『アンダーワールド・続編』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

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続編 新年の呪い

禿げ問題?

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廊下ではチビ達が走っていく姿を見ながら、

アートンが休憩室から出てきた。

「お正月から元気だよね」

「ほんと。羨ましい~

連絡は全部入れたからこっちは終わったけど、

そっちは? 」

トリアがアートンと歩きながら、

通信ルームから出てきたカトルセを見た。

「今手分けして配達してるから、

こっちも終わりかな」

「はぁ~やっとおせち食べられる~」

トリアがそんな事を言っていると、

トレーニングルームから牧野が出てきた。

「あれ? 珍しい。

ご飯も食べずにカプセルで寝てたの? 」

驚くトリアに、

「違うよ。おせち食べてから一度毒素を抜くって、

カプセルに潜ってたの」

妖鬼が立ち話する三人に近づいてきて言った。

「食欲も毒素には勝てないか」

アートンも苦笑いしながら眺めていると、

牧野が何かを見つけしゃがみ込んだ。

そしてそれを見て辺りをキョロキョロ見回すと、

トリア達の姿に駆け寄ってきた。

「なぁ? これ誰のだと思う? 」

牧野がボトルを皆に見せて聞いた。

「育毛剤? 」

四人は眉をひそめて言った。

「なんか………使いかけなのかな? 

ちょっと残ってる感じ? 」

そう言って振るとちゃぽんちゃぽんと音がした。

「うちに禿げてるものっていないわよ。

育毛気にしてるとしたら………」

トリアはそう言って皆の顔を見ると、

「冥王か? 」

妖鬼が言った。

「じゃあオヤジのか? 」

向井はそういうと休憩室に入っていった。

「これ? オヤジの? 」

牧野は入り口で育毛剤のボトルを見せた。

「育毛………? 

私の毛根はまだ大丈夫ですよ」

冥王は口を尖らすと雑煮を食べた。

「ええ~? じゃぁ誰の? 

あ………源じいの? 」

と牧野が源じいを見た。

「私も整髪剤は使ってますが、

天上界から頂くポプリのシリーズですからね」

「じゃぁ、究鬼? 」

と今度は究鬼を振り返った。

「違うなぁ~俺もこのメーカーは使ってるけど、

トリートメントだからね」

究鬼はボトルを見ながら言った。

「えぇ~じゃあ誰? ………あっ、狭間だ! 」

牧野は部屋を出て行った。

「育毛剤て何ですか? 」

毘沙門天が不思議そうに皆の顔を見た。

「牧野君は禿げるのが気になるんですかね~」

「えっ? 禿げなくなる薬ですか? 」

冥王の言葉に毘沙門天が驚き、

そんな二人にその場にいた者達が笑った。


「あっ、出てきた」

妖鬼が休憩室から走って出て来た牧野を見て言った。

四人がその動きを見てると、

牧野は保管室の方に歩いて行った。

すると前からハクが走ってきて、

「それボクの~」

「えっ? 」

牧野も驚き、

少し離れた場所から見ていたトリア達も、

ビックリした顔になった。

「かえちて~」

ハクはそういうとボトルを牧野の手から取ると、

それを抱えて走っていった。

へっ? 

牧野は呆然となってしゃがみ込んだ。

ハクが………育毛………? 嘘だろう? 

俯いてショックを受けている牧野に、

トリア達も驚いた顔のまま見ていた。

すると今度は図書室から虎獅狼が出てきた。

その姿に保管室から出てきたセイが声をかけた。

「あっ、虎獅狼~

向井さんが買って来てくれたよ。

死神課にあるから取りに来て」

「お~悪いな」

二人は話しながら四人の近くを通り過ぎ、

カウンターに歩いていった。

「はい。これね」

セイが虎獅狼に渡すものを見て、

えっ?

トリア達の顔が驚いた。

「ねえ、それって虎獅狼のなの? 」

トリアは声をかけながら近づいた。

「ん? これか? そうだぞ」

虎獅狼はそういうと育毛剤を見せた。

「俺は元々狼だからな。

人間に化けてなければ全身毛皮だろ? 」

「そうだけど、それを全身に使ってんの? 」

あとから歩いてきたカトルセも不思議そうに聞いた。

「最近は人間でいることの方が楽だから、

普通のシャンプーリンスを使ってたら、

毛がパサパサになってしまったんだよ」

「これって育毛剤でしょう? 」

アートンが聞くと、

「そうなんだが、毛の艶をよくしてくれるんだよ」

「僕もね~このシリーズのトリートメント使ってから、

傷みが少なくなったんだよ。ね~」

セイもカウンターからそういうと、

虎獅狼と一緒に笑った。

「向井に髪が傷むと言ったら、

これを買って来てくれてな。

一度使ったら止められん」

「はぁ~そういう事か。

それでその空きボトルをハクにあげたんだ」

妖鬼が納得したように笑った。

「あいつらは水鉄砲で遊んでいるだろう。

ハクにはこのボトルが使いやすいらしい」

「なに? これで水鉄砲を作ってるの? 」

カトルセが驚く。

「そうよね。

子供の遊び道具ならこれくらいで十分よね。

水入れて押して飛び出せばいいんだから。

やっと謎が解けた」

トリアが笑った。

「さて、解決したところで、

私達もお雑煮食べよう~」

「そうそう。俺もこれからだ」

「僕も~」

虎獅狼とセイも笑うと、トリア達と歩き出した。

休憩室に入ろうとして、

まだショックを受けている牧野の姿に、

「あやつは何をしているんだ? 」

虎獅狼が笑いながら部屋に入った。

「教えてあげなくていいのかな? 」

アートンが言うと、

「面白いから気づくまで放っておこう」

トリアが言い、笑いながら部屋に入っていった。
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