最強テイマーの姉が行方不明になりました〜最弱テイマーの僕が必ず見つけます〜

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第二章 空中編

第二十三話 スカイ王国国王主催トーナメント予選 二

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 一行は、観戦席から残り六チームの戦いを見ていた。翼を剥いだ者は一人もいなかった。

「ニキス、翼をもがなくても決着がつくんだから、翼を狙わなくても良いんじゃないか?」
「翼をもいだ方が確実だ。もげるやつはもぐ」
「次の試合は、サフィア捜索会対ソラーズだ。両チームとも、リングに上がりたまえ」

 一行はリングに上がった。ソラーズはどうやら七人チームのようだ。

(人数的に不利だな……試合が始まったら、エメとフンスを呼ぶか)

 試合開始の音がすると同時に、ラルドはエメとフンスを呼び出した。

「なるほど、テイマーが相手か。みんな、バラバラで攻撃するぞ」

 サフィア捜索会とソラーズ、ジシャンのかけた防御呪文でサフィア捜索会の方が有利に戦っていた。ラルドを除いて。

「テイマーの地上人よ、その程度か?」

 ラルドの剣術を全て受け止める男。先に自分の相手を倒したレイフがラルドに加勢する。

「レイフ様、あいつの身体、硬すぎて剣が全く効きません……」
「それじゃあ、俺が戦っている隙に呪文を放ってくれ。呪文なら流石に食らうだろう」
「無駄だ。俺の鉄壁の肉体は、呪文だってかき消す」

 他の者たちも続々ラルドのところに集まってくるが、その誰もがダメージを通すことは出来なかった。

「ちっ、こいつに弱点は無いのか?」
「よくも俺の仲間たちをやってくれたな。お返しだ」

 男の放った衝撃波で、一行はふき飛ばされた。ニキスは急いで一行を助けた。

「お前たち、無事か?」
「大丈夫だ。でも、攻撃が効かないんじゃどうすれば良いんだろう」
「いくら頑丈な肉体でも、限界はあるはずだわ。みんなで一斉に攻撃を食らわせてやれば、いけると思うわ」
「よし、ならばそれでいこう。タイミングを上手く合わせて、攻撃しよう」

 一行は同時に攻撃するため、タイミングをうかがっている。その間も、男からの攻撃は続く。ジシャンの防御呪文を貫通するほどの攻撃。ウォリアが今のところ耐えているが、他の者が食らえばひとたまりもないだろう。

「ほほう。お前もなかなかの頑丈っぷりじゃないか」
「当たり前だ。なんせ俺は戦士だからな」
「だが、お前もそろそろ限界だろう。顔がどんどん青くなってるぞ」
(くっ……早く、タイミングを合わせてくれ……)

 ウォリアにも限界が迫ってきた。

「トドメだ。地獄に落ちるが良い」
(もはやこれまでか……)

 男がウォリアにトドメを刺そうとしたそのとき、ついにタイミングを合わせて攻撃することが出来た。ウォリアもすかさず攻撃を入れる。

「や、やった! 攻撃が通ったぞ」
「やるじゃないか。この俺にダメージを与えるとは。でもな、俺はこんなことが出来るんだ」

 男はまさかの回復呪文で傷を癒した。

「こ、こんなのどうやったら勝てるんだよ……」
「良いなぁ、その絶望した顔。もっと良く見せてくれ」

 男はラルドに近づいていく。ラルドは生まれて初めてここまでの恐怖を感じる。

「ラルド君、諦めないで。まだ勝算は残ってるわ」
「勝算は残ってるだと? さっきの、見てなかったのかよ」
(みんな、良く聞いてね)
(ジシャン様! テレパシーが使えたんですね)
(で、勝算ってなんだ?)
(傷をつけた瞬間に毒を入れるの。彼はきっと慢心してすぐに回復はしないから、急げば間に合うはずだわ)
(今度はもっと早くタイミングを合わせてくれよ。俺の身体も限界が近づいてるからな)
「どうしたよ、黙り込んじゃって。そんなに俺が怖いか」

 男はラルドの胸ぐらを掴み、持ち上げる。

「ああ。怖くてたまらないさ」
「そうだろ。さっきの戦士は頑丈だったが、お前は柔らかそうだな。一発で殺してやろうか、あぁん?」

 ラルドが殴られそうになったそのとき、一行の一斉攻撃によって男はまた傷つけられた。

「今回は随分早いじゃないか。だが、何度やっても無駄なことよ……」
「させないわ。はー!」

 ジシャンは急いで毒の呪文を唱えた。男の回復呪文よりも早く、毒の呪文が命中した。

「な、女、今何をしたんだ」
「毒の呪文よ。傷口を塞いでしまったから、今から治すのは無理よ」
「なにぃ……げほっげほっ」

 男はその場に崩れ落ちた。汗が大量に噴出し、顔が青ざめていく。

「十、九、八……」
「ぐっ……ぬおぉ! まだ倒れんぞぉ!」
「なっ、毒を食らっても平気だなんて」
「安心して。まだまわりきっていないだけで、確実に効いているわ」
「小僧、貴様だけでも地獄に送ってやる」

 男はラルドに突進してきた。しかし、毒の影響か速度が遅く、簡単に避けられた。攻撃に失敗した男は、そのままその場に倒れ込んでしまった。

「もはやこれまで……か」
「十、九、八……」
(頼む。そのまま倒れていてくれ……)

 少しずつ試合終了が近づいてくる。男は起き上がることを諦めたようだ。

「三、二、一……試合終了! 勝者、サフィア捜索会!」
「実に強敵だったな。さて、次の試合は……翼組対アンチ翼組か。因縁の対決って感じだな」
「ニキス、今度は試合をしっかり見て、戦う前から対策を取らなくちゃいけないな」
「ああ。しっかり見ることにしよう。さ、降りるぞ」
「ちょっと待ってくれ」

 一行がリングから降りようとすると、男に呼び止められた。

「俺たちを倒すとは見事だ。必ずこの先も勝ってくれよ」
「当然だ。僕たちは優勝を目指してこのトーナメントに参加してるからな」

 一行は今度こそリングから降りた。ソラーズは病院へ運ばれていった。

「次の試合は、翼組対アンチ翼組だ。両者とも、リングに上がりたまえ」
「このときを待ち侘びたぞ、翼組……」
「ふん、ふざけたチーム名で参加しやがって。俺たちに逆らうとどうなるか、わからせてやろうか」
「さあ、試合開始だ!」

 翼組は試合開始と同時に上へ飛び、呪文でアンチ翼組を攻撃する。アンチ翼組はそれを避けつつ、長く伸びる槍でチクチク攻撃する。お互いに攻撃を外し合い、なかなか試合が終わらない。

「なーんだ、さっきの奴の方が強かったぞ。もう寝ちまうかな」
「ニキス、油断したらダメだ。しっかり見よう。ほら、あの長い槍とか、僕とジシャン様が呪文で攻撃しつつ、ニキスたちが攻撃を受け止めないといけない。翼組の方も、上から呪文を放ってくる強敵だぞ」
「前に見たやつと一緒じゃないか。あんなの、私が本気を出すまでもないだろう」
「ラルド、ニキスの言う通りだ。あいつらはさっきの奴より確実に弱いから、見るまでもないぞ」
「お前はただ寝たいだけだろ」
「まあ、それも少しあるかな」

 ラルドたちが会話していると、リングから大きな音がした。その音を聞いたニキスとエメは一瞬で目がさえ、リングの方を見始めた。翼組がリングに叩きつけられた音だった。

「ふん! いくら翼組と言えど、こうしてしまえば俺たちの勝ちだ」

 アンチ翼組は、何かの呪文で翼組が上へ飛べないようにしてしまった。

「後は翼をもいじゃえば終わりだな。出来れば翼組と戦いたかったが、あの様子じゃ負けそうだ」
「お前たち、今だ! こいつらの翼をちぎるぞ!」
「そ、それだけはやめてくれ」
「戦場に情けなど無し。そう言ってたよなぁ?」
「み、見てられないわ……」

 翼がグロテスクに引っ張り剥がされていく様を、ジシャンは見ていられなかった。

「ジシャン、目、閉じとけ」
「ぎゃああ! 痛い、痛い!」

 翼のもがれた部位から血が噴き出す。その血を浴びながら、アンチ翼組は笑っていた。

「ははは! もっと泣き叫べ!」
「あいつらは悪魔か何かなのか……? 血を浴びて笑うなんて」
「よほど翼組に恨みがあったのだろうな」

 翼をもがれた翼組は、その場に倒れ込んだ。試合終了のカウントダウンが始まる。

「ふん。これで試合終了だな」
「三、二、一……試合終了! 勝者、アンチ翼組!」
「さあ、いよいよ予選の決勝戦だな。お前たち、覚悟は出来てるか?」
「翼がはえてないから、きっと大丈夫だ」
「ニキス君、翼をもがれないようにしなよ」
「私、怖いわ……あんな狂った人たちが相手なんて」
「ジシャン、心配するな。俺の肉体とお前の防御呪文が合わされば、どんな攻撃だって怖くない」
「危なくなったら、俺が仲間たちを呼ぶから大丈夫だ」
「無事に突破できると良いな」
「あー、次の試合は、掃除のため、少し遅れてスタートになる。しばし待たれよ」

 リング上に飛び散った血を、王たちは拭いている。ほとんどの血を拭きとった後、王は特等席に戻っていった。

「さあ、二ブロック最終戦、サフィア捜索会対アンチ翼組だ。両者とも、リングに上がりたまえ」
「さあ、予選最終戦、気をひきしめていこうぜ」

 一行はリングの上へ行った。
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