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第一章 地上編
第十二話 夢
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(んん、ここは、どこだ?)
ラルドは周りを見渡す。見覚えのある光景が広がっている。
(また魔王のところか。でも、姉さんたちのかっこいい姿が見れるかも)
しかし、戦いは既に終わっているところから夢が始まっている。身が滅びゆく魔王を魔王討伐隊が見つめるシーンだ。
(前の夢の続きか。そういえば、魔王が何かを言おうとしてたな)
「小娘よ、どうか我の話を聞いてくれないか」
「サフィア、どうする? 話を聞くか?」
「えぇ、良いわよ」
「そんな遠くじゃ我の声も聞こえにくいだろう。もっと近くに寄ってくれ」
「そうね。今からそっちに行くわ」
「お、おいサフィア。俺たちからあまり離れるなよ」
「わかってるわ」
サフィアは少しずつ魔王に近づいていく。
「サフィアと言ったか、もうその辺で良いぞ」
魔王はサフィアを止めると、謎の煙を放った。
「この煙は……?」
「お前の仲間たちの認識を阻害する煙だ。これからする話は、お前にしか聞いてほしくないからな」
「そんなに大事なことなのね」
(やっと魔王の言いたかったことがわかる。僕、まだ目覚めるなよ)
「さぁ、話を聞いてもらおうか。……おや、お前以外にもこの話を聞こうとしてる奴がいるな」
「そう? この中には私とあなたしかいないはずよ」
「見えないが、確かにいる。もっと煙を濃くせねばならぬな。ふーー」
魔王が口から更に煙を吐く。ラルドの場所から話を聞くことが出来なくなってしまった。
(魔王のやつ、僕がいるって気づくなんて凄いや。でも、夢の中だから煙なんて簡単に突破出来てしまうぞ)
ラルドは浮遊する身体を動かし、煙をかきわけていく。しかし、行けども行けども煙は晴れない。徐々に夢の中にいられる時間が減っていく。
(くそ、なんで夢の中なのに思うようにいかないんだ……!)
次第に視界が白くなっていく。そろそろ目覚めてしまうのだろう。ラルドはそれでも必死に進む。
(魔王、お前は何を言おうとしたんだよ……教えてくれよ……)
ラルドの視界が真っ白になる。何者かの声で、目を覚ました。
「……ド、ラルド!」
「は! なんだ、エメか」
「随分と面白い夢を見てたみたいだな。身体がめちゃくちゃ動いてたぞ」
「面白いと言えば面白いかもしれないな。他の人たちはもう起きてるのか?」
「もう起きてるぞ。ジシャンが朝ご飯を作ってるから、食いにいこうぜ」
「そうだな。僕も後で向かうよ。ちょっと待っててくれ」
「ほぉー? 考え込むほどの夢だったのか。どんな夢だったか教えてくれないか?」
(睡眠のスペシャリストなら、夢の中で上手に動く方法も教えてくれそうだな)
ラルドは企む。
「わかった。食事の席で話そう」
ベッドから出ると、二人は一階にある食卓へ向かった。既にレイフたちは座って待っていた。
「ラルド君、おはよう」
「おはようございます、みなさん」
「さあ、食べよう食べよう」
一行は食事を始めた。一口目を食べ終えてからすぐにエメがラルドに聞く。
「ラルド、どんな夢だったんだ?」
「あー、レイフ様たちが魔王と戦う夢を見たんだ。魔王と姉さんが話しているところまで見たんだけど、魔王の吐いた煙で見えなくなっちゃったんだ」
「煙?」
話を聞いていたレイフが問いかける。
「はい。姉さん以外に聞かれたくないって言って、煙を出したんです」
「おかしいな。俺たちは煙なんて見てないぞ」
「まあただの夢ですから、もしかしたら現実とは全く違う映像を見たのかもしれません」
「でも、話が聞こえなかったから、もしかしたら目に見えない煙を出していたのかもしれないな」
「ラルド、その煙を突破する方法を教えてやるよ」
「! やっぱりその方法があるんだな!」
ラルドは席を立ち、エメの目の前まで顔を出す。
「うぃ! 近いぞラルド……教えてやるから、座れ」
「ご、ごめん……。それで、どうやるんだ?」
「簡単さ。願うんだ」
ありきたりな答えに、ラルドはため息を吐く。
「はぁ……エメ、そんなのとっくにやってるさ。願っても願ってもダメだったぞ」
「それは、希望の形だったんじゃないか? こうなりたいとか」
「でも、願うなんてそれくらいしか無いだろ」
「それ以外の願い方だってあるさ。こうなれ、ああなれって願うんだ。そうすれば、その煙とやらを晴らせるはずだ」
「その願い方もした。でも、ダメだった」
「それは、目覚める瞬間にやったから失敗したんじゃないか? 最初からやれば多分いけるぞ」
「そうか。わかった。またあの夢を見たときはそうしてみるよ」
「でも、同じ夢を何回も見ることはそう簡単じゃねえぞ。俺でも三連続が限界だった」
「きっと見られるさ。何か運命的なものを感じるんだ。姉さんのSOSかもって」
「ラルド君、もしその夢を見られたら、俺たちにもどんな内容だったか教えてくれないか? 夢だから信憑性は薄いけど、サフィア捜索の手がかりになるかもしれないからさ」
「わかりました。必ず報告します」
「ありがとう。さあ、全員飯は食い終わったかな」
そう問いかけるレイフに、ラルドたちはうなずいた。
「それじゃあ、ごちそうさまでした。食器を片付け終わったら、俺の家に向かおう。ツカイ村に俺たち三人の居場所は無いからな」
一行は片付けを始めた。
「食器は私が水の呪文で洗うから、あなたたちは机とか床を掃除してもらえるかしら?」
「わかった。ラルド君、エメ君、ウォリア、ささっと終わらせような」
しばらくして、掃除を終えた一行はレイフの家へと向かった。道中、ラルドが見た夢の内容についてレイフが訊ねる。
「ラルド君、夢の中の俺たちはどうだったんだい?」
「最初に見た夢では、姉さんが呼び出した魔物や動物に魔王が苦戦していました。トドメを刺したのはレイフ様でしたが」
「おお、それはまさに現実と同じだ。やっぱり君の見た夢は現実にそっているんだよ。きっと、サフィアと魔王が煙の中で話してたことがわかるに違いない」
レイフはラルドの夢に期待を寄せる。それは他二人も同じなようだ。
「スカイに行く前にサフィアの居場所がわかっちまうかもしれないな」
「私は奇妙な夢しか見ないから、そういう夢が見られるのは羨ましいわ」
そう話しているうちに、一行はベッサの門にたどり着いた。
「あ、レイフ様。お疲れ様です。サフィア様がどこにいるかわかりましたでしょうか?」
「いや、まだわかってない。どうやら俺たち以外にもサフィアを探してる奴らがいるみたいだから、まだ誰も行っていないであろうスカイに行こうと思ってる」
「そうでしたか。では、お通りください」
開かれた門の下を、一行はくぐる。少し歩いて、レイフの家に着いた。
「ご主人様、お帰りなさい」
「キャイ、ただいま」
一行は中に入ると、いつもの部屋へ向かった。
「はぁ、しばらくは暇になるな。エメ君、この前門番の部屋でやってた魔王スゴロク、やり方を教えてくれないか?」
「ルールブックはスゴロクごとラルドのカバンの中だ。ラルド、ちょっと借りるぞ」
エメはラルドのカバンに手をつっこみ、魔王スゴロクとルールブックを取り出した。
「ラルド君、時間を有効活用しましょ。呪文、教えてあげる」
「必要になるかはわかりませんが、ぜひ教えてください」
「決まりね。レイフ、裏庭借りるわよ」
「おう。俺たちは魔王スゴロクを楽しむとするよ」
ラルドとジシャンは裏庭に出ると、呪文の練習を始めた。
「ラルド君、火の呪文はもう使えるのよね。他に学びたい属性は何かしら?」
「うーん、竜と戦うとなると、風の呪文が良いですね。もしかしたら空からずーっと降りてこないかもしれないですし」
「そう。じゃあ、風の呪文を一から教えてあげるわ」
それからラルドの修行が始まった。
ラルドは周りを見渡す。見覚えのある光景が広がっている。
(また魔王のところか。でも、姉さんたちのかっこいい姿が見れるかも)
しかし、戦いは既に終わっているところから夢が始まっている。身が滅びゆく魔王を魔王討伐隊が見つめるシーンだ。
(前の夢の続きか。そういえば、魔王が何かを言おうとしてたな)
「小娘よ、どうか我の話を聞いてくれないか」
「サフィア、どうする? 話を聞くか?」
「えぇ、良いわよ」
「そんな遠くじゃ我の声も聞こえにくいだろう。もっと近くに寄ってくれ」
「そうね。今からそっちに行くわ」
「お、おいサフィア。俺たちからあまり離れるなよ」
「わかってるわ」
サフィアは少しずつ魔王に近づいていく。
「サフィアと言ったか、もうその辺で良いぞ」
魔王はサフィアを止めると、謎の煙を放った。
「この煙は……?」
「お前の仲間たちの認識を阻害する煙だ。これからする話は、お前にしか聞いてほしくないからな」
「そんなに大事なことなのね」
(やっと魔王の言いたかったことがわかる。僕、まだ目覚めるなよ)
「さぁ、話を聞いてもらおうか。……おや、お前以外にもこの話を聞こうとしてる奴がいるな」
「そう? この中には私とあなたしかいないはずよ」
「見えないが、確かにいる。もっと煙を濃くせねばならぬな。ふーー」
魔王が口から更に煙を吐く。ラルドの場所から話を聞くことが出来なくなってしまった。
(魔王のやつ、僕がいるって気づくなんて凄いや。でも、夢の中だから煙なんて簡単に突破出来てしまうぞ)
ラルドは浮遊する身体を動かし、煙をかきわけていく。しかし、行けども行けども煙は晴れない。徐々に夢の中にいられる時間が減っていく。
(くそ、なんで夢の中なのに思うようにいかないんだ……!)
次第に視界が白くなっていく。そろそろ目覚めてしまうのだろう。ラルドはそれでも必死に進む。
(魔王、お前は何を言おうとしたんだよ……教えてくれよ……)
ラルドの視界が真っ白になる。何者かの声で、目を覚ました。
「……ド、ラルド!」
「は! なんだ、エメか」
「随分と面白い夢を見てたみたいだな。身体がめちゃくちゃ動いてたぞ」
「面白いと言えば面白いかもしれないな。他の人たちはもう起きてるのか?」
「もう起きてるぞ。ジシャンが朝ご飯を作ってるから、食いにいこうぜ」
「そうだな。僕も後で向かうよ。ちょっと待っててくれ」
「ほぉー? 考え込むほどの夢だったのか。どんな夢だったか教えてくれないか?」
(睡眠のスペシャリストなら、夢の中で上手に動く方法も教えてくれそうだな)
ラルドは企む。
「わかった。食事の席で話そう」
ベッドから出ると、二人は一階にある食卓へ向かった。既にレイフたちは座って待っていた。
「ラルド君、おはよう」
「おはようございます、みなさん」
「さあ、食べよう食べよう」
一行は食事を始めた。一口目を食べ終えてからすぐにエメがラルドに聞く。
「ラルド、どんな夢だったんだ?」
「あー、レイフ様たちが魔王と戦う夢を見たんだ。魔王と姉さんが話しているところまで見たんだけど、魔王の吐いた煙で見えなくなっちゃったんだ」
「煙?」
話を聞いていたレイフが問いかける。
「はい。姉さん以外に聞かれたくないって言って、煙を出したんです」
「おかしいな。俺たちは煙なんて見てないぞ」
「まあただの夢ですから、もしかしたら現実とは全く違う映像を見たのかもしれません」
「でも、話が聞こえなかったから、もしかしたら目に見えない煙を出していたのかもしれないな」
「ラルド、その煙を突破する方法を教えてやるよ」
「! やっぱりその方法があるんだな!」
ラルドは席を立ち、エメの目の前まで顔を出す。
「うぃ! 近いぞラルド……教えてやるから、座れ」
「ご、ごめん……。それで、どうやるんだ?」
「簡単さ。願うんだ」
ありきたりな答えに、ラルドはため息を吐く。
「はぁ……エメ、そんなのとっくにやってるさ。願っても願ってもダメだったぞ」
「それは、希望の形だったんじゃないか? こうなりたいとか」
「でも、願うなんてそれくらいしか無いだろ」
「それ以外の願い方だってあるさ。こうなれ、ああなれって願うんだ。そうすれば、その煙とやらを晴らせるはずだ」
「その願い方もした。でも、ダメだった」
「それは、目覚める瞬間にやったから失敗したんじゃないか? 最初からやれば多分いけるぞ」
「そうか。わかった。またあの夢を見たときはそうしてみるよ」
「でも、同じ夢を何回も見ることはそう簡単じゃねえぞ。俺でも三連続が限界だった」
「きっと見られるさ。何か運命的なものを感じるんだ。姉さんのSOSかもって」
「ラルド君、もしその夢を見られたら、俺たちにもどんな内容だったか教えてくれないか? 夢だから信憑性は薄いけど、サフィア捜索の手がかりになるかもしれないからさ」
「わかりました。必ず報告します」
「ありがとう。さあ、全員飯は食い終わったかな」
そう問いかけるレイフに、ラルドたちはうなずいた。
「それじゃあ、ごちそうさまでした。食器を片付け終わったら、俺の家に向かおう。ツカイ村に俺たち三人の居場所は無いからな」
一行は片付けを始めた。
「食器は私が水の呪文で洗うから、あなたたちは机とか床を掃除してもらえるかしら?」
「わかった。ラルド君、エメ君、ウォリア、ささっと終わらせような」
しばらくして、掃除を終えた一行はレイフの家へと向かった。道中、ラルドが見た夢の内容についてレイフが訊ねる。
「ラルド君、夢の中の俺たちはどうだったんだい?」
「最初に見た夢では、姉さんが呼び出した魔物や動物に魔王が苦戦していました。トドメを刺したのはレイフ様でしたが」
「おお、それはまさに現実と同じだ。やっぱり君の見た夢は現実にそっているんだよ。きっと、サフィアと魔王が煙の中で話してたことがわかるに違いない」
レイフはラルドの夢に期待を寄せる。それは他二人も同じなようだ。
「スカイに行く前にサフィアの居場所がわかっちまうかもしれないな」
「私は奇妙な夢しか見ないから、そういう夢が見られるのは羨ましいわ」
そう話しているうちに、一行はベッサの門にたどり着いた。
「あ、レイフ様。お疲れ様です。サフィア様がどこにいるかわかりましたでしょうか?」
「いや、まだわかってない。どうやら俺たち以外にもサフィアを探してる奴らがいるみたいだから、まだ誰も行っていないであろうスカイに行こうと思ってる」
「そうでしたか。では、お通りください」
開かれた門の下を、一行はくぐる。少し歩いて、レイフの家に着いた。
「ご主人様、お帰りなさい」
「キャイ、ただいま」
一行は中に入ると、いつもの部屋へ向かった。
「はぁ、しばらくは暇になるな。エメ君、この前門番の部屋でやってた魔王スゴロク、やり方を教えてくれないか?」
「ルールブックはスゴロクごとラルドのカバンの中だ。ラルド、ちょっと借りるぞ」
エメはラルドのカバンに手をつっこみ、魔王スゴロクとルールブックを取り出した。
「ラルド君、時間を有効活用しましょ。呪文、教えてあげる」
「必要になるかはわかりませんが、ぜひ教えてください」
「決まりね。レイフ、裏庭借りるわよ」
「おう。俺たちは魔王スゴロクを楽しむとするよ」
ラルドとジシャンは裏庭に出ると、呪文の練習を始めた。
「ラルド君、火の呪文はもう使えるのよね。他に学びたい属性は何かしら?」
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