13 / 32
13
屋敷に戻れば、気を落ち着かせて、市太郎の書斎に向かった。
ドアの前で足が竦む。
もう優月にとって市太郎は恐ろしい存在になっていた。
(パパが怖いわ……。でも、破談にしてもらわなきゃ)
中に入ると、市太郎は、優月に険しい顔を向けてきた。
「隆司くんと仲直りできたのか」
「隆司さんに襲われかけました」
「そうか」
市太郎はそう言ったきり、チェアをくるりと返して、優月に背中を向けた。
その反応に優月は失望した。
「私、強引にベッドに押し倒されたんです。破談にしてください」
「婚約者同士ならそういうこともあるだろう。どうせ、また、お前は、くだらんことで腹を立ててるのだろう。パパは、つくづく呆れてしまうよ………」
「でも、パパ、隆司さんは無理に私を」
そこで、優月は口を閉じた。市太郎がゆらりと立ち上がったからだ。
市太郎は体を揺らしながら優月に近づいてきた。
「甘えるな! お前はいつも大げさだ!」
そんな怒鳴り声があったかと思えば、優月は絨毯に倒れ込んでいた。
ぐわんぐわんと優月の頭の中で大きな音が鳴っている。
ショックにおくれて痛みがやってきた。頬がひどく熱い。
(パパはぶったの………?)
呆然と絨毯に転がったまま、なかなか起き上がれなかった。
ドアの前で足が竦む。
もう優月にとって市太郎は恐ろしい存在になっていた。
(パパが怖いわ……。でも、破談にしてもらわなきゃ)
中に入ると、市太郎は、優月に険しい顔を向けてきた。
「隆司くんと仲直りできたのか」
「隆司さんに襲われかけました」
「そうか」
市太郎はそう言ったきり、チェアをくるりと返して、優月に背中を向けた。
その反応に優月は失望した。
「私、強引にベッドに押し倒されたんです。破談にしてください」
「婚約者同士ならそういうこともあるだろう。どうせ、また、お前は、くだらんことで腹を立ててるのだろう。パパは、つくづく呆れてしまうよ………」
「でも、パパ、隆司さんは無理に私を」
そこで、優月は口を閉じた。市太郎がゆらりと立ち上がったからだ。
市太郎は体を揺らしながら優月に近づいてきた。
「甘えるな! お前はいつも大げさだ!」
そんな怒鳴り声があったかと思えば、優月は絨毯に倒れ込んでいた。
ぐわんぐわんと優月の頭の中で大きな音が鳴っている。
ショックにおくれて痛みがやってきた。頬がひどく熱い。
(パパはぶったの………?)
呆然と絨毯に転がったまま、なかなか起き上がれなかった。
あなたにおすすめの小説
幼馴染が最優先な婚約者など、私の人生には不要です。
たると
恋愛
シュタイン伯爵家の長女エルゼは、公爵子息フィリップに恋をしていた。
彼の婚約者として選ばれた時は涙を流して喜んだが、その喜びもいまは遠い。
『君は一人でも大丈夫だろう。この埋め合わせは必ずする。愛している』
「……『愛している』、ですか」
いつも幼馴染を優先するアルベルトに、恋心はすっかり冷めてしまった。
完璧な妹に全てを奪われた私に微笑んでくれたのは
今川幸乃
恋愛
ファーレン王国の大貴族、エルガルド公爵家には二人の姉妹がいた。
長女セシルは真面目だったが、何をやっても人並ぐらいの出来にしかならなかった。
次女リリーは逆に学問も手習いも容姿も図抜けていた。
リリー、両親、学問の先生などセシルに関わる人たちは皆彼女を「出来損ない」と蔑み、いじめを行う。
そんな時、王太子のクリストフと公爵家の縁談が持ち上がる。
父はリリーを推薦するが、クリストフは「二人に会って判断したい」と言った。
「どうせ会ってもリリーが選ばれる」と思ったセシルだったが、思わぬ方法でクリストフはリリーの本性を見抜くのだった。
妹から私の旦那様と結ばれたと手紙が来ましたが、人違いだったようです
今川幸乃
恋愛
ハワード公爵家の長女クララは半年ほど前にガイラー公爵家の長男アドルフと結婚した。
が、優しく穏やかな性格で領主としての才能もあるアドルフは女性から大人気でクララの妹レイチェルも彼と結ばれたクララをしきりにうらやんでいた。
アドルフが領地に次期当主としての勉強をしに帰ったとき、突然クララにレイチェルから「アドルフと結ばれた」と手紙が来る。
だが、レイチェルは知らなかった。
ガイラー公爵家には冷酷非道で女癖が悪く勘当された、アドルフと瓜二つの長男がいたことを。
※短め。
【今さら遅い】毒で声を失い公爵に捨てられた私。妹では精霊が応えず国は滅びへ。ですが隣国皇帝に溺愛される私に、今さら縋ってきても遅いです
唯崎りいち
恋愛
国一番の歌姫だった私は、妹に毒を盛られ声を失い、婚約者に捨てられた。
すべてを奪われた私を救ったのは、隣国の皇帝。
「お前の歌がなければ国は滅びる」と言われた私の歌は、精霊に届く“本物”の力を持っていて――
一方、私を追放した国は偽物の歌では加護を失い衰退。
今さら元婚約者が縋ってきても、もう遅い。
聞き分けよくしていたら婚約者が妹にばかり構うので、困らせてみることにした
今川幸乃
恋愛
カレン・ブライスとクライン・ガスターはどちらも公爵家の生まれで政略結婚のために婚約したが、お互い愛し合っていた……はずだった。
二人は貴族が通う学園の同級生で、クラスメイトたちにもその仲の良さは知られていた。
しかし、昨年クラインの妹、レイラが貴族が学園に入学してから状況が変わった。
元々人のいいところがあるクラインは、甘えがちな妹にばかり構う。
そのたびにカレンは聞き分けよく我慢せざるをえなかった。
が、ある日クラインがレイラのためにデートをすっぽかしてからカレンは決心する。
このまま聞き分けのいい婚約者をしていたところで状況は悪くなるだけだ、と。
※ざまぁというよりは改心系です。
※4/5【レイラ視点】【リーアム視点】の間に、入れ忘れていた【女友達視点】の話を追加しました。申し訳ありません。
完結 この手からこぼれ落ちるもの
ポチ
恋愛
やっと、本当のことが言えるよ。。。
長かった。。
君は、この家の第一夫人として
最高の女性だよ
全て君に任せるよ
僕は、ベリンダの事で忙しいからね?
全て君の思う通りやってくれれば良いからね?頼んだよ
僕が君に触れる事は無いけれど
この家の跡継ぎは、心配要らないよ?
君の父上の姪であるベリンダが
産んでくれるから
心配しないでね
そう、優しく微笑んだオリバー様
今まで優しかったのは?
結婚式の翌朝、夫に「皇太子の愛人だろう」と捨てられました――ですが私は、亡き国王の娘です
柴田はつみ
恋愛
母の遺した薬草店を守りながら、慎ましく暮らしていたアンリ。
そんな彼女に求婚してきたのは、国内でも名高い騎士にして公爵家当主、アルファだった。
真っすぐな想いを向けられ、彼を信じて結婚したアンリ。
けれど幸せなはずの結婚式の翌朝、夫は冷たく言い放つ。
「君を愛していると本気で思っていたのかい? 」
彼はアンリが第一皇太子と深い仲にあり、自分との結婚は身を隠すための偽装だと誤解していたのだ。
アンリは実は、亡き国王の婚外子。
皇太子にとっては、隠して守らなければならない妹だったのである。