あなたはずっと俺のもの

文野多咲

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ちゃんと部下でいますからね!2

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 助手席のドアを開けると潮の音が間近に聞こえる。視界一面が海。潮風が気持ち良い。
 運転席から降りてきた社長が私に向けて「ほら」と両手を広げてきた。
 それに見事に誘われて私は社長の胸に飛び込んだ。社長はそのまま私を縦に抱き上げる。
 両手が私で塞がっているため、社長は膝で蹴ってドアを閉めた。
 私、重いのに。50キロはあるのに。
 いかにも自然に抱き上げられたくせに居心地が悪くなってもじもじすると社長は腕の力を強めてきた。

「落ちちゃうよ、じっとして。そこの丸太で降ろすから」
「あ、はい」

 社長は丸太に私を降ろすと自分も隣に座った。何となく黙っているのが居心地悪い。それはやはり私だけのようで隣を見れば社長はくつろいだ顔で海を眺めていたが、落ち着かない気分の私は口を開いた。

「社長ってサーフィンとか、するんですか」
「うーん、したことがないなあ」
「マリンスポーツ、似合いそうですけど」

 これまで社長にどんなスポーツが似合うかなど考えたこともなかったが、口に出してみれば似合いそうな気がしてきた。

「ヨットとかやらないんですか」

 金持ちと言えばヨットでしょ。

「セーリングはたまに出るかなあ。父に付き合わされる」
「へえ、社長にもお父さんがいたんですね。もしかして、お母さんもいます?」

 社長は目を丸めて、私を見てきた。そして、小さく吹き出す。

「俺を何だと思ってんの」
「たまにロボットみたいだと思ってますけど、社長にもちゃんとご家族がいるとかあまり考えたことがなかったので」
「少しは俺に関心を持ってもらいたいな」

 社長は唇をとがらせて言ってきた。
 あら、拗ねたわ。
 社長とは世間話をしたことなどないも同然だ。だから、社長のことをほとんど知らない。確か瀬川グループは社長の祖父が創業者で、グループ本体の後継者は社長の伯父とその息子のはずだ。
 社長の両親は会社に全く関与していないのか、耳にしたことはなかった。

「ご両親はどんな人なんです?」
「改めて訊かれると答えにくいな。どこにでもいる普通の親だよ」

 社長は照れたような顔で、海を向いた。その横顔に胸の奥がむず痒くなる。はてなにかしら、この感覚。
 社長の照れた顔に心がくすぐったくなってるわ。
 じっと社長の横顔を見ていると、社長は話し出した。
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