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第四部

ボディーガード赤姫

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休憩室に行くと、

牧野と安達がゲームで対戦していた。

「お帰り~」

早紀が言うと、

「牧野はまだむくれてる。どうしようもないね~」

「だからね。ちょっと見てて」

向井はそういうと、

「牧野君と安達君にお土産ですよ。

この前、売り切れで牧野君が食べられなかった、

限定のケーキですけど、どうします? 」

「ケーキ? 」

飛んでくる安達の背後で、耳だけがぴくッと動く。

「わぁ~凄い!! 」

安達が嬉しそうに箱を覗くと、

キッチンに運んだ。

ディッセも笑いながら様子を見てると、

牧野も立ち上がり、

キッチンカウンターに歩いて行った。

我慢できずに箱を開ける。

「あっ!! これだよこれ~

スゲエ話題になってんの」

牧野が笑いながら言うと、

「早く食べようぜ」

と振り返った。

「ねっ」

向井が小声で言って笑った。

「さすがだね~牧野使い? 」

早紀と一緒にディッセも笑った。


それからしばらくすると大きな地震があり、

下界では家の倒壊した地区が出た。

黒谷君達は大丈夫だろうか。

向井とトリアとアートンは下界に下りると、

災害が大きかった地域を中心に見て回った。

牧野は佐久間とエナトと悪霊退治に出かけ、

冥界も下界も慌ただしくなっていた。

「健次郎は相変わらず大臣の後ろに隠れて、

表に出てくることはないですけど、

吉沢とその部下が動いているみたいです」

アートンが言った。

「特殊災害対策室の人間が動いても、

別に不思議はないからね。

ただ、どの辺をチェックしてるのかだね」

トリアは腕を組むと考え込んだ。

向井のインデックスにはめている指輪から、

空間ディスプレイが現れた。

「これを見る限り、

吉沢達は崩壊した地域を見ているようなので、

大きな動きはないと思いますけど」

最近開発室から渡されたリングは、

問題のある場所や危険地域を、

瞬時に浮かび上がらせてくれる。

「ただ………黒谷君達が気になるので、

団地に行ってみますか」

向井は黙考のあと、トリア達と団地に向かった。

団地には災害の後は見られない。

空気も綺麗なので、赤姫が浄化しているのだろう。

向井達が中に入ると、

どこからともなく赤姫がやってきた。

「冥界人がお揃いでどうした? 」

「付近では倒壊した家屋があるのに、

ここは無事だったんですね」

「まぁな。私が守っておるからな。

黒谷と玲子に何かあったら大変じゃろ」

「では、二人は無事なんですね」

向井はほっと息をついた。

「赤姫がボディーガードしてくれてるなら、

心強いわ」

トリアも笑う。

「特殊災害対策室の人間はいないようですね。

付近が災害地域なのにどうしてだろう」

アートンが不思議そうに言ったところで、

赤姫が何かを向井に手渡した。
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