『アンダーワールド・続編』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

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続編 黒地のあがき

黒地除去の旅

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観覧車から降りると、

お弁当を買って車で食べようと、

黒谷達は建物に入って行った。

向井とディッセ、弥生の三人は、

思っていた以上に黒く膨れる黒地に除去へ出かけた。


一歩黒地に入ると、

ねちっこい悪霊に顔を顰めた。

ガードしてポプリに守られてても、

毒が強い。

これでは通常の神経のものでは暮らせないだろう。

奥の方は土地が崩れて危険区域の囲いがされていた。

「ここも補強工事は出来ないのかな」

弥生はライフルを構え、渦巻く大きな悪霊を片付けると言った。

「資金を投入してもこの辺りは貧民街だから、

国としては後回しなんだと思うよ。

観光に使えそうなら公共工事が入るだろうけど」

「向こうはリトルカントリーでしょうか。

日本人は住んでいないみたいですね」

向井がディッセを見た。

外国に国を切り売りしてきたツケが、

ここにきて黒地でも国民が騒ぎ出していた。

中区の若者も下区のものに場所を奪われ、

上区、階級区にも入れず暴動も起こっている。

とはいえ、大沢とその党を支持してきたのも国民。

不支持のものを捨て地に追いやり、

彼らに責任をかぶせること自体見当違いも甚だしいのだが、

怒りの矛先はそこに向けられていた。

「どうする? もう少し先も見てみる? 」

ディッセが二人を見た。

「そうね………」

ゴーグルを付けた弥生が奥をじっと見つめ、

「あの場所には日本人がいるかも。

悪霊の質が違う」

と指をさした。

向井とディッセがその場所を見ると、

確かに悪霊の動きが明らかに違うのが分かった。

「あのダンスの動きって、この国の悪霊よね。

長いこと見てきたから日本と外国の悪霊の違いが、

少しわかってきた」

といって笑った。

「凄いですね」

向井が弥生を見た。

「じゃあ、もう少し先に行って様子を見るか」

ディッセが言い三人は歩き出した。

歩道がきちんと作られていないので、

危険が伴う地域だ。

人は住んでいないので問題はないが、

陥没の恐れはあるだろう。

三人が中心地に近づくとその手前は外国語の看板で埋められ、

この土地全域がほぼ外国に変わっていた。

唯一残っている日本が弥生が言った中心地の行政機関のようだ。

向井は中心都市に住む日本人の姿に、

ホッと息をついた。

「まだ日本として機能はしているようで安心しました」

「そうだね。ここは中央の都でも端に位置するからね。

悪霊が大きくならない限り除去には来ないからな」

ディッセも街の変容に驚いていた。

向井達は姿を消して様子を見た。

すると、

「おい、日本人はここに入るな。

ここは俺達の土地だ! 」

一人の外国人が子供に怒鳴っていた。

土地には境界線が張られていて、国分けされているようだった。

「悪いね。ほら、こっちにこい」

警官は学校帰りの子供に注意をすると、

外国人に謝った。

「ちゃんとしつけて教えとけ! 他人の土地に入るなってな。

ガキが行方不明になっても俺達のせいにするなよ。

勝手に他人の土地に入ったそっちが悪いんだからな」

「分かったよ」

二十代と思われる警官は頭を軽く下げると、

子供を連れて歩き出した。

議員せんせい達が言っているだろう。

この国にわざわざ来て住んでくれている人は、

大事にしないと。

それとあそこは危ない土地だから」

「分かってるけど、

車が来たから避けたら線越えちゃったんだよ」

子供達が説明をしていた。

よく見ると歩道がない。

向井達はハッとなり、この空間を見回した。

「これは………」

その時、冥界からの連絡が来た。
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