最強テイマーの姉が行方不明になりました〜最弱テイマーの僕が必ず見つけます〜

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第二章 空中編

第十九話 スカイ王

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 城へ向かう道中、ラルドはニキスに質問をした。

「ニキス、なんでイースを襲ったんだ?」
「単純さ。人間を食べたかったんだ。だから、数ある王国の中でも警備が一番ザルなイースを襲った」
「人間を食うなんて……これからは食ったらダメだぞ」
「うーん、中々美味いんだがな。ほら、ウォリアとやらのその筋肉。歯ごたえ良さそうだ」

 ニキスはウォリアを見ながらヨダレを垂らす。ウォリアはちょっと引いた。ラルドはニキスにゲンコツした。

「だから、食おうとするなっての」
「すまん。もうその拳を離してくれないか」

 ラルドは拳を離した。

「さあ、そろそろ城に着くぞ。番人が通してくれるようなことを言わないとな」
「やっぱりそう簡単には会わせてくれないかんじなのか?」
「なんと言っても王だからな。どこの国でも城の守りは堅いだろう?」
「僕は村出身だからそういうのはわからないや」
「これから学べば良いさ」
「ところでニキス君、どうやって城へ入るつもりなんだ?」
「んー……私の権力を使って入ろうかな」
「ニキスって、この国でそんなに偉いのか?」
「コクリュウの名がこの国中に知れ渡っているさ。なんせ竜族はここよりも遥か上空に存在する神的存在だからな」
「そんなに強いのに、ここの人たちや竜族は魔王を長い間ほったらかしにしてたんだな」
「スカイの連中はわからんが、少なくとも私たちには関係のない話だからな」
「人間が絶滅したら、人間の肉も食えなくなってたんだぞ?」
「無くても困らないものだからな。あれば嬉しい程度だ。さて、そろそろ話は終わりだ。城門が見えてきた」

 城門の前に立った一行は、上を見上げる。ベッサ城よりも遥かに高い城が見える。

「あ、コクリュウさん。我らの王に何か用ですかな?」
「このガキがどうしても王に会いたいと言うのでな。しつこくって、私が折れたのさ」
「そういうことでしたか。では、どうぞ通ってください」

 門番が門を開ける。一行は門をくぐり、城の中へと入っていった。
 城の中は自然に満ち溢れており、そこら中をさまざまな地上生物が動き回っている。

「凄い……建物の中がこんな森みたいになってるなんて」
「王の趣味だな。王がいるのは頂上だ。早速登っていくぞ」

 一行はニキスに連れられ、階段を登る。全員の足が疲れで動きが鈍ってきたところで、ようやく一番上の階にたどり着いた。

「ふう、疲れたな。さあ、いよいよ王とご対面だ。くれぐれも失礼な行動はつつしめよ」

 一行は黙ってうなずいた。それを確認したニキスは、扉を開けた。
 その部屋に置かれた玉座の上でくつろいでいる者がいた。こちらを向いていないが、王であろうか。

「スカイ王、コクリュウだ。今日はあんたに会いたいって人たちを連れてきたから、是非話を聞いてやってくれ」
「ほう、コクリュウが連れてくるとは……よほどの者たちなのだな」

 王は玉座を回転させ、レイフたちのいる方を向いた。

「……地上人ではないか」
「いや、違う。みんなここの人間だ」
「コクリュウ、わしをそんなになめておったのか。変装くらい、見抜けるぞ」
「だってさ。みんな、元の姿に戻ったらどうだ」
「はぁ、バレないと思ったんだけど……」

 ジシャンは呪文で一行を元の姿に戻した。ラルドに被せていた花の冠も取った。

「ふむ、魔王討伐隊の奴らか。して、そのちっちゃな男の子は何者だ?」
「僕はラルドです。姉さんを探しにはるばるここまで来ました」
「姉か。状況的に、サフィアのことだな」
「王様、何か情報を持っていませんか」

 王はグラスから水を飲み、語り始めた。

「一度隠れてわしの場所に来たことはあったな。なんでも、天界とはどこかわからないとか」
「天界は、どこなんですか? そこに姉さんがいるかもしれません」
「それはコクリュウが良く知っているだろう。コクリュウ、説明してやれ」
「お前、天界に行きたかったのか。天界ってのは、私たちの住処だ。さっきも言ったが、ここより遥か上空にある」
「じゃあ、そこに姉さんはいるってことか。ニキス、早速天界へ連れていってくれ」
「少年よ、君にまだ天界は早い。あそこに行ける人間は、よほど強くなけりゃいけない」
「でも、姉さんがいるなら行くしかないじゃないですか」
「どうしても行きたいと言うのなら、わしに力を示してくれないか。地上人ながら空の人間を大きく上回る力を持っているのだろうな?」
「それはわかりません」
「それならば、えーっと、確かこの辺に……。」

 王は玉座から降りると、部屋の隅っこにあるタンスを探り始めた。何かを探す王に、ラルドは知りたかったことを訊ねる。

「王様、なんでここの人たちは地上の人間を嫌うんですか。王様は別に僕たちを差別してないのに。しかも、この国を浮かべてるのは他でもない地上人の賢者たちなのに」
「賢者……? 地上ではそう伝えられているのか」
「違うのですか?」
「半分正解ってところだな。まあ、それはどうでも良いことだ。ほらこれ、見てみなさい」

 王が投げた紙を、ラルドはキャッチした。畳まれた紙を広げると、そこには何かが書かれていた。

「読んでみなさい」

 ラルドは王に言われるがままに、文字を読み始める。

「スカイ王国国王主催トーナメント、参加者募集中……これに参加しろってことですか?」
「ああ。一人でも、複数人でも良い。どちらの部門で戦うかは君たちの自由だ。そこに参加すれば、地上人と言えど存在が一時的に許される。もしそのトーナメントで優勝したら、天界へ行く実力があると認めよう」
「認められないと行けないんですか?」
「そうだ。わしの書く紹介状が無ければ、地上人は天界には行けない」
「姉さんは認められたってことですか?」
「質問が多いな……確かに君の姉はこのトーナメントで勝ち抜いて天界へ行ったよ。だけど、今確実に天界にいるとは限らないから、そこは許してくれたまえ」
「わかりました。僕、この大会に出ます」
「ラルド君、俺たちも出よう。王様、複数人の方の参加者に加えさせてください」
「ちょうど明後日から予選が始まる。それを勝ち抜けば出場権ゲットだ。明日までは自由にしてるが良かろう」
「だとさ。ラルドよ、これからどうする?」
「空の人たちがどんな戦法を取るのか気になるから、さっきみたいに化けて戦いの様子を覗き見しよう」
「わかった。王よ、邪魔したな」
「また明後日会おう。参加者足らずで明後日じゃなくなってしまうかもしれないが」
「あと何人足りないんだ?」
「四人だ。君たちを入れても、四人足りない。もし明後日開催できるようなら、手紙を届けよう」
「へい。さあみんな、さっさと出てくぞ」
「王様、お邪魔しました」

 ラルドたちは最後に一礼すると、階段を降りていった。

「ふぅ……わしとしたことが地上人にチャンスを与えすぎたな。まあ良いか。誰もこの様子は見ておらなかったろうし」

 王が玉座に戻ると、物音がした。

「……やれやれ、また客人か」

「なあニキス、天界ってどんな場所なんだ?」

 花の冠を被ったラルドが聞く。

「こんなところより何倍も良いところだ。真の賢き者たちが集まる楽園だ」
「お前が賢いようには見えないけどな」
「フン!」
「いて!」

 ラルドはニキスにゲンコツをされた。

「さっきのお返しだ」
「ちっ、いったいなぁ」
「私はお前にテイムされているが、立場は平等だ。殴るくらいのことはするさ」
(エメと何が違うんだろう、物理的に反撃出来るなんて)

 ラルドは疑問に思うが、それよりも優先すべきことがある。

「さあ、ここの人たちがどう戦うか、見にいこう。ニキス、見れる場所に案内してくれ」
「了解。早速ついてこい」

 一行は空の者たちの戦い方が見れる場所へ歩き始めた。
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