せめて異世界では幸せになりたい!

百瀬ひつぎ

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ー初めての異世界民ー

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   大体の状況は理解出来た…が、これからどうすればいいんだろう。見た感じ生活に必要なものは何ひとつとしてない…。食べ物すらないんだからなくて当たり前か…。
    
とりあえず人が居そうな所に行ってみるか…
そう思って立ち上がった…その時。

『そこにいるのは誰だ』

「!?」

人の声!?こんな路地裏に人なんて来るのか…!
ど、どうしよう…

『何だこのガキ…ここは俺のナワバリだ。10数える間に出ていけ。』

(え、えぇ…そう言われても僕は今ここにうまれたわけであって、いたくていたわけじゃない。だからといって出ていっても結局行く場所がないことには変わりない。一旦この人を説得してみ……)

そう思って相手の顔色をうかがったが。
謎の男は今まで見た事のない化け物のような顔で僕を睨んでいる。

『10…9…8…7…』

こ、こえぇぇ…今にも泣いてしまいそうだ。ど、どうすれば…取りあえず出てくか?いやでも出ていってどこに行くんだってば!

『………おまえ親は?』

「…え?」

彼はフッと顔を戻しそう聞いてきた。

「え、えっと…親は…」

(僕の親!?僕に親っているのか…!?いや、まてよ…そう言えば役職に孤児って書いてあったな…って言うことは親はいないのか)

『ったく、こんなガキを1人でこんな所に置いていくなんてどんな親だ…おいガキ、聞いてんのか?親はどこだって言ってんだよ』

「い、いません…」

(てかさっきからガキガキってうるさいな…これでも僕は高校生だぞ?)

『いない?何ふざけたこと言ってやがる…
捨てられたのか?いつから1人なんだよ?』

(そんなの今目覚めたんだから知るわけないだろ…てか嫌なら早く追い出せよ…)

すると謎の男はため息をつきながらずいずいとこっちに近づいてきた

『おいガキ。仕方ねぇからここに置いてやるが使えなかったらすぐ捨てるからな。分かったか?』

「え、いいんですか…?」

『ああ。俺も最近役に立つ手下が欲しかったしな。だが置いてやる訳なんだから手下らしく俺の言うことは絶対に聞け。聞かなかったらボコって捨てる。それが嫌なら自分で勝手に出てけ。』

「わ、分かりました…!よろしくお願いします!」

男の言うことさえ聞いていれば食べ物も貰えるし寝床だって貰える。取りあえず必要最低限のものは確保出来たことになる。確かに見た目は怖いが、僕のことを少しは気にかけてくれたみたいだし、根は悪い人ではないのかもしれない。

こうして謎の男と僕の2人での路地裏生活がやっと幕を開けようとしている。
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