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第三章 ウスト遺跡編
第四十話 書斎
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空の旅を楽しむ一行に、ニキスは告げた。
「そろそろ地上へ降りるぞ。談笑はそのくらいにしておけ」
「そうか。ニキス君に乗るとあっという間だな」
「褒めたって何も出ない。さあ、あそこに降りるから、しっかり掴まっていろ」
ニキスは身体を下に向け、急降下した。地面にぶつかるスレスレのところで頭を上げ、尻尾を地面に叩きつける。無事着陸できたので、一行はニキスの背中から降りた。
「ラルドよ、私はまだついていった方が良いか?」
「ああ。お前もレイフ様の家の書斎で本を探すの、手伝ってくれ」
「私の扱い方、だいぶ雑になったな」
「雑ってなんだよ! ふん!」
ラルドはニキスをぶん殴った。竜の姿のニキスは、涼しい顔をしている。
「ふはは! お前のゲンコツなぞ、痛くも痒くもないわ」
「ち、ちくしょう……」
その後すぐにニキスは人間の姿に化けた。人間の姿になると、より腹の立つ顔をした。
「さあ、書斎に行くぞ」
「私は天界でもう少し調べものをしてくる。またな」
「ああ。じゃあな」
一行は門へと歩き始めた。
門に着くと門番がやる気のなさそうな顔をしていた。気の引き締まっていない門番を心配しながら、レイフは話しかけた。
「おーい、レイフだ。門を開けてくれないか」
「……ソッチカラドウゾ」
「え、なんて?」
「ちっ……そっちからどうぞ」
門番は右側の門を指差した。右側の門番は、うって変わって、やる気に満ち溢れている。
「レイフ様でしたか。どうぞ、こちらから入ってください」
「なあ、なんであいつはあんな無愛想なんだ?」
「えっと、さっきちょっと揉め事がありましてね……それからずっとあんな調子です」
「そうか。それでも、門番ならもっとハキハキしてないとダメな気がするな」
「まあどうぞお通りください。あいつのことは寝て忘れちゃってください」
右側の門番が門を開く。そこから一行はベッサに入った。
(揉め事……もしかして、カタラたちか?)
門を通り過ぎた後、ラルドは後ろを確認する。すると、やはり開かれなかった門の方にカタラたちがいた。カタラはそれに気づき、ラルドにピースをする。
(げっ、やっぱりあいつか……後ろをつけられるんだろうな)
「ラルド君、どうしたんだい?」
「いえ! なんでもないです! さあさあ、早速家に向かいましょう!」
「うーん、なんだかラルド君、最近変よね」
「まるで何か隠し事をしてるみたいだ。時間が出来たら聞いてみるかな」
走るラルドを、一行は追いかけた。
「また家に入るのか……今度は逆手に取って、裏口で待ち構えてやろう」
「でも、それを警戒して表からでるかもしれないわよ」
「今のうちにあいつの心を読んでおくか。ザメ、サトリに命令しろ」
「わかったわ。サトリ、ラルドの心の声を聞かせて」
サトリはラルドの後ろ姿をじっと見つめる。それからすぐに、ラルドの心の声が聞こえるようになった。
(書斎か。いつもの部屋よりも本がびっしり詰まってるってことだよな。そうなると探すのが大変そうだ。フンスを呼んで、手伝ってもらおうかな?)
「なんなんだこの心の声は。あいつ、余計なことばっかり考えてやがんな」
「ねえカタラ、もうやめましょうよ。きっとあれは偶然よ」
「いいや、ああいう手合いは近いうちにもう一度手を出す。監視の目は常に光らせておくべきだ」
「私たちの目的はサフィア様を捜すことよ。それを忘れないで」
「あいつらを追いかけてれば、そのうちわかるさ。今は追跡に集中しろ」
(はぁ……カタラったら……)
「ホーネさん、もう俺たち、こいつらから離れません?」
「まあそう言わずに。レイフたちも、カタラたちも必死にやってるんだからさ」
「そうですか……」
「あ、見えなくなった! お前ら、後を追いかけるぞ」
カタラたちは一行にバレないよう、後ろをつけ始めた。
しばらくして、一行はレイフの家にたどり着いた。キャイが出迎える。出迎えたキャイを、レイフは撫でる。
「キャイ、この前言ったこと、やってくれたか?」
「もちろんです。私はああいう仕事、慣れてますから」
「これから俺たちは書斎に入る。本のなだれでもおきたら危ないから、入らないでくれよ」
「承知いたしました」
キャイが道を開ける。続々と一行が入っていく。今回はいつもの部屋とは反対側の道にある、書斎に入った。いつもの部屋よりも多くの本が収められている。
「ここには必要のなくなった本がたくさんある。暇潰しにはもってこいだ」
「あんな高いところ、どうやって本をしまったんですか?」
ウォリアが手を伸ばしても届かなそうなところにまで本がびっしり詰まっている。ラルドは試しに腕を上げるが、まったく届かない。
「呪文でしまったんだ。入れやすいように入れたから、本のタイトルが見えなくなっちゃってるけどな。上のやつは俺が呪文で探すから、お前たちはそこから下の本全てに目を通してくれ」
一行は何かについて記された本を探し始めた。レイフは上段、ウォリア、ジシャンは中段、ラルドとエメは下段を探すことにした。一つ一つ本を取り、何かについての記載がないか確認する。
「こんなところに、本当にあるのか?」
「わからん。だけど、図書館に行く前にここにないか探しておきたかったんだ」
「そうか。まあ、どうせ暇だし良いか」
一行は日が沈むまで本を探し続けた。全部の本を確認したが、何かについて記された本は見つからなかった。
「はぁ……やっぱりこれだけじゃそう簡単には出てこないよな。仕方がない。明日が来たら、今度は城の図書館に行ってみるか」
「あんなホコリまみれの場所に行くのか?」
「そういう場所の方がかえって良い物があるもんだ。それに、ジシャンの水呪文でホコリは洗い流せるだろう」
「本が水を吸い込まないと良いが」
「まあそこは上手くやってくれるだろう。な、ジシャン?」
「まあ、この前私の家を洗ったときも本を避けて水をかけたしね。多分図書館も綺麗に出来ると思うわ」
一行が話し合う中、ラルドはエメと話していた。
「図書館って言いやあ、お前の姉ちゃんが呪文の本をもらってきたところだな」
「なんだか、あの本みたいな変なのばかり並んでそうだ……」
「なんだよ、火の呪文は本当にあの本のおかげで使えるようになっただろ? 変なのなんて言うなよ」
「そうだな。色物って言っておこう」
(大して変わってないような……)
レイフたちは話が終わったようで、ラルドの方に近づいてきた。
「ラルド君、明日から図書館で本を探すんだが、図書館はとてつもなく広い。だから、フンス君を呼んでくれないか?」
「そうですね。探す人は多い方が良いでしょうし。でも、待てなくて僕の言うことを聞いてくれないかもしれませんよ」
「今日中に手伝ってくれるか聞いておいてくれ。さあ、晩飯にしよう」
食事を終えたラルドは、二階の寝室でフンスを召喚した。
「フンス、ちょっと明日手伝ってほしいことがあるんだ。ベッサ城の図書館に、こいつについての情報が書かれた本がないか一緒に探してほしいんだ」
ラルドはあの何かを描いた紙をフンスに渡した。フンスはその紙を持ち、見つめる。
「ふーん。それより、サフィアの首はどうした?」
「それがな……」
ラルドは事の成り行きを話した。それを全て聞いたフンスは、顔をしかめた。
「俺が来るってわかって逃げ出したんだなきっと。それで? こいつらの対処法を知るために図書館をたくさんのオークで漁れって?」
「ああ。頼む」
「めんどくさいな。でも、サフィアの首のためなら、手伝ってやらんこともない。明日また呼んでくれ。たくさんオークを連れてくるから」
「ありがとう。それじゃあまた明日」
フンスは帰っていった。ラルドはいつもの部屋へ行き、フンスが手伝ってくれることを伝えた。
「そうか、ありがたいな」
「でも、図書館は静かにするところよ。オークたちが騒がないか心配だわ……」
「それは僕の方から言っておきます。姉さんのことさえ言えば、なんだって聞いてくれますよ」
「それなら良いけど」
「よし、明日への準備も済んだことだし、そろそろ寝ることにしよう。みんな、お疲れ様」
一行はそれぞれの寝室へ向かい、寝始めた。
「ちっ、一日中家にいるとはな……今日もまたここで野宿か」
「ふかふかのベッドに入ったのは、どれだけ前かな……もう嫌になってきたぞ」
「文句言うな。黙って俺に従え」
「なんだと!」
「しー! 大声を出すな」
「……はぁ、ホーネさん、なんとかしてくださいよ」
「ぐー……ぐー……」
「ホーネ、凄いや。もう寝てる。さあ、俺たちも倣って寝るぞ」
「はぁ、ふかふかのベッド、いつ戻ってくるのやら……」
「そろそろ地上へ降りるぞ。談笑はそのくらいにしておけ」
「そうか。ニキス君に乗るとあっという間だな」
「褒めたって何も出ない。さあ、あそこに降りるから、しっかり掴まっていろ」
ニキスは身体を下に向け、急降下した。地面にぶつかるスレスレのところで頭を上げ、尻尾を地面に叩きつける。無事着陸できたので、一行はニキスの背中から降りた。
「ラルドよ、私はまだついていった方が良いか?」
「ああ。お前もレイフ様の家の書斎で本を探すの、手伝ってくれ」
「私の扱い方、だいぶ雑になったな」
「雑ってなんだよ! ふん!」
ラルドはニキスをぶん殴った。竜の姿のニキスは、涼しい顔をしている。
「ふはは! お前のゲンコツなぞ、痛くも痒くもないわ」
「ち、ちくしょう……」
その後すぐにニキスは人間の姿に化けた。人間の姿になると、より腹の立つ顔をした。
「さあ、書斎に行くぞ」
「私は天界でもう少し調べものをしてくる。またな」
「ああ。じゃあな」
一行は門へと歩き始めた。
門に着くと門番がやる気のなさそうな顔をしていた。気の引き締まっていない門番を心配しながら、レイフは話しかけた。
「おーい、レイフだ。門を開けてくれないか」
「……ソッチカラドウゾ」
「え、なんて?」
「ちっ……そっちからどうぞ」
門番は右側の門を指差した。右側の門番は、うって変わって、やる気に満ち溢れている。
「レイフ様でしたか。どうぞ、こちらから入ってください」
「なあ、なんであいつはあんな無愛想なんだ?」
「えっと、さっきちょっと揉め事がありましてね……それからずっとあんな調子です」
「そうか。それでも、門番ならもっとハキハキしてないとダメな気がするな」
「まあどうぞお通りください。あいつのことは寝て忘れちゃってください」
右側の門番が門を開く。そこから一行はベッサに入った。
(揉め事……もしかして、カタラたちか?)
門を通り過ぎた後、ラルドは後ろを確認する。すると、やはり開かれなかった門の方にカタラたちがいた。カタラはそれに気づき、ラルドにピースをする。
(げっ、やっぱりあいつか……後ろをつけられるんだろうな)
「ラルド君、どうしたんだい?」
「いえ! なんでもないです! さあさあ、早速家に向かいましょう!」
「うーん、なんだかラルド君、最近変よね」
「まるで何か隠し事をしてるみたいだ。時間が出来たら聞いてみるかな」
走るラルドを、一行は追いかけた。
「また家に入るのか……今度は逆手に取って、裏口で待ち構えてやろう」
「でも、それを警戒して表からでるかもしれないわよ」
「今のうちにあいつの心を読んでおくか。ザメ、サトリに命令しろ」
「わかったわ。サトリ、ラルドの心の声を聞かせて」
サトリはラルドの後ろ姿をじっと見つめる。それからすぐに、ラルドの心の声が聞こえるようになった。
(書斎か。いつもの部屋よりも本がびっしり詰まってるってことだよな。そうなると探すのが大変そうだ。フンスを呼んで、手伝ってもらおうかな?)
「なんなんだこの心の声は。あいつ、余計なことばっかり考えてやがんな」
「ねえカタラ、もうやめましょうよ。きっとあれは偶然よ」
「いいや、ああいう手合いは近いうちにもう一度手を出す。監視の目は常に光らせておくべきだ」
「私たちの目的はサフィア様を捜すことよ。それを忘れないで」
「あいつらを追いかけてれば、そのうちわかるさ。今は追跡に集中しろ」
(はぁ……カタラったら……)
「ホーネさん、もう俺たち、こいつらから離れません?」
「まあそう言わずに。レイフたちも、カタラたちも必死にやってるんだからさ」
「そうですか……」
「あ、見えなくなった! お前ら、後を追いかけるぞ」
カタラたちは一行にバレないよう、後ろをつけ始めた。
しばらくして、一行はレイフの家にたどり着いた。キャイが出迎える。出迎えたキャイを、レイフは撫でる。
「キャイ、この前言ったこと、やってくれたか?」
「もちろんです。私はああいう仕事、慣れてますから」
「これから俺たちは書斎に入る。本のなだれでもおきたら危ないから、入らないでくれよ」
「承知いたしました」
キャイが道を開ける。続々と一行が入っていく。今回はいつもの部屋とは反対側の道にある、書斎に入った。いつもの部屋よりも多くの本が収められている。
「ここには必要のなくなった本がたくさんある。暇潰しにはもってこいだ」
「あんな高いところ、どうやって本をしまったんですか?」
ウォリアが手を伸ばしても届かなそうなところにまで本がびっしり詰まっている。ラルドは試しに腕を上げるが、まったく届かない。
「呪文でしまったんだ。入れやすいように入れたから、本のタイトルが見えなくなっちゃってるけどな。上のやつは俺が呪文で探すから、お前たちはそこから下の本全てに目を通してくれ」
一行は何かについて記された本を探し始めた。レイフは上段、ウォリア、ジシャンは中段、ラルドとエメは下段を探すことにした。一つ一つ本を取り、何かについての記載がないか確認する。
「こんなところに、本当にあるのか?」
「わからん。だけど、図書館に行く前にここにないか探しておきたかったんだ」
「そうか。まあ、どうせ暇だし良いか」
一行は日が沈むまで本を探し続けた。全部の本を確認したが、何かについて記された本は見つからなかった。
「はぁ……やっぱりこれだけじゃそう簡単には出てこないよな。仕方がない。明日が来たら、今度は城の図書館に行ってみるか」
「あんなホコリまみれの場所に行くのか?」
「そういう場所の方がかえって良い物があるもんだ。それに、ジシャンの水呪文でホコリは洗い流せるだろう」
「本が水を吸い込まないと良いが」
「まあそこは上手くやってくれるだろう。な、ジシャン?」
「まあ、この前私の家を洗ったときも本を避けて水をかけたしね。多分図書館も綺麗に出来ると思うわ」
一行が話し合う中、ラルドはエメと話していた。
「図書館って言いやあ、お前の姉ちゃんが呪文の本をもらってきたところだな」
「なんだか、あの本みたいな変なのばかり並んでそうだ……」
「なんだよ、火の呪文は本当にあの本のおかげで使えるようになっただろ? 変なのなんて言うなよ」
「そうだな。色物って言っておこう」
(大して変わってないような……)
レイフたちは話が終わったようで、ラルドの方に近づいてきた。
「ラルド君、明日から図書館で本を探すんだが、図書館はとてつもなく広い。だから、フンス君を呼んでくれないか?」
「そうですね。探す人は多い方が良いでしょうし。でも、待てなくて僕の言うことを聞いてくれないかもしれませんよ」
「今日中に手伝ってくれるか聞いておいてくれ。さあ、晩飯にしよう」
食事を終えたラルドは、二階の寝室でフンスを召喚した。
「フンス、ちょっと明日手伝ってほしいことがあるんだ。ベッサ城の図書館に、こいつについての情報が書かれた本がないか一緒に探してほしいんだ」
ラルドはあの何かを描いた紙をフンスに渡した。フンスはその紙を持ち、見つめる。
「ふーん。それより、サフィアの首はどうした?」
「それがな……」
ラルドは事の成り行きを話した。それを全て聞いたフンスは、顔をしかめた。
「俺が来るってわかって逃げ出したんだなきっと。それで? こいつらの対処法を知るために図書館をたくさんのオークで漁れって?」
「ああ。頼む」
「めんどくさいな。でも、サフィアの首のためなら、手伝ってやらんこともない。明日また呼んでくれ。たくさんオークを連れてくるから」
「ありがとう。それじゃあまた明日」
フンスは帰っていった。ラルドはいつもの部屋へ行き、フンスが手伝ってくれることを伝えた。
「そうか、ありがたいな」
「でも、図書館は静かにするところよ。オークたちが騒がないか心配だわ……」
「それは僕の方から言っておきます。姉さんのことさえ言えば、なんだって聞いてくれますよ」
「それなら良いけど」
「よし、明日への準備も済んだことだし、そろそろ寝ることにしよう。みんな、お疲れ様」
一行はそれぞれの寝室へ向かい、寝始めた。
「ちっ、一日中家にいるとはな……今日もまたここで野宿か」
「ふかふかのベッドに入ったのは、どれだけ前かな……もう嫌になってきたぞ」
「文句言うな。黙って俺に従え」
「なんだと!」
「しー! 大声を出すな」
「……はぁ、ホーネさん、なんとかしてくださいよ」
「ぐー……ぐー……」
「ホーネ、凄いや。もう寝てる。さあ、俺たちも倣って寝るぞ」
「はぁ、ふかふかのベッド、いつ戻ってくるのやら……」
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