『アンダーワールド・続編』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

文字の大きさ
366 / 660
続編 怨霊塚

北の怨霊塚

しおりを挟む
向井達が北に着くと、

倉田、カラン、キャトルの三人が待っていた。

「あれ? 今日は静かだね」

アートンが言うと、

「ほら、大晦日だから、

うちのスタッフは先に中央に行ってるんだよ」

「そうよね。セーズが年越しそばの準備をしてるからね」

トリアも笑顔で倉田を見た。

「今年の年越し蕎麦はさ~

海老天だけじゃなくラフティにニシンもあんの。

ドセが用意したんだって~」

牧野が楽しそうに話した。

「だったらさっさと片付けて終わらそう」

カランはそんな牧野の姿に笑った。


怨霊塚のある北の都は元北海道と言われる場所。

大災害から小さくなったが、

ここは一区から四区に四等分されていた。

「随分と人が少なくね?

大晦日だからか? 」

牧野が周囲を見回しながら言った。

上を見ても怨霊塚の周辺は真っ黒な空だが、

隣は薄曇り。

奥は靄がかかった悪霊で広がっていた。

ここも外国と日本で住みわけされてるのか………

向井は空を見つめながら感じていた。

「この辺は三分の一が外資に買われて外国になってる。

それが向こう」

倉田が指さす方向を見ると、

「やはりリトルカントリーか」

靄の空を見て向井がつぶやいた。

「外国の悪霊は払っても綺麗にはならないから、

適当でいいわ。

頼んでも自国の霊を除去しに来てくれないのよ」

「なんで? 」

「こんな状態の国に神様も来たくないの」

「ちぇっ」

トリアの話に牧野が面白くなさそうに舌打ちした。

「こんなのは昔からだからいいんだけど、

ここにきて水源も止められて大騒ぎだったんだよ」

カランがため息をついた。

驚く向井達に、

「買われた土地は自然の多い地域だろ? 

水源もそこから引いてたから、

水が使いたかったら金払えって事なんだよ。

元々水道局も外資に売ってるからね。

毎年水道料金が上がって、

ここに住めなくて捨て地に越した住民もいるし、

五区の黒地に移り住んだものもいるよ」

倉田が説明した。

「だから人が少ないの? 」

弥生も奥の土地を眺めた。

「それだけじゃないんだけどね。

この辺はポンプで地下水をくみ上げてるんだ。

温泉地とスキー場も一部外資に売ってるから、

あっちは日本語が通じないよ。看板も全て外国語。

アジアの言葉と英語かな」

「なんで外人に売るんだよ」

「税金が払えないからさ。

外人は金払いがいいからね。

それと昔の地上げ屋と同じで外国マフィアが、

土地を巻き上げる為に脅しにくるんだよ。

家族も危険だし、売った方が安全て事もある。

国も行政も警察も知らん顔だしね」

倉田が牧野を見た。

「で、行政機関のここは、

子供応援庁の阿川のお膝元。

姥捨て山推進して一気に票を獲得した大臣だからね。

真っ黒でしょう」

空を見て笑った。

「阿川の支持者も未だ根強くて、

ここは三分の二が一応日本なんだけど、

半数近くは阿川支持者で埋まってる。

阿川は宗教団体とつながりがあるから、

ここを合わせれば三分の二はリトルカントリーになるね。

で、こっちの薄曇りが今問題になってる捨て地支持者の土地」

「えっ? 」

倉田の話に向井達が驚いた。

「捨て地支持者と言ってもスパイが紛れ込んでるけどね。

黒地でも現政権批判で暴動が起こってるだろう。

その人間を捕まえるためのエサみたいなもんだよ」

「じゃあ捨て地を支持してたら捕まるじゃん」

牧野がムッとした顔で文句を言った。

「まぁ理屈はそうなんだけど、

一種の組合みたいなもんか」

倉田の言葉に向井と佐久間があきれ顔で笑った。

「という事は捨て地支持本部は議員か何かですか? 」

「よくわかったね。

阿川と同じ党で派閥の違う若手議員なんだよ。

福永って二十九歳の新人さん。

若者が自分達の代表としても応援してるんで、

下手に反対しにくい大人もいる」

倉田が向井を見た。

「捨て地に歩み寄り、捨て地民の犯罪も大きな心で迎い入れ、

共に日本を取り戻そうという壮大なテーマで、

支持者を集めてるんだよね」

「捨て地は被害者で犯罪者じゃないぞ」

「そうなんですけどね。

うまい選挙戦略ですね」

佐久間は牧野を見るとため息をついて笑った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

転生皇女セラフィナ

秋月真鳥
恋愛
公爵家のメイド・クラリッサは、幼い主君アルベルトを庇って十五歳で命を落とした。 目覚めたとき、彼女は皇女セラフィナとして生まれ変わっていた——死の、わずか翌日に。 赤ん坊の身体に十五歳の記憶を持ったまま、セラフィナは新しい人生を歩み始める。 皇帝に溺愛され、優しい母に抱かれ、兄に慈しまれる日々。 前世で冷遇されていた彼女にとって、家族の愛は眩しすぎるほどだった。 しかし、セラフィナの心は前世の主・アルベルトへの想いに揺れ続ける。 一歳のお披露目で再会した彼は、痩せ細り、クラリッサの死を今も引きずっていた。 「わたしは生涯結婚もしなければ子どもを持つこともない。わたしにはそんな幸福は許されない」 そう語るアルベルトの姿に、セラフィナは決意する。 言葉も満足に話せない。自由に動くこともできない。前世の記憶を明かすこともできない。 それでも、彼を救いたい。彼に幸せになってほしい。 転生した皇女が、小さな身体で挑む、長い長い物語が始まる。 ※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

金の羊亭へようこそ! 〝元〟聖女様の宿屋経営物語

紗々置 遼嘉
ファンタジー
アルシャインは真面目な聖女だった。 しかし、神聖力が枯渇して〝偽聖女〟と罵られて国を追い出された。 郊外に館を貰ったアルシャインは、護衛騎士を付けられた。  そして、そこが酒場兼宿屋だと分かると、復活させようと決意した。 そこには戦争孤児もいて、アルシャインはその子達を養うと決める。 アルシャインの食事処兼、宿屋経営の夢がどんどん形になっていく。 そして、孤児達の成長と日常、たまに恋愛がある物語である。

完結 王族の醜聞がメシウマ過ぎる件

音爽(ネソウ)
恋愛
王太子は言う。 『お前みたいなつまらない女など要らない、だが優秀さはかってやろう。第二妃として存分に働けよ』 『ごめんなさぁい、貴女は私の代わりに公儀をやってねぇ。だってそれしか取り柄がないんだしぃ』 公務のほとんどを丸投げにする宣言をして、正妃になるはずのアンドレイナ・サンドリーニを蹴落とし正妃の座に就いたベネッタ・ルニッチは高笑いした。王太子は彼女を第二妃として迎えると宣言したのである。 もちろん、そんな事は罷りならないと王は反対したのだが、その言葉を退けて彼女は同意をしてしまう。 屈辱的なことを敢えて受け入れたアンドレイナの真意とは…… *表紙絵自作

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

逆ハーENDは封じられました

mios
恋愛
乙女ゲームのヒロインに転生したので、逆ハーを狙ったら、一人目で封じられました。 騎士団長の息子(脳筋)がヒドインを追い詰め、逆ハーを阻止して、幸せにする話。

処理中です...