「警察学校への懲役と課す」

ぺい

文字の大きさ
上 下
2 / 3

入校

しおりを挟む
 ...ニコニコ顔だった人だよな。

 説明会で優しく対応していた教官が受付けで怒鳴り散らしている。
 これが合格者と警察官として入校する人間への対応の違いか、と痛感させられた。
 それにしても本当によく響く声をしている教官で、その人が吠えるたびに鼓膜が振動しているのがよくわかった。
 
 「次の方!」

 受付けの学校生が大きな声を出した。

 「お疲れ様です!第二教場、山﨑伸路です!よろしくお願い致します!」

 昔から声だけはデカかった。
 なんとか1発で受付けを終えた俺を、受付台の横から怖そうな教官が親の仇を見るような目で睨んでいた。

 「おぉい!!っんだそのネクタイは!俺はおめえの父ちゃんでもなんでもねえんだよ!ネクタイ結べねえ奴が拳銃だのなんだのいじくれる訳ねえよ!帰れ!」

 !?
 もう、心臓に悪い。
 なんでこの人の声はこんなに響くんだ。
 ジュラシックパークのTレックスと張れるんじゃないかってくらいその教官の声は大きかった。
 
 その後は各種書類の記入や荷物の運び込み、制服の支給はというとなかった。
 学校長からの挨拶ではなにも言われず着席して待っていると、学校長が入ってきた。
 白髪の綺麗な、まさに警察官といった風格の細身の老人だった。
 そんなことを考えていると
 「貴様ら!学校長からの訓示だというのになに座ってんだよ!なんで誰も声出さねえんだ!挨拶もできねえのか!」と怒鳴られた。
 本当によく怒鳴られる。
 そしてこんなことは毎期やっているのだろうが、俺たちは初めてだ。
 怒鳴られるのは結構消耗する。

 そんなこんなで怒鳴られ続けた一日目の最後は、指導係となる先輩との顔合わせの後、飯と風呂だった。

次回へつづく
しおりを挟む

処理中です...