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道がないなら、作ります 7
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「いやいや、私が迫るとかありえませんから」
そうそう、そんな恥ずかしいことできません。
だいたい王子には新婚約者がいるんですから。
「アリス、そんなこと言わないでください」
王子から甘く切なそうに抗議の声が上げました。
「僕の気持ちは分かりませんか? だいたい僕は最初からアリスがいいって決めていたんだからね」
そんなこと言われたら、私はどうしたらいいの?
鳩尾のあたりがキューとなります。なんだろう、この感情……。
ちらりと王子を見ると、王子も耳まで赤いです。
ダメダメ。いま、そんな状況じゃないですよね。
私は首を振ります。
現在カトリーヌ様が婚約者じゃないですか。ううん? ちょっと待って。
私は記憶を辿ります。
これって三角関係ってこと、決定ですか? ええ? これが?
愛読書の『エドワード王子の恋の物語~僕の運命の恋人は~』にも、エドワード王子をめぐって三角関係になるシーンが出てきたけど……。もっと切なくて、あああって感じで、心がきゅうっとなる感じだったのに……。
あ、そういえばさっき私も鳩尾がキュッとしました。これですか? もしかしてこれのこと? おおお。感動です。
いやいや、そうじゃなくて。
現実の三角関係って、こんなもんなんですか……。いつのまにか発生。ちょっとリアルの残酷さを知りました。
物語って美しく書かれているんですね。それとも、第三者の目から見たら、私たちも美しい三角関係に見えるんでしょうか……。
「とにかく、いまは領地拡大のために先を急ぎますので……」
ああ、また、領地拡大って王子の前で言っちゃったよ。
自分の口の軽さに嫌になる。
長く王子が一緒にいるから、王子を信じてるだわ、たぶん。私の自己解析によると……。
あわてて私があたふたしていたら、
「大丈夫。アリスは分かりやすいから、最初から分かっていたから」
王子に肩をつかまれました。
もう全部バレていたってこと? はあ?
これまでの私の気遣いは何だったんでしょうね……。なんだか疲れちゃいました。たいしてしてないじゃんとか、突っ込まないでくださいね。
「僕たちはいつも一緒だよ」
王子はあでやかに笑います。笑顔が黒いですよ、見た目は爽やかなのに……。
ブラウンは近くでしたり顔です。そう、うまく事は運びませんからね! 三角関係発生中ですから。
「アリス様? あの者たち、どうしますか?」
ブラウンはちらっと距離を置いて見ているマントの男たちを確認しました。
「そうねえ。あとで厄介になる前に、今やっちゃうって方法もあるんだけど……。それも面倒だし。放っておくっていうのでいいかな」
「え? そんなんでいいの?」
王子はびっくりしています。
「別に、後をつけたければ、つければいいんですよ。私にやましいところは何もないんですから」
「えええ? やましいこと? 僕としては歓迎だけどね」
したり顔の王子です。
「もう……、そんなの聞こえませんよ。とりあえず、平和にすごせりゃいいんです。襲われたら闘いますが、向こうから来ないので捨ておきましょう」
それよりさっさと歩かないと。
こんなんじゃ、私の神経がリマーまで持ちません。王子がいると、顔が赤くなって、全身が熱くなって、ドキドキするんです。
きっと、緊張しているからです。そうにちがいない。断じて「こ」の付くものじゃないですからね! たぶん……。きっと……。
「まあ、SUMOTORIをみて、アリス様を襲おうっていう輩はいないでしょうね……」
ブラウンは、かわいそうにとばかりに、後ろを見ました。同情は不要だと思うんですよ。もしもし、ブラウン?
別にSUMOTORIで人を襲うとかしませんよ? みなさま、安心してくださいね。
しかし、考えようによっては、リマーまでの人数が増えて、これなら、たとえ野盗に襲われても、赤マントの人たちに助けてもらえればいいし、楽に先に進めますよね。
この草原は大変見晴らしがいいのですが、その分、隠れようがないんです。野盗のような悪い人たちに襲われたらひとたまりもありません。
普通の人でしたら……敵に不意を突かれて、逃げるところなしなんて、ほんと怖いところなんですけど。私も普通の人ですからね……、ここは用心しないといけません。
え? 私も普通の人なんですよ?
究極魔法は、まだまだ魔力があるのでいつでも発動できますが……。なるべく魔法を使わない方がいいじゃないですか。
ちなみに寝るときはマジックポケットを使えばいいですから、寝ているときは絶対安全です。寝不足は冷静な判断を鈍らせますからね。お肌に悪いし。
そうだ! そろそろブラックナイトを外に出してあげてもいいかな。草原だし、きっと喜ぶに違いないですよね!
ブラウンにブラックナイトをマジックポケットから連れてきてもらいました。草原を見て瞳が輝いたのを私は見てましたよ。
ブラックナイトは王子の隣でかしこまってはみたものの、うずうずしているみたい。
「王子、ブラックナイトに乗って、この先を見て来てくれませんか?」
私がブラックナイトの背をポンポンと叩くと、ブラックナイトは嬉しそうにこっちを向いた。
そうよ、あなたの気持ちはわかるのよ。だから、私に懐くのですよ。うううん、懐け、懐け。
愛の念をブラックナイトに送ってみましたが……。あれ、こっち見た? やった!
ちょっと待って。その視線……、私の方でなくブラウンの方を見ていた? くう、がっくりです。
いいです。私はただブラックナイトを愛でることにします。マカミもいるし、寂しくなんかないですよ。
ま、まさか。これって、「フラれた」ってことなんでしょうか。ああ、なんて切ないんでしょう。フラれるとは感慨深いものですね。罪だわ。
もし、王子にフラれるとしたら……、ショックかも。いやいや、ちょっと待って。私婚約破棄されてるんだから、フラれてるってことよね。
なんだか改めてショック……。
王子は手綱を握り、ブラックナイトを走らせます。ブラックナイトは力いっぱい飛び跳ねて、私たちにあいさつをした後、猛スピードで前を駆けて行きました。
ブラックナイト、そんなに力が有り余っていたのね。ごめんね、活躍させてあげなくて……。
ブラックナイトにとっては草原に来れてよかったのかもしれません。それに、ブラックナイトに乗っている王子をちょっとカッコいいって思ってしまった。もちろん内緒です。
顔から笑みが溢れそうになりますが、急いで引き締めます。頬がピクピクするのは、見ないふりしてくださいね。
しかし……、場所によっては草が私たちの腰の位置まで高く生えているため、歩くのは容易ではありません。
これ、なんとかならないかな……。蛇とか、虫とかいそうで嫌な感じです。
背の高い草に覆われているため、足元が少々ぬかるんでいても見えません。おまけになんか臭いがどこからともなく漂ってくるのです。
こんな匂い、嗅いだことがないんだけど……。
ブラウンも嫌そうな顔をしています。究極魔法の風で草を切るっていうこともできますが……、広範囲にぬかるみもあるんじゃ、埒があきません。
「きゃー、黒いシミが!」
泥が服についていたらしく、ブラウンが悲鳴を上げました。
「なんなんですか、これ、落ちない。アリス様! 危険です。これ、すっごい危険」
ブラウンは少々パニック気味です。綺麗好きですからね。服に付く泥跳ねが気にいらないみたい。
あれ……。たしかにこの黒い泥、取れない……。
「ねえ、ブラウンはマジックポケットで夕飯の支度をしてくれる?」
「お嬢さま……、お嬢さまひとりで大丈夫なんですか?」
ブラウンは申し訳なさそうな顔をします。
適材適所という言葉もあります。ブラウンには美味しい夕飯をお願いしましょう。
この黒い泥、もしかして、もしかして……。私には思い当たることがあるのです。
「大丈夫よ。マカミもいるし」
ブラウンは、はっとマカミを見て、目を丸くしました。
「きゃー。マカミが……。いやああああ」
ブラウンの悲鳴にびっくりです。慌ててマカミを見つめます。いや、マカミさんは生きてますけど。元気そうですけど?
「泥で白い毛が……。ああ、しかも草の種まで毛にくっついて……」
ブラウンはショックを受けています。マカミの毛が臭くなりそうです……。
「あとで、ブラッシングするし、ちゃんとふわふわに洗ってあげるから……」
「お嬢さま、絶対ですよ?」
ブラウンは涙目で私をジトっと見ます。
「寝る前には、マカミをきれいにしますから大丈夫です。香油は何がいいか、ブラウンが決めてね」
ブラウンはほっとしたようにマジックポケットに入っていきました。
この泥をなんとかして、道を作り……、歩きやすくしたほうがいいですよね……。私は大きな岩に寄りかかり、地図を広げてルートを探りはじめました。
トラウデンの町からここまでと、ここからリマーまでか……。なるべく平坦なところで、安全な道がいいけれど。今までどうして太い道がなかったんだろう?
この黒い泥のせいかな……。
それとも……、川のほうが移動が早いから、陸路は発達しなかったのかな? でも川だけだと不安なのよね。雨の多い時期も考えると、陸路もいる。
やっぱりこの黒い泥なんとかしないと!
岩の上にある地図を見ながら頬杖をついていますが、夕方とは言え、ジリジリと太陽光線が私を焼いていきます。西日による日焼けには気をつけないといけませんね。
ううう。暑い……。
そうそう、そんな恥ずかしいことできません。
だいたい王子には新婚約者がいるんですから。
「アリス、そんなこと言わないでください」
王子から甘く切なそうに抗議の声が上げました。
「僕の気持ちは分かりませんか? だいたい僕は最初からアリスがいいって決めていたんだからね」
そんなこと言われたら、私はどうしたらいいの?
鳩尾のあたりがキューとなります。なんだろう、この感情……。
ちらりと王子を見ると、王子も耳まで赤いです。
ダメダメ。いま、そんな状況じゃないですよね。
私は首を振ります。
現在カトリーヌ様が婚約者じゃないですか。ううん? ちょっと待って。
私は記憶を辿ります。
これって三角関係ってこと、決定ですか? ええ? これが?
愛読書の『エドワード王子の恋の物語~僕の運命の恋人は~』にも、エドワード王子をめぐって三角関係になるシーンが出てきたけど……。もっと切なくて、あああって感じで、心がきゅうっとなる感じだったのに……。
あ、そういえばさっき私も鳩尾がキュッとしました。これですか? もしかしてこれのこと? おおお。感動です。
いやいや、そうじゃなくて。
現実の三角関係って、こんなもんなんですか……。いつのまにか発生。ちょっとリアルの残酷さを知りました。
物語って美しく書かれているんですね。それとも、第三者の目から見たら、私たちも美しい三角関係に見えるんでしょうか……。
「とにかく、いまは領地拡大のために先を急ぎますので……」
ああ、また、領地拡大って王子の前で言っちゃったよ。
自分の口の軽さに嫌になる。
長く王子が一緒にいるから、王子を信じてるだわ、たぶん。私の自己解析によると……。
あわてて私があたふたしていたら、
「大丈夫。アリスは分かりやすいから、最初から分かっていたから」
王子に肩をつかまれました。
もう全部バレていたってこと? はあ?
これまでの私の気遣いは何だったんでしょうね……。なんだか疲れちゃいました。たいしてしてないじゃんとか、突っ込まないでくださいね。
「僕たちはいつも一緒だよ」
王子はあでやかに笑います。笑顔が黒いですよ、見た目は爽やかなのに……。
ブラウンは近くでしたり顔です。そう、うまく事は運びませんからね! 三角関係発生中ですから。
「アリス様? あの者たち、どうしますか?」
ブラウンはちらっと距離を置いて見ているマントの男たちを確認しました。
「そうねえ。あとで厄介になる前に、今やっちゃうって方法もあるんだけど……。それも面倒だし。放っておくっていうのでいいかな」
「え? そんなんでいいの?」
王子はびっくりしています。
「別に、後をつけたければ、つければいいんですよ。私にやましいところは何もないんですから」
「えええ? やましいこと? 僕としては歓迎だけどね」
したり顔の王子です。
「もう……、そんなの聞こえませんよ。とりあえず、平和にすごせりゃいいんです。襲われたら闘いますが、向こうから来ないので捨ておきましょう」
それよりさっさと歩かないと。
こんなんじゃ、私の神経がリマーまで持ちません。王子がいると、顔が赤くなって、全身が熱くなって、ドキドキするんです。
きっと、緊張しているからです。そうにちがいない。断じて「こ」の付くものじゃないですからね! たぶん……。きっと……。
「まあ、SUMOTORIをみて、アリス様を襲おうっていう輩はいないでしょうね……」
ブラウンは、かわいそうにとばかりに、後ろを見ました。同情は不要だと思うんですよ。もしもし、ブラウン?
別にSUMOTORIで人を襲うとかしませんよ? みなさま、安心してくださいね。
しかし、考えようによっては、リマーまでの人数が増えて、これなら、たとえ野盗に襲われても、赤マントの人たちに助けてもらえればいいし、楽に先に進めますよね。
この草原は大変見晴らしがいいのですが、その分、隠れようがないんです。野盗のような悪い人たちに襲われたらひとたまりもありません。
普通の人でしたら……敵に不意を突かれて、逃げるところなしなんて、ほんと怖いところなんですけど。私も普通の人ですからね……、ここは用心しないといけません。
え? 私も普通の人なんですよ?
究極魔法は、まだまだ魔力があるのでいつでも発動できますが……。なるべく魔法を使わない方がいいじゃないですか。
ちなみに寝るときはマジックポケットを使えばいいですから、寝ているときは絶対安全です。寝不足は冷静な判断を鈍らせますからね。お肌に悪いし。
そうだ! そろそろブラックナイトを外に出してあげてもいいかな。草原だし、きっと喜ぶに違いないですよね!
ブラウンにブラックナイトをマジックポケットから連れてきてもらいました。草原を見て瞳が輝いたのを私は見てましたよ。
ブラックナイトは王子の隣でかしこまってはみたものの、うずうずしているみたい。
「王子、ブラックナイトに乗って、この先を見て来てくれませんか?」
私がブラックナイトの背をポンポンと叩くと、ブラックナイトは嬉しそうにこっちを向いた。
そうよ、あなたの気持ちはわかるのよ。だから、私に懐くのですよ。うううん、懐け、懐け。
愛の念をブラックナイトに送ってみましたが……。あれ、こっち見た? やった!
ちょっと待って。その視線……、私の方でなくブラウンの方を見ていた? くう、がっくりです。
いいです。私はただブラックナイトを愛でることにします。マカミもいるし、寂しくなんかないですよ。
ま、まさか。これって、「フラれた」ってことなんでしょうか。ああ、なんて切ないんでしょう。フラれるとは感慨深いものですね。罪だわ。
もし、王子にフラれるとしたら……、ショックかも。いやいや、ちょっと待って。私婚約破棄されてるんだから、フラれてるってことよね。
なんだか改めてショック……。
王子は手綱を握り、ブラックナイトを走らせます。ブラックナイトは力いっぱい飛び跳ねて、私たちにあいさつをした後、猛スピードで前を駆けて行きました。
ブラックナイト、そんなに力が有り余っていたのね。ごめんね、活躍させてあげなくて……。
ブラックナイトにとっては草原に来れてよかったのかもしれません。それに、ブラックナイトに乗っている王子をちょっとカッコいいって思ってしまった。もちろん内緒です。
顔から笑みが溢れそうになりますが、急いで引き締めます。頬がピクピクするのは、見ないふりしてくださいね。
しかし……、場所によっては草が私たちの腰の位置まで高く生えているため、歩くのは容易ではありません。
これ、なんとかならないかな……。蛇とか、虫とかいそうで嫌な感じです。
背の高い草に覆われているため、足元が少々ぬかるんでいても見えません。おまけになんか臭いがどこからともなく漂ってくるのです。
こんな匂い、嗅いだことがないんだけど……。
ブラウンも嫌そうな顔をしています。究極魔法の風で草を切るっていうこともできますが……、広範囲にぬかるみもあるんじゃ、埒があきません。
「きゃー、黒いシミが!」
泥が服についていたらしく、ブラウンが悲鳴を上げました。
「なんなんですか、これ、落ちない。アリス様! 危険です。これ、すっごい危険」
ブラウンは少々パニック気味です。綺麗好きですからね。服に付く泥跳ねが気にいらないみたい。
あれ……。たしかにこの黒い泥、取れない……。
「ねえ、ブラウンはマジックポケットで夕飯の支度をしてくれる?」
「お嬢さま……、お嬢さまひとりで大丈夫なんですか?」
ブラウンは申し訳なさそうな顔をします。
適材適所という言葉もあります。ブラウンには美味しい夕飯をお願いしましょう。
この黒い泥、もしかして、もしかして……。私には思い当たることがあるのです。
「大丈夫よ。マカミもいるし」
ブラウンは、はっとマカミを見て、目を丸くしました。
「きゃー。マカミが……。いやああああ」
ブラウンの悲鳴にびっくりです。慌ててマカミを見つめます。いや、マカミさんは生きてますけど。元気そうですけど?
「泥で白い毛が……。ああ、しかも草の種まで毛にくっついて……」
ブラウンはショックを受けています。マカミの毛が臭くなりそうです……。
「あとで、ブラッシングするし、ちゃんとふわふわに洗ってあげるから……」
「お嬢さま、絶対ですよ?」
ブラウンは涙目で私をジトっと見ます。
「寝る前には、マカミをきれいにしますから大丈夫です。香油は何がいいか、ブラウンが決めてね」
ブラウンはほっとしたようにマジックポケットに入っていきました。
この泥をなんとかして、道を作り……、歩きやすくしたほうがいいですよね……。私は大きな岩に寄りかかり、地図を広げてルートを探りはじめました。
トラウデンの町からここまでと、ここからリマーまでか……。なるべく平坦なところで、安全な道がいいけれど。今までどうして太い道がなかったんだろう?
この黒い泥のせいかな……。
それとも……、川のほうが移動が早いから、陸路は発達しなかったのかな? でも川だけだと不安なのよね。雨の多い時期も考えると、陸路もいる。
やっぱりこの黒い泥なんとかしないと!
岩の上にある地図を見ながら頬杖をついていますが、夕方とは言え、ジリジリと太陽光線が私を焼いていきます。西日による日焼けには気をつけないといけませんね。
ううう。暑い……。
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