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うちの領地
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「おかえりなさいませ」
わたしとフィリップは急いで表に飛び出して、お父さまを迎えた。
おや? 馬車に同席者がいるわ。
私とフィリップはよそ行きの顔にピシっとなった。
商工会議所と農協の代表の皆さんじゃないですか。お父さまと一緒に城にのぼって、会議に参加されたのかしら。
商工会議所と農協は地方の貴族が運営していて、下級貴族が城に行くことはあまりないはず。
今日は緊急事態だったのかしら。
そしてみんな雰囲気が暗い……。
とりあえず、場を和ませようと笑顔で出迎えたが、空振りしたみたい。シーンとした空気が流れている。
フィリップと私は顔を見合わせた。
お母さまはお客さまを屋敷に通して、セバスに夕食の指示をだしている。急な来客にも対応できるうちの使用人たちはすごい。
キッチンではてんやわんやになるに違いないのに、セバス以下使用人たちは涼しい顔だ。
ああ、なんだか夕食が荒れそうです。フィリップと私は別部屋というわけにはいかないわよね。
サロンにお通ししている間にセバスたちが来客用夕食を用意してくれた。お母さまにも疲労の色が……。
私たちは黙って静かに夕食をいただきますか。
フィリップとこそこそ打ち合わせをした。
夕食の時間は、案の定、城で起きた話で話し合いながらになりました。
うちの領地には農村地帯、商業地域、工業地域、交易地域があるんだけど。
川沿いにある商業地域を囲むかのように農村地帯、工業地域、交易地域があり、隣国や遠くの国と貿易を行い、町は活気があるの。
川をさかのぼると、王都にたどり着く。ラッセル領は辺境の地と言われているけど、王都まで魔法を使えば船で3時間ほどでつく。地の便を生かして、昔から王都の食料、衣料、商品を一手に任されている町でもあるのだ。
うちの領地は昔から黒い森と山々が囲まれていたから大きな戦争になることは少なかったらしい。
というのも、この黒い森と山々を超えるというのが、最大難関で、昔から魔獣やら、神やらがいるので黒い森には踏み込むべからずといわれているの。
黒い森と山々には感謝しかない。平和をありがとうございます。
だから、交易は今でもすべて海路となっている。
海辺の一角には交易地域があり、貿易商人やその家族が住んでいる。異国の文化が漂う町は、見ていて飽きない。美味しいものもいっぱいあるしね。
うちの領地は昔から交易が盛んだったため、外国の人を受け入れるのも抵抗がないの。治安もいいし、市民たちの交流も盛んだ。うちの領民の特性は前向きで明るいということもある。
見知らぬ新しい食材もどんどん入ってくるし、剣や盾、皿や花瓶までうちの国にはない製法で作られたものも入ってくる。
うちの領民たちは柔軟に受け入れ、融合させ、ハイブリッドの製品がつくりだす天才だ。それが王都へ流れ、流行になる。王都とはよい関係だったのに……ね。
また、お父さまは農業の研究にも力を注いでいて、よいと言われている農法を取り入れたり、治水工事にも積極的。だから穀物量も増加していて、農村地帯は明るい雰囲気。農協もそれなりに潤っているはず。
でも、お父さまと一緒に商工会議所と農協が動いているってことは……。
私とフィリップは聞き耳を立てながら、好物の鶏肉のクリームポテト詰めの確保に努めた。おかずは積極的に確保よ、フィリップ!
「なぜラッセル領が王都の皺寄せをうけるんですか。ラッセル領は食料も品物も全てそろっている。あー、王都にラッセル領の足を引っ張ってほしくない」
商工会議所代表のウルマさんは、お酒を飲みながら、お父さまのほうを向いて語気を強めた。
「飲み過ぎですな」
お父さまは微笑みながら、王政の悪口をやめるようたしなめた。
誰が聞いているかわからないからね。うちの使用人たちは口が固いけどね。スパイとかいるかもしれないし、それでも用心したほうがいい。
「いや農協側としても商工会議所のウルマさんの意見と同じです」
農協代表のサカゴクさんも顔を赤くしてお父さまに訴えている。
なぜ王都で食料不足なの?
ここ数年は豊作だよ。
増税のことをウルマさんもサカゴクさんも話しているみたい。
何が王都で起きてるのかしら。
流行り病が出たとか、飢饉が起きたとか、聞いてないんだけど。もしかして私が知らない何かがあるの?
「城はいま、教会と王家に割れているとはいえ、なぜラッセル領が……」
ウルマさんはサカゴクさんに同意を求めると、サカゴクさんも「ほんとですよ、なぜ王の離婚問題がラッセル領に関係するんですか」とつぶやいた。
「まあまあ、たしかに割り切れませんが、影響が最小限になるよう何か策を講じなければ……」
お父さまが口を一文字にした。
「ほんと、バカらしい。愛人と結婚したいとか、教会と揉めるとか、あり得ない。いっそ、ラッセル領はどく……りつ」
ウルマさんが小さい声でいうと、お父さまは「それは……、聞かなかったことにしましょう。もう少しこの件はわたしに預けて、待ってくださいませんか」
「まあ、ハワードさんがいうなら……」
サカゴクさんがウルマさんを見た。
ウルマさんはうなずく。
えー、王さま、愛人ができたってこと?
この前聞いた町のスイーツ店の話と同じじゃない。えええ、愛人と結婚できないよね……。
八百屋のおばちゃんが言うには、この先のスイーツのお店の美人店主が公爵さまに訴えたらしいの。
「うちの旦那が愛人を作って、愛人とも結婚しようとしてる」って。
「この国では、重婚は重罪」
お父さまはピシャリと言ったみたい。そうしたらね、その旦那、「離婚したい」と言ったらしいの。
この国では、宗教上離婚も重婚も認められていない。
お父さまがそう告げたら、愛人が泣き喚くわ、旦那は暴れるわ、大変だったらしい。
「恋愛って大変ねえ」
私が呟く。
「お嬢様もそのうち結婚だろう? 旦那の管理はしっかりしないと」
八百屋のおばちゃんがカッカッカッと笑った。
残念。今日、婚約破棄されたけどね。おばちゃん、現実は厳しいねえ。今度、八百屋のおばちゃんに会ったら、しばらく結婚しないって言わないと!
みんなに結婚いつ?って聞かれて、自分で説明するのは落ち込みそう。おばちゃんにアナウンスしておいてもらおう。
王様はどうするのかしら。気になるわ。
独立とかはお父さまは否定していたけど。もし独立したら、お父さまが王になり、お母さまがお妃になるわけ?
弟は王子! フィリップが王子とか似合い過ぎ。
妄想に浸っていたら、弟が首を横に振って呆れていた。あり得ないと言いたいらしい。たしかに現実的ではないよね。お父さまも弟もそんな野心はないし、面倒くさそうだもん。
フィリップは貿易と魔法薬に興味があるみたい。異国の言葉をマスターすべく、外国人の教師たちに言語を教えてもらっている。すでに4か国語くらいしゃべれるみたい。10歳なのにねえ。大したものね。
お父さまは積極的に弟を誘って、社会見学と称して町や王都へ行っている。
私もたまにお父さまに同行するけど、おもに私は本屋さん担当。町のお祭りの時に催される古本市には必ず御供しております。
本を抱えていると、町の人に呼び止められるの。
「アリスさま、これどうぞ」
「美味しいよ、休んでいって」
よく私におやつをくれる。町のひとはみんないい人だ。
マカミも一緒におやつをもらってるよ。
そして、フィリップの分のお土産まで。ありがとうございます。
私とマカミとフィリップは、町の方々に面が割れているので、どこに行っても声をかけてもらえます。
「アリス様、迷子ですか?」
たまに聞かれています。
「お父さまの馬車はあちらですよ」とか。
定食系や居酒屋系の店だけでなく、最近スイーツ専門店やカフェ、スタンドタイプのお店などがオープンしたので、町のチェックは欠かせません。
工業地域では、新しい技術がいつも入ってきているので、新しい技術の可能性についての話し合いに参加したりね。私の本の知識もたまに役立ちます。
農村地帯にも出向いて、作付調査をしたり、土魔法で土壌改良したりもしているので、農村地帯でも芋や菜っ葉などをいただいてきます。
こういう市場調査もわたしとフィリップの大切なお仕事です。身近に領主がいるってやっぱり犯罪の抑止力にもなるし、町に活気も生まれると思うんだ。
いろいろご意見はあると思うけど。
どうやら、問題は、王都の食料買占めと増税。王都からの使いが頻繁に公爵家に手紙を届けにきていて、もっと農作物を王都へ送れとか、教会へ納める税を増やすぞとか言っているらしい。
そういえばお父さまが3日前も夕食の時、唸っていたわ。
領主的立場で本音を言えば、王都へ農産物や商品を送るより他国と交易した方が儲かるというのがある。でも、王都の台所を担っているという伝統と誇りで、王都へ安く卸しているんだけど。あまり無茶をいわれるとね、うちの平和好きな領民だって黙っちゃいないだろうな。
いったい議会も教会も何を考えているのかしら。
というか、王様は何してるの? あの、王子とか、何やってるのかしら。ぼんやりしてるんじゃないの?
婚約破棄はさておき、いつか施策について話し合いたいものだわ。うちの領民を苦しめようなんて、ただじゃすまないわよ。
こっそり究極魔法までマスターしちゃったんだからね。ふふふ。
王都のえらい人たちも知らないと思うけど。
わたしとフィリップは急いで表に飛び出して、お父さまを迎えた。
おや? 馬車に同席者がいるわ。
私とフィリップはよそ行きの顔にピシっとなった。
商工会議所と農協の代表の皆さんじゃないですか。お父さまと一緒に城にのぼって、会議に参加されたのかしら。
商工会議所と農協は地方の貴族が運営していて、下級貴族が城に行くことはあまりないはず。
今日は緊急事態だったのかしら。
そしてみんな雰囲気が暗い……。
とりあえず、場を和ませようと笑顔で出迎えたが、空振りしたみたい。シーンとした空気が流れている。
フィリップと私は顔を見合わせた。
お母さまはお客さまを屋敷に通して、セバスに夕食の指示をだしている。急な来客にも対応できるうちの使用人たちはすごい。
キッチンではてんやわんやになるに違いないのに、セバス以下使用人たちは涼しい顔だ。
ああ、なんだか夕食が荒れそうです。フィリップと私は別部屋というわけにはいかないわよね。
サロンにお通ししている間にセバスたちが来客用夕食を用意してくれた。お母さまにも疲労の色が……。
私たちは黙って静かに夕食をいただきますか。
フィリップとこそこそ打ち合わせをした。
夕食の時間は、案の定、城で起きた話で話し合いながらになりました。
うちの領地には農村地帯、商業地域、工業地域、交易地域があるんだけど。
川沿いにある商業地域を囲むかのように農村地帯、工業地域、交易地域があり、隣国や遠くの国と貿易を行い、町は活気があるの。
川をさかのぼると、王都にたどり着く。ラッセル領は辺境の地と言われているけど、王都まで魔法を使えば船で3時間ほどでつく。地の便を生かして、昔から王都の食料、衣料、商品を一手に任されている町でもあるのだ。
うちの領地は昔から黒い森と山々が囲まれていたから大きな戦争になることは少なかったらしい。
というのも、この黒い森と山々を超えるというのが、最大難関で、昔から魔獣やら、神やらがいるので黒い森には踏み込むべからずといわれているの。
黒い森と山々には感謝しかない。平和をありがとうございます。
だから、交易は今でもすべて海路となっている。
海辺の一角には交易地域があり、貿易商人やその家族が住んでいる。異国の文化が漂う町は、見ていて飽きない。美味しいものもいっぱいあるしね。
うちの領地は昔から交易が盛んだったため、外国の人を受け入れるのも抵抗がないの。治安もいいし、市民たちの交流も盛んだ。うちの領民の特性は前向きで明るいということもある。
見知らぬ新しい食材もどんどん入ってくるし、剣や盾、皿や花瓶までうちの国にはない製法で作られたものも入ってくる。
うちの領民たちは柔軟に受け入れ、融合させ、ハイブリッドの製品がつくりだす天才だ。それが王都へ流れ、流行になる。王都とはよい関係だったのに……ね。
また、お父さまは農業の研究にも力を注いでいて、よいと言われている農法を取り入れたり、治水工事にも積極的。だから穀物量も増加していて、農村地帯は明るい雰囲気。農協もそれなりに潤っているはず。
でも、お父さまと一緒に商工会議所と農協が動いているってことは……。
私とフィリップは聞き耳を立てながら、好物の鶏肉のクリームポテト詰めの確保に努めた。おかずは積極的に確保よ、フィリップ!
「なぜラッセル領が王都の皺寄せをうけるんですか。ラッセル領は食料も品物も全てそろっている。あー、王都にラッセル領の足を引っ張ってほしくない」
商工会議所代表のウルマさんは、お酒を飲みながら、お父さまのほうを向いて語気を強めた。
「飲み過ぎですな」
お父さまは微笑みながら、王政の悪口をやめるようたしなめた。
誰が聞いているかわからないからね。うちの使用人たちは口が固いけどね。スパイとかいるかもしれないし、それでも用心したほうがいい。
「いや農協側としても商工会議所のウルマさんの意見と同じです」
農協代表のサカゴクさんも顔を赤くしてお父さまに訴えている。
なぜ王都で食料不足なの?
ここ数年は豊作だよ。
増税のことをウルマさんもサカゴクさんも話しているみたい。
何が王都で起きてるのかしら。
流行り病が出たとか、飢饉が起きたとか、聞いてないんだけど。もしかして私が知らない何かがあるの?
「城はいま、教会と王家に割れているとはいえ、なぜラッセル領が……」
ウルマさんはサカゴクさんに同意を求めると、サカゴクさんも「ほんとですよ、なぜ王の離婚問題がラッセル領に関係するんですか」とつぶやいた。
「まあまあ、たしかに割り切れませんが、影響が最小限になるよう何か策を講じなければ……」
お父さまが口を一文字にした。
「ほんと、バカらしい。愛人と結婚したいとか、教会と揉めるとか、あり得ない。いっそ、ラッセル領はどく……りつ」
ウルマさんが小さい声でいうと、お父さまは「それは……、聞かなかったことにしましょう。もう少しこの件はわたしに預けて、待ってくださいませんか」
「まあ、ハワードさんがいうなら……」
サカゴクさんがウルマさんを見た。
ウルマさんはうなずく。
えー、王さま、愛人ができたってこと?
この前聞いた町のスイーツ店の話と同じじゃない。えええ、愛人と結婚できないよね……。
八百屋のおばちゃんが言うには、この先のスイーツのお店の美人店主が公爵さまに訴えたらしいの。
「うちの旦那が愛人を作って、愛人とも結婚しようとしてる」って。
「この国では、重婚は重罪」
お父さまはピシャリと言ったみたい。そうしたらね、その旦那、「離婚したい」と言ったらしいの。
この国では、宗教上離婚も重婚も認められていない。
お父さまがそう告げたら、愛人が泣き喚くわ、旦那は暴れるわ、大変だったらしい。
「恋愛って大変ねえ」
私が呟く。
「お嬢様もそのうち結婚だろう? 旦那の管理はしっかりしないと」
八百屋のおばちゃんがカッカッカッと笑った。
残念。今日、婚約破棄されたけどね。おばちゃん、現実は厳しいねえ。今度、八百屋のおばちゃんに会ったら、しばらく結婚しないって言わないと!
みんなに結婚いつ?って聞かれて、自分で説明するのは落ち込みそう。おばちゃんにアナウンスしておいてもらおう。
王様はどうするのかしら。気になるわ。
独立とかはお父さまは否定していたけど。もし独立したら、お父さまが王になり、お母さまがお妃になるわけ?
弟は王子! フィリップが王子とか似合い過ぎ。
妄想に浸っていたら、弟が首を横に振って呆れていた。あり得ないと言いたいらしい。たしかに現実的ではないよね。お父さまも弟もそんな野心はないし、面倒くさそうだもん。
フィリップは貿易と魔法薬に興味があるみたい。異国の言葉をマスターすべく、外国人の教師たちに言語を教えてもらっている。すでに4か国語くらいしゃべれるみたい。10歳なのにねえ。大したものね。
お父さまは積極的に弟を誘って、社会見学と称して町や王都へ行っている。
私もたまにお父さまに同行するけど、おもに私は本屋さん担当。町のお祭りの時に催される古本市には必ず御供しております。
本を抱えていると、町の人に呼び止められるの。
「アリスさま、これどうぞ」
「美味しいよ、休んでいって」
よく私におやつをくれる。町のひとはみんないい人だ。
マカミも一緒におやつをもらってるよ。
そして、フィリップの分のお土産まで。ありがとうございます。
私とマカミとフィリップは、町の方々に面が割れているので、どこに行っても声をかけてもらえます。
「アリス様、迷子ですか?」
たまに聞かれています。
「お父さまの馬車はあちらですよ」とか。
定食系や居酒屋系の店だけでなく、最近スイーツ専門店やカフェ、スタンドタイプのお店などがオープンしたので、町のチェックは欠かせません。
工業地域では、新しい技術がいつも入ってきているので、新しい技術の可能性についての話し合いに参加したりね。私の本の知識もたまに役立ちます。
農村地帯にも出向いて、作付調査をしたり、土魔法で土壌改良したりもしているので、農村地帯でも芋や菜っ葉などをいただいてきます。
こういう市場調査もわたしとフィリップの大切なお仕事です。身近に領主がいるってやっぱり犯罪の抑止力にもなるし、町に活気も生まれると思うんだ。
いろいろご意見はあると思うけど。
どうやら、問題は、王都の食料買占めと増税。王都からの使いが頻繁に公爵家に手紙を届けにきていて、もっと農作物を王都へ送れとか、教会へ納める税を増やすぞとか言っているらしい。
そういえばお父さまが3日前も夕食の時、唸っていたわ。
領主的立場で本音を言えば、王都へ農産物や商品を送るより他国と交易した方が儲かるというのがある。でも、王都の台所を担っているという伝統と誇りで、王都へ安く卸しているんだけど。あまり無茶をいわれるとね、うちの平和好きな領民だって黙っちゃいないだろうな。
いったい議会も教会も何を考えているのかしら。
というか、王様は何してるの? あの、王子とか、何やってるのかしら。ぼんやりしてるんじゃないの?
婚約破棄はさておき、いつか施策について話し合いたいものだわ。うちの領民を苦しめようなんて、ただじゃすまないわよ。
こっそり究極魔法までマスターしちゃったんだからね。ふふふ。
王都のえらい人たちも知らないと思うけど。
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