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第四部

妖怪の部屋

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向井はディッセとアートンの様子を観察しながら、

確信した。

二人は結界の事を知っている。

向井は周囲を見回した。

すると、

中央から少しずれた場所で光の柱を見つけた。

向井はそこまで近づくと腰を落とした。

「光………?」

アートンも驚くように歩いてきた。

「多分、ここが祠のあった場所だと思います。

微かに気の流れが感じられる………」

「ここの神も住処を追われたか、

消滅しているか………」

ディッセはその場所に膝をついて土に触れた。

「かすかな光だけど、まだ綺麗だ………ということは、

多分近くで見守っているはずだよ。

でなければ、これだけ空気が澄んではいないからね」

「ここの神が誰なのかは分からないでしょうか」

向井が聞くと、

「下界の神は赤姫のような地主神を中心に、

小さな神が点在しているんだ。

冥界では分からないかもしれないな」

アートンが言う。

「赤姫さんに尋ねてみますか」

「教えてもらえるかは向井さんの腕次第かな」

アートンは笑い、

とりあえず三人は土地を一通り見て回ってから、

軽く浄化を施した。

「俺達の結界じゃ効果も少ないと思うけど、

当分悪さはできないだろう」

ディッセはそういい、

三人は冥界に帰って行った。


――――――――


冥界に戻ると工房からこんが駆け出してきた。

「おっと」

驚く向井に抱きつくと、

「こんも欲しい」

「えっ? 」

向井が戸惑っている所へ、

妖鬼が呉葉と手をつないでやってきた。

「どうしたんですか? 」

向井は意味が分からずに、こんを抱き上げた。

「ずるいぞ。わらわも抱っこじゃ」

「ダメ!! 」

こんが首にしがみ付いたまま、呉葉を見下ろした。

「向井さんはホント、チビに好かれるよね~」

妖鬼が言うと、

ディッセとアートンも呆気にとられた様子で笑った。

「わらわも~」

駄々をこねる呉葉に、

仕方なく向井はもう片方の腕で抱き上げた。

「えっと………これはどういうことでしょう? 」

「あのね、こんもお姫様のベッドが欲しいの」

「ダメじゃ。あれはわらわのじゃ」

二人の言い合いを見て、

向井も理解したのか困り顔で笑った。

「じゃあ、作ってもらったらどうですか? 

出来ますよね」

と妖鬼を見た。

「作るのはいいんだけど、部屋の割り当てを変更しないと、

あのベッドは場所を取るからさ」

「あぁ~そういうことですか」

向井がいい、

「それにね。今度は三鬼が、

車のベッドがいいと言い出して。

今、喧嘩よ喧嘩」

妖鬼がため息まじりに言った。

「だったら、子供ら三人を広い部屋に移動させて、

千乃は女性一人だから、少し狭い部屋にしたらどうよ」

ディッセの提案に、

「なるほど」

妖鬼はポンッと手を叩くと、

「だったら、ちょっとこっち来て、

設計図を見てよ」

と向井達を手招きしながら工房に歩いて行った。
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