『アンダーワールド・続編』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

文字の大きさ
368 / 660
続編 怨霊塚

悪霊の膨れ上がる顔

しおりを挟む
「随分と膨れてますね………」

「何かある? 」

アートンが近づいてきた。

「これは新たに数人、取り込まれてますね」

「えっ? 」

向井の言葉に倉田達が驚きの声をあげた。

「あの後も見張っていたけど、

アラートも鳴らなかったし気づかなかった………」

「悪霊は狩りが上手いのよ」

トリアが倉田を見た。

「今から怨霊塚に切れ目を入れます。

悪霊がふき出したら除去をお願いします」

「かなり大きいのかな」

「デカいなんてもんじゃねぇよ。

上からも下からも襲われんの」

「!! 」

倉田達が顔をゆがめた。

「俺達はさっき中央で経験済みですけど、

倉田さん達は牧野君達に合わせて動いてください。

今回の元凶はここなので、

この膨れたものから何が出てくるか、

俺もよくわからないので」

「分かりました」

倉田は札を取り出した。

「では私とキャトルさんで結界を張るので、

補強をお願いします」

佐久間が言い、それぞれが位置についた。

弥生もライフルを組み立てる。

佐久間とキャトルが両側から大きく結界を張ると、

その轟音ごうおんにビルや住宅から人が飛び出してきた。

歩いていたものは腰を抜かし、

外国人も恐ろしさから陣地から出てこようとはしなかった。

向井は霊玉から剣を取り出すと、

塚に向かって振り下ろした。

うぎゃあああああああああ――――っ!! 

人の魂が取り込まれているので、

苦しくうめく人の声がかぶさる。

誰もが脳内に響くその声に耳を塞ぎ、

苦し気にうずくまった。

向井達も顔を顰めると、頭を軽く振り除去を開始した。

地面のうねりが激しくなり、

割れた土地に人がおちていくのを、

アートンとトリア、カランが術を施し引き上げていく。

恐怖に引きつる表情が安堵に変わる。

散った怨霊の大きさに牧野の口元がピクピクと動いた。

「中央の何倍だよ………こいつ何人食ったの? 」

大きな顔が口を開けて下りてきた。

弥生が中心に向かってライフルを連射していく。

倉田は札を重ねて丸めると、

両手を吹き矢のようにして吹いていった。

札が渦を巻いて悪霊に突き刺さる。

その苦痛にうめき声は上がるものの、

ここまで膨れた妄執は簡単には散らない。

牧野は仙木を手に飛び上がると顔めがけてはり付けた。

うぎぎぎぎぎ――――

苦しみにあえぐ声を確かめると、

いかづちを手のひらに浮かび上がらせた。

雷の剣は炎を纏いそれを仙木めがけてぶち抜いた。

次の瞬間。

あがががががが――――――――

空気を振動するかに唸りをあげた声が拡散していく。

その声に人々がパニック状態で動き出した。

この辺りは年末でも人の流れが少ないこともあり、

逃げられているようだ。

向井は霊玉から黄金の弓矢を作り出すと、

大きく飛び上がり陥没する穴に向かって矢を撃ち放った。

矢は地中深くに沈んでいき、暫くすると土地が大きく膨れもり上がった。

地面から苦しむ悪霊が土の顔となって膨れていく。

その様子を見ていた人々の顔に恐怖が広がった。

向井達は揺れる土地から体を宙に浮かし、

再び除去を開始した。

弥生が、

「ライフルの照準が上手く合わせられない………」

と眉間にしわを寄せながら撃ち放っていく。

踏ん張れない為、結界も揺れる。

牧野が再び雷の剣を作り出すと、

今度は氷の刃となって悪霊の顔を切りつけた。

続けて倉田が札をフリスビーを投げるように、

円を描いて放っていく。

苦痛に喘ぐ大きな口めがけて弥生がライフルを連射。

向井は霊玉から火焔の剣を取り出すと、

真言を唱えながら炎に螺旋を与えた。

息を整え飛び上がると力を振り絞り、

悪霊の大きな顔を真っ二つに叩き切った。

そのまま剣を空間に投げ入れ冥界への穴を開ける。

引き裂かれた顔が崩れながら吸い込まれていった。

続けて弥生が飛び上がり、

地面の顔めがけてライフルを撃ち続ける。

牧野と倉田が同時に札をはり付けていく。

トリア達も霊銃を撃ち放つと、悪霊が散っていった。

結界が張られているので、散った悪霊は除去されていく。

向井は最後に霊玉を取り出すと、

もり上がった地面に埋め込ませた。

黒い血の色の地面が一瞬にして通常に戻った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

転生皇女セラフィナ

秋月真鳥
恋愛
公爵家のメイド・クラリッサは、幼い主君アルベルトを庇って十五歳で命を落とした。 目覚めたとき、彼女は皇女セラフィナとして生まれ変わっていた——死の、わずか翌日に。 赤ん坊の身体に十五歳の記憶を持ったまま、セラフィナは新しい人生を歩み始める。 皇帝に溺愛され、優しい母に抱かれ、兄に慈しまれる日々。 前世で冷遇されていた彼女にとって、家族の愛は眩しすぎるほどだった。 しかし、セラフィナの心は前世の主・アルベルトへの想いに揺れ続ける。 一歳のお披露目で再会した彼は、痩せ細り、クラリッサの死を今も引きずっていた。 「わたしは生涯結婚もしなければ子どもを持つこともない。わたしにはそんな幸福は許されない」 そう語るアルベルトの姿に、セラフィナは決意する。 言葉も満足に話せない。自由に動くこともできない。前世の記憶を明かすこともできない。 それでも、彼を救いたい。彼に幸せになってほしい。 転生した皇女が、小さな身体で挑む、長い長い物語が始まる。 ※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

金の羊亭へようこそ! 〝元〟聖女様の宿屋経営物語

紗々置 遼嘉
ファンタジー
アルシャインは真面目な聖女だった。 しかし、神聖力が枯渇して〝偽聖女〟と罵られて国を追い出された。 郊外に館を貰ったアルシャインは、護衛騎士を付けられた。  そして、そこが酒場兼宿屋だと分かると、復活させようと決意した。 そこには戦争孤児もいて、アルシャインはその子達を養うと決める。 アルシャインの食事処兼、宿屋経営の夢がどんどん形になっていく。 そして、孤児達の成長と日常、たまに恋愛がある物語である。

完結 王族の醜聞がメシウマ過ぎる件

音爽(ネソウ)
恋愛
王太子は言う。 『お前みたいなつまらない女など要らない、だが優秀さはかってやろう。第二妃として存分に働けよ』 『ごめんなさぁい、貴女は私の代わりに公儀をやってねぇ。だってそれしか取り柄がないんだしぃ』 公務のほとんどを丸投げにする宣言をして、正妃になるはずのアンドレイナ・サンドリーニを蹴落とし正妃の座に就いたベネッタ・ルニッチは高笑いした。王太子は彼女を第二妃として迎えると宣言したのである。 もちろん、そんな事は罷りならないと王は反対したのだが、その言葉を退けて彼女は同意をしてしまう。 屈辱的なことを敢えて受け入れたアンドレイナの真意とは…… *表紙絵自作

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

逆ハーENDは封じられました

mios
恋愛
乙女ゲームのヒロインに転生したので、逆ハーを狙ったら、一人目で封じられました。 騎士団長の息子(脳筋)がヒドインを追い詰め、逆ハーを阻止して、幸せにする話。

処理中です...