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一時帰還して……作戦会議 4
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塩精製場や温泉施設などもできたので、この辺で領地開拓の印を付与しようと思います。結構体力使いました。赤レンガの建物はいい雰囲気で、私的にはいいかなっと思うのよ。
印のつけ方ですが、ここは私の、ラッセル家の領地ということを知らしめるために、魔法の札でもいいですし、魔法でもいいのですけど、境界ラインで火を燃やせばいいのです。簡単です。
死の大地の端、エルメシュ山脈の森の前で線を引き、それから大地に祈りを捧げ、火の魔法を発動させます。
「究極魔法・火」
細く長くして、火を境界ラインに巡らせました。これでおしまいです。
これでこの領地はラッセル領になりました。領地として印を付与すると、領地の管理もついてくるので、維持が大変……。まめなお父様のような人に向きます。あまり私向きではないと思いますが、これも家族のため、領民のため、頑張ります。
フィリップに頼んでもいいかもしれませんが、原油の解析で今ごろ楽しんでいるだろうなあ。
見渡す限り、シタラとマイヤの集落までラッセル領になりました。
「広い……」
「広いですねえ。がんばって、お嬢さま」
ブラウンはヒトごとのように話します。
「ううう」
「お嬢さまなら管理もできます! 建物もたてたし」
ブラウンが励ましてくれました。
「ただ……、このままだと留守を荒らされないか心配だよね」
王子も腕組みをしています。
「では……私の人形を置いて、先に進むことにしましょう。この人形は私の身代わりになるはずです」
私はささっと私そっくりの土人形を作って見せました。
王子は面白そうに人形の頬をなでています。
王子の言う通り、黒い沼の草原に死の大地で、嫌われている土地だとはいえ、この土地の価値に気がついた人がいたら、奪われて領地開拓の印を上書きされてしまうとやっかいですからね。
「もう少し、アリスに似ていたほうがいいかな。あと、この広い敷地、アリスの複製人形1体で足りるのかな……」
王子は心配そうです。
「ええ? そ、そうですか。それなら私の人形を1体とは言わず、30体ほどおいていきましょうか」
「はあ? 30体?……」
王子はびっくりしています。
誰もいない土地に私の人形30体が歩き回るというのもなんともホラーな感じがしますが……。反対されるのを期待して述べてみました。
「……、アリスの人形が30体とは……、すっごくいいじゃないですか! そうしたほうがいい。アリスはそんな魔法も使えるんだ……」
王子は目を輝かせています。
「ああ、まあ……、ほめていただきうれしいです」
ブラウンの顔をちらっと見ると、怒っていないので、OK案件らしいです。じゃあ、人形を作ります。
「究極魔法・複製! 私を30体」
風が私の周りを取り巻き、ボディの測定をしていきます。こうみると、恥ずかしいですね……。誰にも見せたくないという気持ちが沸き上がりますが……。これも仕事です。
土が私の形になり、乾燥、焼かれていきますよ。ヌードサイズを測られるのも嫌なので、今回は服ごと作成しちゃいます。ドレスなどは自然の動きにはならないけれど、見張りにするのが目的ですから、いいですよね?
本当のことを言うと……、王子もいるから、人形とは言え、私の裸のようなものは見られたくないのです。その辺お察しください。
さて、どんどん磁器の肌が作られ、どこからともなくオレンジ色をした琥珀が60個集まってきました。
目を顔の中に入れていくと出来上がりです。なんだか奇妙な気持ちがします。
「似ている……」
私は30体の私の複製を見て汗を拭きました。
「ええ? そうですか。もうちょっと顔とか髪とかなんとかなりませんか」
ブラウンの厳しいご意見です……。
ええ、髪の毛はその辺の草の繊維を利用して、作りましたが、無理なんですって。死の大地だから草がほとんどないんですよ。若干私もどきの人形の髪がボリューム不足ではありますが……。勘弁してください。
「この辺……、地肌見えてますよ。仕事は丁寧にですよ」
ブラウンが複製15番の髪をとかしてまとめなおしてくれました。
「すいません……」
私は面目ない気持ちになりました。
「ああ、この複製3番、僕が欲しいです」
「……」
楽し気に王子は選んでいるので、私は思わずにらんでしまいました。
「う、嘘ですよ。ジョーク、ほんのジョーク」
王子は肩をすくめます。
いや、あの目は本心を語っていました。
使い終わった複製ちゃんたちは、私が悪用されないよう責任を持って処分すると心に決めたのでした。
新領地の見張りもできたし、出かけましょう。
複製ちゃんたちに浮遊魔法をかけ、死の大地、塩精製所、温泉施設、原油、草原を見回るようにしておきます。シタラとマイヤのところまでいれると、けっこう広大な土地になっていますが、30体もいればなんとかなるでしょう。
それにちょっとだけ魔力を込めておいたので、何かあったら連絡してくれると思います。その時は空間切り裂き魔法でこちらに戻るという計画です。
「なんか……」
動き始めた複製ちゃんたちを見て、ブラウンは目を細めてため息をつきました。
「呪いの人形感が漂ってますね……」
王子がブっと吹き出します。
ひ、ひどいです……。
「たしかに……、夜、月明かりに光る白磁のアリス……。これは亡霊さながらですね」
王子は大笑いしています。
「ふわりふわり足をつけず、空を舞う人形ですからねえ……」
ブラウンも追撃してきました。
「ええ! だって、30着も服はないし、布の人形にする時間もなかった……よね? 仕方がないんですう」
私の言い訳が死の大地に炸裂しました。
ブラウンと王子は、どの人形が私に似ているか話し合っていて、私の意見は聴いてもらえないようなので、批判、批評は聞かなかったことにします。がんばれ複製1号から30号。
王子は個人的に3号を応援するようです。この3号だけやたら動きがいいのはなぜでしょうか。王子の応援のせい? いやいや、まさかね。
実のところ、私の目から見ても、3号だけちょっと出来がいいんです。顔のパーツとか、髪の量とか、たまたまが重なって……、なんか私により似ているというか。
王子の肩入れもわかりますが……、それはそれで複雑。なんだろう、このモヤモヤ感。
若干腑に落ちない点もありますが、リマーに向けて出発です。
印のつけ方ですが、ここは私の、ラッセル家の領地ということを知らしめるために、魔法の札でもいいですし、魔法でもいいのですけど、境界ラインで火を燃やせばいいのです。簡単です。
死の大地の端、エルメシュ山脈の森の前で線を引き、それから大地に祈りを捧げ、火の魔法を発動させます。
「究極魔法・火」
細く長くして、火を境界ラインに巡らせました。これでおしまいです。
これでこの領地はラッセル領になりました。領地として印を付与すると、領地の管理もついてくるので、維持が大変……。まめなお父様のような人に向きます。あまり私向きではないと思いますが、これも家族のため、領民のため、頑張ります。
フィリップに頼んでもいいかもしれませんが、原油の解析で今ごろ楽しんでいるだろうなあ。
見渡す限り、シタラとマイヤの集落までラッセル領になりました。
「広い……」
「広いですねえ。がんばって、お嬢さま」
ブラウンはヒトごとのように話します。
「ううう」
「お嬢さまなら管理もできます! 建物もたてたし」
ブラウンが励ましてくれました。
「ただ……、このままだと留守を荒らされないか心配だよね」
王子も腕組みをしています。
「では……私の人形を置いて、先に進むことにしましょう。この人形は私の身代わりになるはずです」
私はささっと私そっくりの土人形を作って見せました。
王子は面白そうに人形の頬をなでています。
王子の言う通り、黒い沼の草原に死の大地で、嫌われている土地だとはいえ、この土地の価値に気がついた人がいたら、奪われて領地開拓の印を上書きされてしまうとやっかいですからね。
「もう少し、アリスに似ていたほうがいいかな。あと、この広い敷地、アリスの複製人形1体で足りるのかな……」
王子は心配そうです。
「ええ? そ、そうですか。それなら私の人形を1体とは言わず、30体ほどおいていきましょうか」
「はあ? 30体?……」
王子はびっくりしています。
誰もいない土地に私の人形30体が歩き回るというのもなんともホラーな感じがしますが……。反対されるのを期待して述べてみました。
「……、アリスの人形が30体とは……、すっごくいいじゃないですか! そうしたほうがいい。アリスはそんな魔法も使えるんだ……」
王子は目を輝かせています。
「ああ、まあ……、ほめていただきうれしいです」
ブラウンの顔をちらっと見ると、怒っていないので、OK案件らしいです。じゃあ、人形を作ります。
「究極魔法・複製! 私を30体」
風が私の周りを取り巻き、ボディの測定をしていきます。こうみると、恥ずかしいですね……。誰にも見せたくないという気持ちが沸き上がりますが……。これも仕事です。
土が私の形になり、乾燥、焼かれていきますよ。ヌードサイズを測られるのも嫌なので、今回は服ごと作成しちゃいます。ドレスなどは自然の動きにはならないけれど、見張りにするのが目的ですから、いいですよね?
本当のことを言うと……、王子もいるから、人形とは言え、私の裸のようなものは見られたくないのです。その辺お察しください。
さて、どんどん磁器の肌が作られ、どこからともなくオレンジ色をした琥珀が60個集まってきました。
目を顔の中に入れていくと出来上がりです。なんだか奇妙な気持ちがします。
「似ている……」
私は30体の私の複製を見て汗を拭きました。
「ええ? そうですか。もうちょっと顔とか髪とかなんとかなりませんか」
ブラウンの厳しいご意見です……。
ええ、髪の毛はその辺の草の繊維を利用して、作りましたが、無理なんですって。死の大地だから草がほとんどないんですよ。若干私もどきの人形の髪がボリューム不足ではありますが……。勘弁してください。
「この辺……、地肌見えてますよ。仕事は丁寧にですよ」
ブラウンが複製15番の髪をとかしてまとめなおしてくれました。
「すいません……」
私は面目ない気持ちになりました。
「ああ、この複製3番、僕が欲しいです」
「……」
楽し気に王子は選んでいるので、私は思わずにらんでしまいました。
「う、嘘ですよ。ジョーク、ほんのジョーク」
王子は肩をすくめます。
いや、あの目は本心を語っていました。
使い終わった複製ちゃんたちは、私が悪用されないよう責任を持って処分すると心に決めたのでした。
新領地の見張りもできたし、出かけましょう。
複製ちゃんたちに浮遊魔法をかけ、死の大地、塩精製所、温泉施設、原油、草原を見回るようにしておきます。シタラとマイヤのところまでいれると、けっこう広大な土地になっていますが、30体もいればなんとかなるでしょう。
それにちょっとだけ魔力を込めておいたので、何かあったら連絡してくれると思います。その時は空間切り裂き魔法でこちらに戻るという計画です。
「なんか……」
動き始めた複製ちゃんたちを見て、ブラウンは目を細めてため息をつきました。
「呪いの人形感が漂ってますね……」
王子がブっと吹き出します。
ひ、ひどいです……。
「たしかに……、夜、月明かりに光る白磁のアリス……。これは亡霊さながらですね」
王子は大笑いしています。
「ふわりふわり足をつけず、空を舞う人形ですからねえ……」
ブラウンも追撃してきました。
「ええ! だって、30着も服はないし、布の人形にする時間もなかった……よね? 仕方がないんですう」
私の言い訳が死の大地に炸裂しました。
ブラウンと王子は、どの人形が私に似ているか話し合っていて、私の意見は聴いてもらえないようなので、批判、批評は聞かなかったことにします。がんばれ複製1号から30号。
王子は個人的に3号を応援するようです。この3号だけやたら動きがいいのはなぜでしょうか。王子の応援のせい? いやいや、まさかね。
実のところ、私の目から見ても、3号だけちょっと出来がいいんです。顔のパーツとか、髪の量とか、たまたまが重なって……、なんか私により似ているというか。
王子の肩入れもわかりますが……、それはそれで複雑。なんだろう、このモヤモヤ感。
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