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第3章
秋
しおりを挟む「やめておけと申しておるのだ。この事は人間の踏み入る領域ではない。ましては助けるなど…片腹痛いわ」
腕を組み鋭い眼差しで咲恵を射抜く。
何も反論はできない。
「非力な人間に何ができるというのだ?」
「咲恵は!非力じゃ……」
「今我輩はこの人間と話をしておるのだ。それに割って話すのか?」
友愛を見ずに声掛けをする。
その言葉の威力に友愛の本能が彼女を押し黙らせた。
そして他のものも同じく押し黙る。
「冬の奴らは各々の武器や力を振りかざし、本気で潰しにかかってくるであろう。何も無いお前が、戦い抜き、挙句に春を救う?否、春を救う前にお前が死ぬであろうな。例えその武器を振りかざしたとて。」
はっきりと断言した。
言い返せない。
だって本当のことだもん。
「……それでも…」
「救いたいと?戦いたいと?」
咲恵の心を読むようにその先の言葉を話す。
「死んでも良いというのか?」
「いいと思っています。」
咲恵も負けじと断言した。
もう逃げたくない。
非力でも。
銀葉を強く握り締める。
「いいだと…?馬鹿も休み休み言え。」
秋が君の声が低く響く。
「まぁよい。ではお前の存在意義を示せ。今すぐにな。」
「秋が君!!おやめくだサイ!相手は人間デス!!」
霖が焦った様子で止めに入る。
「霖よ、すまぬな。お前の相手をしてあげられなくて。」
「イヤイヤイヤ!!そういう事じゃなくテ!!!」
「俺が相手になりますよ!!!」
「霖よ、人間だから相手するのだ。」
炎心が唸りながら地団駄を踏んだ。
「人間に何ができるのか。ここで示せ。」
咲恵は息を呑んだ。
「人間よ。ここで死んだらお前は春の奴を助けることなく非力な人間として終わるが?」
「やる…やってやる…」
だって
決めたから
「例え死んでも!私は春幸を助けるって自分で決めたから!!」
咲恵はそう叫びつつ身構え名を呼ぶ。
「銀葉!!!」
「本当に危険デス!!!」
霖の慌てた様子に友愛や礼々も只事じゃないと凱即の傍を離れ咲恵の方へ向かおうとする。
が何かが遮る。
「な、なに!?」
「水か…!?ぬっ!?」
水の塊が瞬く間に友愛と礼々をまとめて巻き上げる。
拘束を解こうと踠く礼々の目の前に友愛と同じかそれよりも小さな女の子が少しムッとした表情で現れた。
「邪魔しないでくれる?」
「なんだ貴様は…!!!」
「だ、誰??」
反対側にいる友愛にはその少女の姿がみえない。
「貴様…?あんた何様なの?」
少女が歩み出すとササッと水の塊が現れて、階段をつくった。その階段を登るとちょうど礼々と同じか目線になる。
顔立ちはとても綺麗な少女。
長いまつ毛が似合う大きな瞳にジッと見つめられた礼々もこんな状況だが流石にドキッとしてしまった。
「ふぅん。ウブなんだね。こんな状況で、しかも見つめただけで顔が赤くなるとか…」
「なっ…!!赤くなってない!!くそっ!!」
拘束されて身動きが取れないことをいい事に少女は首から顎にかけてゆっくりと人差し指でなぞる。
「や、やややめろ!!!」
モゾモゾする感覚に思わず退けぞろう踠く礼々。
その姿を見てクスクスと少女は笑った。
「こらこら、初めて来た客にはまだ刺激が強すぎるぞ堰怜(せきれ)」
「あら朝降?」
堰怜はなぞる指を止めて礼々の後ろを覗く。
朝降は友愛の目の前にいた。
「可哀想だろう?こんなに怯えてる。」
「は、離してください!!!」
友愛ももがき始める。
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