私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない

文野多咲

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 その後、優月は、市太郎と隆司を訴えた。
 結果について、由紀也が説明してきた。

「使い込まれたお金はもう戻ってこないとは思うけど、優月名義の土地の抵当は外せるだろう。そうなると、銀行は融資を引くだろうから、早晩、市太郎さんの会社は倒産するだろうね。あの屋敷からも出なければならなくなる。隆司さんは事務所を解雇されたそうだ」
「そうなの………」
「市太郎さんが優月を俺から遠ざけてたのは、優月のお金を使い込んだことが明るみになるのを恐れたからだろう。俺も遠ざけられるままでいた。ごめん、優月。優月を守れなかった」
「ううん、由紀兄さんは、唯一、私を守ってくれる人だったわ。昔からずっと」

 優月はそもそも大金を手にしたという感覚がなかったために、奪われた、との感覚はなかった。
 ただ、家族だと思っていた相手から、想像以上に、手ひどい扱いを受けていたことはわかった。

「私、随分、奪われてきたんだわ、あの人たちに。これでも家族だと思ってきたのに」
「優月」

 由紀也はソファから立ち上がると、優月の足元にひざまずいた。

「優月、でも優月には俺がいる。優月、俺と結婚してほしい」

 優月は、涙をこぼし始めた。
 うんうん、と何度もうなずく。

「私を由紀兄さんのお嫁さんにしてください」

 その夜、由紀也と優月は愛し合った。

「俺、随分と我慢してきたから、無理をさせてしまうかも」
「私もそれは同じよ。どれだけ由紀兄さんに触れられたかったか」

 優月の口に由紀也の口が近づき、そして、重なり合った。
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