私が死んで後悔した人達へ～捨てられた侯爵夫人の一年間…振り向いてくれるのを待ち続けた～

最愛な人

「…白い花束…アレック様でしょうか…」
医師はソフィアの墓参りに来ていた。
「…奥様…いえ、ソフィア様…貴女が亡くなってからいろんな事がありました…アレック様は、ご自身の事をソフィア様に報告されたと思います。パルリス家の使用人となり馬番になったと聞きました…エミリー様も隣国の妻子がいます商人の所へ嫁がれたと聞きました…どのような暮らしをしているのか知らせもないそうです。ご両親が心配してアデライド様にお話しをされたのですがわからないままだそうです…披露宴で侯爵にお聞きするしかないとご両親に話しをされたそうです。」
医師は、アレックが置いた花束の隣に持って来た白い花束を置きソフィアの名前が刻まれた墓碑に手で触り会話を続けた。
「…エミリー様も不幸な方だと思います…貴女の幸せを奪い取ってしまったばかりにご自身に振り返ってしまったと思うのです……」
医師は、今までの事を話しソフィアに手を合わせた。
月日が流れ馬番のアレックに叔父のリカルドから哀しい知らせを受けた。
叔母のアデライドが亡くなったと三十歳になったアレックに知らせた。
「…叔母さんが…」
「親族の反対もありお前に会わせる事が出来なかった…姉はお前に『ごめんなさい』と伝えて欲しいと私に最後の言葉を残し旅立って逝った…」
「……叔母さん……」
アレックは、声を殺して涙を流した…自分の身勝手な事で、叔母を悲しませ自分とソフィアとの子を抱かせる事も出来なかったと…平民になってしまった自分を遠くで見る叔母の姿をアレックは知っていた…
不幸は続いた…ソフィアの両親が事故にあい二人とも亡くなった。エミリーからの便りで、妻達の苛めが続き離婚をして両親の元へ帰りたいと手紙を貰った。
両親は、様子を見に行く為エミリーの住む隣国へと向かい馬車で行く途中、事故にあい両親は還らぬ人となった…エミリーが、両親が亡くなったと知らせを受けたのは事故から一年後、親族から土地の権利書で話しがあるとエミリーに便りをして知った…その後、エミリーがどうなったのか生きているのか死んでしまったのか誰も知らない……