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◇46◇ マレーナ様、なぜここに!?
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◇ ◇ ◇
「…………帰らなきゃ」
しばらく海を眺めて、少し気も晴れた。
ギアン様は先に宮殿に帰っただろうが、いつまでも戻らなければ、シンシアさんもギアン様も心配させてしまう。
早く帰ろうと思い、足を急がせる。
(……?)
その私を、こんな深夜に馬車が追いかけるように並走してきた。
辻馬車らしい、箱形馬車だ。
ほとんど明かりもない道をどうして馬車が?
不審に思い馬車から距離をとる。
すると、パッ、と馬車のドアが開いた。
「リリス!!」
驚いた。
姿を現したのはマレーナ様だった。
「マレーナ様!?
王都にいらっしゃったのでは!!??」
「…………急いで、入れ替わりますわよ!!」
「……?? どうしたんです??」
「わたくしたちの入れ替わりを利用して、とんでもない企みがあるのですわ。それを阻止するために、彼らに先回りしてレイエスに入ったのです。
明日の朝、この宮殿から発つのは、あなたではなくわたくし自身でなければならないのです」
「マレーナ様……??」
どういうこと?
このまま入れ替わるの?
もう、このままギアン様にも会えずに?
(……いや、そうするべきなんだろうな)
変なことを口走ってしまう前に。
私は、永久にギアン様の前からいなくなった方が。
「いいですよ、馬車のなかで服を交換して、翌朝の船で1人ベネディクト王都まで戻っていればいいですか?」
「いいえ、入れかわった後は、この馬車の中で待っているのです」
「………………?」
「この馬車の御者はレイエスでわたくしが雇った者ですわ。このあと、馬車にあなたをのせたまま、目立たないところで待機するように伝えます。
良いですわね、待っているのですよ。わたくしが迎えに来るまで」
「それじゃ、船の出発に間に合わなくなるんじゃ……」
「船のことは良いのです。とにかく。
お金は持っていますか? ……いえ、ありませんわね。とりあえず何かあったときのためにこれを」
マレーナ様は革袋に入れた貨幣を私の手に押し付けた。
「さぁ、服を取り替えましょう」
……馬車のなかで着替えながら、マレーナ様は事態の説明をしてくれ、おぼろげながら全体像を把握することができた。
ただ、「必ず迎えに来るので、待っていなさい」と何度もマレーナ様が繰り返した、それだけは意味がわからなかった。
「ではわたくしは、宮殿へ」
「も、戻れますか? 道は」
「大丈夫です。門番に会いました。わたくしをあなただと思ったのでしょう、特に問題はありませんでしたわ。
少し海を見ているのでのちほど入れてほしいと話をつけておりますの」
そう言ってマレーナ様は馬車をおり、夜の闇のなかを1人、歩いていった。
◇ ◇ ◇
「…………帰らなきゃ」
しばらく海を眺めて、少し気も晴れた。
ギアン様は先に宮殿に帰っただろうが、いつまでも戻らなければ、シンシアさんもギアン様も心配させてしまう。
早く帰ろうと思い、足を急がせる。
(……?)
その私を、こんな深夜に馬車が追いかけるように並走してきた。
辻馬車らしい、箱形馬車だ。
ほとんど明かりもない道をどうして馬車が?
不審に思い馬車から距離をとる。
すると、パッ、と馬車のドアが開いた。
「リリス!!」
驚いた。
姿を現したのはマレーナ様だった。
「マレーナ様!?
王都にいらっしゃったのでは!!??」
「…………急いで、入れ替わりますわよ!!」
「……?? どうしたんです??」
「わたくしたちの入れ替わりを利用して、とんでもない企みがあるのですわ。それを阻止するために、彼らに先回りしてレイエスに入ったのです。
明日の朝、この宮殿から発つのは、あなたではなくわたくし自身でなければならないのです」
「マレーナ様……??」
どういうこと?
このまま入れ替わるの?
もう、このままギアン様にも会えずに?
(……いや、そうするべきなんだろうな)
変なことを口走ってしまう前に。
私は、永久にギアン様の前からいなくなった方が。
「いいですよ、馬車のなかで服を交換して、翌朝の船で1人ベネディクト王都まで戻っていればいいですか?」
「いいえ、入れかわった後は、この馬車の中で待っているのです」
「………………?」
「この馬車の御者はレイエスでわたくしが雇った者ですわ。このあと、馬車にあなたをのせたまま、目立たないところで待機するように伝えます。
良いですわね、待っているのですよ。わたくしが迎えに来るまで」
「それじゃ、船の出発に間に合わなくなるんじゃ……」
「船のことは良いのです。とにかく。
お金は持っていますか? ……いえ、ありませんわね。とりあえず何かあったときのためにこれを」
マレーナ様は革袋に入れた貨幣を私の手に押し付けた。
「さぁ、服を取り替えましょう」
……馬車のなかで着替えながら、マレーナ様は事態の説明をしてくれ、おぼろげながら全体像を把握することができた。
ただ、「必ず迎えに来るので、待っていなさい」と何度もマレーナ様が繰り返した、それだけは意味がわからなかった。
「ではわたくしは、宮殿へ」
「も、戻れますか? 道は」
「大丈夫です。門番に会いました。わたくしをあなただと思ったのでしょう、特に問題はありませんでしたわ。
少し海を見ているのでのちほど入れてほしいと話をつけておりますの」
そう言ってマレーナ様は馬車をおり、夜の闇のなかを1人、歩いていった。
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