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ドレスの持ち主
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「ブライアン様、私この色にします」
キャサリン嬢が黄色の生地を手に取り側にいるブライアンに見せていた。
「春の花の色で良い、これをドレスに仕立ててくれ」
「わかりました。キャサリン様こちらへ」
キャサリン嬢は、ドレスを作る準備を仕立屋と一緒に寸法を計りもうすぐ始まる披露宴が楽しみだった。
「…ブライアン様…」
執事が部屋に入りブライアンに耳元で話し笑顔が消えた。
「キャサリン、直ぐに戻る」
「何処へ行くのですか?」
「手洗いだ」
「あ!もう…ブライアン様ったら…」
頬を染めるキャサリン嬢に笑みを見せブライアンは部屋を出ると廊下に執事が待っていた。
「…部屋は何処に通した」
「客室の方でお待たせしています」
「…キャサリンには俺が戻るまで部屋から出ないように」
「わかりました」
ブライアンは、執事にキャサリン嬢を任せ客室へと向かった。
ガチャとノックも無しに扉を開けたブライアンは、ソファーに座るアメリアと後ろに立つアルベルトの姿があった。
「…何しに来た…」
「あら、酷い言われようね。わたくしも来たくてここへ来たのではありませんわ。アルベルト」
「はい」
アルベルトは、テーブルの上に衣装箱を置くとブライアンは見慣れた箱を見てピクッと眉が動いた。
「これ、お返ししますわ。わたくしには派手なドレスなので、もしかしてキャサリン嬢と間違えてわたくしにお渡ししたのではと持って来ましたの」
「……」
笑みを見せるアメリアにブライアンは何も話さなかった。
「ドレスの事でしたら心配は要りませんわ…でも、珍しいわね貴方がわたくしに贈り物をするなんて怪我のお詫びかしら?」
「…俺の方から披露宴を誘ったんだ…急な事でもありドレスを仕立てるのに間に合わないと思っての事だ…」
「あらっ、こちらへ来る時に仕立屋を見ましたわキャサリン嬢にと思いましたわ」
「……」
「このドレスをわたくしにと言われましても背丈が長いのですが…どなたのドレスでしたの?」
クスッと笑みを見せるアメリアにブライアンは手を握り締めた。
「…キャサリンと婚約する前に別れた女のドレスだ…別れた時に彼女の物は全部返したつもりだったが…君が使っていた部屋にそのドレスが見つかった」
「「!」」
アメリアとアルベルトは驚いた…そして、アメリアは苦笑いをした。
「元妻にその話しをしていいのかしら?」
「…お前を妻と思った事はない…」
「な!」
アルベルトは、顔色も変えずにアメリアを妻と思わないと言ったブライアンに険しい顔を見せ、アメリアはアルベルトを落ち着かせた。
「アルベルト、わたくしは大丈夫よ」
「しかし…」
アルベルトは戸惑いながらアメリアを心配していた。
「貴方も酷い人ね、昔の彼女のドレスをわたくしに贈るなんてご自分で保管しては?それともその彼女にお返ししては?」
「返すだと?」
「お会いして返すだけでしょう?キャサリン嬢に見つかっては困ると思ってわたくしにこのドレスを着てキャサリン嬢に見せたかったのでしょう?」
「……」
「ドレス姿を見ましたらキャサリン嬢は疑う事もなく無事に婚約ができるでしょうから」
「……」
「アメリア様、帰りましょうドレスはお返ししたのです」
不機嫌なアルベルトにアメリアは笑みを見せた。
「隠せます場所など沢山あるでしょう…大変ね身籠っています奥様を大切にしないと…」
「……悪かった…」
「え?」
「…こんな話しをするつもりはなかった…」
「…披露宴楽しみにしていますわ」
アメリアは、ブライアンの沈んだ顔を見て部屋を出た。
「…まあ、あの顔でキャサリン嬢が初めてではないと思ったわ…まさか、わたくしが使っていました部屋が昔の彼女が使っていたなんて…ほんと酷い人…」
キャサリン嬢が黄色の生地を手に取り側にいるブライアンに見せていた。
「春の花の色で良い、これをドレスに仕立ててくれ」
「わかりました。キャサリン様こちらへ」
キャサリン嬢は、ドレスを作る準備を仕立屋と一緒に寸法を計りもうすぐ始まる披露宴が楽しみだった。
「…ブライアン様…」
執事が部屋に入りブライアンに耳元で話し笑顔が消えた。
「キャサリン、直ぐに戻る」
「何処へ行くのですか?」
「手洗いだ」
「あ!もう…ブライアン様ったら…」
頬を染めるキャサリン嬢に笑みを見せブライアンは部屋を出ると廊下に執事が待っていた。
「…部屋は何処に通した」
「客室の方でお待たせしています」
「…キャサリンには俺が戻るまで部屋から出ないように」
「わかりました」
ブライアンは、執事にキャサリン嬢を任せ客室へと向かった。
ガチャとノックも無しに扉を開けたブライアンは、ソファーに座るアメリアと後ろに立つアルベルトの姿があった。
「…何しに来た…」
「あら、酷い言われようね。わたくしも来たくてここへ来たのではありませんわ。アルベルト」
「はい」
アルベルトは、テーブルの上に衣装箱を置くとブライアンは見慣れた箱を見てピクッと眉が動いた。
「これ、お返ししますわ。わたくしには派手なドレスなので、もしかしてキャサリン嬢と間違えてわたくしにお渡ししたのではと持って来ましたの」
「……」
笑みを見せるアメリアにブライアンは何も話さなかった。
「ドレスの事でしたら心配は要りませんわ…でも、珍しいわね貴方がわたくしに贈り物をするなんて怪我のお詫びかしら?」
「…俺の方から披露宴を誘ったんだ…急な事でもありドレスを仕立てるのに間に合わないと思っての事だ…」
「あらっ、こちらへ来る時に仕立屋を見ましたわキャサリン嬢にと思いましたわ」
「……」
「このドレスをわたくしにと言われましても背丈が長いのですが…どなたのドレスでしたの?」
クスッと笑みを見せるアメリアにブライアンは手を握り締めた。
「…キャサリンと婚約する前に別れた女のドレスだ…別れた時に彼女の物は全部返したつもりだったが…君が使っていた部屋にそのドレスが見つかった」
「「!」」
アメリアとアルベルトは驚いた…そして、アメリアは苦笑いをした。
「元妻にその話しをしていいのかしら?」
「…お前を妻と思った事はない…」
「な!」
アルベルトは、顔色も変えずにアメリアを妻と思わないと言ったブライアンに険しい顔を見せ、アメリアはアルベルトを落ち着かせた。
「アルベルト、わたくしは大丈夫よ」
「しかし…」
アルベルトは戸惑いながらアメリアを心配していた。
「貴方も酷い人ね、昔の彼女のドレスをわたくしに贈るなんてご自分で保管しては?それともその彼女にお返ししては?」
「返すだと?」
「お会いして返すだけでしょう?キャサリン嬢に見つかっては困ると思ってわたくしにこのドレスを着てキャサリン嬢に見せたかったのでしょう?」
「……」
「ドレス姿を見ましたらキャサリン嬢は疑う事もなく無事に婚約ができるでしょうから」
「……」
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「隠せます場所など沢山あるでしょう…大変ね身籠っています奥様を大切にしないと…」
「……悪かった…」
「え?」
「…こんな話しをするつもりはなかった…」
「…披露宴楽しみにしていますわ」
アメリアは、ブライアンの沈んだ顔を見て部屋を出た。
「…まあ、あの顔でキャサリン嬢が初めてではないと思ったわ…まさか、わたくしが使っていました部屋が昔の彼女が使っていたなんて…ほんと酷い人…」
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