知りません? 例えばうちで買ってくれたお客様に、
一点ごとにスタンプ一個を押すんです。
うちの系列商品。つまり黒谷君のキャラグッズもお弁当も、
喫茶店で購入してくれた方にもスタンプが押されます。
そのカードに十個たまるごとに特典をつけるんです」
「はぁ~なるほどね」
「アプリでもいいんですけど、
今はネットも通信問題が多いので、
昔ながらの方がいいかなと思って」
「それいいね。特典はどんなものがいい? 」
ディッセが向井を見た。
「ん………幾つか選べてもいいのでは? 」
「選べる? 」
「例えば喫茶店のクッキー無料券、ガチャ一回無料、
購入割引券などでしょうか」
「そうか。幾つか用意してその中から一つ選べると」
ディッセがフムフムと頷く。
「うちのガチャは人気でしょう。
イベントでもイチオシになってますし」
「そうだよね。新しい客の獲得にもいいな。
あとで黒谷君も交えて話し合おう」
そんな話をしてるところに、
仕事を終えてシェデムとアートンがやってきた。
「いたいた~」
「結構賑わっているね。
外の大観覧車? 驚いちゃったわよ」
二人は室内で売られている商品を見ながら話した。
「住民の確認が済んだから、
区役所の方に連絡入れておいた。
見た所、住居の移動の心配はないけど、
職場が消えたものもいるから、
これから話を聞いていくって」
「うちからも何人か記憶操作して、
役所に入り込むから」
「そうですか。助かりました」
向井が安心した様子で言った。
「あれ? シェデムさん達も来たの?
問題が大きくなってる? 」
真紀子が話し込む向井達を見て近づいてきた。
「大丈夫。捨て地の土地が広いから、
役所との連携がね」
「そうよね」
あとから近づいてきた弥生も頷くとアートンを見た。
「それよりお腹空いちゃって」
シェデムが店を見てると、
「車で食べようと思ってお弁当買ったよ」
黒谷が袋を見せた。
「嬉しい~」
シェデムの笑顔に皆で車に戻った。
広い店内の中央で手作りイベントが行われていた。
「わぁ~こういう場所でも、
ハンドメイドマルシェってあるのね」
弥生の表情が興味を持ったように笑顔になった。
よく見ると真紀子が作家と楽しそうに話す姿があった。
黒谷はそこから少し先の店で買い物をしていた。
向井とディッセは黒谷の所へ、
弥生は真紀子と源じいのいる店へと近づいて行った。
「見て~これ素敵でしょう。
一つ買っちゃった」
真紀子がブローチを見せた。
「これ和紙? 綺麗~」
弥生も作品を見ると、
「私もこのピアスを一つ買おう。
これは椿ですか? 」
と作家を見た。
「はい。幾重にもコーティングして作っていますので、
多少水にぬれても問題ないです。
金具はステンレスです」
「じゃあこれと………ミモザも可愛いから、
ゴールドをお願いします」
「有難うございます」
弥生を見て作家が笑顔で礼を言った。
包んでいる間、
源じいが感心するように織り鶴や紙風船、
兜などの折り紙アクセサリーを見ていた。
「こんなに細かいものがアクセサリーになるんですね~」
「折り紙は外国の方にも喜ばれるので、
人気なんですよ」
と説明しながら源じいの胸元を見た。
「そのループタイ。素敵ですね」
「えっ? あぁ、これですか。
息子に買ってもらったんですよ」
「いいですね~」
「孫たちと北の3DZOOに行って、
その時にね」
源じいが嬉しそうに話すのを弥生達も笑顔で聞いていた。
その話に作家が話し始めた。
「3DZOOに行かれたんですか?
私も息子にせがまれて、
距離があるので来年のお休みに主人と連れて行こうかって、
話してるんですよ。
動物がリアルに動くそうですね」
「そうなんですよ。私も驚きました。
動物に見られているようで、
目の前で動くので大人も楽しめますよ」
「わぁ………
聞いたら私も気になってきました」
作家は笑顔になった。
向井達は黒谷のいる店に近づくと声をかけた。
「あっ、それが金目鯛のお弁当?
だったらあと二個追加して」
「えっ? 」
黒谷は驚くと店主に二個増やしてもらった。
「今さ。アートンとシェデムも来たんだよ」
「そうなの? 」
黒谷は驚いたまま料金を払うとお弁当を受け取った。
店主に礼を言ってその場を去ると、前から源じい達が歩いてきた。
「それがお弁当? 」
弥生が袋を見て聞いた。
「そう。金目鯛の照り焼きなんだってさ」
黒谷が楽しそうに話す。
向井とディッセは黒谷の後を歩きながら、
室内の雰囲気を眺めた。
「休憩所でもマルシェが盛んなんですね」
観光客も含め、人の出入りも多い。
マルシェブースに人が流れる様子を見て、
「そうだね」
ディッセは考え込むと、
近くにあったフライヤーを一枚手に取った。
「ここは区の観光課主催なんだ。
一度広報に連絡を取ってみるか」
「イベントに休憩所も入れるんですか? 」
向井も紙をのぞきながら言った。
「ん~うちは今、
月二でマルシェに参加してるだろ。
更にポップアップストア、喫茶店。
この先移動しながら仕事となると、
こういう場所で様子を見てもいいのかなと思ってさ」
「………」
向井も少し考え込むと、
「そうですね。
だったらスタンプカードを作ってもいいかも」
「スタンプカード? 」
ディッセが聞き返した。
「知りません? 例えばうちで買ってくれたお客様に、
一点ごとにスタンプ一個を押すんです。
うちの系列商品。つまり黒谷君のキャラグッズもお弁当も、
喫茶店で購入してくれた方にもスタンプが押されます。
そのカードに十個たまるごとに特典をつけるんです」
「はぁ~なるほどね」
「アプリでもいいんですけど、
今はネットも通信問題が多いので、
昔ながらの方がいいかなと思って」
「それいいね。特典はどんなものがいい? 」
ディッセが向井を見た。
「ん………幾つか選べてもいいのでは? 」
「選べる? 」
「例えば喫茶店のクッキー無料券、ガチャ一回無料、
購入割引券などでしょうか」
「そうか。幾つか用意してその中から一つ選べると」
ディッセがフムフムと頷く。
「うちのガチャは人気でしょう。
イベントでもイチオシになってますし」
「そうだよね。新しい客の獲得にもいいな。
あとで黒谷君も交えて話し合おう」
そんな話をしてるところに、
仕事を終えてシェデムとアートンがやってきた。
「いたいた~」
「結構賑わっているね。
外の大観覧車? 驚いちゃったわよ」
二人は室内で売られている商品を見ながら話した。
「住民の確認が済んだから、
区役所の方に連絡入れておいた。
見た所、住居の移動の心配はないけど、
職場が消えたものもいるから、
これから話を聞いていくって」
「うちからも何人か記憶操作して、
役所に入り込むから」
「そうですか。助かりました」
向井が安心した様子で言った。
「あれ? シェデムさん達も来たの?
問題が大きくなってる? 」
真紀子が話し込む向井達を見て近づいてきた。
「大丈夫。捨て地の土地が広いから、
役所との連携がね」
「そうよね」
あとから近づいてきた弥生も頷くとアートンを見た。
「それよりお腹空いちゃって」
シェデムが店を見てると、
「車で食べようと思ってお弁当買ったよ」
黒谷が袋を見せた。
「嬉しい~」
シェデムの笑顔に皆で車に戻った。
2
あなたにおすすめの小説
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
側妃に追放された王太子
基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」
正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。
そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。
王の代理が側妃など異例の出来事だ。
「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」
王太子は息を吐いた。
「それが国のためなら」
貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。
無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
置き去りにされた聖女様
青の雀
恋愛
置き去り作品第5弾
孤児のミカエルは、教会に下男として雇われているうちに、子供のいない公爵夫妻に引き取られてしまう
公爵がミカエルの美しい姿に心を奪われ、ミカエルなら良き婿殿を迎えることができるかもしれないという一縷の望みを託したからだ
ある日、お屋敷見物をしているとき、公爵夫人と庭師が乳くりあっているところに偶然、通りがかってしまう
ミカエルは、二人に気づかなかったが、二人は違う!見られたと勘違いしてしまい、ミカエルを連れ去り、どこかの廃屋に置き去りにする
最近、体調が悪くて、インフルの予防注射もまだ予約だけで……
それで昔、書いた作品を手直しして、短編を書いています。
王命って何ですか? 虐げられ才女は理不尽な我慢をやめることにした
まるまる⭐️
恋愛
【第18回恋愛小説大賞において優秀賞を頂戴致しました。応援頂いた読者の皆様に心よりの感謝を申し上げます。本当にありがとうございました】
その日、貴族裁判所前には多くの貴族達が傍聴券を求め、所狭しと行列を作っていた。
貴族達にとって注目すべき裁判が開かれるからだ。
現国王の妹王女の嫁ぎ先である建国以来の名門侯爵家が、新興貴族である伯爵家から訴えを起こされたこの裁判。
人々の関心を集めないはずがない。
裁判の冒頭、証言台に立った伯爵家長女は涙ながらに訴えた。
「私には婚約者がいました…。
彼を愛していました。でも、私とその方の婚約は破棄され、私は意に沿わぬ男性の元へと嫁ぎ、侯爵夫人となったのです。
そう…。誰も覆す事の出来ない王命と言う理不尽な制度によって…。
ですが、理不尽な制度には理不尽な扱いが待っていました…」
裁判開始早々、王命を理不尽だと公衆の面前で公言した彼女。裁判での証言でなければ不敬罪に問われても可笑しくはない発言だ。
だが、彼女はそんな事は全て承知の上であえてこの言葉を発した。
彼女はこれより少し前、嫁ぎ先の侯爵家から彼女の有責で離縁されている。原因は彼女の不貞行為だ。彼女はそれを否定し、この裁判に於いて自身の無実を証明しようとしているのだ。
次々に積み重ねられていく証言に次第に追い込まれていく侯爵家。明らかになっていく真実を傍聴席の貴族達は息を飲んで見守る。
裁判の最後、彼女は傍聴席に向かって訴えかけた。
「王命って何ですか?」と。
✳︎不定期更新、設定ゆるゆるです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる