最強テイマーの姉が行方不明になりました〜最弱テイマーの僕が必ず見つけます〜

文字の大きさ
39 / 81
第三章 ウスト遺跡編

第三十八話 何か

しおりを挟む
「えーっと、確かさっきは何かをテイム出来ないか確かめるためにウスト遺跡に行こうという話をしてたな。どうだラルド君、その気にならないかい?」
「確かに、テイムするためにはそいつの素性を調べる必要があります。だからそのために行くっていうのも十分ありだと思います。けど……」
「けど?」
「勘ですが、何かたちは恐らく話が通じません。動物や魔物ならなんとかして会話出来ないことはないですが、あれは動物でも魔物でも、当然人間でもない。そう感じるんです。実際カタラたちは多分仲間に出来なくて逃げてきたんだろうし」
「じゃあ、魔物でも動物でも人間でも竜でも神でもない、新たな生物だってことか?」
「あいつらはきっと古代文明が墓荒らし対策に遺したしもべです。古代人の手によって作られた、新たな生物……」
「そもそも身体が金属で出来てる以上、生物と呼べるかどうかも怪しいわね。中に魔導機が入ってて、それで動いている奴だと思うわ」
「古代文明にも魔導機があったのかどうか。うーんやっぱり考えてるだけじゃダメな気がするな。直接調べにいくべきだ」
「結局そこに行き着くか。死にたくないが、俺も行くことにしよう。ラルドとエメはどうする?」
「あいつらは群れてこその強さだ。一匹程度ならなんとか戦えるだろう。一匹だけ引きつけるのが可能なら、俺は賛成だ」
「一匹だけか……確かにそれなら、数の暴力でなんとかなりそうだな。ラルドはどうする?」
「ラルド、スカイで何度も殺し合いを制しただろ? 今さらあんな変な奴にやられるお前じゃないだろ」
「……わかった。そこまで言うなら僕もウスト遺跡に向かいます」
「その返事、待ってたぞ。レイフ、これで全員ウスト遺跡に行くことに賛成になったぞ」
「それじゃあ、明日から向かうことにしよう。今日は俺、疲れちゃったからな。じゃあみんな、好きな場所で寝てくれ」
「寝るって、今はまだ昼前だろ? 寝るには早すぎるんじゃないか」
「俺は良い感じに疲れて眠たい。もしお前たちが眠くなかったら、各々好きなことをするんだ。じゃあ、また明日」

 レイフは部屋を出て、寝室へ向かっていった。取り残された者たちは、どうして時間を潰すかについて話し始めた。

「夜まで暇ね。何か娯楽はないかしら」
「僕が持ってるのは、魔王スゴロクくらいです」
「あら、良いじゃない。やりましょやりましょ」
「人数が多いので、僕はゲームマスターをやります」

 一行は魔王スゴロクを始めた。
 そしてあっという間に一日が過ぎると思われていた。しかし、夜、何者かが扉をノックした。ラルドが対応する。扉の穴から外を覗くと、そこにはカタラたちが立っていた。ラルドは躊躇したが、名前を呼ばれたので仕方なく扉を開けた。

「カタラ、どうしたんだ?」
「お前の親父、カンカンに怒ってる。今すぐお前になだめにいってもらいたいのだが、頼めるか?」
「ああ。多分王様に何か言われたんだろう。ほっとけば一日で忘れるよ」
「そうか? それにしては怒りすぎな気がするぞ」
「とにかく大丈夫だ。安心して寝るんだ。もうすぐ寝る時間だぞ」
「あ、待てラルド。お前、明日からどうするんだ?」
「そんなことを知って、どうするつもりだ? また俺を原因にしてレイフ様と喧嘩するつもりか?」
「おい、俺はお前を助けようと思ってあんなことをしたんだぞ。その言い方は酷くないか」
「ごめん。でも、あのときの僕の気持ちなんか想像できないと思うが、ああなるのは二度と御免だ」
「そんなに話したくないんだな……こっそりで良いから教えてくれよ。決して干渉するつもりはないからさ」

 カタラは小声でラルドに頼む。ラルドは葛藤し、顎を触り、うなり声をあげる。中々決心がつかない。

「なぁ、教えてくれよ。俺とお前の仲だろ?」
「あんなに見下してたのに、良く言うな」
「うっ。でも、俺たち友達だろ? いざというときは助け合ってきたじゃないか。な? 頼むから教えてくれよ」

 カタラは粘り続ける。お互いに粘り続け、気づけば一時間は経っていた。もう人々が寝る時間だ。その時間を知らせる鐘が鳴る。

「あ、この音は」
「はぁ、負けた。だけど、明日までここで待って、後をつけていくことにしよう。このことは絶対にレイフには伝えるなよ? 無駄な争いを発生させたくないならな」
「気分による」

 そう言うとラルドは扉を閉めた。それと同時に、起きていたジシャンがラルドに近づいてくる。

「結構長話だったみたいね。誰と話してたの?」
「あぁ、カタ……僕の友人です。久しく会ってなかったので、つい会話がはずんでしまいました」
「私は日記をつけたら寝ちゃうから、ラルド君も夜更かししないで、早めに寝るのよ」
「はい、わかりました」
「じゃあね。おやすみなさい」
(僕も寝るとするか。にしてもカタラ、本気であんなことを言ったのか? 夜でテンションがおかしくなってるだけな気がする)

 ラルドはそんなことを考えながら、自分の寝室へ向かった。
 寝室は既に灯りが消されていた。どうやらエメが消したようだ。ラルドは指パッチンをして火の呪文を使い、ベッドまで足元を照らしながら歩く。ベッドまで着いたら、その火を消し、ベッドに横になった。

(ああ。ちょうど今寝られそうだ……)

 ラルドはそのまま眠りに落ちた。

(ん? ここは、遺跡か。ウスト遺跡なのかな?)

 ラルドは周りを見渡す。例の何かがいるようには見えなかった。しかし、それよりも気になることがあった。

(空が黒い……ここは、一体どこなんだ?)

 ほとんど何も見えない暗闇の中へ、ラルドは進んでいった。光が差していたのはラルドが最初にいた場所のみで、後の場所は全て暗闇であるようだ。ラルドは少しでも灯りになればと、火の呪文を使った。すると、あの何かがいた。ラルドはギョッとして、急いで後ずさる。しかし、その何かは追ってこなかった。不審に思ったラルドはもう一度近づいてみる。すると、何かが喋りだした。

「お前が、ラルドか?」
(あ、うん、そうだよ。僕はラルド。君はこんなところで何を?)
「我々を調査しようとしている者がいると聞いてな。夢の世界であらかじめ伝えておこうと思ったことがあるんだ」
(それはなんだ?(なんだ、話が通じるじゃないか))
「悪いことは言わない。すぐにやめろ。我々のうち一人だけ引きつけるなど、不可能に近い。それをやろうとして失敗したら、目も当てられないぞ」
(じゃあ、一人だけ引きつける方法を教えてくれ。僕たちは決して君たちの敵じゃない)
「へっ、そう言って、我々を殺そうと考えていたではないか」
(な、なぜそれを……?)
「お前の夢の世界に入る途中、その記憶を見た」
(な、君は夢の世界に入ることが出来るのか?)
「ああ。可能さ。古代文明をなめるな」
(それならますます仲間にしたくなってきた。お願いだ。僕たちの仲間になってくれ)
「嫌だね。今からお前たちが今後どうなるかまとめた映像があるから、それを見て考えを改めろ」

 そう言うと、何かの頭部が裂ける。そこから謎の物体を伸ばした。そこから、映像が流れる。それは、大量の何かによってやられていく仲間たちが映されていた。

「明日、お前たちはこうなる。それが嫌なら、今すぐこの遺跡にくることはやめろ」
(ああ。考えておくよ。それより、一つだけ教えてほしいことがある)
「言っとくが仲間にはならんぞ」
(違うよ。姉さんがお前たちのところに来たのかどうか知りたいんだ)
「教える義理はない。それより、そろそろ目が覚めるんじゃないか?」

 何かがそう言うと、ラルドの身体が浮かび始めた。夢から覚める合図である。

(待ってくれ! 君の名前も、仲間にする方法も、姉さんの行方も、何もわかってない! 全部教えてくれよ!)

 必死で抵抗するラルドだが、身体は浮かびあがり続ける。何かはそっぽを向いて、突っ立っている。

(待て、待て!)
「待て!」

 小鳥のさえずりが聞こえる。窓から太陽光が差す。どうやら目覚めてしまったようだ。

「うーん……ラルド、うるさいぞ。また変な夢でも見たのか?」
「ああ。見たさ。レイフ様たちに伝えるついでにお前にも夢の内容を教えてやる」
「ラルド君、どうしたんだい!」
「あ、レイフ様。夢を見ました」
「そ、それだけか?」
「はい、それだけです」
「なんだ、あんな大声出すもんだから、てっきり大変なことが起きたのかと思ったよ。夢の話、聞かせてくれよ」
「はい。じゃあエメ、一緒にいつもの部屋に行くか」
「俺は先に行って待ってるから、自分のタイミングで来てくれな」

 レイフは階段を降りていった。一方エメは、ようやく上半身を起こした。

「ふあーぁ、さて、めんどくさいけど起き上がるか。ラルド、行こうぜ」

 二人はいつもの部屋へ向かうため、階段を降りていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』 見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装… 俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。 突然の事で戸惑うクラスメート達… だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。 「またか…」 王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。 そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。 そして俺はというと…? 『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』 「それよりも不知火君は何を得たんだ?」 イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。 俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。 その場にいた者達は、俺の加護を見ると… 「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。 『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』 王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。 まぁ、その方が気楽で良い。 そして正義は、リーダーとして皆に言った。 「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」 正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。 「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」 「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」 「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」 「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」 「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」 「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」 「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」 俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。 「その…鎧と剣は?」 「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」 「今迄って…今回が2回目では無いのか?」 「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」 俺はうんざりしながら答えた。 そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。 いずれの世界も救って来た。 そして今度の世界は…? 6月22日 HOTランキングで6位になりました! 6月23日 HOTランキングで4位になりました! 昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°. 6月24日 HOTランキングで2位になりました! 皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

処理中です...