最強テイマーの姉が行方不明になりました〜最弱テイマーの僕が必ず見つけます〜

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第二章 空中編

第二十五話 スカイ王国国王主催トーナメント

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 地上に出た一行は、各チームが振り分けられた控え室へ向かった。少しして、王がトーナメント表を持ってきた。その紙をラルドは受け取る。

「ここが、サフィア捜索会の出るところだ」
「うーん、一番が僕たちですか」
「そうだ。頑張ってわしに力を見せるんだぞ」

 王は扉を閉めた。
 王からもらった紙を、ラルドは仲間たちに見せる。

「初戦は……ハートスカイ? どんなチームなんだろうか」
「ニキス、何か知らないか?」
「ふむ、きっと女のチームだな。ここまで勝ち上がってくるのだから、女と言えど油断はならん」

 一行がハートスカイについて話していると、控え室の扉をノックする音が聞こえた。ラルドは扉を開けにいった。扉を開けると、そこにはカタラが立っていた。

「カタラ……お前だったか」
「よう、ラルド。お前たちもこのトーナメントに出るらしいな。本の力でのしあがってきて、すごいな」
「なんだ、嫌味を言いにきただけか。じゃあな」
「ちょっと待て。俺と約束してほしいことがある」
「約束?」
「そうだ。約束。もし俺たちとお前たちが戦うことになったら、お前は本の力で手に入れた子分を使うな。俺は本の力など使ってないからフルパワーでいくがな。もしこの約束を破ったら、絶対許さないからな」
「……言いたいことはそれだけか?」
「それだけだ。絶対決勝まで上がってこいよ。俺たちも上がってくるから」
「まあ、頑張るよ。じゃあな」

 ラルドは扉を閉めた。しばらくして、場内アナウンスが流れた。

「あー、サフィア捜索会対ハートスカイの試合を開始する。両者とも係員の指示に従い指定の場所へ向かいたまえ」

 そのアナウンスとともに、係員が扉を開けた。

「皆さま、私についてきてください」

 一行は係員の後ろをついていく。頑丈に閉じられた闘技場への入り口の前に立たされた。

「扉が開いたら、前に進んで闘技場に出てください。試合が終わった後、控え室に戻るか観戦席に行くかはどちらでもかまいません」
「わかりました。……あー、緊張するなぁ」
「ラルド君、深呼吸をするんだ」
「はい。すぅー……はぁー……」

 ラルドが深呼吸する中、扉が開いた。

「両者とも、ここへ出い!」

 一行は闘技場の中へ入っていった。反対側からは、ピンク色の翼をはやした仮面のスカイ人が出てきた。

「私たちはハートスカイ! あなた方を華麗に倒してみせるわ!」

 観戦席から歓声が響く。

「こ、これは、俺たちも何か言うべきなのか?」
「あら? あなたたちはあいさつ無し?」
「俺たちはサフィア捜索会! サフィアを見つけるため、ここで負けるわけにはいかない!」

 また歓声が響く。

「両者とも準備万端だな。よーい……始め!」
「さあー始まりました! 女性のみで構成されたハートスカイと、サフィアを捜しているとされるサフィア捜索会。果たして勝つのはどっちなのか!? 実況は私、モゴロがお送りいたします!」

 ついに第一試合が始まった。メジスに乗ったラルドとエメ。結界を張りながら相手に近づくレイフたち。そして単身のフンスとニキス。それぞれが得意な戦い方をする。ハートスカイは、後ずさりながら誰から攻撃するか悩んでいる。

「リーダー。誰からいきます?」
「コクリュウさんは怖いし、結界は固そうだし、あの男の子ね。足が速そうだけど、なんとか空中に逃げて様子を伺いましょう」

 ハートスカイは空へ飛んだ。メジスのジャンプでは届かないほどの高さだ。ラルドはメジスから降りると、風の呪文で浮かび上がった。その後をエメも追う。

「ふーん、そんなことが出来るんだ。でも、空中戦は私たちの方がやり慣れてるわよ」

 少し遅れて、他の者たちもジシャンの呪文によって浮かべられた。

「どこへ逃げても無駄だ! いくぞ!」
「おーっと、レイフ選手、たんかを切った!」

 空中でほとんどの選手がぶつかり合う。一行のほとんどを空へ浮かべてるジシャンを狙いに、一人の女が急降下する。
しかし、ジシャンの風の呪文で他の者たちを浮かせるついでにその相手を空へ飛ばした。

「きゃああ! リーダー、風が強すぎて突っ込めません」
「それじゃあ、一番強そうなコクリュウさんの相手をしてくれるかしら? 既に一人向かってるけど、相当押されてるみたいだから」

 ラルドの剣を全て受け止めながら、部下に指示を出す。エメも加勢するが、どちらとも防がれてしまう。

「何人束になったところで、私に触れることは不可能よ」
「何人でも耐えられると?」

 ラルドはフンスに指示を出した。

「フンス、お前の仲間たちを呼んでくれ」
「こんなところまで駆けつけてくれるかわからんが、一応やってみよう」

 フンスは指笛を吹き、仲間たちを呼ぶ。なんと、それからすぐにオークの大群が現れた。

「この数にも、余裕で耐えられるかな?」
「や、やってやるわよ」

 それぞれのオークが、別の場所から攻撃をしかける。リーダーは、ところどころ棍棒で殴られながらも、確かにある程度の攻撃はさばいていた。

「はぁ……はぁ……ど、どうよ。これが私の力よ」

 ボロボロになりながらも、全オークを気絶させたリーダー。その構図は、まるで魔王に立ち向かう勇者であった。

「おーっと! サフィア捜索会のオーク部隊を全滅させた! 強いぞ、ハートスカイ!」
「は、あはは……ちょっとクラクラするわね」
「リーダー! もう下で休んでいてください。あとは私たちがなんとかします」
「えぇ。安静にしておくわ」

リーダーは風の呪文に逆らい、闘技場の床に寝そべった。

「よくもリーダーを……! 私はあなたを絶対に許さない!」
「それはこっちも同じセリフだ! 俺たちの仲間をボロボロにした罪、お前が償え!」

 フンスは思い切り突撃していった。相手も思い切り突撃してくる。あまりの威力でぶつかり合ったため、二人とも反動で後ろに吹き飛ばされる。

「他の人たちはどうだろう……」

 ラルドは周りを見渡す。ニキスは、相手の翼をちぎって勝利していた。他の者たちも翼を狙っている。

「ラルドよ。お前もやるんだ。翼をもげ」
「そ、そんなこと出来ないよ……翼を失ったら、もう二度と立ち上がれないんだろう?」
「相手のことを考えている場合か? 思い出せ。お前は勝たなくちゃならない存在なんだ。どんな手を使おうと」
「でも……」

 二人が会話していると、先ほどの相手が突撃してきた。二人はそれを避けた。

「な? 相手だって、お前たちを殺す気で来てるんだ。俺たちも残念だが殺しにいかざるを得ないんだ」

 ラルドはうつむき、他の方法が無いのかを考える。そうしている間にも、さまざまな相手が突撃してくる。相手の数は、最初よりかなり減った。闘技場に動けなくなった者たちが叩きつけられる。

「ほら、あとはあいつだけだぞ。ラルド、やるんだ」

 フンスと戦っている相手を、ニキスは指差す。

「すっかりオークとの戦いに夢中だ。背中から斬りつけるのは容易だろう。思い切りやってこい」
「……わかった」

 ラルドは背後から忍び寄り、相手の翼を斬った。

「きゃあ! 後ろからなんて、卑怯よ! これだから地上人は嫌いなんだわ!」
「……ごめんなさい」

 ラルドはもう片方の翼も斬った。

「地上人ごときにぃ……」

 浮く力を失い、闘技場の床に倒れる。あと残っているのは、ボロボロでまともに身体を動かせないリーダーのみである。ジシャンは風の呪文を解除し、全員を床に下ろす。ニキスは駆け寄り、リーダーの首に爪をあてがう。

「選べ。降参か、死亡か」
「……」
「これは、気を失っているのか。じゃあ、カウントダウンが始まるはずだ」
「十、九、八……」
「コクリュウさん……」
「お、意識はあったか。どうだ、降参するか?」
「私の仲間全員を殺したのですね」
「当然だ。殺し合いだからな」
「私も殺すのですか」
「殺さずとも、カウントダウンは進んでる。そのまま倒れていれば良い」
「そう、ですか。ふふ、もう起き上がる気力すらないわ……」
「三、二、一……試合終了! 勝者、サフィア捜索会!」

 各所からブーイングがとぶ。

「ふざけるな! 俺の推しを殺しやがって!」
「翼を持たない地上人は翼をもがれる心配がないからずるい!」

 さまざまな声が響くなか、王は叫ぶ。

「静粛にしろ! 今までだって同じ方法で相手を殺し、盛り上がってきたではないか! 今さら何を言うか!」

 辺りは一瞬で静まり返る。声が通るようになったからか、トーンを下げた王は次の台本を読んだ。

「さあ、次の試合前に掃除だ。血だらけの戦場を洗おう」
「お前たち、良く頑張ったな」

 フンスは気絶していたオークたちを元の場所へ送り返した。両者が去った後、床を拭きに係員が入ってきた。

「さあ、どうする? 控え室か、観戦席、どっちだ?」
「僕は、観戦席の方が良いと思う」
「そうか。私は控え室で寝てるから、順番が回ってきたら起こしにきてくれ」

 ニキスだけは控え室へ、他の者たちは観戦席へ移動した。
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