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この世のルールは複雑なのね
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「お姉さま、うちは教会と王に税金と商品納めていますよね」
フィリップがこそっと聞いてきた。
お父さまたちは酔っ払って、愛人の正体は誰なのか、話している。酔っぱらうとなぜ大声になるのかしらね。本当に迷惑。フィリップの声が聞こえづらいじゃないの。
「そうよ、ちゃんと教会税と領地税を払って、商品の売買をしてるわ」
「それなのに、どうして教会と王が無茶振りしてきたんですか。愛人問題とのどう関係するの?」
不思議そうにフィリップは私を見つめている。
「そこはねえ、おそらくだけど、もともと王と教会が仲が悪いからだと思うわ」
「どういうことですか」
そうよね。わからないわよね。私はどうやって説明しようか思案した。だって、こういうのって、難しいじゃない。
でも、ちゃんとなるべく正確に伝えなきゃね。
「教会の力が強ければ、みんな教会を応援して、なんとかしてもらおうって思うでしょ。反対に王が強ければ、王になんとかしてもらいたいでしょ。つまり教会と王はライバルなのよ」
「なるほど。じゃ取り巻きの数の話なんですね」
「取り巻き……。そういう感じかな。取り巻きの数がお金の量になり、権力の強さになるからね。だから、取り巻きを逃さないシステムというのも教会と王が作っているのよ」
「なんか、大人ってすごいんだね」
フィリップは目をキラキラさせている。こんなお金の絡む権力話を楽しそうに聞けるなんて。やっぱりこの子しか次世代領主はいないわ。
うんうん。頑張れ。フィリップ。お姉ちゃんは応援する。
「まずね、教会は教会税を払えっていうでしょ。教会税をいつも確保したいから、領民は許可なく領土から出ちゃいけないって規則があるの。つまり、引越し禁止ね。それから、風紀が乱れると教会の所為にされるから、重婚も禁じていて、離婚も禁止」
「なるほど。理由があるんですねえ」
フィリップがぐいぐい食いついてきた。
「王さまも同じね。税金を取って、税金の確保のために引越し禁止。それは工業や農業の技術の流出にもつながるからね」
「ふむふむ」
可愛いいフィリップが大人の世界へ……。うう。こんな世界の話をして、フィリップが汚れてしまうとためらっていたら、早く続きを話せと睨まれた。
フィリップ、もしかして腹黒? こういう世界をすいすい泳げちゃうタイプ?
「王さまはお后様とはちがう女の人を好きになっちゃったから、教会と対立しているんだって。うちのお父さまを見習ってほしいわ。お母さま一筋だもの」
私とフィリップはお父さまに熱い視線を送る。お父さまは突然の子どもたちからの注目に戸惑っている。
「でも、王さまは愛人もたくさんいるんじゃないの?」
フィリップの口から愛人という言葉を聞いて、私は軽い目眩がした。お母さまにまで聞こえたらしく、目を向いて静かに怒っている。
「まあね、愛人といっても、取り巻きの娘とかもいるから、ご寵愛を受けてるかはまた別なのよ。ところが恋に落ちちゃったのかしらね。どうしても離婚して、愛人の一人と結婚したいってことみたい」
お母さまに聞こえないように、さらに小さい声で説明する。
「いろいろ大人って、あるんだね」
フィリップがふーんと頷く。
「もともと領民からのお金と権力の奪い合いしてるから仲が悪かったけど、愛人問題で正面衝突ということだわね」
「うちはお父さまとお母さまの仲がよくてよかったね」
フィリップは微笑んだ。
神様への信仰と、お金と国政がごちゃ混ぜというのはどうなのかなと考えちゃうなぁ。
王さまも王さまだし、教会も教会だ。さらに愛人。結婚に夢とか希望とかなくなるよ。王さまでさえこれだよ。
救いはお父さま、お母さまがうまくいってることかな。現実の恋愛は胸焼けしそう。
「それが、どうお姉さまの婚約破棄につながるんでしょうね」
フィリップがぼそっとつぶやいた。
私はぎょっとした。
フィリップ賢すぎ! でも情報はないからね。わからないよ。本当に王子に好きな人ができたのかもしれないし。
ああ、だんだんムカついてきた。サロンの奥にある王子の肖像画、倉庫にいれようかしら。
とにかく、私は、わたしの家族とうちの領民が平和で幸せに暮らしてもらえればいい。王さまも教会も、婚約破棄の王子も勝手にやってちょうだい。
フィリップがこそっと聞いてきた。
お父さまたちは酔っ払って、愛人の正体は誰なのか、話している。酔っぱらうとなぜ大声になるのかしらね。本当に迷惑。フィリップの声が聞こえづらいじゃないの。
「そうよ、ちゃんと教会税と領地税を払って、商品の売買をしてるわ」
「それなのに、どうして教会と王が無茶振りしてきたんですか。愛人問題とのどう関係するの?」
不思議そうにフィリップは私を見つめている。
「そこはねえ、おそらくだけど、もともと王と教会が仲が悪いからだと思うわ」
「どういうことですか」
そうよね。わからないわよね。私はどうやって説明しようか思案した。だって、こういうのって、難しいじゃない。
でも、ちゃんとなるべく正確に伝えなきゃね。
「教会の力が強ければ、みんな教会を応援して、なんとかしてもらおうって思うでしょ。反対に王が強ければ、王になんとかしてもらいたいでしょ。つまり教会と王はライバルなのよ」
「なるほど。じゃ取り巻きの数の話なんですね」
「取り巻き……。そういう感じかな。取り巻きの数がお金の量になり、権力の強さになるからね。だから、取り巻きを逃さないシステムというのも教会と王が作っているのよ」
「なんか、大人ってすごいんだね」
フィリップは目をキラキラさせている。こんなお金の絡む権力話を楽しそうに聞けるなんて。やっぱりこの子しか次世代領主はいないわ。
うんうん。頑張れ。フィリップ。お姉ちゃんは応援する。
「まずね、教会は教会税を払えっていうでしょ。教会税をいつも確保したいから、領民は許可なく領土から出ちゃいけないって規則があるの。つまり、引越し禁止ね。それから、風紀が乱れると教会の所為にされるから、重婚も禁じていて、離婚も禁止」
「なるほど。理由があるんですねえ」
フィリップがぐいぐい食いついてきた。
「王さまも同じね。税金を取って、税金の確保のために引越し禁止。それは工業や農業の技術の流出にもつながるからね」
「ふむふむ」
可愛いいフィリップが大人の世界へ……。うう。こんな世界の話をして、フィリップが汚れてしまうとためらっていたら、早く続きを話せと睨まれた。
フィリップ、もしかして腹黒? こういう世界をすいすい泳げちゃうタイプ?
「王さまはお后様とはちがう女の人を好きになっちゃったから、教会と対立しているんだって。うちのお父さまを見習ってほしいわ。お母さま一筋だもの」
私とフィリップはお父さまに熱い視線を送る。お父さまは突然の子どもたちからの注目に戸惑っている。
「でも、王さまは愛人もたくさんいるんじゃないの?」
フィリップの口から愛人という言葉を聞いて、私は軽い目眩がした。お母さまにまで聞こえたらしく、目を向いて静かに怒っている。
「まあね、愛人といっても、取り巻きの娘とかもいるから、ご寵愛を受けてるかはまた別なのよ。ところが恋に落ちちゃったのかしらね。どうしても離婚して、愛人の一人と結婚したいってことみたい」
お母さまに聞こえないように、さらに小さい声で説明する。
「いろいろ大人って、あるんだね」
フィリップがふーんと頷く。
「もともと領民からのお金と権力の奪い合いしてるから仲が悪かったけど、愛人問題で正面衝突ということだわね」
「うちはお父さまとお母さまの仲がよくてよかったね」
フィリップは微笑んだ。
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王さまも王さまだし、教会も教会だ。さらに愛人。結婚に夢とか希望とかなくなるよ。王さまでさえこれだよ。
救いはお父さま、お母さまがうまくいってることかな。現実の恋愛は胸焼けしそう。
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ああ、だんだんムカついてきた。サロンの奥にある王子の肖像画、倉庫にいれようかしら。
とにかく、私は、わたしの家族とうちの領民が平和で幸せに暮らしてもらえればいい。王さまも教会も、婚約破棄の王子も勝手にやってちょうだい。
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