『アンダーワールド・続編』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

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番外編 西支部へ

源じいの言葉

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「ちょっといいですか? 」

「はい」

向井が源じいを見た。

「人の負は微妙に違いますよ」

「えっ? 」

二人が前のめりになった。

「負なんて妬みや僻みによる不満の蓄積でしょう? 」

究鬼の言葉に源じいが小さく微笑んだ。

「大まかに言えばそうでしょうけどね。

その負にも違いはあります。

時には人間関係だったり、体調だったり、

環境だったりと、多くのストレスが不満になって、

それが負となって広がっていくんです」

向井はその話にハッとした表情になると、

源じいを見つめた。

「西ではここや北よりそのストレスが、

とても大きくなってしまったんだと思いますよ」

確かに山口大臣のお膝元では誰も逆らわない。

いや、逆らえない。

神の森の守り人も人知れず消され、

神の祠は殆ど残っていない。

その数は中央や北の比ではない。

逆らえばどうなるか。

中央でも今日、

市村という男の話を聞いたではないか。

向井は両ひざに組んだ手を乗せると俯いた。

「人は煩悩で出来てますから、

無くすことは無理です。

でも悪霊退治することで、

軽減させてあげられれば、

灯も生まれるかもしれませんね」

向井が顔をあげると、

「考えてもごらんなさい。

私達もこんな仕事をさせられ、

不満だらけです。

牧野君ボンはいつも戻ってくると、

死んでるのに殺される~って騒いでます」

源じいはホッホッと笑った。

続けて、

「何より私達の親である冥王。

彼を見てると、

煩悩に悩むことが馬鹿らしくなりませんか? 」

笑顔で言う源じいに、

二人は顔を見合わせふき出すと、

三人で声をたてて笑った。


研究室を出た後、

「お仕事がお休みなので、

私は読みかけの本でも読みますか。

そうだ。美味しいおやつがあるって、

ちびちゃんに聞きました」

と源じいが向井を見た。

「ありますよ。源じいもおやつの時間を見計らって、

休憩室に来てください。

でないと、牧野君に食べられちゃうので」

「ほぉ~では本を持って、

休憩室のソファーで読みましょう」

源じいはそういって図書室に入って行った。

向井はそのまま工房をのぞくと、

中央のテーブルでパーツを並べて、

冥王達があーだのこーだのやっている。

その様子を眺めていて、

【煩悩に悩むことが馬鹿らしくなりませんか? 】

源じいの言葉を思い出し笑った。

向井の姿を見つけて牧野が呼んだ。

「ねえ~本当に全部向井が作ったの? 」

シーリングスタンプの入ったクリアボックスを眺めて、

牧野が言った。

向井はテーブルに近づくと、

「そうですよ。おっ、大分無くなりましたね。

じゃあ、また作ろうかな」

と言った。

「凄く可愛いよね。次はウサギも作って。

俺欲しい~」

安達が向井からもらったパーツを、

カードケースに並べながら言った。

「いいですよ。少しスタンプの数も揃えようかな。

葛城さんも新しいものが必要かもしれないし、

聞いてみましょう」
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