捨てられた侯爵夫人の二度目の人生は皇帝の末の娘でした。

クロユキ

文字の大きさ
168 / 196

それぞれの朝を迎え

しおりを挟む
「俺は、君に贈り物をしたつもりでいた…君が買い物がしたいと言っていた日、俺は日を改めて行く約束をしたまま…俺の日常はいつから狂い始めたんだと……」
「…当時の旦那様はエミリーに夢中でしたから…私の話を聞こうとはしない日も何度もありましたから…私もそれに慣れてしまい旦那様に話さなくなりました…」
「……」
「はぁ、昔の事を話さないようにと思っていましたが…旦那様を見ると、つい…あ、部屋はすぐそこですから旦那様もおやすみください」
「あ…ね、眠れないと思ったら俺の部屋に来たら良い…」
「……」
ソフィアは不機嫌な顔でアレックを見ていた。
「…エミリーが通い続けていました旦那様の部屋に、私は入る事ができないと思います…おやすみなさい」
「!あ…っ…」
部屋に入ったソフィアをアレックは暫くその場から離れる事が出来ず、ソフィアは言い過ぎたと落ち込んでいた。
「どうしてあんな事を言ってしまったのかしら…今まで旦那様に言いたくても言えなかったのが今は言えるようになったから?」
ソフィアは手に持つアレックの血のついたタオルを見ていた。
「…エミリーの顔が分からないくらいに沢山の線を描くなんて…婚約者がいると聞いた旦那様はどんなに怒ったのかしら…もし、私が生きていたら旦那様はどうしたのかしら…また、私に寄りを戻してと言ったかしら?…いろいろと考えると旦那様とエミリーに私は振り回されていたのよね…はぁ~っ、昔の事を考えると気分が悪いわ…」
ソフィアはタオルを棚の上に置きベッドの上に仰向けになり見慣れた天井を見ていた。
「……旦那様から、求婚の話が出るなんて思わなかった…真面目な顔で真剣に考えてくれていたのが嬉しくて…二度目の結婚になるけれど旦那様を信じよう……」
ソフィアは眠りにつきそのまま朝まで目が覚めなかった。
その頃アレックは部屋に戻り肩を落としていた。
「…ソフィアが俺を受け入れてくれた事が嬉しく、部屋に誘ってしまった…疚しい事はなかった。ただ一緒にいる事が出来たらと…確かに、彼女から見るとエミリーが俺の部屋に通い続けているのを知れば部屋には行きたくないのは当然だ…ソフィアと一緒に暮らす事ができても俺を受け入れるのは時間がかかるだろう…俺が妻だった彼女を変えてしまったから…」
アレックはそのまま眠れず朝を迎えてしまった。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

遊び人の令嬢が目を付けたのは、私の真面目な婚約者でした

おいどん
恋愛
子爵家の令嬢エリーネと伯爵家の次男のノルトが婚約を結んだのは、半年前だった。 真面目で優秀なノルトに相応しい婚約者であろうとするものの、エリーネには自信がなかった。 ある日、遊び人と噂の令嬢べルティーナとノルトが共にいるところを見てしまう。 「真面目クンは壁さえ破っちゃえばこっちのもんだからね〜」 「きっと、彼女の美しさに嫉妬しているのだわ…」 「…今度は、ちゃんと言葉にするから」

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない

くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、 軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。 言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。 ――そして初めて、夫は気づく。 自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。 一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、 「必要とされる存在」として歩き始めていた。 去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。 これは、失ってから愛に気づいた男と、 二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。 ――今さら、遅いのです。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

彼女にも愛する人がいた

まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。 「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」 そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。 餓死だと? この王宮で?  彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。 俺の背中を嫌な汗が流れた。 では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…? そんな馬鹿な…。信じられなかった。 だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。 「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。 彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。 俺はその報告に愕然とした。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】記憶を失ったらあなたへの恋心も消えました。

ごろごろみかん。
恋愛
婚約者には、何よりも大切にしている義妹がいる、らしい。 ある日、私は階段から転がり落ち、目が覚めた時には全てを忘れていた。 対面した婚約者は、 「お前がどうしても、というからこの婚約を結んだ。そんなことも覚えていないのか」 ……とても偉そう。日記を見るに、以前の私は彼を慕っていたらしいけれど。 「階段から転げ落ちた衝撃であなたへの恋心もなくなったみたいです。ですから婚約は解消していただいて構いません。今まで無理を言って申し訳ありませんでした」 今の私はあなたを愛していません。 気弱令嬢(だった)シャーロットの逆襲が始まる。 ☆タイトルコロコロ変えてすみません、これで決定、のはず。 ☆商業化が決定したため取り下げ予定です(完結まで更新します)

探さないでください。旦那様は私がお嫌いでしょう?

雪塚 ゆず
恋愛
結婚してから早一年。 最強の魔術師と呼ばれる旦那様と結婚しましたが、まったく私を愛してくれません。 ある日、女性とのやりとりであろう手紙まで見つけてしまいました。 もう限界です。 探さないでください、と書いて、私は家を飛び出しました。

ほんの少しの仕返し

turarin
恋愛
公爵夫人のアリーは気づいてしまった。夫のイディオンが、離婚して戻ってきた従姉妹フリンと恋をしていることを。 アリーの実家クレバー侯爵家は、王国一の商会を経営している。その財力を頼られての政略結婚であった。 アリーは皇太子マークと幼なじみであり、マークには皇太子妃にと求められていたが、クレバー侯爵家の影響力が大きくなることを恐れた国王が認めなかった。 皇太子妃教育まで終えている、優秀なアリーは、陰に日向にイディオンを支えてきたが、真実を知って、怒りに震えた。侯爵家からの離縁は難しい。 ならば、周りから、離縁を勧めてもらいましょう。日々、ちょっとずつ、仕返ししていけばいいのです。 もうすぐです。 さようなら、イディオン たくさんのお気に入りや♥ありがとうございます。感激しています。

処理中です...