28 / 70
◇28◇ 【マレーナ視点】これが振られるということなのですか
しおりを挟む
◇ ◇ ◇
――――クロノス様とお会いしたのは、初めてギアン様とお会いするよりも前のことでした。
わたくしが6歳だった、とあるお茶会でのことです。
マナーや行儀を一足早く身に付けていた私は、大人たちによく誉められました。
ですが、それを見たこどもたちには嫉妬されていたのでしょう。
こどもたちだけになったとたん囲まれて、
『大人の言うことを聞いてばかり』
『そんなに誉められたいの?』
『良い子ぶってる』
と、周りに糾弾され始めたのです。
何をされているのかまったくわからず、困惑しました。
わたくしは祖父に教えられた、貴族として正しい振る舞いをしていたはずなのです。
なぜこんなことを言われなければならないのか?
ただその時の私は困惑するばかりで、それを言語化できず、周囲から言われるままになっていたのです。
牙を抜かれた『良い子』は、暴力での反撃という手段を持っていなかったから。
その時でした。
『くだらないことはやめなさい。悪いことだとわかっているなら、大人になってから後悔しますよ』
割って入ってきて、そう皆に言って助けてくださったのが、クロノス様でした。
皆が逃げていく中、クロノス様はわたくしに『大丈夫ですか?』と声をかけてくださった。
見た目にも光輝くようにお美しい2つ上のクロノス様のお姿が、心に刻まれました。
…………その時からずっと、お会いしたいと思っていたのに、クロノス様をお見かけすることはめったにございませんでした。わたくしがあちこちのお茶会にお邪魔していたにも関わらず、です。
どうやら大人たちの妙な力学が、こどもたちにも作用しているせいだと薄々察し始めた頃、祖父から、クロノス様の出生のことをしらされました。
ああ、と納得し、そして悔しく思いました。
(気高くてお優しいクロノス様こそ王の器では?)
(クロノス様にはなにも罪がないのに、王妃様に虐げられるなどひどい……)
もしできるなら、お力になりたい。
そしてあの方を、いるべき場所にお連れしたい。
そう強く思いました。
祖父は前王太子殿下の婚約者にわたくしが選ばれるよう画策しておりましたが、力及ばず、結局わたくしではなく王家の血を引く公爵家の令嬢が選ばれたのです。
その時、わたくしは申し上げました。
『では、クロノス・ウェーバー様はいかがですか?』
何かあればクロノス様が王太子。そうでなくても、国王陛下のお子であれば悪い扱いではないに違いない。だから祖父のお眼鏡にもかなうはず。
ですが祖父は、王妃陛下ににらまれているクロノス・ウェーバーは駄目だと却下してしまったのです。
諦めきれなくて、数えきれないぐらい祖父に言ったのに。何度も何度も、祖父は却下し続けてきたのです。
◇ ◇ ◇
残念ですが、いまのわたくしは婚約者のいる立場です。
そのため、わたくしからクロノス殿下に明確に言葉にしてアプローチをすることはできません。
ですので、とにかくきっかけをつくって話しかける、プレゼントを差し上げる(受け取っていただけないことも多かったですけど)と繰り返しておりました。
また、以前にギアン様で実験して効果のあったテクニックをいくつも使いました。
『協力者』の方々は、二人きりにしてわたくしが性的に迫れるような状況をつくろうと何度か試みたようですが、失敗したとのことです。
そうでしょうね。王太子になられたあとの警護はかなり厚く、また、それに加えてカサンドラがずっと、殿下のそばにいましたから。
それに、クロノス殿下は誘惑になど簡単には屈しないお方でしょう。
……せめて、少しでも、お話の時間がとれるなら。
そう思いを込めて、託したお手紙でした。
もはやリスクをとらなければならないのかもしれません。
クロノス殿下にはっきりと、わたくしはあなた様をお慕いしており結婚したいと思っております、とお伝えしなければならないのかも。
それを言ってなおクロノス殿下のお心が動かなければ、そしてわたくしがそのようなことを言ったと殿下が広言してしまえば、わたくしの評判は地に落ちるでしょう。
ですが、冷たい態度でいらっしゃってもお心はお優しい殿下のことですから、話せばわたくしの思いもわかってくださるのではないでしょうか。
わたくしは変わらず優秀ですし、王太子妃の資格は十分にあるはずです。
わたくしが王宮の執務領域に入ることはできませんので(あれからいろいろと警護が強化され、『協力者』の方々が介入することができなくなりました)、お話ししたいことがあるので図書館に来ていただけませんかと、手紙に書きました。
うまくいけば、二人でお話ができる。
どの程度気持ちを伝えるかは、その時次第。
……わたくしは、そう思いながら、侍女を連れて、王宮付属の図書館のなかに入ったのです。
指定しておりました、奥の棚のところ――――はたして、クロノス王太子殿下はいらっしゃいました。
「…………クロノス殿下」
声をかけられ、振り向いたお姿がまた美しい。
白銀の毛並みを持つ気高い神獣を連想させます。
「手紙をくれたのは貴女で間違いないですね」
「は、はい」
思わず声が上ずります。
「下がっていなさい」と侍女に指示しました。
二人きり、誰かに見られれば醜聞です。
ですがそれでも、わたくしのきもちを話すならば誰にもきかれたくない。
「……あの、わたくし、お話が」
「先にこちらから話をさせてください」
「は、はい……」
「貴女のこのような手紙に応じるのは、これが最初で最後です。
そして、正直にいえば私は、こういう手をつかう貴女をあまり快く思っていません」
「!」
「とはいえ、私自身、婚約者のいる女性を想い続けていたこともあります。契約などで人間の心はそうそう縛れるものではないのはわかっています。
ですから、私から言えることはあくまで私の気持ちの話ですが――――私が貴女に対して、通常の社交付き合い以上の感情を抱くことはありません」
殿下の言葉に、息が止まり、肩が震えました。膝も震えています。
「……といった話のつもりではなかったなら、失礼しました。
どうもこういう断りはタイミングが難しいので」
「……………………」言葉が、出てきません。
それはあまりにもシンプルな拒絶でした。
わたくしに婚約者がいることを理由に断るということもできたでしょう。
でもそうなさらず、王太子という立場にもかかわらず、クロノス殿下ご自身のお気持ちについてお返事をなさいました。
つまり、わたくしがクロノス殿下のお心を動かすことはできない、と。
婚約や立場を理由に断られるよりも、ずっと重く、心にこたえました。
ずっとずっと、痛いと思いました。
切り裂かれるような胸の痛み、これが振られるということなのですか。
膝に力が入らず、ついにその場にへたりこんでしまったわたくしを一瞥し、クロノス殿下はその場を去っていかれます。
去る背中、後ろ姿でさえなんと美しい人なのでしょう。
私は這いつくばり、拳を握り、何も言えずにおりました。
◇ ◇ ◇
――――クロノス様とお会いしたのは、初めてギアン様とお会いするよりも前のことでした。
わたくしが6歳だった、とあるお茶会でのことです。
マナーや行儀を一足早く身に付けていた私は、大人たちによく誉められました。
ですが、それを見たこどもたちには嫉妬されていたのでしょう。
こどもたちだけになったとたん囲まれて、
『大人の言うことを聞いてばかり』
『そんなに誉められたいの?』
『良い子ぶってる』
と、周りに糾弾され始めたのです。
何をされているのかまったくわからず、困惑しました。
わたくしは祖父に教えられた、貴族として正しい振る舞いをしていたはずなのです。
なぜこんなことを言われなければならないのか?
ただその時の私は困惑するばかりで、それを言語化できず、周囲から言われるままになっていたのです。
牙を抜かれた『良い子』は、暴力での反撃という手段を持っていなかったから。
その時でした。
『くだらないことはやめなさい。悪いことだとわかっているなら、大人になってから後悔しますよ』
割って入ってきて、そう皆に言って助けてくださったのが、クロノス様でした。
皆が逃げていく中、クロノス様はわたくしに『大丈夫ですか?』と声をかけてくださった。
見た目にも光輝くようにお美しい2つ上のクロノス様のお姿が、心に刻まれました。
…………その時からずっと、お会いしたいと思っていたのに、クロノス様をお見かけすることはめったにございませんでした。わたくしがあちこちのお茶会にお邪魔していたにも関わらず、です。
どうやら大人たちの妙な力学が、こどもたちにも作用しているせいだと薄々察し始めた頃、祖父から、クロノス様の出生のことをしらされました。
ああ、と納得し、そして悔しく思いました。
(気高くてお優しいクロノス様こそ王の器では?)
(クロノス様にはなにも罪がないのに、王妃様に虐げられるなどひどい……)
もしできるなら、お力になりたい。
そしてあの方を、いるべき場所にお連れしたい。
そう強く思いました。
祖父は前王太子殿下の婚約者にわたくしが選ばれるよう画策しておりましたが、力及ばず、結局わたくしではなく王家の血を引く公爵家の令嬢が選ばれたのです。
その時、わたくしは申し上げました。
『では、クロノス・ウェーバー様はいかがですか?』
何かあればクロノス様が王太子。そうでなくても、国王陛下のお子であれば悪い扱いではないに違いない。だから祖父のお眼鏡にもかなうはず。
ですが祖父は、王妃陛下ににらまれているクロノス・ウェーバーは駄目だと却下してしまったのです。
諦めきれなくて、数えきれないぐらい祖父に言ったのに。何度も何度も、祖父は却下し続けてきたのです。
◇ ◇ ◇
残念ですが、いまのわたくしは婚約者のいる立場です。
そのため、わたくしからクロノス殿下に明確に言葉にしてアプローチをすることはできません。
ですので、とにかくきっかけをつくって話しかける、プレゼントを差し上げる(受け取っていただけないことも多かったですけど)と繰り返しておりました。
また、以前にギアン様で実験して効果のあったテクニックをいくつも使いました。
『協力者』の方々は、二人きりにしてわたくしが性的に迫れるような状況をつくろうと何度か試みたようですが、失敗したとのことです。
そうでしょうね。王太子になられたあとの警護はかなり厚く、また、それに加えてカサンドラがずっと、殿下のそばにいましたから。
それに、クロノス殿下は誘惑になど簡単には屈しないお方でしょう。
……せめて、少しでも、お話の時間がとれるなら。
そう思いを込めて、託したお手紙でした。
もはやリスクをとらなければならないのかもしれません。
クロノス殿下にはっきりと、わたくしはあなた様をお慕いしており結婚したいと思っております、とお伝えしなければならないのかも。
それを言ってなおクロノス殿下のお心が動かなければ、そしてわたくしがそのようなことを言ったと殿下が広言してしまえば、わたくしの評判は地に落ちるでしょう。
ですが、冷たい態度でいらっしゃってもお心はお優しい殿下のことですから、話せばわたくしの思いもわかってくださるのではないでしょうか。
わたくしは変わらず優秀ですし、王太子妃の資格は十分にあるはずです。
わたくしが王宮の執務領域に入ることはできませんので(あれからいろいろと警護が強化され、『協力者』の方々が介入することができなくなりました)、お話ししたいことがあるので図書館に来ていただけませんかと、手紙に書きました。
うまくいけば、二人でお話ができる。
どの程度気持ちを伝えるかは、その時次第。
……わたくしは、そう思いながら、侍女を連れて、王宮付属の図書館のなかに入ったのです。
指定しておりました、奥の棚のところ――――はたして、クロノス王太子殿下はいらっしゃいました。
「…………クロノス殿下」
声をかけられ、振り向いたお姿がまた美しい。
白銀の毛並みを持つ気高い神獣を連想させます。
「手紙をくれたのは貴女で間違いないですね」
「は、はい」
思わず声が上ずります。
「下がっていなさい」と侍女に指示しました。
二人きり、誰かに見られれば醜聞です。
ですがそれでも、わたくしのきもちを話すならば誰にもきかれたくない。
「……あの、わたくし、お話が」
「先にこちらから話をさせてください」
「は、はい……」
「貴女のこのような手紙に応じるのは、これが最初で最後です。
そして、正直にいえば私は、こういう手をつかう貴女をあまり快く思っていません」
「!」
「とはいえ、私自身、婚約者のいる女性を想い続けていたこともあります。契約などで人間の心はそうそう縛れるものではないのはわかっています。
ですから、私から言えることはあくまで私の気持ちの話ですが――――私が貴女に対して、通常の社交付き合い以上の感情を抱くことはありません」
殿下の言葉に、息が止まり、肩が震えました。膝も震えています。
「……といった話のつもりではなかったなら、失礼しました。
どうもこういう断りはタイミングが難しいので」
「……………………」言葉が、出てきません。
それはあまりにもシンプルな拒絶でした。
わたくしに婚約者がいることを理由に断るということもできたでしょう。
でもそうなさらず、王太子という立場にもかかわらず、クロノス殿下ご自身のお気持ちについてお返事をなさいました。
つまり、わたくしがクロノス殿下のお心を動かすことはできない、と。
婚約や立場を理由に断られるよりも、ずっと重く、心にこたえました。
ずっとずっと、痛いと思いました。
切り裂かれるような胸の痛み、これが振られるということなのですか。
膝に力が入らず、ついにその場にへたりこんでしまったわたくしを一瞥し、クロノス殿下はその場を去っていかれます。
去る背中、後ろ姿でさえなんと美しい人なのでしょう。
私は這いつくばり、拳を握り、何も言えずにおりました。
◇ ◇ ◇
0
あなたにおすすめの小説
私は既にフラれましたので。
椎茸
恋愛
子爵令嬢ルフェルニア・シラーは、国一番の美貌を持つ幼馴染の公爵令息ユリウス・ミネルウァへの想いを断ち切るため、告白をする。ルフェルニアは、予想どおりフラれると、元来の深く悩まない性格ゆえか、気持ちを切り替えて、仕事と婚活に邁進しようとする。一方、仕事一筋で自身の感情にも恋愛事情にも疎かったユリウスは、ずっと一緒に居てくれたルフェルニアに距離を置かれたことで、感情の蓋が外れてルフェルニアの言動に一喜一憂するように…?
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
行き遅れのお節介令嬢、氷の公爵様と結婚したら三人娘の母になりました
鳥柄ささみ
恋愛
お節介焼きで困っている人を放っておけないシアは、数多のご令嬢達から人気の令嬢だ。毎日ファンレターが届き、社交界に出れば令嬢に取り囲まれるほどである。
けれど、それに反比例するように男性からの人気はなく、二十七だというのに嫁の貰い手もないため、毎日母から小言をもらっていた。
そんなある日のこと、突然公爵家から縁談の話が。
シアは公爵家がなぜ自分に縁談など持ち掛けるのかと訝しく思いつつ話を受けると、なんと公爵の後妻として三人の娘の母代わりになれと言われる。
困惑するも、自分へ縁談を持ちかけた理由を聞いて、お節介なシアは嫁ぐこと決めたのだった。
夫になるレオナルドはイケメンなのに無表情で高圧的。三人の娘も二女のアンナを除いて長女のセレナも三女のフィオナもとても反抗的。
そんな中でもお節介パワーを発揮して、前向きに奮闘するシアの物語。
※他投稿サイトにも掲載中
【完結】魔力ゼロと捨てられた私を、王子がなぜか離してくれません ――無自覚聖女の王宮生活――
ムラサメ
恋愛
伯爵家で使用人同然に扱われてきた少女、エリナ。
魔力も才能もないとされ、義妹アリシアの影で静かに生きていた。
ある日、王国第一王子カイルの視察で運命が動き出す。
誰も気づかなかった“違和感”に、彼だけが目を留めて――。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
一度目で黒狼公に討たれた私ですが、二度目の夜はお父様のそばでしか眠れません
師走
恋愛
八歳の冬、リリア・ヴァルグレイは父に殺された。
王国最強の討魔貴族――黒狼公レオンハルト・ヴァルグレイ。
人にも魔にも容赦のないその男は、黒花の災厄に呑まれかけた実の娘を、自らの手で討ったのだ。
けれど次に目を覚ました時、リリアは赤ん坊に戻っていた。
もう二度と、お父様に剣を向けられたくない。
そう願うのに、夜になるとまた黒花の囁きが忍び寄る。甘くやさしいその声は、孤独な心に触れて、静かに破滅へと導こうとする。
そして、その囁きがぴたりと止むのは――世界でいちばん怖いお父様のそばだけだった。
一度目の父は、同じ城で暮らしていても遠い人だった。
リリアを見ない。抱かない。呼びもしない。
そのくせ二度目の父は、相変わらず冷たいまま、なぜか夜ごとリリアを放っておいてくれない。侍女を替え、部屋を守らせ、怯えて眠れない娘を黙って自分の近くへ置いてしまう。
人にはあれほど容赦がないのに、リリアにだけ少しずつおかしくなっていく。
怖い。近づきたくない。
それでも、その腕の中でしか眠れない。
またあの冬が来る。
また同じように、黒花はリリアを呑み込もうとするかもしれない。
今度こそ囁きに負けないために。今度こそ父に剣を抜かせないために。
一度目で父に討たれた娘は、二度目の人生でもっとも恐ろしいその人のそばへ、自分の意志で手を伸ばしていく。
小説家になろう様でも掲載中
【完結】身代わりに病弱だった令嬢が隣国の冷酷王子と政略結婚したら、薬師の知識が役に立ちました。
朝日みらい
恋愛
リリスは内気な性格の貴族令嬢。幼い頃に患った大病の影響で、薬師顔負けの知識を持ち、自ら薬を調合する日々を送っている。家族の愛情を一身に受ける妹セシリアとは対照的に、彼女は控えめで存在感が薄い。
ある日、リリスは両親から突然「妹の代わりに隣国の王子と政略結婚をするように」と命じられる。結婚相手であるエドアルド王子は、かつて幼馴染でありながら、今では冷たく距離を置かれる存在。リリスは幼い頃から密かにエドアルドに憧れていたが、病弱だった過去もあって自分に自信が持てず、彼の真意がわからないまま結婚の日を迎えてしまい――
【完結済】隣国でひっそりと子育てしている私のことを、執着心むき出しの初恋が追いかけてきます
鳴宮野々花@書籍4作品発売中
恋愛
一夜の過ちだなんて思いたくない。私にとって彼とのあの夜は、人生で唯一の、最良の思い出なのだから。彼のおかげで、この子に会えた────
私、この子と生きていきますっ!!
シアーズ男爵家の末娘ティナレインは、男爵が隣国出身のメイドに手をつけてできた娘だった。ティナレインは隣国の一部の者が持つ魔力(治癒術)を微力ながら持っており、そのため男爵夫人に一層疎まれ、男爵家後継ぎの兄と、世渡り上手で気の強い姉の下で、影薄く過ごしていた。
幼いティナレインは、優しい侯爵家の子息セシルと親しくなっていくが、息子がティナレインに入れ込みすぎていることを嫌う侯爵夫人は、シアーズ男爵夫人に苦言を呈す。侯爵夫人の機嫌を損ねることが怖い義母から強く叱られ、ティナレインはセシルとの接触を禁止されてしまう。
時を経て、貴族学園で再会する二人。忘れられなかったティナへの想いが燃え上がるセシルは猛アタックするが、ティナは自分の想いを封じ込めるように、セシルを避ける。
やがてティナレインは、とある商会の成金経営者と婚約させられることとなり、学園を中退。想い合いながらも会うことすら叶わなくなった二人だが、ある夜偶然の再会を果たす。
それから数ヶ月。結婚を目前に控えたティナレインは、隣国へと逃げる決意をした。自分のお腹に宿っていることに気付いた、大切な我が子を守るために。
けれど、名を偽り可愛い我が子の子育てをしながら懸命に生きていたティナレインと、彼女を諦めきれないセシルは、ある日運命的な再会を果たし────
生まれ育った屋敷で冷遇され続けた挙げ句、最低な成金ジジイと結婚させられそうになったヒロインが、我が子を守るために全てを捨てて新しい人生を切り拓いていこうと奮闘する物語です。
※いつもの完全オリジナルファンタジー世界の物語です。全てがファンタジーです。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる