夫は家族を捨てたのです。

クロユキ

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笑顔になって

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私は、オムライスを見て何も言えなくなった。
「どうした?食べないのか?」
「えっ、あ…ううん…可愛い旗だと思って見ていたの…」
「この旗、持って帰る」
「後で棒の先を拭き取ろう」
私は夫と子供達…そしてアランを私は見て手にスプーンを持って一口オムライスを口の中に入れた。
「……」
「美味しい?お母さん」
「…ええ…ええ…とても美味しいわ……」
「お母さんのオムライスの味に似てる~っ」
「そうね…お母さんのオムライスに似ているわね…」
私は涙が溢れそうになるのを我慢して笑顔でオムライスを食べた。
「……」
夫のエリックも食べているうちに何かに気付いたようで私の顔を見た後店の中の厨房へ顔を向けて見ていた。
「……」
「……」
「お父さん?お母さん?食べないの?」
「あ……」
私は、アランを見て思わず声に出してしまいそうになって俯いた後笑顔で顔を上げた。
「ううん、美味しくて手が止まったの…ねえ、あなた…」
「えっ!?ああ…昔、オムライスを作ってくれた人を思い出したんだ…」
「また、このお店へオムライスを食べに行きましょう」
「うん、僕このオムライス好き」
「私も!旗が可愛い」
「アランは?」
私と夫はアランの方へ顔を向けた。
「僕もこのオムライスが好きだよ、お母さんのオムライスを食べているみたいで好きなんだ」
「……ありがとう、アラン…」
『このオムライスの味は、あなたのお父さんから作り方と隠し味を教えてくれたの』
私は、心の中でアランにお父さんのオムライスよと声に出した。
「お金を払ってくるわ」
「ああ……」
夫は、私の背中を触り子供達と外で待ってくれた。
「会計をお願いします」
会計から見える厨房から…料理人の動く手が止まったのを私は見て振り向かない料理人は止めた手を動かした。
「ありがとうございます」
「とても美味しく頂きました…あのペンを借りて良いですか?」
私は、オムライスに刺していた旗に書いた。
「あの…この旗を料理人の方に渡して下さい…」
「はい…分かりました」
「ご馳走さまでした……」
私は、店を出て夫と子供達と一緒に笑顔になった。
「料理長、先ほどのお客様がこれを料理長に渡して下さいと旗を返されました」
「……旗?」
料理長の男性は、自分が書いた笑顔の旗の裏を見て笑顔になった。
旗の裏には五人の笑顔の顔が書かれていた。

「……ありがとう…シェリー…アラン……」


おわり

最後まで読んでくださいましてありがとうございました。


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